[未完]名探偵コナンX相棒 首都クライシス 探偵たちの最期の決断   作:npd writer

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44 この世に生きる亡者

「レストラン街にいた人たちの聞き取り調査資料、何か分かったら社さんに、って条件ですが」

 

冠城がテーブルに置いたのは一冊の青いファイルだった。中には数十枚に及ぶ聞き取り調査の書類が綴じられており、その中にはコナン自身の資料や阿笠博士のものもあった。

 

「君、たまには役に立ちますねぇ」

 

「…"たまに"って…。これでも右京さんのために働いてるんですけど…」

 

冠城は右京に聞こえない範囲でボソリと呟いた。

 

(ハハハ…。冠城刑事も苦労してるんだな)

 

コナンは冠城の言葉に苦笑いしつつ、右京が見ている資料を覗き込んだ。そこへ、角田が新聞を持ってひょっこり現れた。その新聞はスポーツ新聞らしく、『日本人選手団 帰国 明日はパレード』と大々的に報じられていた。

 

「聞いたか?柳沢の話。欠席するんなら、するって。堂々と公式発表すればいいじゃない!」

 

「それじゃ、またいつ自分が狙われるか分からない。これを機に殲滅してもらって先々の安全を確保したいと」

 

「自分の安全の為なら、誰がどうなろうとも関係ないってか!ふざけんなよ、老いぼれが!」

 

柳沢の考えに角田は理解できないとばかりに声を荒げた。冠城の言うとおり、柳沢は欠席と公表していないものの、サミットには出席しない意向を政府に伝えており、警備局を通じて警視庁にもその情報が入っていた。

 

「ねーねー。その柳沢って人、もしかしたら事件に関係あるのかなぁ?それだけ警察が着目してるんだから何か訳があるの?」

 

コナンが高木や目暮の時と同様に首をかしげるという、子供っぽい演技で冠城に聞くと冠城は、一瞬考え込むと語り出した。

 

「柳沢克彦。七年前に鷺沢瑛里華さんが『バーズ』に誘拐された際、当時の駐英大使を務めていた男で、現在は環太平洋評議会専務理事を務めているんだ。今回、東京サミットにも出席することから警察がサミット会場の爆破を『バーズ』による可能性が高いと判断したのもこの男の存在がある、ということなんだ」

 

「それって…。でも『バーズ』は何も柳沢大使について言ってないよね?」

 

コナンの言うとおり、『バーズ』は日本政府に身代金の要求をしていたが、柳沢については何も語っていなかった。

 

「それにしても気になりますねぇ」

 

ここで、ここまで資料を見ていた右京が顔を上げで発言した。部屋にいる全員の目線が彼に注目する。

 

「コナンくんの言うとおり、この犯罪の目的が七年前に身代金を無視されたことへの報復なら、なぜ『レイブン』はメッセージの中で柳沢元大使を名指しで糾弾しなかったのか?」

 

「それは警備が厳重になって狙いにくくなるからだろ?」

 

角田が答えると、右京は得意の人差し指を立たすポーズで角田に聞いた。

 

「では、何故敢えて七年前に身代金が無視された事に言及したのでしょう?それに、もしも柳沢元大使のみを標的にしたいのであれば、国際会議場を爆破する必要もありませんし、逆に警備が厳重になってしまうと思いませんか?」

 

仕切り板に寄りかかっていた冠城は納得の表情を浮かべて、目線を右京の方に向けて言った。

 

「確かに。あの件が公にならなければ、誰も柳沢の存在に目を向けなかったはずです」

 

「あのメッセージが出た時に誰もが最も驚いたのは瑛里華さんが生きていた、という事でした」

 

「七年も経っていたからね。それに普通に健康そうで、監禁されていたようには、見えなかったし」

ここで、資料を見ていたコナンが顔を上げて発言した。彼の大人びた数々の発言に初めて話した角田が驚くのは言うまでもないが。

 

「つまり、『レイブン』は10歳の瑛里華さんを七年間育てたっていう事だよね?それって、つまり何か瑛里華さんに共感を抱いていたんじゃないかな?」

 

「国に見捨てられた少女、そうですね?コナンくん」

 

コナンは振り向くと、静かにうなづいた。角田が驚いた表情でコナンの事を見ていたので、慌てて小五郎が言ったという、いつもの言い訳をして、コナンはその場を乗り切った。

 

「冠城くん、『レイブン』と関係がある『あまだしゅうすけ』という名の人物は存在しなかったのですね?」

 

「当該都道府県警が全て確認したそうです」

 

「では、1959年に死亡した『あまだしゅうすけ』が居るかどうか調べてください」

 

右京の言わんとしていることが分かったのか、冠城はハッとした表情で右京に聞いた。

 

「1959年…。…まさか『特別措置法』?」

 

「えぇ。戸籍は法務省の管轄、君の古巣ですよ」

 

冠城は頷くと、急いで特命係の部屋を出て行き事件の鍵を握るであろう、その人物を探し始めた。

 

 




すみません。投稿を早めると言いながらなかなか出さずにいました。

最近、別の本を読むのに没頭していまして。それを読んでいたらこの物語の頭になるのが難しくなっていました。
なるべく早く投稿できるよう頑張りますので、今後ともよろしくお願いします。
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