[未完]名探偵コナンX相棒 首都クライシス 探偵たちの最期の決断   作:npd writer

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この数日間、私が胃腸炎で苦しんでいたため投稿が乱れております。

楽しみに待っていた方、すみませんでした。


61 再説得

「では、右京さん。俺はこれで」

 

警察庁を出た後、中央合同庁舎ニ号館の正面玄関で亀山は右京と冠城に別れを告げた。

 

「亀山くんはこの後、何か予定があるのですか?」

 

「そろそろ帰らないと、美和子のやつが心配するんで。と、いっても俺らは東京駅のビジネスホテルに泊まっているんで何かあれば直ぐにそっちに駆けつけられますよ?」

 

「そうならないように俺らも頑張りますので、亀山さんはゆっくり日本を楽しんでください」

 

「この事件が終わったら思い出話をゆっくり語るからな、冠城さん」

 

そう言うと東京駅方面に向かって歩き出した。その姿をしばらくずっと見つめていた右京と冠城は亀山の姿が見えなくなるとそのまま警視庁の方へ歩き出した。

 

「亀山さんって、面白い人でしたね」

 

「人によって感じ方はそれぞれですよ、冠城くん。僕は亀山くんと今日出会えた事がとても幸せに感じますねぇ。僕たちも事件解決に向けて全力を注ぎましょう」

 

「勿論です」

 

右京と冠城はその足で警視庁に向かった。その途中で金子長官や甲斐が乗っていると思われる黒塗りの公用車が彼らの横を通り過ぎ、警視庁地下駐車場に入っていくのを2人は横目で確認した。

 

 

右京と冠城が特命係の部屋に着き、作業をしていると右京の携帯が鳴った。電話の相手は甲斐でこれから約20分で会議の準備が整い終わるとの事だった。特命係の部屋にいた右京と冠城は各自で軽く水分を取ると、すぐに必要書類の整理を始めた。

 

 

 

 

右京と冠城が大会議室に入室するとそこには黒田、内村、中園といった刑事部関係者、公安部長や参事官ら公安部関係者、衣笠副総監、そして小田切、山崎、甲斐、金子ら警察庁上層部の人間が会議室に集まっていた。

 

明らかに内村、中園の不機嫌度は増しており眉間に皺が寄っていた。衣笠は無表情だがその無表情が返って彼の不気味さを示しており同じ無表情でも甲斐や金子の無表情とはまた別のものだった。

 

「今回、この臨時会議の提案者は甲斐官房付だと聞きます。一体、何故終了したはずの会議をもう一度開くのかご説明願いたい」

 

「それはあちらにいる杉下くんが新たなる証拠を見つけ、その証拠が確たる証拠だというものですから、こうして早めに皆さんにお知らせするべきと私は考えました」

 

中央の席に座る警備責任者の山崎が甲斐の方を向いて尋ねると甲斐は右京の言い分をそのまま自らを囲む一同に言った。甲斐はあくまで右京と冠城の言葉を借りているだけで責任は彼らにあることをさらりと暗に伝えた。

 

「では仮に違っていた場合は甲斐さんに責任を取ってもらいますかね?ここまで人に迷惑がかかることをやっているんですからね、何かけじめをつけなければ」

 

「副総監、私の任命権者は金子長官ですよ。長官が私を罷免する最後まで自らに課せられた職務を全うするつもりです。決して何かの都合で辞める気はありませんよ」

 

「それは自己満足で勝手な君自身の望みではないのかね?」

 

「私の為ではない。警察庁の為、引いては日本の未来の為ですよ」

 

いつもの丁寧な口調が消え、甲斐と衣笠は真っ向から向かい合い互いに言葉を投げ合う。この2人の嫌悪な空気は会議室全体を覆い、近くにいる小田切はまた始まったと背もたれに深く身を落とし、甲斐と衣笠に挟まれて座る山崎はいづらい雰囲気から逃げるように椅子を後ろに押し、内村や中園は只々オロオロするだけであった。

 

「とにかく今は事件解決に神経を向けるべきだ。さぁ、杉下警部。あなた方が発見したという証拠を提示してください」

 

ここで小田切が甲斐と衣笠の発言を中断させ、本来の会議の目的である証拠を見せるよう2人に言う。右京と冠城は、証拠書類を各幹部に配布した。

 

 

 

「この書類に記載されている毒物とショッピングモールで使われた毒物が同成分である…、つまりあれも『レイブン』の仕業だということか?」

 

書類を見ていた幹部たちはしばらく沈黙していたが、やがて警察庁の幹部の1人が口を開いた。

 

「えぇ。そして、今日は日本人選手団のパレードがあります。僕は、彼らがこのパレードを狙ってテロを起こす可能性が高いと思うのですが?」

 

「パレードには既に通常警備を敷いている。こんなカビの生えた写真と毒物だけでは、何の証拠にもならん」

 

山崎の言い分は変わらず、右京と冠城を邪険そうに見つめた。

 

「瑛里華さんの話では、『レイブン』は銃器を所持しています。考えられるのは大勢の観衆の前で、パレードの車に乗った日本人選手団が狙撃される恐れがあります」

 

「既に都内でIoTテロなるものが起きていて、只でさえ要所の警備を強化している。故にテロが起きるとは考えにくい。それにパレード開始まであと30分足らず。文部科学大臣と首相官邸に状況を説明し、現場に中止を伝えるのは現実的に不可能だ。分かったら諦めて……出てけ!」

 

「では、最大限の警備を…」

 

ここで引き下がれば日本人の命が犠牲になる可能性がある。そう考えていた右京はここで食い下がり説得を続けた。案の定、幹部たちの不満は溜まっていく。

 

「いい加減にしろ!杉下!!」

 

「内村部長に同意見です。既に、パレード開催地には警備を敷いています。それも公安部の優秀な捜査員が、です。これ以上、警備を増やせば返って現場の混乱を招きかねます」

 

内村は右京に向かって怒声を飛ばし、公安部長は静かながらも右京に対しての不満をぶつけた。しかし、ここで引かないのが杉下右京。幹部たちの恫喝もどこ吹く風と言わんばかりに甲斐の側まで移動して訴えを続ける。

 

「今回、大勢の人々が『レイブン』のメッセージ動画を見ています!可能性を無視した挙句、パレードでその通りのテロが起きれば無辜の日本人が殺されるんですよ!そうなったら一体、何方が責任をお取りになるのか、お聞かせ願いたい!!」

 

右京も大声を出して反論する。山崎は右京の物言いに対しての怒りが限界を超えたのか、怒りで体が震えながら立ち上がる。

しかしここで右京に対しての、援護射撃が行われた。

 

「私はやるべきだと思うがね。何か起きてからでは遅い」

 

「甲斐、貴様…!官房付の身でしゃしゃり出てくる気か…!」

 

椅子に座ったまま冷静に山崎を見据えたまま答える甲斐に対して、山崎は右京に向けていた怒りの矛先を甲斐にも向ける。これに呼応するかのように小田切も右京の意見を支持する。

 

「私も杉下くんの意見に賛成です。もしテロが起きればそれこそ山崎警備局長、そして警視庁はテロを防げなかった事で国民からの非難に晒されます。それは最もあなた方が恐れている事ではないですかな?」

 

小田切の言葉に警視庁・警察庁双方の僅かではあるが幹部たちの表情に変化が生まれる。今まで右京の言い分に不信感を抱いていた幹部は、現実味を帯びてきた状況に困惑しているようだった。

 

「私も甲斐くんの意見に賛成だ。警備を増やせばその分、警察官の数も増える。『レイブン』たちにとっていい抑止力になるんじゃないのかな」

 

ここで静かに会議の様子を見ていた金子が意見を言う。警察庁の長官までもが賛成の意見に回った結果、他の幹部たちは自分たちの判断が間違っていないか本気で吟味し始めた。

 

「おい、冠城。何してる?」

 

中園が残っている冠城はどうしているものかと、目を向けるといつのまにかスマホを取り出してカメラを向けている冠城の姿があった。中園の言葉に反応して、他の幹部も冠城の方を向く。

 

「いや、心の中でやるべきだと思っていたのに言いそびれてしまった方がですね。もし何かあったら後で責任取らされるのは理不尽だな、と思いまして。あ、勿論内々のための録画ですからお気になさらずに。内村刑事部長、中園参事官、公安部長に衣笠副総監は山崎警備局長と同じく警備に反対のお立場、ですね?」

 

「別にそうは言ってない。中園はどうか知らんが。考えてみると現状、奴らは野放しのままだからな」

 

「へ!?部、部長?」

 

突然の掌返しを平然としていく内村に、中園は内村の行動に驚き目を見開いてオロオロするしかなかった。周囲に助けを求めようとも他の幹部たちはなかなか目を合わさない。

 

「私も甲斐さんに責任を取ってもらうなら、反対する理由はありませんよ」

 

「私も別に、何が何でも反対というわけではない」

 

「私は寧ろ、甲斐さんらの意見に賛成だがね」

 

内村に続いて、衣笠も態度を一変させた。無論、甲斐に責任の一端を負わせるのを忘れる事はなかったが。衣笠の後はまるで金魚の糞よろしく警察庁の局長や、警視庁警備部長らが賛成の意見に回る。

 

「ならば急いでください!事は一刻を争います!」

 

右京の言葉に幹部たちは書類を持って重たい腰を上げた。会議の主導権を奪われ、幹部が次々と席を立っていく姿を見届けることしか出来ない山崎は怒りで顔を小刻みに震わせながら右京に接近すると、小声で負け惜しみの言葉を言う。

 

「もし違っていたら…只で済むと思うな…!」

 

「ご随意に」

 

そんな事は慣れきっていると言わんばかりに右京はそう一言、山崎に言い放った。完全に右京ペースに持っていかれた山崎は冠城、甲斐、そして小田切に目を向けると何も言葉をかけずにそのまま走り去っていった。

 

 




『ゼロの執行人』、やっぱいい作品だよなー、って見てて思いました。早く、完結させなければ…
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