[未完]名探偵コナンX相棒 首都クライシス 探偵たちの最期の決断 作:npd writer
今回は右京さん、冠城くん、コナンくん、安室さんの4人が大活躍します。
「『獅子身中の虫、獅子を食らう』とはよく言ったものですよね。
ねぇ、ーー日下部検事」
冠城に名前を呼ばれたスマホの持ち主ーー日下部誠は驚いて袖を掴んでいる冠城を見た。
「まさか、あなただったとはね」
安室はスマホを持った手を下ろした。
「……なんだね、君たちは。それに、冠城。お前の噂はかねがね聞いている。何でも兄のお気に入りの検事を潰してくれたそうじゃないか」
「流石は、エリート兄弟。情報はしっかりいっているようで」
「あの一件で兄はお前を裏切り者扱いしている。私も検察の改革に取り組んでいた彼女を葬ったことに驚いたものだよ。だが、私がそれ以上に驚いているのはお前の行動だ。なんのつもりだ、これは?」
日下部はそう言いながら冠城の手を振りほどいた。
職員たちは彼らの行動には目もくれず次々と外へ出て行き、東京地検のロビーは人気がなくなり、いつのまにか5人だけになっていた。
「もっと早く気付くべきだったよ。アンタが申請した証拠一覧を見たときにな……」
コナンは証拠一覧にあった現場鑑識写真を思い浮かべていた。
ナンバリングされた写真の中に『不詳』と書かれた黒っぽいガラス片の写真があった。写真を見たとき、コナンはどこかで見たような気がしたがーーあれは圧力ポットのタッチパネルの部分だったのだ。
「あのガラス片は、犯人しか知ることのできない本当の発火物でした。しかしあなたはそれを証拠申請してしまった、発火物がまだ『高圧ケーブル』だと思われていたときにです。検事として優秀な経歴をお持ちのあなたにしては、迂闊でしたねぇ」
「!!」
日下部は右京の言葉にビクリと肩を跳ね上げた。
そのとき、新一のスマホが振動した。
「ナイスタイミング」
コナンはスマホを渡り出し、メールに添付された書類を開いた。
「7年前に起きた『NAZU不正アクセス事件』の公判資料だ。アンタが担当した」
コナンは画面をスワイプして、『検察官 日下部誠』と書かれた箇所を見せた。
安室が、そうか、とうなずく。
「その事件の手口は、ノーアを使った不正アクセス……」
「自分が担当した事件の手口を使って、サイバーテロを働いたんだよね?」
日下部は答えなかった。ただ、その表情は明らかに狼狽していた。
「でも、その計画に誤算が生じた」
「えぇ。NAZUではすでに犯人を追跡するシステムが完成していました」
冠城の言葉に、右京はうなずくと、日下部に目を向けた。
「しかしあなたはこのシステムすらも利用した。システムの存在を知ったあなたは、バグを作ったノーアでアクセスし、IoTテロに見せかけて上司である岩井統括官のスマホを発火させました。そのダミーを我々警察に特定させるためにです。だからIoTテロのタイミングが妙だったんですね、違いますか?」
右京が言い終わると同時に、日下部が安室に突進した。タックルするように腕に絡みつき、スマホを奪う。
「私の物に勝手に触れるな!」
安室の胸をドンッと突いて、日下部は逃げ出した。コナンと右京がすばやく追いかけ、安室と彼を起こしていた冠城も遅れて続く。
日下部は裏口から駐車場に出た。
「あのスマホにノーアを使った痕跡があるんだ!」
「まったく!」
手を焼かせるーーと言わんばかりに顔をしめた安室は、3人を追い抜いていった。
コナンは駐車場の植え込みに置かれた空き缶に気づいた。走りながら空き缶をつかみ、キック力増強シューズのダイヤルをすばやく回す。
日下部は駐車した車の間を縫うように走っていた。
「逃がすかよ!」
コナンは空き缶を思い切り蹴った。車の間を一直線に突き進んだ空き缶が、日下部の腕に直撃する。
「ぐあっ!」
激突された衝撃で植え込みに吹っ飛んだ日下部は、そのまま転がって歩道へ落ちた。が、すぐに起き上がって走り出す。
「クソッ!ダメか!!」
「問題ない!」
日下部を追いかけていた安室は車のボンネットに飛び乗り、駐車場に停められていた車の上を次々とジャンプして進んでいった。そして植え込み横の車を踏み台にして、大きくジャンプする。
植え込みを高く飛び越えた安室は、走ってきた日下部の前に着地した。その様子を見ていた冠城は走りながら、唖然としたのは言うまでもない。
「クソォ!」
足を止められた日下部は安室に殴りかかった。が、安室はすばやくかわし、日下部の肘と肩を押さえて歩道に倒した。そして両腕を後ろ手にして締め上げる。
「往生際が悪いですね、日下部検事」
「はぁ、はぁ。いきなり走り出すからびっくりしましたよ、まったく」
すぐに右京と冠城も駆けつけて日下部を囲んだ。
「日下部検事。あなたがテロを起こした動機は、本当に公安警察なのか!?」
痛そうに顔をゆがめた日下部は、ゆっくりと口を開いた。
「……サミット会場が爆破され、日本人選手団がテロの被害に遭い、そしてアメリカの探査機が東京に落ちれば、公安警察の威信は完全に失墜する」
「なぜそこまで公安警察を憎む?」
日下部は背後の安室に顔を向けてキッとにらんだ。
「お前ら公安警察の力が強い限り、我々公安検察は正義をまっとうできない!」
「思い上がりも甚だしい!!」
「正義のためなら人が死んでもいいっていうのか!?」
右京と、追いかけてきたコナンが問うと、
「民間人を殺す気はなかった!」
日下部は即答した。
「いや、本当はこんな大事にするつもりもなかった!」
「何?どういう事だ」
日下部を締め上げていた安室は、前から聞かされる日下部の言葉に驚き、縛りを緩めずに彼に聞いた。
「本来ならば、警察のある男を始末すれば私の計画は完遂されるはずだった。しかし、その男は自らの行いのしっぺ返しを食らった。しかし、その男を殺すはずだった私の計画はそれで台無しにされてしまったからこそ、この計画を仕組んだ!」
「そして民間人の死傷者が出ないように公安警察しかいない時に爆破し、死亡者が出にくいIoTテロを選び、カプセルを落とす地点もその男と縁があるあそこを選んだ!」
と赤レンガ造りの法務省旧本館の向こうにそびえる黒い建物ーー警視庁を見上げる。
「警視庁を停電させたのは、中にいる民間人を避難させるため?」
コナンの問いに、日下部が「ああ」とうなずくと、安室は日下部の腕を離した。
「そうか。ここへ来るまでの道でIoTテロを起こしたのも、入ってくる人を止めるため……」
「それでも、だれかが犠牲になる可能性はあったはずだ!」
力なくうなだれる日下部にコナンが言うと、日下部はコナンをにらんだ。
「正義のためには多少の犠牲はやむを得ない!」
「そんなの正義じゃない!」
自分が信じて疑わなかったものを真っ向から否定された日下部は、ガクリと膝を折り、両手を地面についた。
「なら……なら、あの男のしたことはどうなる!?あの男も自らの信念を貫くためとはいえ、人を見殺しにしたり犯罪をもみ消す男だぞ!私の正義を否定するならその男の正義も否定してみろ!」
先程から日下部が繰り返す
「なるほど。あなたが憎むのは警察関係者であり、尚且つ公安警察に関わり、もうこの世には既に存在していない人物……、そう言うことですね?」
「……杉下右京。『人材の墓場』『警視庁の陸の孤島』と揶揄される特命係の係長で、上層部からの圧力にも屈せず真実を暴く警視庁一の刑事、流石といったところだ……。そうです。あの男はあなたにも関わりがあるはずです。絶対にね」
日下部検事が映画より頑固になっていていましたね汗。物語の展開上、そうなってしまうのですが……。
あと、タイムリーな話題として
梶くん、竹達さん。ご結婚おめでとうございます!
末永くお幸せに!