GGDF(完結)   作:ハヤモ

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不定期更新中。

グレ男の正体に迫っていきます。


兎死狗烹

 

*ウサギもワンコも美味しく戴きますですよ。

 

ああ、順番や役割は逆になるかも。

 

若しくは。

 

俺が死ぬか、です。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

子犬も毒鳥も熊も舎利もBBA達もログインしていなかった様ですが、代わりに凄い速度で走る兎を見つけました。

 

早速、俺は《アンダーアシスト》で追いかけて並走してやります。

 

 

「久し振りだな、小さき戦士!」

「うひゃあ!?」

 

 

挨拶すると、変な声を出して驚きます。 反射で発砲しなかったのはエライですねぇ。

 

人外の速度で走るレンちゃんですし、まさか並走出来るヤツがいるとは思わなかったのでしょうかね。

 

残念。 お馬さん()も速いんです。

 

 

「何やら急いでいるみたいだねぇ……愛しのワンちゃんに会いに行くのかな!?」

「ふざけてる場合?」

 

 

前を向いて走りながらも、レンは若干の苛立ちを孕ませながら付き合ってくれます。 良い子ですねぇ!

 

しかし反応が面白くない!

 

そこは「あんな駄犬なんか、ちっとも好きじゃないんだからね!」とツンデレな言葉を返して欲しかった。

 

もしくは正史のSJ2みたいに、すっ転んで目をぐるぐるさせるとか。

 

まあ、ついていけば地下にいるであろう、隊長の下へ辿り着けるでしょう。 そこで面白いコトをしてやります。

 

 

「こんな時こそユーモアは大切だぜ? 寧ろこんな時用の、ふざけ方ってのがあるもんだ」

「貴方の存在のコトかな?」

「正解!」

「否定しようよ」

 

 

走りながらも、呆れた声を出されました。 それでも流石ゲーム世界。 息切れなんてありません。 羨ましいねぇ。

 

ですが、そんなウサちゃんの考えや予想した答え通りにする気はありません。

 

だって、それ……ツマラナイでしょ。

 

だから、

 

 

「おんぶしてやんよ!」

「なぁっ!?」

 

 

首根っこを掴み、素早く背中に回して上手い事背中に装着。

 

隊長が見たら羨ましがるでしょうなぁ。 そんな反応も見てみたい。

 

 

「俺の方が速いんでね、道を教えてくれる?」

「うぐっ」

「ははっ、傷付いた? ゴメンねぇ、大人気なかったねぇ!?」

「黙って走れ! 次の角を右じゃぁ!」

 

 

それより、オコなウサちゃんの反応が面白いです。 悪感情って面白いですよね。

 

見飽きた戦場より面白い!

 

その人の名誉や財産を傷付けられて……精神攻撃を喰らって心が揺れるサマを想像するのは楽しくてさ……。

 

それも後で料理される獲物ほど、ね。

 

最期、どんな姿を見せてくれるのかって思うと愉快なり!

 

もちろん、今まで存在しなかったSTORMー01(隊長)の行動は読めませんから、それもそれで楽しいのですが。

 

そこに大切に飼っていた兎が料理されて出てきたら、もっと愉しくなるに決まってます。

 

 

 

まぁ……。

 

()()運営が諦めてGGOのサービスを終了させてしまえば、俺は《再出撃》する羽目になりますが。

 

そうなっちゃったら、死銃事件に首突っ込んで、あの女みたいな剣士様とリアルで銃を撃った女王様を殺すのも愉しいかも知れませんねぇ……。

 

そうして出て来るであろう、SAO生存者(サバイバー)を潰していくとか?

 

あっ。 《ブルージャケット》はこの時間軸で女王様と交戦したんでしたね。 同じ青いもの、狙撃手同士。

でも女王様は相手の数や武装に危機感を感じて逃げてしまったらしいですが……それでも羨ましい!

 

 

 

「ヒヒッ」

「笑うなぁ!」

 

 

鉄帽をバシバシと叩くウサちゃん。 その程度ではダメージを与えられませんよ?

 

いやぁ……GGOプレイヤーにゃ、俺の渇きを完全に癒すのは無理かなぁ?

 

とか思っていたのが災いしたのか。

角を曲がったら、

 

 

「きゃーニクスさーん!」

「隠れてっ!?」

 

 

《ニクスB型》一機、随伴歩兵3名とかち合いました。

 

ウサちゃんの言う通りにしてやり、戻って角に隠れます。

 

刹那、フルオートによる銃撃を浴びせられ、角や足下に無数の弾が着弾。 抉りながら砂埃が舞っていきました。 GGOの弾より痛いですから、喰らいたくないです。

 

 

「面倒な事になったなぁ」

「何とか出来る?」

「何とか出来たよ? あのまま突っ込んで《C20爆弾》をばら撒いて爆破処理しようとしたんだけどぉ? 誰かが隠れてなんて言ったからぁ!?」

「悪かったね!?」

 

 

邪魔してくるモノホンの相手より、ウサギを弄る方が愉しいですねぇ。 EDFがこの世界に拘る理由のひとつです。

 

《人の声が響く地球》を守る。 偽物でもそれで心が慰められる。

 

あの絶望の世界なんて捨てた方が気楽になれる……とね。

 

ですがねぇ、この世界はゲームなので。

 

いくら守ろうが殺そうが、偽物は偽物なのでね。 ストレス解消という意味なら、ゲーム世界なので良いでしょうけど。

 

でも迷惑ですから。 俺の存在含めて、チートなんですよ。 間違い、なんですよ。

 

だから、《再出撃》を繰り返すんですよ。

 

ですから、

 

 

「消えてくれ」

 

 

レンを下ろして素早く角から飛び出し、銃撃を喰らってもゴリ押しで突っ込み、

 

 

「ほらよ!」

 

 

《C20爆弾》を群れに放り投げてやり、

 

 

「ポチッと!」

 

 

起爆。

ズドォンッ! と銃弾よりもずっと派手な音を響かせて、コンバットフレームと随伴歩兵を吹き飛ばす。

 

ついでに俺も吹き飛んで、さっきの角まで戻されます。 丁度ウサちゃんの足下に転がった結果、見下ろされました。

 

 

「えと……大丈夫?」

「ご覧の通り、五体満足よ。 自爆テロでもね、俺のEDF製アーマーは強化しまくったからね、こんくらいなら耐えられる!」

「そ、そう」

 

 

痛む身体にムチを打ち、むくりと起き上がるとレンを再び背負う。 元はニクスさんだった鉄屑を後にします。

 

 

「そうそう。 俺が爆発物を使うのはね、好きなシーンへコマを早回ししたいからなんだ!」

「急に何の話?」

「独り言サ。 それより道案内頼むぜウサギさん?」

 

 

でもね、と走りながら思うのです。

 

今回で《再出撃》は終わると思うのです。 隊長がいるから。

 

でもね、と別の考えもあるのです。

 

俺は悪い奴なんですよ。 人の反応を見て楽しんできた癖が沁み過ぎたんですよ。

 

だから。

 

止めて下さい。 終わらせて下さい。

 

EDFと、この俺を。

 

そして救って下さい。 ふたつの世界を。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「誰か来たぞ!」

 

 

警備兵が叫ぶから、皆が一斉に銃口を闇に向ける。 味方か敵か!?

 

センサー反応では味方表示だが、頼り過ぎても良くない。 特に地下は。

 

俺も電磁トーチカを手に持ち、戦闘に備える。 銃撃戦は苦手だが、周りの特戦歩兵のサポートならしてやれるからな。

 

 

「むっ、ありゃあ」

「グレ男とレンだ!」

「銃を下ろせ」

 

 

だが現れたのは知ってる人物。 グレ男と愛娘のレンだ!

 

グレ男は手を振りながら、そしてニヤニヤしながら。 相変わらずの態度に呆れと安堵を与えてくれる。

 

だが無事で何よりだ。

 

 

「隊長! あ、軍曹たちもいたんスか。 お久です!」

「無事でなりよりだ。 レンも……よく来てくれた」

「ワンちゃん!」

 

 

グレ男に下されて、こっちに走り出すレン。 すると、ぴょんと跳ねて俺に抱きついて来る。

 

おうおう……頭を擦り付けて。 抱き返して頭を撫でてやる。 辛い思いをさせたな。 すまない。

 

 

「聞きたいコトは、いっぱいあるけど。 無事で良かった」

「レンも無事でなによりだ。 グレ男も、な」

「俺も覚えていましたか! 嬉しいなぁ!」

 

 

喜ぶ問題児。 聞きたいコトはたくさんあるので、今は互いに情報交換といこう。

 

軍曹と共に、知り得るものを教えあう。 戦場において情報は重要だ。

 

味方にスカウトもいるが、意見や情報が複重しても無駄にならない。 それだけ確実な情報だと分かるのでな。

 

 

「地上の様子はどうだ?」

「EDF同士が殺しあってましたよ。 かく言う俺も襲われて殺り返しましたが、正当防衛ですよね?」

「……ああ。 やむを得ない」

「プレイヤーたちは見たか?」

「少しだけですが。 EDF(プライマー)に蹂躙されてましたね。 賢いヤツは建物かどっかに逃げたみたいです。 それとこの地下、かな?」

「そうか。 プレイヤーは死なないが、武器を失うコトはある。 手を拘束してしまえば、抵抗はおろか、ログアウトも出来なくなる」

「そりゃ心が折れるな。 絶望しちまうぜ」

「俺たちは本当に死ぬんだ。 比べれば、そんなの絶望とは言わない」

「だが絶望は役に立たない。 俺たちの世界の、戦時中みたいにな」

「遊びでやってる奴らに言って下さいよ」

 

 

地上の様子に、わいのわいのと会話が広がる地下。 だが重要なのはこれからどうするか、である。

 

やはりか、反撃しなければならない。 もたもたしてると、地下にもEDFが来てしまう。

 

そうなる前に地上に出て、敵の戦力を削り取らねば。

 

だが、と俺。 どうしても確認したいことがグレ男にある。 コレを聞いておかないと集中出来ないのだ。

 

 

「なあグレ男。 他にも聞きたいんだが」

「はい、なんでしょう?」

 

 

いつも通り、こんな状況でもヘラヘラしてるグレ男。 この状況で、彼は何を思っているのか。

 

今まで同じコトを繰り返して飽きていて、そこに新しいイベントが起きてワクワクしているような。

 

 

()()()()()()()()?」

 

 

聞いた刹那。

 

銃撃音が木霊した。

 

次には視界が揺らぎ、爆音が地下を乱反射して脳内をグシャグシャにし。

 

軍曹たちが吹き飛んで。 コンテナやビークルが爆発四散して。

 

レンが吹き飛ぶ俺を見て目を見開いていて、何かを叫んで。

 

次にはP90をグレ男に向けていた。

 

釣られて見やれば、口元を三日月みたいに曲げたグレ男の醜悪な顔。 手にはアンテナのついた起爆装置。

 

サングラスを投げ捨てると、その目は瞳孔が開いている。 狂気的だ。

 

考えなくても分かる。 コイツがやったんだ。

 

 

「隊長。 俺は死を繰り返し続けた……《再出撃》を()()()()()レンジャー隊員です」

 

 

爆音やメラメラと燃える、夕陽のように染まった地下。

 

地面を転がされて、周囲の音が聞き取れない。 それなのにグレ男の声だけはクリアに聞こえる。

 

けれど理解が出来ない。 その言葉が。

 

何を言ってるんだ? 《再出撃》を繰り返した?

 

 

「ウサギを料理したら、隊長の相手をしてやりますよ」

 

 

どうやらトンデモナイ事実が隠れているようだ。

 

グレ男は敵なのか。

 

それはEDFとは関係ないのか。

 

だが今はそれよりも。

 

 

「レン、逃げ……ろ…………ッ!」

 

 

愛娘を逃がしたい。

 

コイツに。 得体の知れないモノに。

 

グレ男に、ひとりで勝つのは無理だ!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「本物も偽物も関係ないッ! お前はこの場でコロスッ!!」

「本気で来いよ子兎。 お前が死んだら、次はだぁい好きな男が死ぬんだからなぁ!」




レンジャー(グレ男)戦へ。
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