GGDF(完結)   作:ハヤモ

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不定期更新中。 駄文続き。
コミケにいたレンちゃん……カワイカッタデス。


車と榴弾とグレ男。

今回は軍用車両同士。

*フェアかって? 腕次第だ。

 

 

 

 

 

「第2目標視認ッ!」

 

 

グレ男の報告で前方を見る。

土埃をモクモクと立てながら、爆走しているビークルを確認した。

 

センサー反応と同様、3台。 爆発物を警戒してか、車間距離を開けての走行だ。

 

平べったく角張った車体。 全長5メートル弱。 全幅2メートル以上。 色はサンドイエロー。

 

四輪駆動車、高い車高、側面に装甲。

 

アレは、

 

 

「《ハンヴィー》だな」

 

 

同じ兵員輸送車だがグレイプ程ではない。 悪路走破能力はアッチに軍配があがるも、武装は確認出来ない。 行き先はログハウスか。

 

ピト達に危害が及ぶ前に排除する。

 

向きはコチラに対して、丁度脇腹を向けている。 装甲の厚さは分からないが、命中率が高い内に先制させて頂こう。

 

 

「撃て」

「撃ちます!」

 

 

間髪入れず、砲撃指示。

グレ男、トリガーを引きっぱに。

 

ドゴォンッ! ドゴォンッ! と車体上部から連続で砲撃音が鳴り響き、少し間を置いて爆音。 初弾で1台目の横腹を抉りつつ、2発目で更に大きく吹き飛ばした。

 

地面をボールみたいに転がると、出来上がったのはスクラップ。

辛うじて車両だったのが分かる鉄屑に成り果てた。 中身は終わりだろう。

 

ふっ。 流石グレ男。 性格は悪いが腕は確かだな!

 

 

「初弾命中、撃破ッ!」

「見事!」

 

 

だが相手もバカじゃない。 連続でやらせてはくれないらしい。

 

残り2台はコチラに気がつくと、左右に分散して……逃げるのではなく突っ込んで来た。

 

 

「連帯が取れている……来るぞ!」

「連中、良い判断です!」

「やれるか!?」

「やります!」

 

 

ニッと口角を上げて楽しそうにしつつ、グレ男は砲塔操作を続ける。

しかしグレイプ砲塔回頭速度は遅い。 相手の機動力に合わせるのは無理。

 

近寄られると、こちらの命中率は上がる様に感じるが、蛇行されながら、速度も不規則では偏差射撃はキツい。

 

その為に砲塔のみで追い掛けず、グレ男はハンドルも操作、間に合わない砲塔や不利な距離を車体の向きと速度でカバーする。

 

相手も分かってやってるのか?

妨害するような動きをして近寄って来るではないか。

 

中々やる。 この短時間でグレイプの特性を理解したか、偶然か。

 

 

「発射間隔が短い。 殆ど連射じゃない」

「でも手動で照準合わせての、移動目標に対して偏差射撃で初弾命中。 砲塔操作の経験は無いけど、凄いよね」

「いやー、性格悪いのにね」

『だが相手も強い。 近寄られているな』

「ハッハー! EDFナメるなよ!」

『黙れチート野郎』

『前回は、トラックに負けそうだったね?』

「今回は俺ちゃんがいる! 安心しな!」

 

 

背後に乗る仲間と会話する余裕を見せつつ、尚も砲撃を続行。

 

ドゴォンッドゴォンッと音は鳴り止まないが、相手は怯まず爆煙を縫うように回避行動をし、突っ込んで来ているな。

 

相手の武装は分からないし、このままでは危険だ。

 

後方にいるトーマ達に指示するか。

 

手持ち無沙汰であるし、折角の対物ライフルがある。 使わせよう。

装甲も厚くはなさそうだ。 旧式でもダメージは通るはず。

 

 

「エヴァ、距離を置いてアンチ・マテリアルで狙撃してくれ」

『砲撃は?』

「しなくて良い。 移動目標だ、当てるのは難しい。 同士討ちは避けたい」

『了解』

「周囲の警戒も怠るな。 グレイプを上手く楯にしろ。 細かな指示はエヴァに任す」

『任せろ』

 

 

よし。 指示は通った。 センサーを見れば俺達のグレイプから離れていく。

 

相手も警戒するだろうが、二方向からの攻撃に対応するのは困難。

 

敵に隙が出来る筈。 ソコを一気に畳み掛けるぞ!

 

 

「……ねえワンちゃん? わたしたちも何か出来ないかな?」

「パパ、ヒマー」

 

 

すると、娘たちが寂しそうな声でねだってきた。 役に立ちたいという気持ちは素晴らしいが、外に出させるワケにはいかん。

 

 

「そうだな、スリット……覗き穴から周りを警戒してくれ」

「直接撃たせてよー?」

「ダメだ。 激しく動く車体から身を乗り出すのは危険だし、装甲車相手では攻撃効果は望めない。 特にレンは」

「落ち込むな小さき戦士たち! 周りを見るのも大切なお仕事だぜ?」

 

 

ガンカメラと周囲の地形と敵車両を見ながらも、グレ男はフォローしてくれた。 器用で助かる。

 

だがレン達は沈黙してしまう。 申し訳ないと思うが、危険に晒したくないのだ。

レンとフカには、後でツマミを沢山奢ってあげよう。 そうしよう。

 

 

「しかし小賢しいハエどもだっ!」

 

 

ドゴォンッドゴォンッと撃ち続けるも、中々敵は倒れてくれない。

 

グレ男の砲撃を掻い潜り、とうとう射程圏内に収めたのか。

上部ハッチから身を乗り出してきた男が。 手には、

 

 

「無反動砲か!?」「やべっ!」

 

 

まさかの重火器。

EDFの《ゴリアスD1》と似ているが、細部は異なる。

 

だが平気な代物ではないな!

あんなの喰らっては装甲を持っていかれるぞ!?

 

 

「対衝撃態勢!」「捕まれ!」

「え? えっ!?」「うひゃぁ!」「捕まって」

 

 

思いっきり右に急ハンドル。 背後から悲鳴が聞こえ、同時に相手が発射。

後尾からガスが噴出されて、前方からは榴弾が飛び出る。

 

本体ではない、横から車体下部を狙われた。

 

爆音と共にタイヤ下部の地面が抉られ、車体が少し浮き上がる。

身体が重力に引っ張られて横にズレていく。

 

敵は破壊を目的としていない!

 

押し倒す気だぞ!?

 

 

「グレ男!」

「了解ッス!!」

 

 

俺が叫ぶと、言葉の意味を理解してか、砲口を倒れそうになる方向へ。

 

刹那、もう一台からも同じ砲撃!

横面で激しい爆音と振動が装甲越しに伝わってくると、そのまま車体が横倒しに、

 

 

「テェッ!」

「イエッサー!」

 

 

ハンドルを切って片輪装甲をしつつ、地面に触れそうになった砲口から爆炎を放たせる。

 

実包だ、ほぼゼロ距離で地面に撃ちこんだのでコチラも無事ではない。 爆風と破片で装甲が抉れてしまった。

 

 

「ぐっ!?」「無茶は何時もの事ッスよねぇ!!」

「うひゃあ!?」「無茶苦茶な運転だな!?」「っ!」

 

 

だがその衝撃で車体を立て直す。 ハンドルとアクセルを上手く操作して、がっしゃんと車体を地面へ戻した。

 

衝撃と悲鳴は凄かったが、グレ男の操縦技術に感謝しなければな!

 

だが安心するのはまだ早い!

カーナビの様な、小さなダメコンパネルを見つつグレ男に車体状況報告。

 

 

「砲塔異常ナシ! 左前輪変形、走行可能か!?」

「ハンドルはガクつきますが、まだやれますよ!」

「了解。 戦闘を続行! 後部座席! レン、怪我人は!?」

「うぎゅ……え、えと」「いないよ! パパ、安心してやっちゃえ!」

「ありがとうフカ! 後で撫でてやる!」

「ツマミも奢ってね!」「…………」

 

 

混乱するレンの代わりにフカが報告。 ありがたい。 連帯は大切だ。

 

敵とはすれ違ったか。 そのまま後方にいるエヴァ達を襲うかと思ったが、そのまま大きく弧を描いて戻って来ようとしている。

 

先にコチラを潰したいらしい。

 

 

「隊長、モテモテッスね!」

「勘弁して欲しいが、このまま囮になる。 エヴァの方、狙撃態勢か?」

『ああ。 今位置に着いたよ』

「任意で良い。 やってくれ」

『ダー!』

「すまねぇ、ロシア語はサッパリなんだ」

 

 

再び茶々を入れるグレ男。

だが構っている場合じゃない。 それに単発のアンチ・マテリアル一丁で二台を相手にさせるのはキツ過ぎる。 あくまで援護射撃だ。

 

このままでは決定打に欠ける。

ならばと、新たな指示を飛ばす。 マシンの火力は強力でも小回りが利かない。

 

ならば小回りの利く歩兵の出番だ。

丁度、対装甲兵器を持っているコイツに。

 

 

「運転交代。 グレ男、降りて戦え」

「ファッ!? 相手は暴走車ッスよ!? 轢き殺されますって!」

「お前なら死なんだろ。 真面目に言えば、ミニオンバスターで連中の装甲を抉ってやれ」

「……援護はして下さいよ?」

「任せろ。 行って来い!」

「いえっさぁ」

 

 

嫌そうに、けれど了解してくれた。

速度が出たまま、シートベルトを外して扉を解放、地面に転がるように表へ飛び出す。

 

直ぐに景色から消えた。

地面は草が多いし、多少は平気だろう。

 

 

「自殺かな?」

「死んだら因果応報ってことで」

「……バカな男」

『1発だけなら誤射かも知れない。 当たっても許せ』

 

 

皆、結構酷いコト言ってるよね。

仮にも仲間なのだから、応援のひとつしてやれよ……。

 

 

「ヒャッハー! みんな、応援ありがとぅー!」

 

 

応援してないぞ。 俺だけでもしておくが。 心で。

 

とにかく。 カラになった運転席に、素早く横移動。

ハンドルを握って、アクセルに足を置く。

 

空いたドアを素早く締めて、ガンカメラを確認。 グレ男、早速アンダーアシストを使ってハンヴィーに突撃しているのが見えた。

 

車と同じように、土埃を立てながら。

 

手には徹甲榴弾を発射する緑色のゴツい特殊小銃、ミニオンバスター。

 

……いや、随伴してグレイプを楯にしながら戦えば良いのに。 ナニしてるんだ。

 

 

「うおおお! EDF歩兵ナメるなよぉ!」

 

 

雄叫びを上げつつ突っ込んで行くも、それでビビるコトもなく。

 

寧ろアクセル全開にされて轢き殺そうとしてきたよ。 しかも無反動砲の代わりに小銃でドカドカ撃ち始めたよ。

 

グレ男も負けじとミニオンバスターを撃ちまくる。

走りながらの射撃にも関わらず、全弾当てているみたいで、片方のハンヴィーの装甲から火花が。

 

……ああ、もうそれで良いか。

 

 

『おっ。 でも小銃では』

「うわぁ……スプラッターな光景、見たくないなら目を逸らした方が良いよ」

「同意見」

 

 

普通の小銃なら、な。

フカとレンがグロ注意してくれる。 一度見てしまったからな。 もう見たくあるまい。

 

刹那。 ハンヴィーの装甲が内側から外へ飛び出るようにして、弾け飛ぶ。

中の連中にも被害が及び、次にはフロントガラスにヒビが入ると同時。 ベッタリと赤い血のようなモノが全てのガラス面内側にこびりついた。

車内の様子は……まあ、見えなくても想像出来る。 したくないが。

直ぐにガラスは粉々に崩れて、後を追うようにハンヴィーは爆発四散。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

()()()()

 

 

『…………え?』『…………は?』『…………うぇっ』

 

 

そのエグい光景に、エヴァの仲間から変な無線音声が送られる。

特にスコープでよく見えてしまったであろう、トーマは気持ち悪そうな声を出した。 すまない。 戦士として、目を逸らさずにいたのか。 だが戦場とは残酷な世界なのだ……。

 

 

「もう一丁!」

 

 

最後の獲物をいざ狩らんと、銃口を向け直すグレ男。 相手は悲鳴を上げてるんじゃないかと思えるほど必死に逃げ回り、

 

 

「おいおい……さっきまでの威勢はどうしたんだよ?」

 

 

ミニオンバスターの射程外に行けばグレネードランチャーUMAXに切り替えて、

 

 

「じゃあの」

 

 

ポンッと、発射。

 

放物線を描いた弾頭は、やがて吸い込まれるようにハンヴィーの頭に命中。

 

ドカンッ! と爆発。 炎上。 一瞬世界の照度が一気に上がって、衝撃波の熱風が乱暴に車体側面にぶつかる。

 

軽く車体を揺らされた。 走行に支障はないのだが……一度停車。 嫌な風だな。

 

決戦仕様。 あの爆発だ、誰も助からなかったろう。 せめて苦しまずに逝けたコトを願うよ。

 

 

『……最初からこうしておけば良かったんじゃないのか?』

 

 

間を置いてのエヴァから無線。 いつもならチートだのなんだの罵倒してきそうだったが今回は冷静に……いや。 少し震え声で尋ねられた。 普通なら分からない程度に。

 

ああ。 怖い想いをさせて申し訳ない。

 

 

「いや。 グレ男を最初から外へ出して勝てたかは分からなかった。 勝てても、負傷する可能性があったからな」

 

 

答えてやるも、応答はない。 大丈夫だろうか。 少し休憩させるか?

 

 

「エヴァ?」

『……すまん。 これで障害はないな。 この後、どうする?』

「無理するな」

『平気だ。 戦える』

 

 

強いヤツだ。 だが前線配備は避ける。 引き続き後方支援だ。

 

 

「そのまま、周囲警戒とログハウスを監視してくれ。 俺たちはログハウスに近付いて、ピトフーイを何とかしてくる」

『分かった』

 

 

これで良い。 グレ男を回収して態勢を整えた後、ログハウスに近寄ろう。

抵抗されるだろうが、何とかしなければな。

 

 

「グレ男、戻って来い。 障害は排除した、後はピトフーイだけだ」

「りょおぉかぁい……ハハッ」

 

 

間延びした、スローモーションの声が無線越しに聞こえて来た。

ああ、トリップしてやがる。 相変わらず不気味な声だよ。

 

悪魔だ。 悪魔か。 いや、悪友である。

 

 

「ひぃっ…………、今の……グレ男さん……だよね?」

「ヤベッ、今夜夢に出るかも」

「……あの男は、危険。 人間じゃ、ない」

 

 

ああ、仲間の士気が下がっていく。

怖がらせるなよ。 全く。

 

 

 

 

 

やがて戻ってきたヤツの肩には、誰かの千切れた片腕が心霊写真みたいに乗っかっており、皆に悲鳴を上げられる。

 

それを歓声を浴びたかの様に、ニンマリと笑顔を浮かべるヤツは……。

 

悪魔が嘲笑しているように見えた。

 

 

 

 

思えば戦前からの馴染みであるが、コイツの腹の中は未だ分からない。

何を考えているのか。 そして何か、隠しているのか。

 

EDFと関係ないコトではない気がして……だが今、俺は任務に集中する事にした。

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