[未完]名探偵コナンX相棒 首都クライシス 探偵たちの最期の決断 作:npd writer
「『レイブン』は、この男だよね?」
冠城はスマホを取り出すと、ある写真を瑛里華に見せた。その写真はジェイ・ノリス氏殺害時に防犯カメラに映った、首にカラスの羽のタトゥー入れた男の後ろ姿のものだった。
瑛里華は俯きながらも、頷いた。
「ずっと…私を本当の娘のように育ててくれた」
右京は屈むと、有力な情報を持つ瑛里華に対して何か知っていないか、と問う。
「僕たちは、彼が何か恐ろしいことを実行するのを、止めたいのです。協力してもらえますか?」
「でも、私は何も聞いてない。その時が来たら、教えるって」
「どんな些細なことでも構いません。彼は何か言ってませんでしたか?」
瑛里華は今までの『レイブン』との会話を振り返り、その中である言葉を思い出した。
「…これが最後の仕事だって」
冠城はその時、男が着ていたであろう、ソファに置かれた黒いジャケットに気付いた。右京に断りを入れて冠城はジャケットを手に取り、調べ始める。
「右京さん、これ…」
冠城がジャケットを調べていた時に、内ポケットに何か物が入っている事に気づいた。気になって取り出してみると、それは少量のカビに覆われた写真だった。写真には大勢の人々に見送られながら出航する船団と、それに乗る沢山の人々、それに彼らを見送る人々が写っている。
「この船の横断幕に『南洋開拓団船団』と書かれていますねぇ。瑛里華さん、これは彼のものですか?」
瑛里華は頷くと、それが父親の形見であると男が言っていた事を右京と冠城に伝えた。
「じゃあ、『レイブン』はやはり、天田修介の息子…」
冠城が言うと、右京は人差し指を立てながら自身の考えを冠城に伝える。
「えぇ。『レイブン』は、父親である天田修介から形見としてこの写真を譲り受けた。この船の何処かに天田修介の両親がいるはずです。つまり、これは『レイブン』のルーツです!」
「これを持っていたって事は、彼は父親から…国に捨てられた話を聞かされて育った…」
冠城は瑛里華に聞こえない程の声量で右京に語ると、右京はこの写真の中に隠されているであろう、ヒントを探し始める。
その写真には船団に乗る人々やそれを見送る人々の模様が写っており、船に乗る人々は日の丸の周りに多くのメッセージが書かれた日本国国旗を柵に下げている。一方、見送る人々は小さな日本国国旗を振って見送っている。
その光景を見て、右京はある事を思い出す。それは昨日、コナンと共に見た、角田が持っていたスポーツ新聞に書かれていた『日本人選手団 帰国 明日はパレード』という見出しであり、同時にニュースで報じられていた映像の中で、成田空港で華々しく迎えられる選手団と共に、出迎えに来た多くの人々が日の丸を持っていた事を思い出す。
「なるほど…!」
右京は閃き、目を見開くと冠城に語る。
「冠城くん。今日、日本人選手団のパレードがあります。開拓団の人々もまた、彼らと同じように国を背負い激励されて送り出された。だが見捨てられ、忘れ去られた。彼らのように国の誇りとして、迎えられはしなかった。『大勢の人々の見守る中で、日本人の誇りが砕け散るだろう』。冠城くん!」
呼ばれた冠城は、右京に歩み寄ると写真のある箇所は指で示された。
「ここを見てください。ここに『東京都管轄 江東港』という地名が書かれた看板があります。ここが今どこだか、冠城くんなら分かるでしょう」
右京に言われた冠城は、この事件でたくさんある記憶を探った。そして、冠城自身仰天するような事実に気付いた。
「江東港…。まさか〈エッジオブオーシャン〉ですか?」
「えぇ。旧江東港は、戦後物流の拠点として使われてきましたが都心の開発により、使われなくなっていたのを現在の大河内内閣が〈エッジオブオーシャン〉として再開発しました。今日、パレードが行われるのも〈エッジオブオーシャン〉です。テロリストは日本人選手団を狙うつもりです!」
右京は腕時計を見て現在の時間が午前11時である事を知った。パレード開始まであと4時間もの猶予がある。右京と、冠城は捜査本部に『レイブン』のアジトの場所を報告し、大勢の捜査員がアジトに突入したタイミングに入れ替わりでアジトを後にし、その足で警視庁に向かった。
遂に、『レイブン』の狙いを突き止めた右京、冠城。
果たして、彼らはテロを防ぐことができるのか?乞うご期待!