[未完]名探偵コナンX相棒 首都クライシス 探偵たちの最期の決断 作:npd writer
右京、亀山、冠城の3人はアポ無しで警察庁の甲斐の下を訪ねた。以前ならば秘書に門前払いを受けていたのだが今は長官官房付という事で比較的余裕のある甲斐はすぐに3人を自身の執務室に通した。
「杉下くんが来たという事は、確たる証拠が見つかったってことかね?」
3人に応接セットのソファに座るように促し、自身も対となっている肘掛け椅子に座ると早速話を切り出す。
「と、その前にそちらの男性は?」
「あ、申し遅れました。私、以前右京さんの下で相棒を務めていました、亀山薫という者です。今は、NGOとしてサルウィンで活動しています」
「あぁ、君か。杉下くんの
亀山は甲斐が放つオーラにどこか小野田に近いものを感じた。敵か味方か分からず、飄々としたオーラを漂わせた甲斐のオーラに亀山はどこか懐かしく感じていた。
実際、甲斐は幾度となく特命係に協力、あるいは妨害してきた過去があり最近は衣笠の策略によって特命係を甲斐の直属の組織とすることで事実上、上司として活動していた。
「それで証拠は?」
甲斐に促され、冠城は持っていた封筒から5枚ほどプリントされた書類を甲斐に提出した。甲斐はしばらくその書類を1枚1枚手に取って熟読していたが、やがて首を一回縦に振ると書類から目を離した。
「うむ。これに写真を追加すれば流石の警視庁幹部も動かざる負えなくなるだろう。無論、間違っていた場合は誰かの首が飛ぶことになることも覚悟しなくてはいけないだろうがね。まぁ、衣笠くんのことだろうから恐らく私を標的にするだろうが。君たちに私の未来を託してしまって構わないかね?」
甲斐が一番恐れているのは元の役職に戻れなくなる事だった。今はあくまで緊急避難的な措置で警察庁長官官房付へ降格しているだけで熱りが冷め次第、警察庁次長へ復権する手筈でいた。
甲斐が復権の過程で最も警戒しているのは警視庁副総監の衣笠であり、仮に右京の推理が間違っていた場合は提案者の右京諸共、甲斐は衣笠によって十中八九更迭され次長のポストには戻れなくなる。無論、このような事態に陥った対処も甲斐は考えていたが。
「甲斐さんの未来ですか…。僕には未来を背負うなんて到底できませんが、警察の正義を守るためなら喜んで託されましょう」
右京は笑いながら甲斐の提案はやんわりと拒絶した。甲斐も予め予測していたのか対して驚きもせずに受け流す。
「相変わらず、面白い男だね。まぁ、いいだろう。仮に君の推理が間違っていた場合は発案者である君に責任を取ってもらうのが一番理想な形だと私は思うね。しかし改めて君らの捜査力・推理力には日々驚かされるよ」
「何せ日本の未来がかかっていますからね。あ、勿論甲斐さんの未来、いやここは警察庁の未来。と、言っておいた方がよろしいですかね?」
冠城の何気ない一言に含まれた意味に、甲斐の表情は一瞬驚きに似た表情をするもののすぐにいつもの好々爺らしい顔つきに戻る。
「甲斐さん、この国の危機的状況に繋がる前に何とかして『レイブン』の犯行を止めなければなりません。どうか、会議をもう一度開くよう、警視庁幹部に取り計らってもらえませんか?自分は外部の人間であり、こんな事は言ってはいけないかもしれません。しかし、これらの証拠が示すように『レイブン』がテロを行うのはほぼ確実です。自分の祖国で大勢の人々が悲しみに包まれるのをオレは見たくないんです!改めてお願いします!」
亀山は甲斐に頭を下げて頼み込んだ。それに対して甲斐はしばらく考え込んだ後、答えた。
「…分かった。会議の件は金子長官に私から要請しておこう。ただし、会議が開けるのに30分弱かかるかもしれんよ。何せ、他の皆さんもそれぞれの業務があるわけだから、それを中断してきてもらわなければならん。全員が私のように暇を持て余しているわけじゃないんでね」
「では、お願いします」
右京と冠城、亀山の3人は甲斐に向かって一礼すると部屋を後にした。
3人が出て行った後、甲斐はデスクに置かれた受話器を手に取る。
「長官官房室。済まないが、金子長官を頼む。…甲斐峯秋です。金子長官、特命係の杉下と冠城が新たな証拠を提示してきましてね」
『ほぉ。それでどうだったのかね?』
「私は杉下が提示した証拠を私も見ましてね。確かにこの証拠なら警視庁の幹部をも黙らせる証拠になり得るでしょう。もう一度会議を開くためにも長官のお力添えが必要です」
『1度限りのチャンス。失敗は許されないぞ、甲斐くん。もしこれで違っていたら今度こそ、衣笠副総監や内村刑事部長は会議に応じなくなる。内村部長は先がないが、衣笠副総監は政財界問わず様々なパイプを持っている。ここは万が一にも備えてあらゆる対応策を考えておくくべきだね』
「それは勿論、私も同意見です」
甲斐はそう言うと受話器を親機に戻した。既に日は傾き始めており甲斐部屋を夏特有の強烈な日差しが射した。甲斐は肘掛け椅子から立ち上がると夏下の皇居を眺めた。
今日の金曜ロードショーは『ゼロの執行人』だそうなのでそれをインセンティブに頑張ります。