場所は埼玉県麻帆良市 麻帆良学園
時は、麻帆良祭最終日
「では……私はそろそろ行くとするネ」
「超さん」
学園内のとある一エリア
そこにそびえたつ石柱の上に、高所であることに対しまるで恐れる様子を見せない少年少女が数名
内一人はその中で唯一の少年、ネギ・スプリングフィールド
残りはその彼の生徒、超鈴音含む数名の少女
その下では彼らよりも数倍多い少女達が、ギャーギャーと大声を周囲に広がせながら大暴れ
超鈴音が突如として取り出した、とある一冊の書物を巡っての争奪戦
それは未来人の彼女が未来から持ち込んできたもので、ネギ・スプリングフィールドの将来の伴侶までもが書き記されたという家系図
ネギを想う者、愛す者、単に興味がある者etc……
各々が他人には見せてたまるかと、前述の通り大暴れの真っ最中であった
そんな彼女たちがいる下と、今ネギ達がいる上とはまるで別空間を思わせる
下の面々には一瞥もくれず、ネギと超は更に言葉を交わしていった
「どうしても……なんですか?」
「いや……楽しい別れになたヨ、礼を言うネギ坊主。私には上々ネ」
「でも……本当にこれでいいんですか!? 超さん、あなたは何一つ……」
ネギは食い入るように超へ
「いや……案ずるなネギ坊主。私の望みは既に達せられた」
超はそのネギの言葉に笑顔を返す
「え……そ、それはどういう……」
「わが望みは消えた、だが私はまだ生きている」
超の周りから魔力があふれ出す
その超の頭上には、突如巨大な魔法陣
それに吸い寄せられるかのように、超の身体が上昇する
「ならば私は、私の戦いの場へと戻ろう。ネギ坊主、君はここで戦い抜いていけ」
「超さん……」
ここに残らないかと、先程ネギに誘われた
この時代に残って自分と共に 偉大な魔法使い マギステル・マギ を目指さないか、と
それも悪くないとつい思ってしまった超だが、今はもう迷いは無い
ただ心残りだったのは、この未来への帰還が異常気象の影響で予定より一年早まったこと
しかしこれを逃せば、帰還は二十年以上先となる
クラスメイトと共に参加する卒業式とこれとを天秤にかけた回数は、0ではない
(だが私は、やらねばならない……すまぬなネギ坊主、そして……)
超は自身が浮き上がる感覚を確認しつつ、ネギから視線を外して真下のクラスメイトらを見やる
続いて、石柱に立つ残りの面々へ最後の言葉を放つ
今回も彼女に最大限の協力をしてくれた最高の相棒、ハカセへ
今はもはや自立した個体とも言える彼女の最高傑作、茶々丸へ
最後に
「いつかまた……手合わせするネ!」
「……ウム!必ず!」
掛け値無しに一番の親友、古へ
いつかまた、必ず
こう言葉を交わした、その直後だった
「!?」
超の頭上の魔法陣が、さっきまでと違っておかしな光を放ち始めたのは
「な、何事ネ!?」
「超さん?」
超は身体を浮かせたまま首だけを後ろに向け、魔法陣を目にしてさらに驚きを大きくした
この驚き様からして、もともとこういう仕様という線は絶対にあり得ない
(おかしい!予定上とはまるで異なる反応、このままでは全く違う術式が……くっ、しかも中断不可カ!?)
「超さん、どうしたんですか!?」
「ネギ坊主!古!みんなここから離れるネ!」
顔を再び正面に向け、超が声を荒げた
これから何が起こるか正確には把握出来ていない、だが彼女は直感した
マズい!
このままネギ達がここにいると危ない、と
「ネギ坊主!」
「ネギ先生!」
「ネギ!」
(っ!よりによってこんな時に!)
そこへあまりにもタイミングが悪く、超らに近づく三人
「楓さん!龍宮隊長!コタロー君!」
ネギがその三人の名を大きく口に出した
「さっきからすごい光がするので、何事かと思って来てみたのでござるよ」
「なんや!?超姉ちゃん浮いとるで!」
楓がここに参上したわけを述べ、コタローは空中の超を指差す
「早く!早くここから逃げ……」
超が楓ら三人も含め、改めて目の前の全員へ言い放ち切る前にそれは起こった
「「「「「!?」」」」」
魔法陣から、まるで破裂した風船のように光がカッと飛び出した
閃光弾の何倍もあるようなとてつもない光が
まず真っ先に、発光源の正面の超が
続けてすぐ近くにいたネギ達八人が、言うまでもなくそれに飲み込まれ
石柱の下にいた明日菜達も、気づくやいなや走り出したが同じようにすぐ飲み込まれていった
叫び声をあげる者もいたが、掻き消される
光はネギ達を飲み込むと、ほんの数秒で収まった
「ネギ君!超君!明日菜く……ん……」
魔法先生の中で一番近くにいたタカミチ
この事態に気付き誰に言われるでもなく現場へ急行した彼だったが、もう遅かった
「いたぞ爺、あそこだ……おいタカミチ!ここで一体何が起こった!?」
それからさらに数秒のタイムラグ
たまたま共にいた学園長と一緒に、真祖の吸血鬼エヴァンジェリンが到着
詰め寄って詰問するが、タカミチが言えることは唯一つ
「ネギ君や超君達が……消えた」
これだけだった
「なっ!?」
「何じゃと!?」
そう
先ほどまでネギ達がいた、現在タカミチ達三人が立っているこの場所
ここにはもう、ネギ達十数名は完全に姿を消していたのだから