[未完]名探偵コナンX相棒 首都クライシス 探偵たちの最期の決断 作:npd writer
「右京さん、あんな事言ってしまって大丈夫ですか?」
会議室を後にした右京に冠城は、不安が混じった表情で右京に聞いた。それに答える右京の表情もいつにも増して厳しい。
「仕方ありません。山崎警備局長らが確たる証拠が必要と言っている以上、何か決定的な物が必要です。しかもその証拠は早めに見つけなければなりません。パレード開始まであと2時間と少し、もはや猶予はありませんよ、冠城くん」
「了解です」
右京と冠城は会議室を後にし、特命係があるフロアへ向かった。
右京らが特命係の部屋に向かう途中、パンダのマグカップを手にした角田が何やらニヤニヤしながら右京の方を向いていた。当然、右京と冠城は不審げに感じる。
「課長、どうしたんですか?」
「まぁまぁ、部屋を見てみれば分かるって」
冠城が聞くと、角田はマグカップを握った手で特命係の部屋の方を指したまま、詳しい事を言わない。
その言葉通りに右京と冠城が特命係の部屋に入ると、丸椅子に乗った男性がいた。
その男性は40代前半で日焼けをしているのか褐色の肌をしていて、上半身にはアメリカ空軍のマークが印刷されたジャケットを羽織っている。
その男性は丸椅子を回転させると右京と冠城にその素顔を明かす。その顔を見た冠城は、誰か分からず怪訝そうにその男性を見つめるが、右京はその顔に見覚えがあるのかいつものポーカーフェイスを思わず崩した。
「おやおや、君は…」
「どーも。お久しぶりです、右京さん」
「君も元気そうでなによりです。亀山くん」
その人物は元警視庁特命係・巡査部長でかつて右京の相棒だった亀山薫だった。
「亀山くん…?もしかしてかつて右京さんの相棒だった、亀山薫さん?」
冠城が不思議そうに首を傾げて聞くと、右京は振り返りながら答えた。
「えぇ。君からすると3代前の相棒、僕の下で初めて長く相棒として僕を支えてくれたのが亀山薫くんです」
「へぇ〜なるほど…。あ、初めまして。今の相棒である冠城亘です」
「初めまして、亀山薫です。右京さんを支えてくれたこと、礼を言わせてもらうよ。ありがとう」
新旧相棒が互いに自己紹介をして、その後固く握手をした。時代を超えて結ばれた新旧相棒の関係に、見ていた右京や角田、古くから特命係を知っている組対5課のメンバーはその様子を微笑ましく見ていた。
「それで右京さん。何やら警視庁では、今とんでもないことが起きているとか。美和子が喋ってたんすけど、どうやら帝都新聞時代の友人で警視庁担当の記者がぼやいていたのを聞いちゃったそうで…」
亀山は警視庁ロビーにある自動販売機で買っておいた缶コーヒーを飲みながら右京に聞いた。
「相変わらず、美和子さんの情報網には関心しますねぇ。君は今、警察官ではないため詳しいことは言えませんが、今日開催される国際競技大会の日本人選手団パレードが『レイブン』に狙われる可能性があります」
「その事をさっき、会議室で開かれていた警視庁・警察庁の合同会議で提言したんですけどそれが受け入れられなくて」
かつての亀山の定位置であったデスクにいる冠城がアフリカ原産のコーヒー豆を使用した自家製のコーヒーを飲みながら右京の発言に付け足す。
「なるほど…。因みに今の刑事部長って、やっぱあの人っすか?」
「えぇ。君も知っているとおり、内村刑事部長と中園参事官は君がいなくなったこの数年間、ずっとその役職に就いたままですよ」
「あぁ〜。やっぱ、あの人たちですか。右京さんは何か良からぬ事が起きると予見して警告したんだけど、頭のお固いお偉い方は信じなかったと」
亀山は昔の右京と自分が内村らに助言や意見した時も全く聞き入れられなかった事を懐かしむと同時に警告に対して無頓着な警察上層部を憂いだ。サルウィンに飛んでからは現地のボランティアとして活躍していた亀山は頭の凝り固まった政治家や官僚は下層にいる庶民らを見ていないと、内心反発していた。
「そこで我々は上層部を動かすために『レイブン』に関する決定的な証拠を見つけようとしているわけです」
「杉下警部、冠城さん。相変わらず、あなた方は予想の斜め上の事をやってくれる」
更に、上着の内ポケットに入れたラムネを噛みながら険しい表情をした客が特命係の部屋に入ってくる。
右京、冠城、角田は頭を下げ、亀山も成り行きで頭を下げる。大河内は亀山の姿を認めると、険しい表情が一瞬だが驚きの表情に変わる。しかし、それもつかの間ですぐにいつもの険しい顔に戻る。
「亀山さん…」
「お久しぶりです、大河内首席監察官。あいも変わらずのご活躍、流石です」
「…それが仕事ですから」
亀山の方を向いていた大河内だが、彼との会話がひと段落すると上着を脱いでくつろいでいる右京の方を向いて話し始める。
「杉下警部。あなたが先ほどの捜査会議で行なった不適切な言動に対して山崎警備局長や衣笠副総監は酷く怒っており、先ほど山崎警備局長が私の元まで来て、抗議しました。一先ず、留保としましたがこれ以上の行為は危険が伴います」
「やはり来ましたねぇ。何処が不適切なのでしょう?」
「私は正直言ってあなたの考えに賛同ですが、あなたの事をよく思わない警察組織の上層部の人間からしてみれば勝手に捜査会議に乱入した挙句、証拠もないでっち上げの推理を披露した事が気に入らなかったのでしょう」
右京が『不適切な言動』という聞き慣れたキーワードに反応すると、大河内は右京を弁護しながら自身の考えを披露する。
「それに、恐らく警察上層部には何かしらの危機感があるのかと。実はですね、法務省にいる友人に問い合わせたところ、毛利小五郎が今日のうちに釈放される可能性があると。それで犯人に関する目星が少なくなるので焦っているのではないでしょうか。あ、因みにこの情報って内密に仕入れた物なので、情報管理にはご協力ください」
冠城が声を小さくして言った内容はまだ警察も一部しか知らない事であろう、毛利小五郎の釈放だった。冠城の法務省時代の友人で公安調査庁や公安検察に顔のきくある人物が、こっそり調べてそれを冠城に報告していたのだった。
「国際競技大会は政府主催のイベントです。仮に杉下警部の推理が合っていたとしても、強固な警察・政府首脳陣を説得するにはやはり彼らの言う、決定的な証拠が必要です。そして、お見受けしたところあなた方はその証拠をお持ちでない」
「ある事にはあるんですがねぇ」
右京がデスクに置いてあった写真を目で示すと、大河内はその写真を手に取ったまましばらく見つめていたが、やがて目を離すと厳しい目付きを変わらせぬまま右京に言った。
「この写真
「と言いますと?」
「鷺沢瑛里華さんが保護されたのは『レイブン』のアジト、そのアジトから何か決定的な証拠が出てくれば流石の警察上層部も動かざるおえないでしょう。例えば、ショッピングモールで使われた毒物の痕跡などです」
「では、大河内監察官。アジトの捜査資料を特命係まで手配していただけないでしょうかねぇ。我々は捜査本部への出入りが規制されているものですからねぇ」
「分かりました。神戸に捜査本部に資料が届き次第、そちらに送るよう手配しておきます」
大河内はそう言うと、特命係の部屋を後にした。因みに特命係の雑用的仕事を押し付けられた神戸は不満そうな顔をするも大河内と右京からの頼みでは断る訳にも行かず、渋々資料のコピーを印刷した。
今回は亀山くんと大河内監察官がメインで登場しました。亀山くんと大河内さんの口調、気をつけながら描写しましたが原作とずれていないか心配です泣