レンとピトが仲良くなり1ヶ月。
時間が合えば、二人は怪物退治に繰り出すようになった。
俺としては大人しく、町にいて欲しいのだが………平和の為か。
行き勇んで出掛ける彼女達を止める気が起きない。
民間人時代の、俺を見ている様だ。
あの時は228基地から脱出したり、安全な場所を求めるのに必死だったのもあるが。
違う点は安全な場所に留まらず、自ら戦地へ赴いているところ。
そして武器が豊富で、使い方も知っている点か。
特に後者は良い。 EDFのアサルト・ライフル《PAー11》を渡されて、付け焼刃的に簡単に撃方を教わって、即実戦よりは。
俺の場合《リムペットガン》だったが、似た様なモノだろう。
起爆動作が有るか無いかだ。
「ところで、今日の武器は何だ?」
「へーん、《L86A2》だよ。 イギリス軍のアサルト・ライフルL85の、銃身を強化して長くした分隊支援火器バージョン。
普通のマガジンしか使えなくてさ、じゃあライフルとどこが違うんだってツッコミどころ満載の1丁なんだけど、命中率は悪くないよ。
重いけど結構好き」
ふむ。 ストーク系の《T4ストーク》辺りと思ったが、違うのだろうか。 だが、ストークの開発場所は欧州だったのかも知れない。
レンはあまり興味がないのか「は、はあ」と困惑中。
なに、無理して覚えるモノではないからな。
「サイドアームの拳銃は、《コルト・ダブルイーグル》! コルト社がガバメントをベースに出したダブルアクションオートなんだけど、格好も性能も悪くて不人気銃なんだ!
いやー、GGOにあるって聞いたときは探したよ! コレクターが持ってるのを見つけて、クレジット積んで買い取った!」
イーグルと言うからには、狙撃銃に出来るのだろうか。 拳銃だし無理か。
EDFの狙撃銃《イーグル》を思い出してのことだ。 俺には縁が無かったが。
しかし、不人気銃と言いつつ嬉しそうに語るなぁ。 そういうのが好きなのか。
「さあ! 今度はワンちゃんの装備を紹介して! さあ、さあ!」
「ワンちゃんって………まあ良い」
仕方ない。 親睦を深めるべく、武器の見せ合いといこうじゃないか。
そう思い、先ずはお馴染み《リムペットガン》を見せてみる。
「コレはよく使う銃だな。 色々種類はあるが、基本は吸着爆弾を射出して、起爆用の引き金を引くと、ボカン、だ」
「いやー、知らない銃だね! でもさ、ソレ味方に着いたらヤバくない?」
「問題ない。 リロードすれば、射出した爆弾は消える仕組みだ」
「どうなってるの………」
今度はピトも困惑する時間になった。
俺も詳しい仕組みは知らない。 最早、そういうものだとして受け入れている。
「他の銃だと………この、《サプレスガン》だ」
「妙な形だねぇ」
「護身用の武器でな、散弾銃の様なものだ。 目の前に敵がいる際に使用する。 装弾数もなく、射程も殆どない」
この銃を使う機会が二度と無い事を願うばかりだ。 使うときとは、他にどうしようもないときなのだから。
「散弾銃といえば。 《レミントンM870》は良いと思うんだ! ポンプアクションのショットガンといえば、ベタだけどコレだね!」
《スローター》とかだろうか。 詳しくないから分からないが。
「ショットガンか。 怪物退治には持ってこいの銃だな。
使っている部隊を見た事はあるが、良いと思う」
「射程や連射、装填の欠点はあるけどさー、良いじゃん!? ポンプアクション!」
怪物の大群相手なら、セミオートが良いと思うが。
ソレを言うのは無粋だろうから、言わないコトにする。
「コレを見て! 《M16》だよ! 初期モデルだよ!」
「とても見覚えがある様な、そんな銃だな」
《PAー11》に似ている。
アレはレンジャーの多くが使用していたが、あまりに強力な怪物や大群相手には少し火力不足が否めなかった。
「あっ、ゴメンねレンちゃん! 色々言って、困惑するよね!」
「大丈夫。 聞いてても、そう………楽しいから」
「すまない、レン」
「ホントだよ………」
あれ。 俺の時だけ対応違くない? レン、オコなの?
拗ねて目を合わせてくれないんだが。
「あっ、ふーん?」
「な、なに? ピトさん」
「いや、べっつにー?」
何だと言うのだ。 女にしか分からない何かでもあるのか。
《ウィングダイバー》が女性のみで構成されている様に、きっと何かあるのだろう。
「ところでレンちゃん。 《対物ライフル》って知ってる?」
「唐突だね………えと、名前を聞いたことがある、程度しか」
「じゃあおねーさんが説明しよう! 対物ライフル、英語だとアンチ・マテリアル・ライフルってのは、まあ、簡単に言うと、飛び抜けてデカイ弾を使う銃」
可哀想だと思ってか、レンに話し始めるピト。 今度は俺が放置を喰らう番か。
まあ、静かに聞いていようか。
「想像もつかないけど、弾が大きいと、威力も大きいの?」
「とーぜん。 5.56ミリ弾が400メートルくらい、7.62ミリ弾は800メートルくらいまでしか狙えないけど、12.7ミリになると余裕で1000メートル以上まで狙えるよ」
弾の種類は分からんが、対物ライフルというと《KFF50》がそうだろうか。
1000メートル以上を狙うというと、《ライサンダー》や《イーグル》か。
「せんめーとる? 1キロ?」
「とんでもない長距離でしょ? もちろん、その分だけ銃も大きくて重くなるけどね! 要求される筋力値は凄いことになるよ」
レンジャーは凄いんだな、と改めて思う。
だってあのデカイ銃を地面に置く訳でもなく、空中でドッカンドッカン撃ってるから。
緊急回避のローリングで、ガードレールや街頭等を吹き飛ばしているし。
俺にレンジャーは無理だな。
「わたしにはムリだろうなあ……」
「まあ、銃によってはレンちゃんの身長くらいはあるかな」
「えへへ」
一瞬、レンジャーに抱えられるレンを想像してしまい、吹き出しかけた。
そんなコトがバレたらヤバイので、何とか堪えたが。 ヘルメットを着用しているとはいえ、分からないからな。
「この手の大型ライフルは、第二次世界大戦までは《対戦車ライフル》って呼ばれていたんだけど、戦車が頑丈になってとても倒せなくなったから、名前が変わったの。
長距離狙撃とか、敵の軍事物資を攻撃できる銃として使われているのよ。
大きいとはいえ、人間一人で運用できるから便利なの」
そうなのか。 だが戦車も遠くから撃ちまくれば壊せそうだが。 《ブラッカー》とか。
《タイタン》は………見た目が見た目だからな。 分からん。
「ふーん。 大きくて、遠くまで狙える銃、か。 じゃあ、持っていると、ゲーム内で最強になれる?」
おい、レン。 何故そこで俺を見る。 ピトもだ。 俺を的にする気か?
「いや、全然」
「ありゃ?」
「なにせデカイし重いしで、筋力値の要求も相当高いらしいよ。 超遠距離狙撃だとそれなりの技術も必要だし。
まー、よほどの好き者じゃないと実戦じゃ使わないんじゃない?」
「それでもピトさんは持ちたいんだ……」
怪物の大群相手には不利だろうしな。
狙撃部隊のブルージャケットを思い出す。
戦場で狙撃兵ほど恐ろしいモノはない、的なコトを言っていた気がするが、数の暴力には勝てなかった。
「このクラスの銃、超が三つつくほどのレア銃になるんだけど……実はね、一人持っているキャラクターを知っているんだ。
しかも女プレイヤーでね」
「へえ! その銃はさておき、女性プレイヤーってのが驚き」
「シノンっていうんだけど、知らない? 水色の髪の」
「残念ながら」
水色……狙撃。 その人、ブルージャケットだったりしないだろうか。
で、あれば。 どこかの戦場で一緒になっていたりしないだろうか。
「………捜して見つけて言ってみたの。 こんにちは! 《へカートⅡ》売って! って」
「ぴとさーん、それで本当に買えると思ったの……?」
「ダメだった! 身持ち堅いわあの子!」
「…………」
まあ、なんだ。
色々な武器や人がいる、というコトだ。
「会話してるとこ悪いが、お客さんだ」
「あっ、プレイヤー達が来てる!」
「武装は《AKー74u》かな?」
それら武器や人が………成る可く俺の敵にならないコトを願うばかりだ。
次回、戦闘&スクワッド・ジャムの話。