GGDF(完結)   作:ハヤモ

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不定期更新中。


それぞれのEDF

 

EDFは名の通り、地球を守る組織だ。

 

その方針は地球を絶望が覆った時も、GGOの偽の大地を踏む今も変わらない。

力ある限り武器を持ち、敵を撃ち、守る為に闘い続ける。 今後も、きっとそうだ。

 

仲間の多くは物言わぬ屍となっても。

 

守るべき人類と殺し合う暗黒時代になっても。

 

愛する者も帰る場所も全てが灰に帰した今も。

 

人の声が響かない地球であっても。

 

この世界に、価値が無くても。

 

価値は人それぞれに感じるから、一概に無いとは言えないが、《オペレーション・オメガ》が戦略情報部により敢行され、作戦内容を知った本部の怒りの……あの叫びを聞いた隊員は何人いたのだろうか。

 

「誰もいない地球を守って何になる!?」と。

 

EDFは地球を守る組織だ。

だが地球を守る範疇はどこからどこまでか。 本部の言い回しだと人類いてこその地球といったところか。

台頭していた地球の生命体は人間だったし、そもそもEDFを組織したのは人間だ。 人間を、同種の人類の、在来種存続の為に地球を外来種から守るということか。

種を存続させるのは生物として正しい事なのかも知れない。 ならば、それは正義のひとつとも言える。 間違いではない。

 

では、敵の、人類を根絶やしにしようとしたプライマーは地球に害なす絶対の悪か?

 

戦略情報部の憶測に過ぎない話になるが、プライマーは地球を汚染する気はなかった。

 

人類を上回る文明を持ちながら、核のような大量破壊兵器で地球を滅ぼさない。

そして地球に投下された様々な侵略生物の体液は、土壌を浄化する作用がある。

 

戦争後期は、人類の痕跡を消すかの如く、コンクリや鉄筋を喰らう変異種が現れた。

あのままいけば、地球は緑に覆われ自然のあるべき姿を取り戻したのかも知れない。

 

よく人間による大気、土壌汚染等の地球へ与えるダメージは人類の問題のひとつであった。

他にも多種の生物を絶滅においやっている。

 

その問題を起こす人類は地球の敵だとする意見もある。 そうならば、本当のEDFとはプライマーであり、我々人類こそ地球にとって侵略者ではないか?

絶滅種や地球汚染、かつて人類が闊歩したのは淘汰された結果であるというならば、プライマーにより人類が絶滅に瀕したのも、その結果なのではないだろうか。 この件は戦略情報部も言っていたが。

 

他にも人類自体、プライマーにより生み出されたのでは、という考えもあるが……では何故、プライマーは人類を生み出したのだろう。

奴らが攻撃を始めた理由の考察で、人類が墜落した円盤を見つけて、その後の危機感からEDFを組織したら、刃向かってきたとしてプライマーが怒ったのではと言っていた気がする。

ならば、皮肉というか。 人類を守る為に組織したら、その結果、逆に追い詰められたのだから。 ストーム・ワン達の活躍により、人類は薄皮一枚で生き延びたものの、その爪痕は深過ぎる。

 

閑話休題。

 

つまり何が言いたいかというと、地球の守り方や考え方はひとつではない、正解と言い切れるものは無い、という事だ。

EDFは一枚岩ではない。 共通の敵がいなくなってからは尚更だ。

プライマーがやっていたとされる、クローン兵士をつくり、武装したドローンを飛ばし、GGOを基点に地球を、人類を再興しようという思考と、人類は滅ぶべきだったんだという思考、それらに反対した者に別れてしまった。

 

そして現在。 異界の地にて、意見の相違から互いに銃口を向けあい殺し合っているときた。

その異界の地となるGGOは仮想現実の、それもゲーム世界で、この世界の住民たるプレイヤーの皆は本当に死ぬ事なく遊戯で殺し合っているから皮肉である。

それが平和的かと問われれば、これまた人により意見の相違が出てくる事だろう。

やれ、教育に悪いとか仮想現実ではなく現実で野山を駆け回ってろとか。

だが言えることは、勝手に戦場にされたGGOからしたら異界のEDFは大多数一致で迷惑極まりない存在という事だ。 何人死のうが関係ない。 さっさと消えろ、である。

人類は結局、同種であっても意見の不一致や利益不利益から闘い続けてきた。 その関係は切っても切れないのかも知れない。

保守的な連中は新参を頭ごなしに否定し続け、逆に堅い旧式連中には敬意ではなく妬みと文句をぶつける人がいるように。

 

 

「人類再興のチャンスなんです。 邪魔しないで下さい」

「邪魔してんのはテメーだ。 人形遊びは地球でやりな」

 

 

グロッケン地下。

本部が設置されたと思えば、次の瞬間には鉛玉と強酸が飛び交う戦場と化したこの場所。

ここでも意見の相違により、現在進行形で殺し合っている人がいる。 加えて無情の人形がたくさん。

 

相手の希望は自身の絶望なのか。

 

互いに意見を押し付け合いつつ、EDFレンジャー隊員のひとり、グレ男こと龍馬榴弾兵は、倒した長テーブルから身を乗り出して再び榴弾ではなく……鉛玉をぶっ放す。

本当は名前の通り爆発物を使いたいのだが、周りに退避中の本部の人や情報部がいる以上、危険は犯せない。

そも、閉所や室内における爆発物の使用は危険である。 天井が崩れてきたり、誤爆の危険があったり、爆風に巻き込まれたり。

そんな理由で放たれた通常弾は強酸に衝突すると、飛翔中に跡形もなく溶けてしまった。 そのまま強酸がテーブル側面にぶつかると、何かを焼く音を立てながらテーブルを溶かしていく。

ついでに後方の味方に当たったのか。 右手……片腕が銃ごとなくなった子がいたが、構っている場合ではない。 本人は痛がる様子も慌てる事もなく、床に伏せて、それ以上の被弾を避けた。 合理的だが、無感情の人形もここまでくると不気味である。 薄ら寒さを感じて、鳥肌まで立ちそうだ。

 

 

「ホント、《アシッドガン》なんて何処で手に入れたんだよ!」

 

 

グレ男は思わず舌打ち。 弾幕に巻き込まれないように床を転がって別のテーブルに身を隠す。 テーブルなんて簡単に弾丸が抜けてくるが、見えない敵には狙いを定められない。 強酸も刹那的に防ぐ事は出来る。 隠れる意味はあるのだ。

人形同士の撃ち合いが続き、無数の弾丸が頭上を通過、交差していく。

止まらない重複する銃撃音と眩いばかりのマズルフラッシュに挟まれるばかりか、強酸がばら撒かれている戦場。 何かが焼ける音や『ナニカ』だったモノもある混沌の空間。 気分は最悪だ。

 

 

「せっかくEDFをとっちめるチャンスなんだ。 GGO連中の為にも、俺の為にもミスんなよ俺……!」

 

 

常人だったら生理的悪感で吐くところだが、グレ男は過去幾度となく絶望を味わってきた者だ。 そして潜り抜けた。

この戦場より酷い目に遭った事もある彼は、この程度でパニックにならない。 今は死ぬ事よりも自身の任務達成に緊張している。

達成とは誰かの殺害ではない。 目の前の小娘の生け捕りでもない。 EDFがGGOに侵攻する元凶を潰す事にある。

でなければ、再びGGOにEDFが現れるだろう。 そして世界が耐えられなくなった時、どういうわけかグレ男は戦前の地球へタイムスリップする。

誰の仕業なのか知らないが、EDFの悪行を止める事が《再出撃》停止だと考えている。

いい加減、悲鳴と鉛玉と爆発には辟易しているのだ。

悪戯でSAO生還者にチョッカイをかけたり、子兎を殺し続けて浮かべる顔を見て愉しむのも……もう、これで最後にしたい。

 

 

「おい! ドジなテメェ独りで、こんな人形遊びが出来るとは思えねぇ。 他にも仲間がいんだろ、少佐か? 言え!」

 

 

その為にグレ男は問う。 殺しに来ている相手は最早仲間ではなく不倶戴天の敵であるが、同じ人間として言葉が通じるなら聞ける内に聞いておきたい。 物言わぬ屍になってからでは遅い故に。

無視される可能性もあったが、幸いな事に返答がきた。 銃撃音で聴き取り難いが、なんとか聞こえる。

 

ところが、その内容は瞳孔が開きっぱなしの小娘の顔も合わさり、中々の狂い様。

 

 

「フフッ、少佐は私に、人類復興に反対したのです。 即ち人類に仇なす敵。 ええ、ですから……地球で監禁中です♪」

 

 

グレ男は耳を疑った。 コイツは何を言いやがったんだ、と。

事実ならば戦時はポンコツだったというのに、随分と狂気的に偉くなったものである。

メンタルが弱いんだか強いんだか。 いや、ネジがぶっ飛んだか。

 

 

「少佐以外に仲間がいそうだな。 知ってる事は全部吐いて貰うぞ」

「貴方が言う人形達が私の仲間ですよ」

「なら潰す。 そうすれば人形遊びは出来ないよな?」

 

 

鉛玉に混じり、緑の強酸が再び撒かれる。

飛翔するM3レイヴンの濃い弾幕を溶かしながら飛んでくる液体は、戦時のα型や女王を相手にしていた頃を思い出す。

そしてあの頃と同様に、後方の味方……人形達の部隊のアーマーに被弾して、溶かしていった。

ただやはりというか、彼女達は「酸だ」と叫ぶ事も慌てる事なくアーマーを脱ぎ棄てて、それ以上溶ける事を回避した。

アーマーの下は何も着けてないのか、シミひとつない綺麗な白い肌と形の良い双山が露呈。 ツン、と上向きのソレは情欲を誘うかに見えるのだが、ドンパチの緊張を上回る事はないし、無情の人形だと思うと興奮しない。

そのままラ◯ボーや某コマンドの映画の主人公みたいに、上半身裸でフルオートを再開。 細いラインで闘う姿はミスマッチで、加えて表情は相変わらずだった。

GGOじゃ《ハラスメントコード》に引っかかりそうな気がしてならないが、どちらにせよEDFにGGOのプログラムは通用しない。 逆はあれども。

 

 

「チッ! 酸があるだけでトーシロに押されるなんてな!」

 

 

そんな光景に悪態をつきながらも、減らされる戦力を尻目に、机から銃身のみを出して撃つブラインドファイヤを行うグレ男。

相手は散開して攻撃してきているので、撃ち方も合わさり命中率は劣悪だが、EDF製3桁越えのマガジンから送り込まれ吐き出される弾幕と絶望を乗り越えたレンジャー隊員はダテではない。

何人かを無力化するに至ると、グレ男は周囲を確認、本部に連絡をとる。 命懸けの戦場に身を置いているので、口調はべらんめえになってしまった。 いつもの事だが。

 

 

「おい! 皆退避したんかよ!?」

『ああ。 よくやった。 思う存分暴れてくれ!』

「了解!」

 

 

聞き終わるが早いか、グレ男はキタコレとばかりにPAー11を脇に置いて、腰の背後辺りからEDF製手榴弾《MG14J》を取り出した。

丸型で、少し大きめの形をしたソレ。 Jタイプは時限起爆式の事で、この型は起爆まで5秒かかる。 GGOのプラズマグレネードより強力かは不明だが、十分に危険な物に違いない。

 

 

「吹き飛べッ!」

 

 

グレ男は安全ピンを抜き、3秒待ってから、机の脇から床を滑らす様に転がした。 放り投げると弾幕に巻き込まれたり、強酸に当たる危険性からだ。

 

そして2秒。

 

ドゴォンッ!!

 

爆風と破片は周囲をズタズタに裂き、人形の一体がグレ男の隠れる机の上を飛んでいく。 少なくともひとりはやった。 遅れて天井からパラパラと塵が落ちて、白煙が足下に漂ってきた。

 

弾幕が止まった事を確認し、

 

 

「今ッ!」

 

 

脇のPAー11を鷲掴み、アンダーアシストをフルに使って机から飛び出して、

 

 

「オラァッ!」

 

 

走りながら前面にフルオート。 邪魔な人形共の露出する頭部に風穴を開けて倒していく。

EDF隊員の腕であれば、ほぼブレなく狙った場所へ全弾叩き込むのも不可能ではない。 榴弾系ばかり使うグレ男も、ルーキー時代に使い慣れた銃であるから、癖を理解している。

 

 

「あらら。 流石に前線で活躍した兵士は格が違う」

 

 

そんなサマに、相手は驚く事なく水鉄砲みたいなアシッドガンで強酸をばら撒いた。 普通なら近寄れない。 近寄ったら溶けてしまう。

 

 

「うおおおおっ!!」

 

 

だがグレ男は構わず全力疾走。 強酸に突っ込んで、小娘の元へ直行。 全身に酸を浴びて煙を上げつつ、鬼気迫る顔で来る彼に、小娘も思わず声を出してしまう。

 

 

「ヒッ!?」

「タッチダウウゥゥウンッ!」

 

 

PAー11を逆持ちにして、銃床を腹に勢い良く叩き込む。 痛恨の一撃だ。

ドゴォッ、と音が響き、一瞬身体がフワッと浮かぶ程であったが……一応加減はしている。 彼が本気出したら鍛えてない人は死んでしまう。

そのまま前のめりに倒れた彼女を支えてやり動かなくなるのを確認。 アシッドガンを取り上げて床に叩きつけ、本体側を踏みつけ破壊しておく。 ホント、どこで手に入れたのやら。

コレを皮切りに、指揮官を失ったからか、人形共は銃口を下げて戦闘を停止。 グレ男側の人形も銃口を下げて棒立ち。 スイッチを切られた機械のようにアッサリした動きだった。

 

 

「痛ッ……。 アーマーが溶けてらぁ」

 

 

そんな連中に構わず、溶けるアーマーを手慣れた手つきで外していくグレ男。 強化されたアーマーとはいえ、溶け続け煙を上げる服をいつまでも着ていたくない。 いつ肌に到達するかも分からないから。

煙を上げるアーマーを捨てれば、鍛えて割れた腹筋が露わになる。 そういう趣向が好きなら堪らない身体つき。

 

 

「よし……本部、目標を確保した」

『よくやった。 やはりか、首謀者だったらしい。 駐屯地での戦闘も、突然止まったそうだからな。 後はこちらで尋問する。 戦争の経緯やクローンの件、少佐の件含めて』

 

 

本部に無線で報告すると、返答をしてくれた。 そして尋問するという。 この展開は当たり前なのだろうが、グレ男としては今までにない展開だ。 ここは立ち会って、雑にでも良いから真相を知りたい。

今まで人知れず、隊長が現れるまで銃を握り続けたのだ。 それくらいの権利はあって欲しい。

 

 

「その尋問、立ち会わせてくれ。 俺は色々知りたいんだ」

「俺もだ。 だがその前にグレ男、お前はココで死んで貰う」

「え?」『むっ?』

 

 

後方の闇より第三者の声が聞こえ、反射的に銃口を闇へと向ける。

静かになった地下に、カツン、カツンと足音が不気味に響き渡り、それは段々と大きくなる。

やがて、姿形が見えてきた。 ソイツはヘルメットに通信ユニットを背負い、手にはリムペットガンを持っていた。 砲口はこちらに向いている。

 

 

「隊長……!」

 

 

そう。 現れたのはストーム・ワン。 我らが人類の英雄にして隊長の、あー、少しお馬鹿な男。

だが、何故彼がココに現れたのか。 前線で指揮を執っていた筈なのだが。

まさか、隊長が黒幕だとでも言うのか!?

 

とまあ、今までにない展開から先が読めないグレ男は、この手にありそうなモノとして『真の黒幕登場』を予想していた。

信用する、期待していた人物が実は敵でしたパターンはあるある展開だし、たぶんコレ、そうだろうと勝手に自己解釈していく。

 

実際は本部との連絡が途絶えた心配と、グレ男が絡んでいるという確信にも似たナニかでグロッケン地下にやってきたのだ。 前線はレン達プレイヤーと駆け付けたストームチームに任せている。

そして物騒な発言内容はというと、グレ男に半殺しにされたのと、娘を拉致されたのと、今までの迷惑行動から全ての元凶はグレ男なんじゃね、という容疑や目の前に広がる惨劇と裸のクローン1体、気絶するオペ子に、元凶であろう男は上半身ムキムキの裸。 情事手前の危険な空間に見える。

 

 

「キサマァ……女性の身を剥ぎ、その上で自身はその姿! そして本部を攻撃、腕には気を失ったオペレーター! 娘を拉致し、俺や軍曹達を半殺しにし、戦争まで起こしやがって! もはや罪を償う事は出来んレベルだぞ!!」

 

 

つまり、互いに勘違いしていた。

 

それに気付いた本部は慌てて仲裁に入る。 それでドンパチが始まっては困るのだ。

 

 

『両者待て! グレ男は敵では「上等だぞ駄犬が! 俺がどんな苦労したかも知らねぇで性犯罪者扱いしやがって!」おい!?』

 

 

だが性犯罪者扱いを受けたグレ男は我慢出来ずキレてしまった。

そのままオペ子を脇に放り投げ、雄叫びと共に怒りのフルオートを開始。 強烈なマズルフラッシュが再び巻き起こる。

撃たれたワンちゃんは、素早く電磁トーチカで壁を展開。 弾丸を防ぐ。

 

 

「キサマとは学生時代からの腐れ縁だったが、ココで決着をつけてやる!」

「来いよヒーロー! ブッ殺してやる!」

 

 

もう互いにボルテージは最高潮。 歯止めがかからない展開となってしまった。

こうなっては、どうする事も出来ない。 生き延びた人形達は脇に退いて、ストリートファイトでも見る観客みたいにジッと2人の戦闘を眺めるのみ。 人形は命令を与えないと、自発的には動いてくれないのだ。 期待してはならない。

だが本部は別の手を使うのみだ。 駐屯地の戦闘が止まったなら、そっちの戦力を持ってきて事態の収拾を図ろう。 幸い、効果的な鎮圧剤の情報を知っている。

 

 

『……レンとフカとかいうプレイヤー。 それとストームチーム、聞こえるか? 至急、グロッケン地下に行って欲しい。 ストーム・ワンが勘違いから暴れ始めたので、止めて欲しいのだが』

『えっ!? すみません、ウチのワンちゃんがまた迷惑を……!』

『また? GGOでも勘違いから迷惑をかけていたのか』

『みたいだねー。 でもパパの暴走を止めるのは自信ないなぁ』

『地下空間だ。 要請は出来ない。 それなのに、昔は無線機を持ち込んでポカしたらしいが』

 

 

英雄の知りたくない情報が出てきて、どっと疲れが増した。 だが今はそれどころではない。

 

兎に角、本部は愛娘とストームチームを地下へ送り込む。

その間、2人の戦闘は続く事になるのだが。

 

 

『……それと、誰か服か毛布を持って行ってやれ』

『………………?』

 

 

それ以外の問題ごとも起きそうな予感がした本部は取り敢えず、無線越しに付け加えておく。

鎮圧剤も時には害となるのを、本部は知っていたからだ。

 


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