[未完]名探偵コナンX相棒 首都クライシス 探偵たちの最期の決断 作:npd writer
自分は雨ほど嫌いな天気はありません
コナンが階段を駆け下りて外に出たときには、小五郎を乗せた公安の車はすでに走り出していた。歩道に立ち止まり、荒い息をしながら車を見送る。
すると背後でカランコロンとドアのベルの音がした。振り返ると、事務所下のポアロからエプロン姿の安室が出てきて、持っていたほうきとちりとりで店の前の掃除を始めた。その右頬には右京も見つけた大きな絆創膏が貼られている。
コナンは安室に近づきながらズボンの後ろポケットからスマホを取り出すと、さっき撮った風見の写真を見せた。
「公安の刑事さんだよね?」
「さぁ、知らないけど」
安室は横目で写真をチラリと見ると、背を向けるようにして掃除を続けた。
「ケガしてるね、風見刑事も安室さんも。つまり安室さんもいたんだよね、爆発現場に」
「なんの話かわからないな」
「サミット会場の下見をしてたんでしょ?」
コナンの言葉に、安室の持つほうきの動きが一瞬止まった。が、すぐにちりとりでゴミを掃き入れて、ドアに向かう。
「きっとそのとき、テロの可能性を察知した。だけど今のままじゃ爆発を事故で処理されてしまう。そこで容疑者をでっち上げた。違う!?」
コナンはドアの前で立ち上がった安室の背中に自分の推理をぶつけた。
「安室さんや彼みたいな警察官なら、パソコンに細工したり現場に指紋を残すことだって可能だよね?」
「警察はね、証拠のない話には付き合わないんだよ」
「なんでこんなことをするんだ!」
「…僕には命を代えても守らなくてはならないものがあるからさ」
安室は背を向けたままそう言うと、ドアを開けて店の中に入っていった。カランコロンと音を立ててドアが閉まる。
その背後から再び階段を下りる音が聞こえた。コナンが蘭と思い振り返るとそこには右京と冠城がおり、コナンのいる方へと足を進めた。
「どうやら、我々は先手を打たれたようですねぇ」
「…刑事さんたちも腹の内では小五郎のおじさんを犯人だと思ってるの?」
柔らかな物腰で話しかける右京に対して素っ気なく苛立った態度を向けてしまったことにコナンは後悔したが、それでも素っ気ない態度をしなければこの苛立ちを誰にぶつければいいのかコナン自身も見当がつかないほどこの時は動揺していた。
「僕たちもコナンくんと同じように小五郎さんが犯人だとは思っていない。それは本当だ」
冠城の言葉に少し平静を取り戻したコナンは改めて右京と冠城に聞いた。
「さっき、公安の刑事さんが言っていたけど特命係って何なの?『人材の墓場』なんて言われてるし、捜査権限もないってこともあの刑事さんは言ってた。杉下さんは以前、僕と会った時、特命係は何でもする係って言っていたけど本当はどんな係なの?」
コナンは純粋な疑問を右京に投げかけた。コナンは警察によく出入りしている人間であるが特命係なる係について今日まで知らなかったのだ。一方、コナンと会話する右京に疑問を抱いたのか冠城はこっそりと耳打ちをしてコナンのことを右京に聞いた。
(右京さん。前にこの子と会ったことあるんですか?それに右京さんの名前も…)
(えぇ。以前、ショッピングモールで騒動が起きた時に知り合いましてね。君もチンさんが搬送された病院で会っているはずですが?)
右京に言われ、記憶を辿る冠城は1人の少年にたどり着いた。自身の保護者があの騒動に巻き込まれたので右京と共に病院に来ていた子供の1人と今、目の前にいる少年が同一人物であることに気がついた。
「そうですねぇ。君の言うとおり頼まれれば何でもするのが特命係です。それ以外は説明のしようがありませんねぇ」
納得している冠城の横では右京がコナンに特命係について教えていた。右京は今までの会話、行動からコナンが只者ではないと感じていたのだった。一方のコナンも右京が高木や目暮といった刑事とは違う異色な人物であるといことを感じており、ある一定の興味がわいていた。
「それよりも君は大丈夫ですか?毛利さんの事もありますし、君はこれから何かと不便になりますが」
「うん。僕は心配ないよ、蘭姉ちゃんと一緒にこれから妃先生の法律事務所に行ってくるんだ」
「妃先生っていうとあの『法曹界の女王』って呼ばれてる妃英理弁護士かな?確か、旦那さんは毛利小五郎さんで今は別居中じゃなかったっけ?」
冠城が確認を取るとコナンは静かに頷いた。何故、冠城が英理のことを知っているのか、それは冠城が法務省時代に辣腕を振るっており何度も訴訟に打ち勝ってきた凄腕弁護士がいると本省でも有名だったからだった。そしてその人物こそ妃英理だったのだった。
「とにかく、今は情報が状況を左右します。コナン君も何か気になることがあればいつでも連絡を」
右京と冠城は名刺をコナンに渡すと、車をとりに駐車場へと向かっていった。1人残されたコナンは2人の名刺を眺めるとそれをポケットにしまい、蘭と園子が残る探偵事務所に戻っていった。
その夜。蘭は小五郎の弁護を頼むために、母親の英理が構える妃法律事務所を訪れた。
「どうして!?なんでお父さんの弁護をしてくれないの!?」
「まさかおじさまが本当に爆破したと思ってるんですか!?」
弁護を断られた蘭と園子は納得できず、英理のデスクに詰め寄った。
「あの人にそんなことできない」
「だったらどうしてーー」
「弁護士はね、身内の弁護はしないの」
英理は椅子から立ち上がると、ビル群が一望できる大きな窓に近づいた。
「客観性がないと裁判官に判断される可能性が高いからよ。つまり、私があの人の弁護を引き受けると、却って不利に働くかもしれないのよ」
「そんな…」
肩を落とす英理は「大丈夫」と微笑んだ。
「いい弁護士をすぐに見つけるから。それにしても今回の事件はあまりにも展開が早すぎるわね」
「展開が早いって…。どういうこと?お母さん」
蘭が疑問に思うと、英理はテレビのリモコンを操作すると政府の記者会見が行われる様子を映し出した。
首相官邸の1階にある記者会見室には多数の記者やカメラが詰めかけ、政府の責任者の到着を待っていた。やがて赤いカーテンが下された会見室に折口を先頭に内閣官房副長官、内閣総理大臣補佐官、内閣官房長官が入室し、そして最後に佐藤副総理大臣が到着すると、佐藤はステージに立ち一礼し会見を始めた。
「公安っていうのはね、テロリストや国家転覆を目論む組織を捜査しているの。オウム真理教や警視庁篭城事件のような場合が多いけど。だけど今回の事件は事件の発生から犯人の逮捕までが早すぎると私は思っているわ。しかも、今回の犯人は国際的犯罪組織『バーズ』と繋がっているかもしれないのよ。あの人がそんな大それた事は出来ないし、何よりもしもあの人が本当に『バーズ』と繋がっていたとしてももっと慎重に捜査しボロを出したところを一気に攻め込む。これが彼らの手順だからこんな事、滅多に無いのに…」
そう言いながらテレビを見つめる英理の瞳には、小五郎に対する不安と焦りが映っていた。そんな英理を気遣う様子もなしに会見は続いている。
『…日本政府は今回の犯行グループをテロリストと断定しました。人質をとって国民全体を脅迫する。このような行為は断じて許されるべきものではありません。我々は、国際社会と足並みを揃え卑劣なテロに対しては決然とした姿勢で、断固戦って参ります』
(もしかして、公安が逮捕を急いだのって警察上層部や政府からの圧力だったのかしら…?)
英理は自分の想像の中で、大胆な自論を展開するがすぐにそんな事はないとその考えを頭の外へ出してしまった。この自論が良い的を得ているとは思わずに。
右京さんとコナン君がチェスの勝負をしたらどっちが勝つのでしょうかね?
純粋な疑問を思いついたのでここに書いてみました。
皆さんはどう思いますか?自分は右京さんの方が上手だと思います