[未完]名探偵コナンX相棒 首都クライシス 探偵たちの最期の決断   作:npd writer

38 / 75
夏休みがもう間も無く、終わってしまいますがいかがでしょう。

宿題が終わってない人もまだまだ間に合います。頑張りましょう!


37 暗い事実

その頃。コナンは警視庁そばの公園にいた。橋の近くにある休憩所の柱に寄りかかり、犯人追跡メガネに搭載された盗聴器で捜査会議を聞いていた。

 

(招集?)

 

盗聴器から聞こえてきた風見の言葉に首をかしげると、

 

「コナンくん。こんなところで何をしているのでしょう?」

 

突然、背後から声がした。驚いて振り向くと、柱の向こうから歩いてくる右京と冠城が見えた。

 

「な、何って…。小五郎のおじさんの事で裁判所に来てたから…そのついでで…」

 

コナンはその場しのぎの理由を作って二人に言ったが、彼らは納得する素振りこそ見せたものの、本心では更に疑念が深まったような眼差しをコナンに向けた。

 

「なるほど。ところでそのメガネ、一度見せてもらってもよろしいでしょうかねぇ?ある事について気になっている事があるものですから」

 

「あるものって?」

 

コナンが首をかしげると、右京の隣に立つ冠城が説明した。

 

「コナンくんは知らないかもしれないけど、実は警視庁の大会議室が盗聴された事があってね。その教訓として、捜査本部の情報管理を徹底していたはずなんだけど、どうやら今回の事件で捜査情報が漏れている可能性があるんだ。調べてみると君の身につけているものに盗聴器の類がある可能性があるから、今から調べさせてもらいたいんだよ」

 

「ぼ、ぼくのメガネは普通のものだよ。それに盗聴器は普通大きいから分かりやすいって、テレビでやっていたからそれならぼくのメガネを調べる必要はないと思うけど…」

 

コナンが冷や汗をかきながらも必死に誤魔化しているのは、それまで幾度か他人に自分の正体がバレそうになった時もこうして誤魔化すことでどうにか切り抜けた自信があったからだった。

しかし、演じる子供の演技にも右京の眼差しは変わらなかった。

 

「今の技術ではコンセントの中にさえ、盗聴器を隠すことは可能です。それに君の言動に注目すると、どうも一般の小学一年生にしては言動が大人びている気がするんですよ。細かい事が気になってしまう、僕の悪い癖」

 

コナンと右京、冠城が対峙しているところへまた新たな人物がやってきた。

 

「毛利小五郎のことになると、君は一生懸命だね。それとも、蘭姉ちゃんのためかな?」

 

ズボンのポケットに両手を突っ込んだ安室は挑発的な笑みを浮かべ、コナンはクッと噛み締めながらにらみつけた。

 

そのときーー植え込みの方からガサッと音がした。

 

「構わない、出てこい」

 

安室が声をかけると、風見が出てきた。

 

「なぜ、私を呼んだんです?降谷さん。それにそちらは…まさか…」

 

風見に無言で近づいた安室は、いきなり風見の腕をつかんでねじり上げた。風見が思わずその場にひざをつく。すると、安室は風見の袖裏から盗聴発信機を外してみせた。コナンが仕掛けた盗聴発信機がバレていたのだ。

 

「おや、これで会うのは三度目ですねぇ。やはり、君も我々と同じ警察官でしたか。確か、お名前を聞いてませんでしたねぇ」

 

「風見、第三者がいる前で名前を晒すとは…。これでよく公安が務まるな」

 

「す…すみません…」

 

安室は風見の目の前で盗聴発信機を指で押しつぶした。そして風見の手を離して歩き出す。去る際、安室は右京と冠城に自ら名前を明かした。

 

「僕の名前は、降谷。この風見と同じ公安に所属する者です。また合間見えるといいですね、和製シャローック・ホームズこと杉下右京警部、法務省から異例の異動をした冠城亘巡査」

 

そう言った安室、いや降谷は公園から出て行こうとした。

彼らのやりとりを見ていたコナンがハッと我に返る。

 

「待って!」

 

柱に立てかけていたスケボーを取り、降谷を追いかけた。右京と冠城、それに風見も後を追う。

 

橋の真ん中で立ち止まり、周囲を見回したが、降谷の姿はどこにもなかった。

 

「盗聴器は君が仕掛けたのか?」

 

橋を渡りかけた風見はコナンにたずねたものの、すぐに「いや、まさか」と打ち消した。

 

「こんな子供が…」

 

ありえない、と自嘲気味にかぶりを振る風見を、コナンがまっすぐ見つめる。

 

「降谷さんが恐らく所属するのは、全国の公安警察を操る警察庁警備局警備企画課、通称『ゼロ』でしょうねぇ」

 

「そんな立場の人間に接触できるのは、公安警察の中でも限られた刑事だけ」

 

「その刑事さんが風見さんだったんだね」

 

風が吹き、四人の間を幾つもの葉が舞う。目を見開いた風見は、緊張気味に一歩退いた。

 

「『警視庁の人材の墓場』と称される特命係。そして…君は一体、何者だ」

 

子供に言う言葉ではないーー頭では分かってわかっていたが、風見は訊かずにはいられなかった。

 

「江戸川コナン。探偵さ」

 

コナンは大人びた瞳を風見に向けた。

 

スケボーを抱えて立つその姿は、どう見てもただの小学生なのに、その言葉は妙に説得力があった。

 

どんよりとした曇り空からぽつぽつと雨が降ってきた。川の水面に無数の波紋が広がっていく。コナンが進もうとすると、手すりに寄りかかった風見が口を開いた。

 

「君の言う、安室という男は…人殺しだ」

 

「…!?」

 

「降谷さんは、過去に殺人を犯した事があるのですか?」

 

コナンや右京は立ち止まって振り返った。

 

「数年前、拘置所で取り調べ相手を自殺に追い込んだ」

 

「自殺って…」

 

風見はしばらく無言で、雨粒が跳ねる水面を見つめていた。

 

「…悪い。子供に言うことじゃなかった。だが杉下警部ならともかく、なぜか君にはこんな話ができてしまう。変わった子だ」

 

そう言って風見は強くなった雨の中を歩いていった。その後ろ姿をしばらく見つめていたコナンも歩こうとした時、右京は声をかけた。

 

「コナンくん、君の能力を買って一つ提案があるのですが、これから警察学校に行ってみませんか?」

 

「警察学校?」

 

コナンが訊きかえすと、傘をさした冠城が答えた。

 

「実は右京さんの知り合いに、昔刑事部で鑑識課にいて今は警察学校の教官を務めている人がいるんだ。その人に『レイブン』の鍵となる音声データの解析をお願いしていたんだけど、その解析が終わったからこれから右京さんと俺、そしてチンさんとで向かうんだ。これから来るかい?」

 

コナンは間髪いれずに「うん」と答えた。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。