GGDF(完結)   作:ハヤモ

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不定期更新中。 駄文。

EDF、大人しくGGOから撤退……する訳もなく。


後日談。 始まるのは希望か絶望か。
犬小屋の思い出


 

SJ2終了後。

駐屯地に召集するよう言われているが、俺は未だグロッケンに留まっている。 拠点を処理しなければならないからだ。

 

具体的には、履帯で動く救急車の様なビークル《キャリバン救護車両》の解体作業。

武装は無いとはいえ、EDFの技術を放置して良い理由にはならない。

異界の物品とは即ち毒だ。 本来存在しないものは特定外来生物の様に在来を駆逐し、環境を破壊して悉く駄目にする。

 

例えばGGO基準での戦いはEDF基準から見ると火力不足が否めないが、それを前面に出してしまえば彼らの存在を否定する事に繋がる。 俺の要請はその筆頭だ。 空爆や砲撃なんて世界を崩壊させて余りある。

プレイヤーがEDFに反発するのも当然と言えた。

 

ソレをEDFは理解してか、グロッケンから撤退。 気が付いたら、みな駐屯地へ行ったようだ。

 

せめて仲良くなってから別れて欲しかったがな、世界も違えば考えも合わない。 仕方ない。 同じ人類だからこそ、喧嘩もするし戦争が起きるのだ。 仲良く出来ても永久の仲間にはなれない。 逆も然り。

その点、戦争が起きる前に撤退したのは正解と言えよう。 EDFが武力に訴えようとしていたが、中止にしてくれたのだろう。 良いことだ。 大人しく元の世界へ帰ろうではないか。

 

リムペットガンで吸着爆弾をビークルに付着させ、安全な位置まで離れる。

周囲に危険物や人が無いのを確認。 あとは起爆トリガーを引くのみだ。

 

 

「さらばだ、我が拠点よ」

 

 

世話になったビークルとの別れを惜しむ。 走馬灯の様に思い出が脳内再生されると涙まで出てきた。 我ながら女々しいヤツだな、と自傷する。

 

悪戯されて落書きされたり、終始ビルの上や物陰から監視されたり、鍵を掛けているのにレーションや下着を盗まれたりロクなコトはなかったが。

大抵、その後は寝床のシーツが変に湿っぽかったり、良い香りがしたり、時に整理整頓されていたのだが、嫌がらせの類だと考えている。

何者かに不法侵入された痕跡を敢えて残し、睡眠不足を狙ったのだろう。

GGOに迷惑を掛けた身としては当然の報いといえる。

 

だが良いコトもあったな。

レンやフカ、ピトやエム、SJ2に出会ったシャーリーやアマゾネス集団、後はなんとなーくどっかで会った子が何人も来た件だ。

 

ある子は「やっぱ犬は嫌いだぁ!」と叫んで逃げてしまったが。

ありゃなんだったのか。 遠くから見ていたので、シャイな子だったのかも知れない。

迷子だと思って追い掛け回したのも悪かったか。 何時ぞやみたいに《スピードスター》で転ばしたのもマズかったか。

ついレンとの最初の頃を思い出してハッチャケてしまった。 悪いことをした。 嫌いと叫ばれて酷く落ち込んだし……。

 

 

 

 

 

それはそうと。

 

人それぞれ様々な理由で来訪してくれたのは嬉しい。

 

レンは最も来てくれたな。

GGOで最初に仲良くなり、共に世界を駆けた可愛い子。

背が低く、中性的な顔立ちと髪型。 燻んだピンク色の戦闘服に身を包み、足が速く近接戦闘が得意。 狙撃は苦手。 真面目で酒のツマミ類や可愛い物が好き。 小さいコトを言われると喜ぶ節がある。

 

その為、車両内はレン用のツマミやプレゼント用のぬいぐるみが常在。

レーションは凄い不評で、一度出して「うぇぇ」な顔をされてからはツマミには出していない。

同じEDF隊員すら嫌がる者は多いのだ、世界が違っても味覚は大凡同じと見える。

それなのにレーションを盗む奴は何なのか。 最初は知らないから仕方なし、二度三度と続くと首を傾げた。 セキュリティを強化せず、場所だけ変えていた俺も悪いが。

うーん。 移動先を知っているのは一部だけなのだがな。 当時はレンだけだったし。 いや、監視されていたのだ、多くの者は知り得るところにある。 犯人は不特定多数である。

ともあれ。 外では嫌がる素ぶりを見せる頭ナデナデも、車内じゃ帽子をとって頭を押し付けて「もっと撫でて!」とねだられた。

可愛かった。 もう出来ないと思うと悲しいところである。

リアルでは無事、ピトに会えたそう。 正体がファンの歌手である神崎 エルザだった件は酷く驚いたという。 俺も聞いたときは驚いたな。 見た目と中身は合致しないと改めて学ばせて貰ったよ。

そんな彼女からはキスされそうになり、そしてやめられたらしい。 「想い人が先の方が良いでしょ?」とのこと。 なんたる百合か。 危うかったな、とレンに言えば赤らめてチラチラ俺を見て来たが。 そりゃ恥ずかしがるよな。 同性にキスされそうになったというカミングアウト。 同情して気にするな、と言ってやれば不機嫌になりソッポを向かれたが。 なぜだ。

ともかく、ピトとは疎遠になることもなく、仲良くやっていくという。 俺は賛成した。 レンはやはり、良い子である。 これからもそうであってくれ。

 

フカは出会って浅いが、会いに来てくれた。

フカはレンの親友で、別のゲーム、ALOとやらから《コンバート》して来たらしい。 レンのSOSに駆けつけて来た形である。 明るく快活な子で、レンが悩んだり沈んでいると励まして元気付ける。 とても良い子だ。

レンと同じ背丈ほど。 金髪で可愛くて、俺をパパ呼びしてくる。 レン同様甘やかしてしまった。

今の装備であるバックパックやヘルメット、ポーチやかんざし風ナイフ、ニーソやブーツ等は全て俺の支払いだ。 レンには酷く拗ねられたな。

会いに来てくれたのは興味本位らしい。 どんなところに住んでいるのか気になったとのこと。 実際に見てみて、救急車なビークルにゲラゲラ笑われたが。

そんな快活な、太陽みたいな笑顔を見てこちらまで元気付けられる。

『人の声が響かない地球』では希少性が高く、必要な幸せだ。 だが連れて行けないし、行かせる訳にはいかない。 世界が違うのだ。 本人も行きたがらないだろう。

車内ではレン同様にツマミを沢山あげた。 喜ばれたついでに色々オネダリされたので断ろうとも思ったが……可愛らしく上目遣いで「パパ?」なんて呼ばれてからは折れた。 完全敗北である。 その時みたフカの笑顔は「計画通り」な、小悪魔的な顔である。 ソレは要らないと思った。

 

ピトも来た。

SJ2終了後、落ち着いてきたと思ったら夜中に突然突撃してきて、第一声が「中に入れろー!」である。 元気な声で。

彼女は多種多様な武装を持ち出して、ビークル表面装甲をビシバシと傷付けて嫌がらせしてきた。 寝ているというのに睡眠妨害だ。

仕方なく扉を開けてやり、中に招いてやった。 刹那、SJ2でも見た、フォトンソードなる光剣が飛んで来たので、躱してピトをブン殴ってやる。

殺しても良いと言った手前、文句を言い難いが「今何時だと思ってる?」とだけ言っておく。 そのときはノビて床に倒れていたのだが、言っておかねばならない。 形式的に。

回復してからは車内で暴れはしなかったものの、武器を見せろだの寄越せだのこの手の武器はロマンがあるだのと武器談義で盛り上がる。

最初は面倒だったが、会話とは時間と共に盛り上がりを見せるものだ。 俺も様々な武器を見て来たので、会話が出来ない事もない。

だがEDFとGGOとは武器の見た目は似て非なるものだ。

形状の微細な差異も性能も弾薬も装填数も重量も名称も異なる。 そしてEDFの武器をGGOで使う訳にはいかない。 バランスも世界観も壊してしまう。

ピトには悪いが、記念に何かをあげるコトは出来なかった。 ブーブー言われたが、許せ。

 

エムは今回の礼で来た。

ピトを救ってくれた感謝、会えた喜びや別れを察しての哀しみ。 頭が良いエムだ、言わなくても別れが近いと思ったのだろう、 その件で再びの号泣。 よく泣くクマさんだ。 だが泣けるのは素晴らしい事だと思う。 無感情で死んだように生きる者よりも、ずっと生き生きとしているから。

だが別れる前の土産話としてか、名前のエムはアルファベットのMでマゾであるとか、ピトに調教された日々は素晴らしい的な話を始められてゲンナリしたが。 そんな情報、知りたくなかった……。

 

アマゾネス集団こと《SHINC》やシャーリーも来た。

そして集団リンチの目に逢う。 羽交い締めにされてボコボコにしてきやがった。 爆発オチにした件や今までの絡みだという。

まさかのお礼参りだった……。

くそっ。 やったのはグレ男だというのに。 当の本人は駐屯地に戻ってしまったからか。 その捌け口として俺らしい。 酷い。

そして倒れる俺に、一応の感謝と二度とSJの様な大会には出るなよと言われてしまう。

まあ……言われずとも出る事はないだろう。 偽物だと知り得た今、皆に迷惑を掛けたくないし、俺も死にたくない。 そして大人しく世界と別れるつもりだ。

シャーリーにも礼を言われた。 あのまま闘いを続けていたら、ひょっとしたら人殺しになっていたかも知れなかったからと。

俺は気にするなと言っておく。 知らなかったでは済まされない事になる前に、知ることが出来たしやらずに済んだ。 それで良いんだと。 そして普通は知り得ない情報である。 ピトも普通のヤツではない。 普通はゲーム世界で死んだからってリアルで死ぬのは変なのだ。 馬鹿げている。 悪いのは向こうであろう。

慰めに頭を撫でてやる。 レン同様、綻んだ顔になってこちらまで幸せに。

そしてアマゾネス集団に見られて再びのリンチ劇へ。 そんなに集団虐め、楽しいかい?

 

 

 

 

 

まあ、とにかく。 色々あったが。

そんな拠点とも、《グロッケン》ともお別れだ。

 

レンたちには何も言わずに出て行くつもりである。 元よりEDF含めて俺は存在しない。 静かに消え去るべきだから。

 

そして起爆トリガーを引く。

 

目の前の、キャリバン救護車両はリムペットの起爆に合わせて爆発四散する。

さらば我が拠点。 さらばGGO。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ところが予定していた爆発より大きく、ストーム・ワンは後方に吹き飛ばされてしまう。

 

それは他所からの攻撃が加わったからであり、それも()()()()()()()()だと気付くのには…………。

 

同じEDF隊員であっても、理解するのには時間が必要であった。




GGDF編へ。

圧倒的な兵器群相手に、GGOは飲み込まれてしまうだけなのか。
その時、ストーム・ワンは。
グレ男の正体は。
ストーム隊はどうなるのか。
レンたちGGOプレイヤーは。
EDF隊員たちは。

本物と偽物が殺し合うとき、生まれるのは悲劇か喜劇か。

遂に(?)完結編へ。
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