一気にピトフーイまで。 違和感あるかも。
*それは異なる。
どんなに歩み寄ろうとも。
愛があろうとも。
貴方には知っておいて欲しい。
本物であるからこそ。
英雄であるからこそ。
期待してしまうのです。
面白い世界に変えてくれるコトを。 『
或いは偽物に縋る者にチカラを貸して、生への充足を与えるコトを。
そして偽物のLLENN達を生かすか殺すのか。
世界を知って、ふたりがどう反応するのかって。
尚も互いの関係は続くのかって。
「ココがあの女のハウスね」
「こちらはEDF空爆誘導兵、ストーム・ワンだ! ピトフーイ! いるんだろう? 迎えに来たぞー!」
俺は叫びつつも、グレ男はワクワクしながらも、グレイプを大きなログハウス脇に幅寄せ。
呼び掛けながら来たものの、ここまで何の応答もない。 センサー反応から見るに中で動いているのは分かる。
居留守はやめて欲しい。 それとも遅いと思われて、拗ねてるのか?
「仕方ない。 内部に突入、直接迎えに行くか。 グレ男、ついて来い」
「了解」
念のため、武器……P90改を持って降車する。 ゴテゴテしている分、取り回しはノンカスタムより悪いが、閉所だ。
装弾数が少なく大きめなサプレスガンより使い勝手は良い。
フルフェイスではP90の小さなサイトは見難いのだが、弾をばら撒けば何とかなる。
「わたしも、ついて行く。 近距離戦闘は得意だよ」
「同じくぅ」
すると、レンとフカまで降車してしまった。 いけない。 何が起きるか分からないのだ。 前回みたいに狙撃されるのは勘弁である。 危険な目に遭わせたくない。
「中で待機していろ。 その、中のお姉さんを見張ってくれ」
「…………」
「じゃあさ、わたしが見張ってるわ。 行ってこいレン」
「ごめん、ワンちゃん。 行かせて。 お願い」
そう指示するも、フカがカバーしてレンは食い下がった。
そんなにピトに会いたいのだろうか。 いや、違うか。 何か目的がある様子。
「何を焦っている?」
「焦ってない。 ピトさんと話したいだけ」
淡々と無感情に努めて言う。
いや。 違うだろ。
本当の目的は別にあるんだろう?
フルフェイス・ヘルメット越しに、レンの小さな身体の、大きな目を見つめる。
そこにあるのは殺意だ。 『ピトさん殺す』という、殺意。 いや、決意。
憎しみも怒りもない。 やらなくちゃいけないっていう、使命感。
仕事をする時の機械的で事務的な命令下での無気力な行為でなく、それが正しいのだという無理矢理な解釈でもない。
「本当に殺らなきゃならない」。
止めても殺す。 噛み付いてでも何がなんでも。 そんな、決意の目。
ただ……命を刈り取る前にしては、妙な違和感を覚える。 まるで死んでも再開出来るような。 《再出撃》なんて幾らでも可能なような。 殺す理由はそもそも何だ?
───この世界はゲーム。
───俺たちはキャラクター。
根拠もナシ、そんな単語が頭を過ぎる。
だが俺達は確かにココに存在し、銃を握り続けて命のやり取りを続けてきた。
苦楽を感じ、確かな感覚で地面を踏みしめている。
その、ハズだ。
「ワンちゃん?」
「……すまない。 分かった。 背後をついて来い。 周囲の警戒怠るな。 フカも見張り、頼む」
「ありがとう」「いぇい」
今は集中しよう。 ピトを救ってからだ。
本当は連れて行くべきではないが。
目の届く場所にいさせよう。 それが逆に安全かも知れない。
後方のエヴァ達に預けても、脱兎の如く飛び出してしまうに違いないから。
「しかしよお、本当に近距離戦が得意なのか?」
「得意だよ。 狙撃は苦手だけどね」
「ホントかよ。 飼われたウサちゃんが戦場で喰われないか心配だぜ」
「最悪はワンちゃんと貴方を楯にするから」
「良いぜ! 生き延びたら、お前でサッカーしてやんよ」
グレ男も何だかんだ見てくれている。 ありがたい。 この先は室内戦闘も考慮しなければならない分、彼に頼るコトになりそうだ。
最悪はレンにも。 だがレンは殺すのが主目的な気がする。 あまり前に出させたくない。
「グレ男、抵抗されても無傷で拘束しろ。 良いな?」
「無茶言いますね」
「戦時より無茶ではないと思うが」
「それには同意します」
よし。 突撃用意だ。 グレイプに乗せているEDF主力小銃《PAー11》を引っ張り出すと、グレ男に渡した。
一応受け取るも、首を傾げられる。 不満か?
「え? フツーのライフル使えと仰います?」
「当たり前だ。 まさか室内でミニオンバスター使う気だったんじゃないだろうな?」
「何の問題ですか?」
「問題しかないわ! ログハウスを破壊する気か?」
「グレランじゃないから問題ナシ」
「爆発物だろうが!」
なんて奴だ。 そのまま使われたらログハウスごと吹き飛ばされていた。 手榴弾を部屋に投げ込むとは勝手が違う。
武器のチョイスは間違いたくないものだ。 地底での要請とか。
「グレ男の名が廃ります」
「遊びじゃないんだ。 縛りは止めろ」
「確かにそうですね。
納得して貰えたところでグレ男を先頭。 後ろにレンとフカ。 1番後ろが俺。 最後は1列になるようにクリアリングをかけていくつもり。
どのポジションも重要であるが、前衛と後衛は任せて貰おう。
もし娘たちが飛び出すようなら、止めねばならない。 死なせないし、死なすワケにはいかないんだ。
「はぁ……条件が拘束やレン絡みじゃなきゃ、纏めて吹き飛ばすのに」
銃に弾倉を着けて、初弾を込めて。
扉にトラップがないか確認しながら文句を言うグレ男。 レン絡み、というのは……やはり同じ事を感じている様子。
「そう言うな。 頼む」
だから俺は願う。 無事にこの一件が終わる事を。
グレ男は短く返事をすると、銃口を常に上げて視線とリンクさせつつ内部へと侵入していく。
俺たちは黙って、後をついていった。
《ハンヴィー》の連中の代わりに本物が来てやりましたよっと。
ログハウス内を姿勢を低くしてユックリ進みながら、ピト達を探します。
もうレンとフカと、アマゾネスに丸投げして傍観してりゃ良いんじゃないでしょうか。
なんとかなるでしょ。 相手の戦力は1人とて減ってませんが。 俺たちの所為でね。
あの
さて。 ナニはともあれ。 さっさと見つけて説得なり殺すなりしてSJ2を終わらせます。 《グロッケン》と《GGDF駐屯地》の件が残っているので。
センサー反応からして、ピトたちは二階ですね。
この建物、二階に上がる階段は1つしかありません。 知らない連中が待ち構えていると思いますが、殺すしかないですかねぇ。
そいつら……4人いるっぽいですが、目標じゃないので殺しても問題ナシでしょ。
階段の手前まで来ると、俺は報告します。
「隊長。 敵は二階。 階段はひとつのみ。 待ち伏せされてます」
凄い小声で、けれど無線機の自動調整ではっきりと隊長さんに伝えます。 すると、
「なんとか全員拘束しなければ」
うん。 無茶振りじゃないですかね。 戦時中も無茶苦茶な作戦が多かったですけど、これはこれでハードモードです。
「ワンちゃん。 それは難しいんじゃないかな? そもそも拘束する理由って何なの?」
おっと。 レン絡みが始まりました。 至極ごもっともな意見ありがとう。
そして潮時です。 隊長にはネタバレする頃合いでしょうね。 EDF隊員の殆どは気付いていないですが、隊長にだけはね。
そしてレン。 君にもさ。
SJ2終了後も銃は握りっぱなしになりますから。 とても忙しくなるので、今のうちに教えておきましょうか。
このタイミングは邪魔が入るかもですが、なに。 闘いながらでも良いです。
あの
越権ながら司会進行をさせて頂きますよ。
「殺したくないからさ、
え? と声を漏らしたのはどちらでしょうか。 そしてレンは今更ながらワンちゃんに説明し始めます。 こんなところで話すコトではありませんが、構わず進めさせましょう。 襲われるので。
「SJは殺し合いだよ。 殺さないと大会が成り立たないし、そうでなくても相手が降参してくれないと」
「だそうですよ
「え、えっと……? ゲームなんだから遠慮しなくて良いと思う。 わたしも最初は戸惑ったけど、そういうものだよ。 逆にそうしないと皆に失礼ともとれるし。 チートはダメだけどね。 前みたいに殺して良いんだよ。 ピトさんはワケあってわたしが殺すけど」
レンは優しい口調で殺すだのなんだのと持論を言います。 可愛い顔しておかっない単語が並びますねぇ。
ですがEDFにとっては悪魔みたいな、ゾンビな話です。 我々は死ぬのに、向こうは生き返るんですから。 理不尽ですねぇ。 殺しても殺しても生き返って向かって来る無限兵力。 ホラー映画ですわ。
あらら。
恐る恐る、声を震わせながら隊長は尋ねます。 ああ。 耐性があるわけないですよね。
俺も最初は戸惑いましたよ。
「─────大会? ゲーム? 遊戯感覚で殺し合いが行われているのか?」
「ゲーム世界なんですよココ。 おっと」
階段からグレネードがコロコロコロ。
敵さんが痺れを切らしてきました。
チッ。 良いところなのに。 場所が悪過ぎましたね。
「下がれ!」「回避」
隊長が素早くレンを掴み、俺と共に角に隠れます。 流石英雄。 動揺しているのにこの判断能力と反射神経。
直後、爆音。 破片と爆風が壁や床、天井をボロボロにしていきます。
ですがこれをキッカケに突入しますかね。 話の続きがしたいので。 爆煙に紛れていざ突撃!
「ま、待て! グレ男!」
命令違反。 独断行動。 今まで何度も行ってきたコトですが。
この異世界で何の役に立つというのか。 罪になるというのか。 何故、偽物相手に命を賭けなければならないのか。 これこそ最大の罪であり無謀で無駄な行いです。 そしてゲームならさっさと終わらせるのが最善でしょう?
戦略情報部はどこまで知り得ているのか。 まさか俺だけですかね。
敵どころか味方にも理解されずに散っていく命に、その際に笑われて消えていく者らに、世界の壁で隔たれれば悲しみ怒り、二度と戻らぬ命に、どう向き合えば良いのか。
かつて本部が言っていた風に言えば、本物であるコトを代表してヤツらに1発喰らわせれば良いのでしょうか。 だとしても蘇るだけです。 我々は蘇りません。 いえ……時間が巻き戻るコトはありましたが。 もう、今回で最後にしたいのですよ。
今までいなかった、
「今度こそ終わりだっ!!」
アンダーアシストで爆煙を突き破り、階段を1秒未満で駆け上がり……反応出来ない敵を1人、容赦なく殴り飛ばす。
レンジャーの腕力で壁を突き破って飛び出るも、見届けるなく次の標的へ。 あと3人。
二階の綺麗な宿泊施設を思わす部屋からは、残りの3人が慌てて銃口を向けるも、
「遅い」
幾度となく経験した光景に、迷うコトなく《PAー11》のフルオートを浴びせる。
20発どころじゃない。 EDF余裕の3桁レベルの銃弾をマシンガンの如く撃ちまくり、相手に反撃させない。 そのまま押し切って蜂の巣にしていく。
部屋の中に引っ込もうが関係ない。 壁抜きで潰した。 センサー反応で生きてるかは分かる。
これも何度経験したか。 何度同じ光景を見てきたか。 何発の銃弾を吐き続けたのか。 機械的な作業とかしてしまい、いかに早く終わらせられるかのタイムアタックと化している。
『人の声が響かない地球』でも異世界でも、同じことがあった。
ホント、ゲームみたいだ。 ハハッ。
「あらら。
「……相変わらず滅茶苦茶な攻撃方法と火力だな」
そして出て来る魔王とシモベ。 かたや嬉しそうに、かたや少しの不安と共に。
問題は
《GGDF》。
もう、ハッピーエンドを迎える為に
終わらせましょう。
世界をこのままツマラナイまま終わらせないで下さいね?
頼みましたよ。
ピトフーイ戦へ。
そしてSJ2の後。 それが最後への道。