GGDF(完結)   作:ハヤモ

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不定期更新中。 駄文ですが、SJ2閉幕へ。


それでも毒鳥は愛される。

*隊長がトリップしてしまいました。 バグでしょうかね?

なんにせよ、SJ2の後が本番ですから。 ふざけてられる内に、愉しんで下さいね?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「銃使えば? 要請でも良いよ?」

 

 

ライ◯セーバーの様な棒をブォンブォンと振ってきながら、気を使うピト。

俺が格闘戦を苦手としているのを知っていての発言だ。

 

確かに、柄じゃないコトはするもんじゃないな。 避けるのに必死だ。

 

だが、

 

 

「気遣い感謝する。 だが綺麗な小鳥に銃創を作りたくないのでな」

「やっさしー! でも、ワンちゃんを傷モノにするのは構わないよね?」

「その前に躾けるさ」

「あはっ!」

 

 

なんとか剣撃を避けつつ、隙を見て腕を掴もうと試みるも避けられる。

 

共に闘った経験があるだけに癖を読まれている。 厄介だ。 サプレスガンで吹き飛ばしたくなるが、相手は仲間。 偽物でも銃口を向けたくはない。

 

 

「やっぱり苦手みたいねぇ?」

踊り(格闘)はな。 だが綺麗な女性が相手なのは嬉しいところだ」

「あら。 でも愉しませてよ? ワンちゃんのお仲間は強かったけど雑過ぎてツマラナイからさぁ! まあ、その雑さでわたしとエム以外は瞬殺されたんだけど!」

 

 

グレ男のコトか。

確かに雑だ。 強いが仲間と連帯しないし、突撃や爆発物という危険性の高い攻撃ばかりが目立つ。

何を考えているのかも分からないし。

 

剣撃を避けて腕を掴もうとして空振りしつつ、俺は謝っておく。 失礼をしたな。

 

 

「すまない。 そういうヤツだ」

「良いよ? 同じステータスでも、あんたらEDFは強いんでしょーし!」

 

 

斬撃を避けては無力化を試みる。 ダメか。 会話を挟んでも、攻撃の手は緩まない。 殺す気だな、完全に。

 

しかし本物だと知っても尚、笑いながら殺しに来るとは。 怖い女だ。 エムがいつか言ったみたいに、狂っていると言えよう。

 

 

「ねぇワンちゃん!」

 

 

そして狂言を吐く気らしい。 普通なら殺しに来るヤツの言葉は無視したいトコだが聞いてやる。 仲間だからな。

 

 

「本物からしてさ! 生死のやり取りって、どんな感じかな!? 予想だけどEDFはGGOの外から来たんでしょ!? その辺知ってそうだよね! 特にワンちゃんはッ!!」

「くっ!」

 

 

気合いの振り下ろし。 風切り音が聞こえる程の斬撃、勢いがあったが柄の部分を両手で掴んでなんとか堪える。

 

くっ! 見た目の可憐な身体からは想像出来ないチカラだ!

 

それでも、柄の下側越しにピトの瞳孔の開いた目を見つつ答えてやった。

 

 

「っ……最悪だな。 義務や責任の重圧や生き延びた罪悪感、後悔だらけだ」

「ならさぁ! わたしの、為に! 死んでくれない!? 本物を殺す感覚ッ! 知りたいからさぁ!!」

 

 

ピトが叫ぶと同時。

なんと柄の下方から少しずつもうひとつの光の棒が伸びて来た!

 

このままでは串刺し待ったナシ!

 

なんだそのギミックは!?

おかわりなんて、欲しくないぞ!?

 

 

「ワンちゃん!?」

「隊長!?」

 

 

その光景に背後で様子を見ていたらしい、レンとエムに叫ばれる。

見なくとも分かる。 ピトに銃口を向けているだろうが、

 

 

「手を出すな!」

 

 

負けじと叫び返し、抑えるチカラを一気に抜いて、

 

 

「っ!」

 

 

俺の押し返しに負けぬよう、チカラを込めていたピトは当然ながら前のめりに。

 

光の刃も向かって来るが、すかさず横に少しズレて懐に入り込んで、

 

 

「ふっ!」

「がはっ!?」

 

 

渾身の腹パン。 愛と怒りを添えて。

 

細い身体にめり込んだ拳は深く突き刺さり、一瞬身体を浮かすほど。 防弾プレート越しでも衝撃を芯まで響かせる鉄拳制裁。

 

ピトは拳から滑り落ち、どさりと、うつ伏せで床に転がった。

カエルみたいにピクピク痙攣を始めたものの、死んではいない様子。 本物のパンチは効いたらしい。

 

愛のチカラもあったからな!

 

 

「どうだピトフーイッ! 本物は痛いだろう! だがお前の所為でもっと痛く辛い思いをしている仲間が多くいるのを忘れるな! 貴様の贅沢な希死願望に振り回されて、涙を流す者の存在を! 救おうと必死に銃を握り続ける友だちを!!」

 

 

友人が、恋人(?)がいるだけでもEDF(俺ら)からしたら恵まれているのに、死にたいなどと抜かしおって!

 

死神(グリムリーパー)に会わせて話合わさせようか!?

 

しかし……。

 

グレ男にオシオキしている内に鍛えられた拳だったが、まさかヤツ以外で使うコトになろうとは。

 

この時ばかりはヤツに感謝だ!

 

だが一方で謝らねばならない。

 

俺はエムとレンに向き直り、深々と頭を下げる。 ヘルメット越しなのと問題のピトを足下で転がしているのは失礼だと思ったが、戦場なので許して欲しい。

 

 

「すまないエム、レン。 望んだ形ではないと思う。 エムに関して言えば、大切な人を目の前でヤられて良い気はしないだろう。 レンからしたら大切な友だちだ」

「あ、ああ。 仕方ないです。 寧ろこのまま平和的に解決すれば良いとも思っていますよ。 僕は誰も殺さず、そして死なずに済みそうですから」

「ワンちゃんは強いね。 素手でピトさんを倒せるんだから。 でもまだ終わりじゃないよ。 ピトさんが納得しなきゃ解決しないんだし」

 

 

しまった。 レンの言う通りだ。

 

1発殴っても満足しないかも知れない。 グレ男の様な事例もある。

 

何度も殴って説教垂れても改心する保証がない。

 

 

「最悪は、わたしが殺すしかないかな」

 

 

そう言って俺が渡した黒い、P90改を構えるレン。

 

その光景を見れて不謹慎にも幸福を感じてしまったが、イカンと首を横に振る。

 

 

「そうしたら、ピトは……あー、君たちの世界で死んでしまうのだろう?」

「他の人が殺したらね」

 

 

どういうコトだってばよ。

 

何故レンならオッケーなのか。 その疑問に応えるべく、クマ……じゃなかった、エムが説明してくれる。 エムは俺の味方。

 

 

「レンとピトは、約束を交わしているんです」

「約束?」

 

 

なんだろうか。 勝てたら言うことなんでも聞くとか?

 

 

「勝ったら、本物の世界で会おうとか?」

「あれ!? わたし説明したっけ!?」

 

 

レンに驚かれた。 ミラクル正解だった。

何故、コレが宝クジじゃないのか。 もしくはレンとフカのスキンシップコース券。

 

…………冗談だ。

 

 

「つまり、その約束を果たす意味で、死なない選択をピトが取る。 それが救うコトに繋がると」

「さすがです、隊長。 僕としては貴方とも会いたかったのですが」

「もう会っている。 目の前のが俺だ」

 

 

そうですね、とエム。 少し寂しそうな表情をされたが、どうしようもない。 俺の居場所はこちら側なのだ。

 

 

「とにかくピトを起こそう。 武装解除してな。 エム、手伝ってくれ」

「了解」

「レン。 周囲警戒しつつ、フカ達に連絡を」

「分かった」

 

 

ピトを俺だけで剥くのは抵抗あるので、身内に手伝って貰う。

 

ヘッドギアだの、光学兵器だの、バウンドガンだの拳銃だの手製のシールドだのを取り外して弾倉やら初弾やらバッテリーやらを抜いて無力化していく。

 

 

「重武装だが、良く身軽に動けるものだ」

「そのピトに勝ったんですよ」

「まだ説得が残っている」

 

 

エムと話しつつ、でも手は止めず。

 

やがて、共に荒野を駆けていた頃の服装まで剥いた頃に、

 

 

「うぐっ……わ、ワンちゃん」

 

 

おっ? 起きたか。 口を開いた。

コレは早速説教だな。

 

 

「寝起きで悪いがピト、何か言うことは?」

「死ね!」

 

 

ガバッと起き上がりざま、殴りかかられた。

予想はしていたので、腕を掴んで横に流してやる。

 

しかし回復が早いな。 元気があってよろしい。

 

 

「っ!」

「ピトッ!?」

 

 

今度はエムに襲いかかり、素早く腰の拳銃を抜いて安全装置解除と銃口を構えるのを迅速に行い、

 

 

「懲りろ!」

「ぐぅっ!?」

 

 

俺に首を抑えられつつ、床に倒された。 拳銃は俺が抑えている間にエムが素早く取り上げて、弾倉と初弾を抜いてくれる。

 

 

「ナイスカバー!」

「はい」

 

 

やはりかピトは判断能力が高い。 あの一瞬でここまでやるとは。 危なかった。

 

普通ならば、状況把握をするべく少し時間のロスがあったり、起きた時に混乱をきたすだろう。 それが短い。

 

それと懲りない。 いい加減、諦めろ。

 

 

「エム、何度も邪魔すんな! 殺すぞ!」

 

 

俺の下で鳴き喚く毒鳥(ピトフーイ)

身内すら仲間とも思ってないかのような発言に思うコトはあるが、俺は何も言わない。

 

ただ見下ろすのみだ。

 

 

「ワンちゃんも何ボケッと見てんのよ!! 早く殺しなさいよ! そしたらシヌだけなんだからさぁ! 本物になら殺されても良いと思ってるからさぁ! あははは!」

 

 

適任者は俺じゃない。

 

 

「社長、もう止めましょう」

 

 

静かに語り始める人物。

1番側にいたエム。 彼に、任せる。

 

 

「これで分かったでしょう? ストーム・ワンは、隊長には勝てないし殺せない。 存在からして違い過ぎるからです。 そして貴女も痛みの中で感じたハズです。 本当に死ぬのは怖いと。 だから止めましょう」

 

 

後半、涙声になりつつ、そしてボロボロと涙を流し始めるエム。

 

SJでも見せた滂沱だが、今回は恐怖からではない。 愛ゆえに、だ。

 

 

「ひゃはああああっ! 何泣いてるのよ豪志君!」

 

 

不快な声をログハウス中に響かせながら、死に掛けの蝉みたいにジタバタする。

 

レンも、凄い変わり様のピトに引いている。 無線の向こうでは、心配してか、フカ達が応答を求めているようだ。 娘たちと表に待機している仲間の為にも、早く終わらせねばな。

 

手元で暴れるピト。 だが俺の筋力が上回り、起き上がることはない。 だが、死ぬこともない。

 

 

「こんな怖くて楽しいことを止めろって言うの?」

「はい」

「イヤね! ましてや本物と会えるなんて、思いもしなかった! これはね、絶好のチャンスよ! ワンちゃんを、EDFを、本物を殺して、殺されるね!」

「…………今は、どちらも叶いそうにありませんよ。 拘束されている貴女が1番理解しているでしょう?」

 

 

はあ。 無限ループになるかも分からない。

仕方ない。 少し口を挟ませて貰う。

 

俺は力を緩めてやる。

ピトはその意図が分からなかったのか、抵抗をピタリと止めた。 最初からそうしてくれ。

 

 

「俺だけに対して、だが」

「えぇ?」

「殺しに来ても良い」

「隊長!?」「ちょっとワンちゃん!?」

 

 

2人に驚かれた。 そりゃそうか。 殺しても良いなんて、それこそ正気の沙汰ではない。

 

1番、目を見開いて驚いているのは、ピトであるが。

 

狂ったヤツでも狂ったコトに驚くんだな? 新たな発見かも知れない。

 

 

「いつでも殺しに来い。 ピトが満足するまで付き合ってやる。 だが俺とも約束して欲しい」

 

 

な、なに? とピト。

 

途端に、しおらしくなって。 可愛いじゃないか。 最初からそうしとけ。 俺のレンには敵わないがな?

 

 

「今回は俺の勝ちだ。 それは認めろ。 そして降伏してくれ。 それと殺されても死ぬのはダメだ。 俺を殺しに来るのは許すんだから、良いだろう? 後、レンとはそっちの世界でも仲良く会ってくれ。 それから」

「まだあるの?」

 

 

あるんだよ。 黙って聞いてくれ。

コレが俺にとっての本題だ。

 

 

「頭、撫でさせろ」

 

 

刹那。

周囲が白けた。

 

外で間欠泉が吹き上がる音が聞こえたのは、辛うじての慰めか。

 

銃と硝煙の世界にて、こうも静かな瞬間というのは中々あるまい。 偶には良いじゃないか?

 

だけど……俺、そんな変なコト言ったか?

 

 

「だ、ダメだったか……!?」

 

 

(エム)を見る。

すとーむさぁん……と、別のベクトルで涙を流している気がする。 何故だ。

 

(レン)を見る。

目を見開きつつ、にっこり笑いかけられた。 『レンちゃんウフフ』状態。 耳の無線機から子犬(フカ)達の応答を求める声を無視して、こちらを見つめて来る。

無言で。 ちょ、凄い怖い!

 

小鳥(ピトフーイ)を見る。

真下の、押し倒した状態の彼女に希望を託す。 この状況から前進するには、ココにしかない!

 

 

「ぴ、ぴとふーい……?」

 

 

駄犬(おれ)、情けなくクーンと鳴いた。 求めるように。 欲しがるように。

希望は必要だと本部も言っていた。 絶望を受け入れるのは難しいとも。 今、この瞬間もそうではないだろうか。

 

やがてピトは恥ずかしそうに頰を染めて、身をよじりながら、

 

 

「………………良いよ?」

 

 

そう言ってくれる。

先程の狂い振りが嘘みたいだ。 そして周囲の状況も嘘だと言ってくれ。 頼む。

 

 

「あ、ありがとう?」

 

 

ぎごちなく礼を言い、取り敢えず願望を満たす為にピトの頭を撫でる。

行動しないと次へは進まないのだ。 良い意味でも悪い意味でも。

 

右手の手袋を外して、そっと、壊れ物を扱うように優しく頭に触れて、前後に撫でてみた。

 

艶のある黒髪は滑らかで触り心地がとても良く、気持ち良い。 撫でられているピトも心地良さそうに綻んで、俺の下で身を委ねている。 撫でているコチラまで幸せになってしまう……。

 

ああ、最高。 戦場にいるコトを忘れそうだよ。

 

 

「わぁんちゃああん?」

「そんな! パパが浮気してる!」

「伝説の英雄が強◯なんて! スキャンダルですねぇ!?」

「クソがっ!? 貴様も女の敵か!」

「レンだけでなく、他も毒牙にかけようとは!」

「やはりEDFは敵……!」

「変態」

 

 

直ぐに戦場だと思い知らされた。 もう少し夢を見させてよね!?

 

ワラワラとログハウスに集まる女性陣(と、野次馬1名)。

冤罪だ。 誤解だ。 そう言っても多人数の女性に勝てる筈もない。

 

エムとグレ男が味方をしてくれるコトもない。 くそっ! 同じ男仲間としてカバーしてくれないのか!?

 

 

「あっ、皆さん集まったところで」

 

 

ギャアギャア揉めているところ、おもむろにグレ男が口を開いた。

 

な、なんだ? 助けてくれるのか!?

 

 

「《C20爆弾》をログハウスにセットしときました! 皆で《お土産グレネード》風に爆発オチで締めたいと思いまーす!」

「ファッ!?」「何言ってんだ!?」「どういうこと!?」「ちょおま」

 

 

とんでもない話をしやがった!

プレイヤーはともかく、俺とお前は死ぬだろうが!?

 

 

そう言いたくも、止めたくも。

女性陣に囲まれて身動きが取れぬ間に、

 

 

「ポチッと!」

 

 

手に持つ、俺の持つ無線機に似た起爆装置のボタンを押された。 最悪だ!?

 

刹那。

ログハウスごと俺たちは吹き飛ばされる。 緑な匠も納得の爆発オチ。

 

爆発オチとかサイテーだ!?

 

 

 

 

 

……悲しいことにも、俺とグレ男はEDFのアーマーのお陰で辛うじて生きていた。

愛娘たちは全員、爆死してしまったが。

 

ある意味救われたのか、そうでないのか。

分からなかったが、これ以上闘う気は起きない。

 

まだチームが残っている様子だったが、俺は指でGGOのウィンドウを開くと降伏する。

優勝が目的じゃないからな……。

 

 

「いやあ! まだ死ねませんでしたね俺たち! あはははは!!」

 

 

1番狂ってるのはピトやサテキチ姉さんじゃない。 コイツだ。

 

俺はため息と共に、光の粒子となってSJ2から退場する。

 

とりあえず、ピトを救えたコトに……なっただろう。 たぶん。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

俺はこの後、何が起きるか、まだ知る由もなかった。

 

EDFが、GGOが、あのような形で銃口を向けあうなんて。




後日談のち、GGDF編へ。
EDFがGGOプレイヤーに牙を剥きます。
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