[未完]名探偵コナンX相棒 首都クライシス 探偵たちの最期の決断 作:npd writer
『こちら伊丹班。各自、配置に着きました』
『佐々木班。準備完了』
捜査本部には〈エッジオブオーシャン〉に到着し、各自配置についた班からの連絡がひっきりなしに入ってきていた。
「各自、周辺の警戒を怠らないように。そして、もう一つは滝口の確保だ。ぬかるなよ……!」
黒田は無線機を通して捜査員らに呼びかける。黒田の重々しい言葉を聞いた捜査員らは身が引き締まり、その空気はマイク越しにでも確認できる。
警察庁の指示で既に、霞ヶ関及び永田町周辺は交通規制により一般車の運行ができなくなっていた。普段、様々な車のエンジン音やクラクションの音が飛び交う桜田門はまるでゴーストタウンのように静まり返っており、不気味さが増していた。
警視庁の捜査本部にいた右京は先程、コナンから聞いた断片的な言葉を頭の中でパズルのように組み合わせていた。
その中で羽場二三一が7年前の今日、拘置所で自殺しておりその裏には公安警察が絡んでいること、それにまた都内でIoTテロが起きていることを組み合わせた右京はある事に気づいた。
「冠城君!橘弁護士の資料の中で羽場二三一が自殺したのは7年前の今日でしたね?」
「えぇ。確か、公安警察の取り調べのすぐ後だったと思いますけど…。何か引っかかったんですか?」
「僕としたことが!犯人はおそらく〈はくちょう〉を使い、7年前の復讐をするつもりです!」
右京の言葉を聞いた冠城は本来見ることのできない上司の驚いた表情がとてもレアであると思いつつ、右京に続きを促した。
「では、犯人は…」
「この推理を軸とすればあの資料の中で、怪しいのはあの人しかいません。行きましょう!」
右京が冠城と共に捜査本部を出ようとしたまさにその瞬間、突然捜査本部のモニターやパソコンといった電子端末の画面が真っ暗になる。それだけではなく捜査本部の照明や、廊下の蛍光灯の明かりも消え警視庁は瞬く間に闇に包まれた。
時は少し遡り、警視庁。
蘭は英理、園子と一緒に、釈放された小五郎を迎えに警視庁に来ていた。
「あ、来た!おじさま!」
廊下で待っていると、高木に連れられた小五郎が現れた。
「お父さん!」
駆けてくる蘭に、小五郎は「お、おう」と複雑な顔で手を上げた。
「お帰りなさい!」
「……心配かけたな、蘭」
小五郎は胸に飛び込んできた蘭を抱きしめた。「本当によかった……」と蘭が涙ぐむ。
「それと……英理もいろいろすまんかった」
小五郎が言うと、英理は「何言ってるの」と微笑んだ。
小五郎の胸で泣いている蘭を見た園子は、思わずもらい泣きをしてしまった。
「よかったねぇ〜、蘭」
「園子……ありがと」
蘭は振り返って涙を手でぬぐった。笑顔で寄り添う3人の姿を見ていたら、園子は涙が出そうになった。
「そうだ!この感動シーンを推理オタクにも送ってやろ」
思いついた園子がさっそくスマホを構えると、
「ちょっと園子!」
蘭は恥ずかしそうに顔を赤らめた。その横で、写り込もうとした高木がピースサインをする。園子はスマホを構えながら、邪魔だと言わんばかりにシッシと手を振った。
「これで連絡取れるはずよ!はい、チーズ」
シャッターボタンを押そうとした瞬間ーー突然、周囲の電灯が消えて真っ暗になった。
「どうした?」「なんだ?」「停電か?」
突然の停電に、捜査本部にいた捜査員たちは動揺を隠せずに周囲を見回す。中央のデスクから進捗状況を見ていた山崎や衣笠、内村らも困惑して椅子から立ち上がる者もいた。
「早く予備電源を作動させ、モニターと無線を復旧させろ!」
「こんな時に停電なんて…。シャレにならんぞ!」
真っ暗な中、山崎が声を張り上げた。続けて内村も吠える。すると目暮のそばにいた千葉は「内村部長!」と声をかけた。
「非常用電源が破壊されているようです!」
「何!?」
「一体、本庁で何が起きているというんだ…!!」
千葉の報告に中園は驚愕の表情を浮かべ、内村の顔は苦虫を潰したように醜い面持ちとなった。
内村が真っ暗な天井を見上げていると、後方のドアから白鳥が入ってきた。前方にいる黒田たちに向かって叫ぶ。
「NAZUから報告です!無人探査機への不正アクセスが確認されました!!」
「なんだと!?」
「このままではカプセルの切り離しが出来ないようです!!」
停電に見舞われたのは警視庁本庁、総務省や警察庁、国家公安委員会が入る中央合同庁舎2号館、そして国土交通省や海上保安庁が入る中央合同庁舎3号館のみだった。
道路を挟んだ反対側にある旧法務省本館及び外務省は煌々と明かりが点いていた。無論、突然停電になった中央合同庁舎2号館及び警視庁本庁を見ていた法務省や外務省内の職員は騒然となっていた。
IoTテロによる事故で交通規制が敷かれているため、警視庁付近は車もほとんど走っておらず、風見は人気のない歩道を走りながら安室に電話をした。
「〈はくちょう〉本体は大気圏で燃え尽きますが、カプセルの落下地点が狂っていることが判明し、NAZUでは騒ぎになっているようです。最新の落下予測データを送ります!」
一方、警察庁にいた神戸も右京に連絡していた。
『神戸です。杉下さん、警視庁が突如停電したと聞きましたがそちらの状況は?』
神戸からの連絡を捜査本部から出て、混乱する警視庁の廊下で受けていた右京は歩きながら答えた。
「捜査本部は機能喪失と見て間違いないでしょうねぇ。何分、非常用電源が破壊されているため復旧は難しく、こちらから前線に直接指令を出すのは不可能になっています」
『やはりですか……。こっちの中央合同庁舎2号館も停電になっていて、これから大会議室で会議中の金子長官以下、幹部の保護を行なった後、マニュアルに則って対処するつもりです。杉下さんはどうするつもりですか?』
神戸が電話の向こう側にいる元上司に聞くと、間髪入れずに答えが返ってくる。まるで、その考えを想定していたかのように。
「無論、犯人を止めます。恐らく犯人は7年前の〈羽場二三一〉氏に関係している人物だと思われ、僕の予想が正しければその人物は公安に関係している人物のはずです」
『そうですか。呉々も気をつけて下さい。あぁ、あとそれと、まもなくNAZUからの最新の落下予測データが届きますのでそちらに送ります』
暗闇に包まれた大会議室では、中央の椅子に座った幹部たちの周りを囲むように捜査員が集まっていた。
懐中電灯やランタンで明るくなった長机で、正面に立った高木はタブレット端末で地図アプリを起動した。
「…東経139度45分8.405秒。NAZUによる予想落下地点は…」
検索ボックスに座標を入力してエンターキーをタッチすると、座標の場所にピンが表示された。
「え?ここってーー」
高木の隣に立っていた佐藤は、ピンが表示された場所を見て息を呑んだ。
「なんてことだ…」
車を走らせていた安室は、車載ホルダーのスマホに送られてきた落下予測データを見て呟いた。
「コナン君!」
スマホを取って、車の横を走っているコナンに見せる。
同じ頃、右京のスマホにも神戸から落下予測データが届き、それを見た右京の目が見開く。
「冠城君!NAZUの最新落下予測の結果ですが、どうやら我々は一刻の猶予もありません。早く、犯人を止めなければ東京の中心地は破壊されます!」
「という事は…つまり…」
隣で走っていた冠城も察しがついたのか、前方を見たまま冷や汗を垂らす。
「えぇ、犯人の狙いは…
「「警視庁(です)!」」
いよいよ、カプセルが警視庁に落下するという最悪な事態になりました。果たしてコナン、安室、右京、冠城は犯人を止めることができるのか。