日本なのか欧州なのか。
砂嵐が晴れた時、俺は荒野に立っていた。
おかしい。
今日も市街地に繰り出し、生存者の捜索及び、残存する怪物の駆除任務に当たっていたのだが。
途中、砂嵐に巻き込まれた時に、何が起きたというのだ?
空は黄色くどんよりした雲に覆われて、どことなく不安を煽る。
辺りを見渡すも、岩や朽ちた戦車のみ。 それもブラッカーやタイタンではない。
レールガンやウォーバルガが闘った平原かとも考えたが、やはり違う。 知らない場所だ。
「本部、応答してくれ! くそっ、ダメか」
本部に連絡を試みるも、繋がらない。
砲兵隊やDE202、KM6、ウェスタ、カムイ、フォボス、ノーブル等の航空機。
潜水母艦エピメテウス、バレンランド基地、衛星砲の操作員等とは何故か繋がる様だが、相変わらず一方的に話すだけで会話が成り立たない。
これでは帰れないではないか。
「………むっ、センサーに反応」
そんな時。 ヘルメット・ディスプレイのセンサーに民間人表示の白丸が4つ。
反応した辺りを見る。 すぐそこに武装した三人組を確認。 レジスタンスだろうか。
此方には気付いていないが、声を掛ければ聞こえるだろう距離だ。
もうひとつは、目の前の岩辺りから。 よく目を凝らすと、子供がいるではないか。
ピンク色の服が保護色となり、見難かった。
銃を抱えて、ガタガタ震えている様に見えるが。 怯えている?
「まさか」
三人組に狙われている?
あり得る話だ。 物資を奪い、殺し殺される世紀末な今の時代。
物資を持っているのが子供でも、容赦はないだろう。 もしくは『身体』そのモノも狙いか。
助けねば。 帰る方法は後だ。
「そこの三人組! こっちだ!」
声を張り上げて注意を向けさせる。 気付いた連中は案の定、逡巡なく銃を向けて発砲してきた。
実弾兵器だ。 マズルフラッシュを激しく焚いてくる。
直ぐに俺は地面を転がりつつ、子供のいる岩場へ退避。 共に身を隠す。
「大丈夫だ。 必ず君をまも、うわっ、よせ!」
「ひいっ!?」
隣に来るまで気付かなかったのか、驚いたと同時に銃口を向けられた。 トリガーに指が掛かる前に、慌てて取り上げる。
守る対象に殺されるとか笑えないぞ。
てかよく見ると女の子だ。 余計にか弱く見えて、いよいよ保護欲が湧き出てくる。
「驚かせてすまない。 だが必ず君を守ろう」
「………え、えっと?」
困惑しているが、今はヒャッハー連中の駆除だ。 同じ人類を殺すのは抵抗があるが、仕方ない。
センサーを見るに、一人だけ撃ちながら前進している。 後はカバーか。 連帯をしている分、厄介そうだ。
もう少し近付かれたら、グレネードの類を放り込まれるかも知れない。 かといって、慌てて飛び出せば蜂の巣になる。
そうなれば俺は兎も角、子供は絶命。
「だが!」
そうなる前に駆除だ。
幸い、エイリアンの歩兵部隊や度々の対人戦闘で慣れている。
遮蔽物から身を出さずとも、攻撃手段は色々ある。 そのひとつ、ロボットボムを用意。
見た目は丸い、家庭用お掃除ロボットであるがAI搭載の自走式爆弾で、遮蔽物を避けて目標まで進む代物だ。
その前に目標をロックオンしなければならないが、EDFの兵器は遮蔽物越しでもロックオン可能。 これにより隠れながらでも攻撃が出来るのだ。
「行って来い!」
早速三人をロックオン。 ロボを複数解き放つ。
手前のヤツは素直に命中。 爆音が岩の裏から聞こえてきた。 同時にセンサー反応消滅。
だが、それで瞬時に危険物だと判断したのだろう。
後ろの二人は迫るロボを撃って無力化したらしく、爆音が手前で聞こえた。 センサー反応も健在。
「残念だな。 それも織り込み済みだ!」
『機銃掃射、開始ッ!!』
無線機からKM6パイロットの声が聞こえると、上空を2機の戦闘爆撃機が飛来。
予め要請していたのだ。
刹那、指定された座標を機銃掃射で薙ぎ払った。
地面を走るボムや俺に気を取られ、空を警戒する間が無かっただろう。
丁度、爆音と共に怪物が現れた反応があったが、そこも運良く機銃掃射のエリア。
大量の砂埃を立てて何処かへ飛んで行った後は、センサーに何の反応もない。 皆死んだ。
隣の女の子を除いては。
「怖かったろう。 もう大丈夫だ」
全てが終わった後、頭を撫でてあげる。
余程怖かったのだろう。 涙を浮かべて、先程よりガタガタ震えている。
「俺はストーム・ワンだ。 君は?」
「レン……、です。 こ、殺さないんです、か?」
「そんなコトはしない。 あの三人組みたいに悪いヤツじゃないだろ?」
「……え、えと? 人殺しはないです」
「なら良い。 罪は俺が背負う」
さて、保護したコトを本部に………本部。
「すまない、拠点があれば案内してくれ。 その、色々あって帰れないのだ」
「は、はい」
コレが俺とレンの出会い。
助けた後に保護されるという、格好悪い形から始まった。