[未完]名探偵コナンX相棒 首都クライシス 探偵たちの最期の決断   作:npd writer

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相棒17の最終回、タイムトラベルとかあんまり従来の相棒では見られない表現あったので、びっくりしたのと同時に、細菌やウイルスが話題になっていて、相棒7の亀山くん最後の事件の『レベル4』を思い出しました。


52 2人の共通点

「国に見捨てられた子供…」

 

コナンを保護者である妃弁護士の下へと送り返した、右京と冠城はその足で警視庁に戻った。

 

紅茶を入れたティーカップを持ち椅子に座る右京と、仕切りで仕切られたデスクから椅子をテーブルまで移動させてそこに肘をつきながらマグカップを手にしている冠城は、先程光代から聞いた話が脳裏を離れないでいた。

 

「そういう意味では、天田修介も瑛里華さんと同じ、ということですねぇ…」

 

「天田にもし息子がいたら、『レイブン』と同世代かもしれませんね。仮に天田の息子が、ずっと父親から当時の話を聞かされて育ったとしたら…」

 

 

そこへ右京の携帯の着信音が鳴り、冠城は話を中断した。電話の相手はチンと共に、捜査本部にいる神戸からでテレビ電話での通話だった。

 

『神戸です。チンさんが、コンビニの防犯カメラに買い物をする瑛里華さんを発見しました』

 

神戸は最初に自分の方を映し、続いてパソコンを食い入るように見つめるチンを映す。

その映像は直ちに捜査本部の巨大スクリーンにも映し出され、伊丹や芹沢、高木らを始めとした刑事部、公安部の捜査員一同が食い入るように見つめる。

 

「あれが、瑛里華さん?動画と雰囲気が全く違う…」

 

「あぁ。脅されて行動している風にも見えねぇしな」

 

「もう彼女、奴らの仲間になってるんじゃ…」

 

千葉の言葉に伊丹、芹沢が反応する。コンビニの防犯カメラに映る鷺沢瑛里華は白いキャップ帽子を被り、青いシャツに薄い羽織物を羽織っていた。購入品は生物から加工品まで様々で、組織から大金を持たされているのか大量に購入していた。これだけでも比較的自由が与えられていると読み取れ、芹沢の言う通りもう組織の仲間になっているのではないか、という疑念が高まった。

 

「瑛里華さんはコンビニの近くで車に乗って移動しています!ナンバープレートは映っていません」

 

捜査本部にいた岩槻が瑛里華を乗せた車の拡大映像をスクリーンに新たに表示した。

黒いワンボックスカーを運転する男性の顔は拡大画の為、不鮮明で捜査本部にある機材だけでは拡大画の正確な処理は難しかった。

 

「運転席の男の顔を画像処理班に回せ。至急、解析するよう念を押してな」

 

中園の指示で岩槻は捜査本部を後にし画像の正確、高画質の処理を行うためサイバー犯罪対策課へ戻った。

 

「車に同乗している男の顔は、画面のクリーンアップに時間がかかりそうです。車はブルーのセダン、瑛里華さんの現れたコンビニは…」

 

「神戸尊!何をやっている!」

 

神戸の外部との通話がバレたのか、突然、内村の怒号が捜査本部に響き渡り、捜査員一同が神戸の方を見る。彼がしまった、と思った時には既に内村が神戸の方へ歩いてきてきた。

 

「もしもそれが電話ならすぐに切れ!ここの捜査権は我々が持っている。捜査本部の情報を外部に情報漏らすことなど、一切私が許さん!」

 

神戸は笑顔で、内村からの指示を受け入れスマホをスーツの胸ポケットに入れた。

 

 

 

 

「神戸くん。君の電話、もしかして杉下警部に通じているのではないかな?」

 

すると、ひな壇に座っていた幹部の1人、衣笠副総監が立ち上がり声をかける。神戸自身も、副総監として敏腕に振る舞う衣笠には底知れぬ恐ろしさを感じており適当な誤魔化しは通用しないと考えていたのだが…。

 

 

 

 

「いえいえ。うちの知り合いの奴が、どうしても事件について知りたいと…」

 

あっさりと嘘をつく神戸だった。衣笠は明らかに不機嫌そうに眉をひそめると、低い声で言った。

 

「君は警察庁の人間とはいえ、今は長官官房付つまり、謹慎の身だ。厄介な事に巻き込まれたくなかったら、二度とふざけた真似はしないでもらいたいね」

 

口調は穏やかだが、明らかに神戸に対しての不満を衣笠は覆い隠さずにぶつける。しかし、杉下右京という人間と仕事をして、既に様々な厄介事に巻き込まれて耐性ができている神戸は衣笠の警告など、馬の耳に念仏だった。

 

 

 

 

 

 

「繋がってますねぇ…」

 

「えぇ」

 

一方、画面で捜査本部の風景が見えていた右京と冠城は、神戸が胸ポケットにスマホをしまったため、映像は真っ暗になってしまったが未だに通話状態である事に気付いていた。その証拠に携帯のスピーカーを通じて捜査員の話し声や中園ら幹部の声が聞こえていた。

 

 

「鷺沢瑛里華が現れたコンビニは町田市三原町!町田市三原町だ!『レイブン』のアジトにはいくつかの候補が上がっているが、ここはその候補地の中で最も都心から離れた最有力地だ!」

 

右京らに捜査本部の情報が漏れているとも知らずに中園は捜査員らに大声で呼びかける。

 

「隅から隅まで、虱潰しに探せ!」

 

内村が呼びかけると、ひな壇に座ったままいた黒田が立ち上がり宣告する。

 

「この有力な情報を元に明日の午前9時を機に、町田市に点在する空き家の、一斉捜索に入る。…ぬかるなよ、相手は国際犯罪組織。鷺沢瑛里華の救出が失敗すれば彼らは彼女を人質に取り、テロを強行する恐れがある。アジトを発見次第、機動隊が到着するまで気付かれぬよう、監視しろ」

 

捜査員一同は「はい!!」と言うと、各自の分担をチェックし明日に備えるため、捜査本部を後にする。そんな捜査員たちを横目に、神戸はまるで悪戯っ子が悪戯に成功したように笑顔になると、捜査本部を行き交う捜査員に気付かれぬようにスマホに向かって呟く。

 

「じゃ、頑張ってください。神戸尊でした」

 

そんな神戸に近づく、二つの影。神戸が気付くと伊丹、芹沢がまるで妖怪のように神戸の顔を覗き込んでいた。

 

「あ、どうも。ご苦労様です」

 

「おい、黒田管理官がお呼びだ。何をしでかしたか、俺の知ったこっちゃないが、早めに行っておいたほうが身の為ですよ。神戸警視」

 

平然と挨拶する神戸に黒田管理官から呼び出し、という案件だけを伝え伊丹らは足早に去って行く。驚いた神戸がひな壇の方を向くと、そこには厳しい目つきをした黒田が神戸の方をじっと見つめていた。

 

 

 

 

 

「なぁ、灰原。今の話を聞いてどう思った?」

 

一方、妃法律事務所からタクシーで毛利探偵事務所に戻ったコナンは玄関から毛利探偵事務所に繋がる階段に寄りかかりながら、阿笠邸にいる灰原に電話をかけていた。

 

『…そうね。私なら裏切った祖国への復讐を企てるけど、実際問題そんな事は不可能。仮にそんな事をやろうとしても、命と引き換え。そんな取引、私なら乗らないわ』

 

天田修介の話を従兄弟である天田光代に話された内容を忘れられないコナンは灰原にその一端を話した。電話の向こうで灰原はしばらく沈黙したがやがて口を開いた。

 

「でも、もしも『レイブン』が天田修介からこの話を聞いていたとしたらどうする?十分な組織力に、武器、資金、それに『レイブン』は推定だが30代〜50代、テロを実行できる年齢だ。仮に国際会議場の爆破が『レイブン』による犯行だとしたら…」

 

その時、コナンの推理にいい加減うんざりしたのか、電話口の灰原はため息をついて言った。

 

『そんな事より、あなたがいますべき事はガールフレンドを助けて彼女の父親である毛利探偵の無実を証明する事なんじゃない?『レイブン』の方は最近あなたが一緒に行動している杉下警部や冠城刑事が解決しくれるでしょ?』

 

「あれ、杉下警部や冠城刑事について何か言ったっけ?」

 

『あなたがメールで何度も言ってくる刑事の名前だから、覚えちゃったわよ。それに、蘭さんが阿笠博士のもとを訪れた時にもこの名前を言っていたしね。詳しく調べてみたら『和製シャーロック・ホームズ』だってよ。そんな力強い味方がいるんだからここはそんな危ない事件から手を引いたら?じゃあね』

 

そう言うと、灰原はコナンの返事を待たずに電話を切った。無理矢理、切られたコナンは真っ暗になった電話のディスプレイを眺めるとそのままスマホをポケットにしまった。

 

 

 

 

 

「何すんのよ!どういうこと!?」

 

その頃、都内にある『バーズ』の潜伏場所である空き家では『バーズ』のメンバーによる荷物の搬出が行われていた。

その中でリーダー格、首にカラスの羽のタトゥーが描かれている男は嫌がる瑛里華の手足と口にガムテープを貼り付け、完全に拘束していた。

 

「悪いが、お前はもう用済みなんだ」

 

口をガムテープで塞がれ、喋れずに寝かされているソファの上で、身悶えするしかない瑛里華に男は、ジャケットを被せると他のメンバーと共に階段を駆け上がり、上に向かった。

 

そして、全ての荷物を搬出した一行はシルバーのワンボックスカーに乗ると、夜中のうちにアジトから走り去って行った。

 




書いてみて思いましたが、衣笠副総監の悪役っぷりが内村部長以上に色濃くなってるなぁ、と書いていて思いました。
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