ネギドラ!~龍玉輝く異世界へ~   作:カゲシン

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 サブタイから分かるかと思いますが、今回出るキャラは彼女達です。合計で今日は2本、ではどうぞお楽しみください。


第9話 目覚めた先は巨大企業 出でよ炎の魔人

「……どか、のどか」

 

「うーん……ハルナ?」

 

 親友、早乙女ハルナの声を耳にする

 

 自分がいるのは随分とふかふかしたベッドの上、寮の自分の部屋のより断然上質だ

 

 ハルナが横にいて、自分は見知らぬ場所のベッドの上、今分かったのはそれだけ

 

 どんな状況下にいるかも殆ど定かでないまま、宮崎のどかは目を覚ました

 

「ここ……どこ?」

 

 寝ぼけ眼で辺りを見る、やはり知っている場所では無い

 

「私だって訊きたいわよ」

 

 訊いてみたが、あっさり首を横にふられた

 

 ハルナも同様、気がついたらこの部屋のベッドの上

 

 彼女の方が先に目を覚まし、隣で眠るのどかを見つけて起こしたらしい

 

「ここ、麻帆良学園なのかな?もしかして私達、また超さんの道具か何かで……」

 

「とにかく、この部屋から出てみましょ」

 

 寝起きで少々体はだるいが、こんな非常時に甘いことは言っていられない

 

 ベッドから二人は降り、その先で目に入った正面のドアへ歩を進める

 

 開けた瞬間、罠が飛び出すかもわからない

 

 そんな考えが頭をよぎったせいか、のどかはドアへ手を伸ばすのを躊躇った

 

 見かねてハルナが意を決し、自らがドアを開けんとのどかより一歩前へ出たちょうどその時

 

「あら、二人とも目が覚めたのね、よかったー」

 

「「っ!……?」」

 

 反対側から、別の誰かがドアを開けて突如入室

 

 思わず身構える二人、自分らの知人ではない

 

 が、どうも危害を加えんとしてやって来たわけではなさそうだ

 

「ちょっとー、そんなに怖がらなくてもいいってば。……まあ、いきなりこんな状況じゃ仕方ないかもね」

 

「……えっと、どちら様ですか?」

 

 この女性、ブルマはハルナの問いに答えると共に現在に至るまでの過程を話してくれた

 

 簡潔にまとめると、

 ・気分転換に自宅の庭園へ足を運んでみると、そこで三人の少女が倒れていた

 ・とりあえず空いている部屋へ運ぼうとしたら、その内の一人が一足先に目を覚ました

 ・その子から大まかな事情を聞き、その後二人(つまりのどかとハルナ)をこの部屋まで運び込んだ

 

 以上のことをブルマは説明する

 

「あ、ありがとうございます。こんな見ず知らずの私達のこと……」

 

「いいのいいの。そういうわけでその子からあなた達の名前も聞いてるわ、あなたがハルナで、あなたがのどかね」

 

 名前を双方確認し、自己紹介を終えたところでブルマは二人を連れて部屋を出る

 

 のどか達と一緒に現れたもう一人の少女は、ここより下の階の研究室にいるのだという

 

 廊下を進むにつれ、この建物がかなり巨大であることに二人は気付き始めた

 

「自宅兼会社の研究所なのよここ、だから建物としては確かにかなり巨大ね」

 

「へー、研究所……」

 

「しかも本社とは別に建ってるわけですよね……すっごいお金持ち」

 

 三十秒ほど歩くと、一同は鉄製の扉の前に到着

 

「この研究室の中よ。父さん?入るわね」

 

 ノックをし、ブルマはドアを開ける

 

 研究室の中には、ブルマの父親と思わしき白髪の男性と

 

「あ、早乙女さん宮崎さん。起きたんですね」

 

「葉加瀬さん!」

 

「やっぱりハカセか……」

 

 ハカセこと、葉加瀬聡美の姿があった

 

「この子、『この世界の発明品は革命的だ、すばらしい』なんていうから色々見せてあげてるのよ」

 

「葉加瀬さんらしいですね……ってあれ?」

 

 何かブルマの言葉に引っかかった様子ののどか

 

「この世界?」

 

「……あーいっけない、まだ肝心なこと話してなかったわね」 

 

 二人ともよく聞いて、とブルマがあらかじめ言い、続ける

 

「さっき聡美から聞いたこととかを総合すると、あなた達はこの世界の人間じゃないみたいなのよね」

 

「「……」」

 

 一瞬理解できず固まる二人だが、すぐ我に帰る

 

「「え!?」」

 

 そこへ葉加瀬が、地球儀をのどか達の所へ持ってきた

 

「これを見てください」

 

「あれ?日本が無い……」

 

「しかも何この大陸!?全然見たことないんだけど!」

 

 これは本当に地球儀かと疑いをかけるハルナだが、葉加瀬は間違いなく『ここ』の地球儀だと主張する

 

「どうやら私達は超さんのあの光……転移魔法の暴走によってここ、別次元の地球へと飛ばされてしまったようです」

 

 既に二人はネギ達との関わりを通して、魔法や時間渡航といった超常現象を経験済み

 

 故に葉加瀬の言葉は自然と信じることが出来、より一層現状の深刻さの理解は早かった

 

「ネギ先生や夕映は!?それに他のみんなも……」

 

 こののどかの問いに、わかりません、と葉加瀬は答える

 

 此処とはさらに別次元へ飛ばされた可能性もあることを話すと、のどかの両足の力がフッと抜けた

 

 床へ両膝が付こうとしたところで、何とかハルナが腕を伸ばして支える

 

「ちょっ、のどかしっかり!」

 

「そんな……ネギ、先生……夕映……」

 

「大丈夫よのどか」

 

「……ブルマさん?」

 

 ネギや夕映、大切な皆の安否が分からない、確認する術も現状では無い

 

 絶望に打ちひしがれる、まさにその直前ののどかへ声をかけたのはブルマ

 

 のどか達の世界には存在しない、ある不思議なアイテムの名を口にした

 

「ドラゴンボールを使えば、きっとみんな揃って帰れるわ」

 

「え、帰れる?」

 

「そうよ」

 

「ちょっと待ってブルマさん、ドラゴンボールって何です?」

 

 初めてドラゴンボールの名を耳にするのなら、ハルナがしたような質問が出るのは当然

 

 待っていましたとばかりにブルマは解説した

 

 神殿に住む地球の神が作り出した、ドラゴンボールの存在について

 

 それは七つ集めればあらゆる願いを叶えられる物であり、ここにいる三人を含め仲間全員を元の世界へ戻してと願えば良いということ

 

 現在は石になっていて使用不可、ただし三週間後には元に戻ること

 

 最後に、世界中へ飛び散っているそれらを探すためのレーダーの存在をだ

 

 加えてドラゴンボール復活までの三週間、ブルマは三人をここで居候させてやることに決定する

 

 これ以上無いであろう厚意に、同時に二人は頭を下げた

 

「でもその代わりにお願いが一つ……あなた達の魔法、見せてくれないかしら?」

 

「「え!?」」

 

 魔法云々のことは、先に葉加瀬が色々と話してしまったらしい

 

 曰く、ブルマの知り合いにも魔法を使う老婆がいるが、随分と金にがめつく見られる機会が少ないんだとか

 

 泊まり賃と思えばいいかと軽く考え、二人はポケットからカードを取り出した

 

 ネギや夕映ならともかく、二人が出来る『魔法』といえばこのカードしかない

 

「「アデアット」」

 

 呪文を一言、二人は同時に口にする

 

 カードは輝きを放つと同時に、その姿は別物へと変貌

 

 分厚い洋書とクロッキー帳になり、それぞれの両手に収まった

 

「おお!それが魔法のアイテムね!」

 

「私達の世界ではアーティファクトと呼んでます」

 

 そういうとのどかは自身のアーティファクト『いどのえにっき』を開く

 

 本の能力を説明するよりも先に、のどかはブルマへ質問を一つ

 

「えっと……ブルマさん、失礼ですが今お幾つですか?」

 

 のどかがそう尋ねると、本に絵と文章が浮かんできた

 

 絵はフフンと誇らしげな顔をするブルマ、文章は

 

“あら、のどかには何歳くらいに見えたのかしら?実はもう35なんだけどねー”

 

 と書かれていた

 

「35!?」

 

「若っ!」

 

 覗きこんでいたハルナ共々、驚きを露わにする

 

 同様に、現時点でまだ答えを口に出していなかったブルマも驚きの表情を見せた

 

 いどのえにっきの能力は、相手の表層意識を読み取るいわば読心術

 

 そのことをのどかが簡単に説明すると、次はハルナのクロッキー帳に目が向けられる

 

 先程は説明を省いたが、ハルナのカードからはクロッキー帳の他にもアイテムが出現

 

 ベレー帽とエプロン、さらには羽ペンが装備されていた

 

「私のはこのペンを使ってですね……えっと、何描こうかな」

 

 ハルナは早速羽ペンで、クロッキー帳に何を描くかと思案する

 

 今いる場所が場所のため、あまり大きなものは描けない

 

 適当に研究室内の物でも模写してみるかと、ふと後ろを振り返る

 

「ブルマさんこんにちわー、遊びに来ました」

 

 目に入ったのは、宙に浮くネコ(?)のような小動物だった

 

「あれ?初めて見ますねこの子達、ブルマさんのお知り合……」

 

「え!?何この喋るネコちゃん!?」

 

「ふえっ!?」

 

 ハルナの手が咄嗟に伸び、ネコ(?)の両脇を掴んで引き寄せて手元へ

 

 続いて、何か機械仕掛けであることを疑っているのか身体のあちこちを触りだす

 

「あひゃっ、く、くすぐったいですやめてくださいーー!」

 

「うーん、何にも無い……やっぱりカモくんみたいに、こっちの世界にも喋る動物がいるってことかしら」

 

「た、助けてヤムチャ様ー!」

 

「おーいブルマ、重力室貸してく……プーアル!?」

 

 それに数秒遅れ、ヤムチャと呼ばれた男性が研究室へと入ってきた

 

 身につけているのは山吹色の道着、知り合いの古のように武道でもやっているのか

 

 そして顔、頬に数ヵ所傷跡が見られたが、なかなかどうして男前な顔立ちだ

 

 こうしてハルナの興味がヤムチャの方へ逸れた隙をつき、プーアルは彼女の手から抜け出しヤムチャへと飛びついた

 

「ヤムチャ様ー!」

 

「ど、どうしたんだプーアル……それになんだか、見知らぬ顔が幾つかいるみたいだが」

 

 プーアルを捕まえていたハルナは当然として、その周辺を見れば他にも初対面の少女が二人で合計三人

 

 ハルナ達からしてもヤムチャのことは何一つ知らない、この人誰ですとブルマに訪ねたのはやはりハルナ

 

「私の古い友人でヤムチャっていうの、一応武道家よ」

 

「一応って何だよ一応って……っていうか、そっちこそ誰なんだ?」

 

「あ、ごめんヤムチャ。彼女達は……」

 

 ブルマはヤムチャにこれまでの経緯を簡潔に説明し、情報を共有

 

 ヤムチャも同じく信じてくれ、これまた同じく魔法のことにも興味を持った模様

 

 俺にも見せてくれよ、こう頼むヤムチャを拒む理由は別段ハルナには無かった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 自分の魔法を見せるなら、狭い研究室ではなくやはり広い別の場所の方がいいだろう

 

 そう考えたハルナはブルマに広い場所は無いかと訊いてみると、敷地内にある庭園に案内された

 

 始めにハルナ達が倒れていた場所で、確かに個人の所有物としては普通でない大きさ

 

「ここでいい?ハルナ」

 

「OKです!それじゃあ……」

 

 ハルナは羽ペンをクロッキー帳に伸ばす

 

 折角だ、新作でも即興で描いてみるか

 

 そう思い立ったハルナは、頭の中で思い浮かべたイメージを一気に描き出した

 

 描く直前目にしたのはヤムチャ

 

 武道家の称号は伊達ではなく、相当鍛えているようで腕や胸の筋肉がかなり隆々としている

 

 これがハルナの中で強い印象だったのか、描かれたのは筋肉隆々な巨人型モンスター

 

 それだけでは味気ないので、何か属性的なものを追加しようと炎を追加

 

 あとはアクセントに二本の角を頭から飛び出させ、黒の紋様を身体や顔につけ完成

 

 名前もパッと浮かび出た、あとはその名を叫ぶだけ

 

落書帝国(インペリウム・グラフィケース)!出でよ、炎の魔人(インフェルノ・アニキ)!」

 

 クロッキー帳は激しく光りだし、そこから文字通り炎の魔人が飛び出した

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