[未完]名探偵コナンX相棒 首都クライシス 探偵たちの最期の決断 作:npd writer
右京と冠城、そしてコナンの3人は公園を出た後、チンが待つホテルのエントランスへ冠城の自家用車で向かっていた。
その車中で右京が語る。
「『意外な着眼点で事件解決の糸口を見つけ推理のバックアップをする、眠りの小五郎の知恵袋』。警察庁ではそう噂されていますが、やはり君を一小学生と捉えるのはいささか不釣合いではないですかねぇ」
「えぇ。まるであの高校生探偵、工藤新一にそっくりですよ」
「だからそれは、新一兄ちゃんの真似をしてるから…その癖で…」
コナンの正体に疑問を抱く右京と冠城、必死に隠そうとするコナン。本来であるならばコナンの誤魔化しが効くのだが、今回は相手が相手なのでコナンに対する追求は厳しいものがあった。
「それよりもこれから迎えに行くチンさんって確か、ショッピングモールの騒動の時、阿笠博士と同じ病室に運ばれたあの白髪のおじいさんの事?」
「えぇ、エドワード・チンさんは国際刑事警察機構、通称『ICPO』の専務理事を務める一方、過去にはジェイ・ノリス氏と同じ連邦捜査局『FBI』の情報部の捜査官の経歴を持つ中国系アメリカ人です」
「警視庁の広報課長である社警視正とは、彼女が内閣情報調査室勤務時代の知人でこれから迎えに行くのは、彼と警察学校に行くためなんだよ」
助手席に座った右京と運転している冠城は、交互にコナンに説明する。
コナンの脳裏には警視庁の会見の際に現れる、長髪の黒髪を持つ美人女性キャリアが映っていた。
そして、チンをホテル前のロータリーで拾った3人はそのまま警察学校に向かった。
コナンと同じ後部座席に座っていたチンはコナンを見て「そうか、この子が」と口にした。
「前から気になっていたんだが、やはり君があの『キッドキラー』と呼ばれる江戸川コナン君か。かつて、ルパン一味と対峙した事もある君の噂は『ICPO』内でも有名だよ」
「へぇ、そうなんだ」
チンの探るような目つきにコナンはまたかよ、と心の中で呟きながらまた誤魔化す羽目になった。
「杉下さん、どうやら『レイブン』の捜査は難航している様で」
「申し訳ありません。捜査本部はエッジオブオーシャン爆破を優先事項としており、『レイブン』は二の次になっています。どうも、身代金を払っても人質が返ってくるのかが分からず、そもそも身代金の支払い期限を過ぎた後も、『バーズ』は行動を起こしていないので捜査本部での優先順位が低いようです」
チンは右京の言葉を聞いてため息をつくと、後部座席の背もたれに背中を押し付けた。
「『断ろう、断ろう』と思っているうちに、目に見えぬ何者かに操られるようにして引き受けてしまう、この私という不条理な存在」
「よろしければ、結果の方を」
右京に促され、米沢は大講堂の教卓に置かれた2台のノートパソコンのうちの一台を使い、モニターの地図を拡大し赤い点をいくつか入れた。
「動画の背景に聞こえていた走行音は城西線のものでした。動画に映っていたアジトの時計は五時四十分、窓からの光は色調からみて早朝です。その時刻に城西線の走行音が聞こえるのは、全部で六箇所でした」
「彼女の持っている朝刊は早刷りの十二版、都市部は一番遅い版が配られますから、こことここは除外されます」
右京がパソコンを操作するとモニターに表示された点のうち、都心に近い二つが除かれた。
「この4つの何処かに奴のアジトがあるわけだが…」
「これは、人海戦術しかないね」
コナンが言ったようにアジトの候補は四つまでしか絞られていないため、ここからは人員を割いてしらみつぶしに捜索するほかなかった。
「米沢さん、この事を本部に。あ、僕の名前は出さないように、余分な軋轢が生まれますから」
「今は懐かしき、“あの方”や“あの方”ですな」
右京と米沢が話しているところに、チンが何かを思いついたかのように口を開いた。
「杉下さん、アジトに潜伏しているのならば食料品の確保が必要になります、それも大量に。この四つの周辺に大型スーパーがある場所を発見できればその周辺にアジトがある可能性があるのではないでしょうか」
「なるほど。では、これは僕の知り合いに連絡してあなたを捜査本部に入れるよう手配しておきます」
「感謝します」
「米沢さん、今日はどうもありがとう」
「できればもう二度と、ここには来て欲しくはありませんな」
警察学校の廊下を歩く、右京、冠城、コナン、チン、そして米沢の五人は米沢は大講堂を出て駐車場に向かっていた。
「それにしても、ここ最近『レイブン』の動きがあまり見られませんね」
「まるで何かを待っているように、ですね」
冠城の言葉に、チンも反応する。この数週間『レイブン』は全く動きを見せていなかった。それと同時に鷺沢瑛里華が拘束されていると思われるアジトの場所の特定も難航していた。それ故、この米沢の発見は捜査の大きな手助けとなる。
ちょうどお昼時という事もあり、五人がいる廊下にはこれから食堂に向かう多くの人でごった返していた。食堂は廊下に面するように位置しており、普段は閑散としているここはこの時間だけ拾ったが多く集まってくる。
「ねぇねぇ、杉下警部。そろそろ、お昼にしない?」
食堂から漂ってくる唐揚げの匂いを嗅いだコナンは、隣を歩いていた右京に声をかけた、
「そうですねぇ。時間もちょうどいいですし、これから食べに行きますか?」
右京が答えると後ろにいたチンがジャケットのポケットから、スマホを取り出して地図を開いた。
「では、私が見つけたいい店があるのでそこに案内しますよ。ここから、比較的近いですし」
「米沢さんも、どうです?」
「私はまだあなた方のお陰で、業務が残っていますので。それに、何故食堂があるのに外食しなくてはいけないのです?」
冠城の誘いも、米沢は不満そうな顔つきで拒否した。米沢は警察学校へ事実上、更迭されたあとは特命係に対して非協力的だった。しかし、それでも昔の名残からかこうしてなんだかんだで協力していたのだった。
五人が食堂の横を通過した直後、突然チンが持っていたスマホがバチっとスパークした。
「!?」
チンは驚いて思わず、スマホを手から落とした。チンの手から落ちたスマホはまっすぐ床に落ちると、バッテリー部分から煙を発し始めた。
「チンさん、大丈夫ですか?」
「あ、あぁ。どうやら、スマホが古いが為に発火したようです。お騒がせしてすみません」
一方、コナンは煙を上げているスマホとチンの今の発言を聞いて頭に疑問が浮かんだ。
(おかしい。チンさんのスマホは二年前、発売されたばかりで今でも製造が続いている商品だ。まだ古いとは言い難いはずなのに、どうして発火したんだ?)
コナンは疑問に思うも発火の原因を突き止めることは出来なかった。
この一連の出来事がやがて首都崩壊の序章となっていくのを、コナンを始めこの時は知るよしもなかった。
投稿が遅くなっていますが、これからこれくらいのペースで投稿していくと思います。何せ、忙しくなりますので。
これからもご愛読していただけたら幸いです。