[未完]名探偵コナンX相棒 首都クライシス 探偵たちの最期の決断   作:npd writer

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ようやく、一段落したので久しぶりの投稿です。

お待たせしました


27 攻める者と守る者

スケボーを抱えたコナンが妃法律事務所に戻ってくると、事務所の前に若い女性が佇んでいた。

 

(誰だ?)

 

コナンは女性のジャケットの襟に弁護士記章がついているのに気づいた。

事務所の前に立っていたその女性弁護士は、橘境子と名乗った。

少しはねたショートカットの髪に丸メガネをかけた境子は、地味なパンツスーツといいどことなく野暮ったい印象を受ける。

 

「え?今なんと」

 

自分のデスクで話を聞いていた英理は、驚いたように顔を上げた。

 

「ですから、私、橘境子に『眠りの小五郎』を弁護させてください!」

 

境子はそう言って元気よくお辞儀した。そしてコナンと蘭がぽかんと見つめる中、鞄から資料を取り出して英理の前に置いた。

 

「私がこれまで扱った事件です」

 

それは数ページのコピーをクリップで留めた三、四部ほどの物で、英理はササっとデスクに広げて見た。

 

「『二条院大学過激派事件』『経産省スパイ事件』…公安事件が多いのねぇ」

 

「あ、じゃあ今回の事件にピッタリーー」

 

蘭が言い終わらないうちに、コナンがたずねた。

 

「それで、お姉さんの裁判の勝敗は?」

 

「え?ボク、難しい言葉知ってるのね」

 

驚いて振り返った境子は、コナンの目線に合わせるように腰を落とした。

 

「全部負けてるの」

 

「え…」

 

ドン引きするコナンのそばで、蘭が「は?」と固まる。

 

「あ…でも、公安事件は難しいのよね」

 

資料を読んでいた英理がフォローすると、境子は「はい」と立ち上がった。

 

「検察が起訴した事件の勝率は、ご存知のとおり九割以上」

 

「それが公安事件だともっと上がる」

 

「つまり勝てるわけないんです」

 

境子はケロっとした顔で言うと、スマホを取り出して見せた。

 

「でも、私は『ケー弁』なので…」

 

「ケーベン?」

 

蘭が訊き返すと、英理が代わりに説明した。

 

「事務所を持たず携帯電話で仕事を取る、フリーの弁護士のことよ」

 

「だから不利な裁判でもやらないと!」

と言う、境子を、蘭は怪訝そうに見つめた。

 

「…それでお父さんの裁判を?」

 

「弁護士を探しているんですよね?弁護士会で聞きました。やらせてください!」

 

英理に向き直った境子は真剣な顔つきだった。

 

「そうねぇ…」

 

「ちょ、ちょっとお待ちください!」

 

蘭はそう言って英理を部屋の奥に引っ張った。

 

 

「ダメよ、お母さん!あの弁護士、全然勝つ気ない」

 

蘭に小声で言われた英理は、コナンに話しかけている境子をチラリと振り返った。

 

「でも見るからにダメ弁護士だから、検察側がなめてくれるかも…」

 

「そんなんじゃ勝てないよ!やっぱ国選弁護人に頼んだ方がーー」

 

「それだと私が出しゃばれない」

 

「え?」

 

「でもあの人なら私が口を出せる」

 

英理に真面目な顔で言われた蘭は、改めて境子を見た。

 

「…だとしても、不安しかないよ」

 

何やらコナンと話が弾んでる境子を見て、蘭は不満そうにつぶやいた。

 

 

東京地方検察庁・検事室。

日下部誠検事の部屋には西側に窓があり、ブラインドから柔らかな西日が差し込んでいた。

髪をオールバックにしてネクタイをきっちり締めた日下部は、窓際に置いたサボテンに霧吹きで水を与えると、ゆっくりと自分のデスクを振り返った。右側のデスクには記録係、さらに自分のデスクの前には警察から連れてこられた毛利小五郎が座っている。

 

「警察では否認を続けたそうですね」

 

「当然だろ。俺は何もやっちゃいねぇ」

 

小五郎がぶっきらぼうに言うと、記録係はキーボードで文字を打ち込んでいった。デスクについた日下部が証拠資料のファイルを持ち上げて見せる。

 

「しかし、あなたを犯人とする証拠がこんなにありますが?」

 

「それがわからねぇんだ、検事さん!誰かが俺をはめたとしか思えねぇ!」

 

手元の資料を見ていた日下部は、ゆっくりと視線を小五郎に移した。

 

 

小五郎の調書を終えた日下部は取調室を出て、検察庁内を歩いていた。自動販売機でコーヒー買っていると後ろから日下部の肩を叩いて、声をかける者がいた。

 

「やぁ、お前が今回の事件を担当することになるとはな」

 

「今回の事件は公安が担当する案件です。検事ではないあなたは知らないのかもしれませんね、兄さん。いや、日下部彌彦法務省事務次官」

 

日下部彌彦は法務省キャリア官僚だが、検事ではない。法務省の事務次官は、通常は検事の資格を要するポストだが、兄である日下部彌彦は、前任者の急死により例外的にこの職についていた、よって波風気にせず、自らの信念で行動しておりその性格は部下だった冠城も影響を受けていた。

 

「しかしこの日本で衆人環視の下、白昼堂々とテロを決行するとは…。犯人は、想像以上の策略家なのか、それとも愚か者なのか…」

 

「それは、毛利小五郎のことですか?」

 

「彼の下には有能な探偵が多くいる。『東の高校生探偵 工藤新一』、『西の高校生探偵 服部平次』、『推理クイーン 鈴木園子』、彼らと張り合うだけの推理力を持つ彼、しかも元警察官と聞く。そんな彼が爆破テロの実行犯になると思うか?」

 

彌彦は遠い目をしながら冷たい缶コーヒーを喉に流し込んだ。

 

「ひょっとして、彼の送検後を急いでいるのは別のところからの圧力か?私は君のように検事ではないから警視庁、警察庁、検察庁の関係については君ほど詳しくはない。だが、これだけの早いペースだ。何か裏があるのではないかと思ったんだ」

 

「毛利小五郎が犯人だという証拠がいくつも挙がっています。必要でしたら資料を事務次官室に送りますが?」

 

「いや、いい。この案件は君の領分だ。外野が騒いでどうこうなる問題ではないからな」

 

やがて缶コーヒーをリサイクルボックスに入れて、彌彦は去って行った。その姿を誠はずっと見ていた。

 




これからは前よりは早く投稿できるように頑張りたいと思います。

今回はこの物語の主要人物がいくつか出てきました。今後に注目してもらいたいと思います
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