ネギドラ!~龍玉輝く異世界へ~   作:カゲシン

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最低年末までにあと一本、よし何とかセーフですね(震え声)
正直すいませんでした、ちょっと書き直すだけだしと調子乗ってたらずるずる大晦日です。
ではどうぞ


第21話 悟飯へ決めろ!この一週間を込めた一撃

「おーいネギ、悟飯、早よ始めようやー!」

 

 パオズ山に建つ一軒屋の外で、コタローは親友二人の名を大声で呼ぶ

 

 いつもなら既に、大会へ向けての合同の修行を始めている時間

 

 にも拘らず、表に出て準備を終えているのは現在コタローだけだった

 

「ちょっと待ってコタロー君、あと一問で終わるみたいだから」

 

 そこへ、悟飯の部屋の窓からネギが顔を出す

 

 将来学者になるという夢を持つ悟飯は、一年前のセルとの戦い以降日々学問に励んでいた

 

 大会を控えた現状でもそれは、量をやや減らしながらも習慣として継続している

 

 それを邂逅初日の晩に知ったネギは、定期的に悟飯の勉強を見てやっていた

 

 数学や化学のような理数系の分野はネギ達のいた地球と内容に大差なく、大学修了級の頭脳を持つネギなら充分に教えられる

 

 ネギの言うとおり残るは最後の一問のみで、それを悟飯は急いで解き終え家の外へと飛び出した

 

 机に向かう時点で修行着には着替えており、すかさずネギも合流し三人が揃う

 

「ごめんごめん、昨日の分でやり終えてないのがあってさ」

 

「ったく、修行前に勉強なんかよーやれるな。個人で好きにやってるなら別に後回してでも構わへんやろ」

 

「まあまあコタロー君……」

 

 少々ではあるが修行時間が削れたことに悪態をつくコタローをネギが宥め、いよいよ開始

 

 家のすぐ近くでやるわけにもいかないので、少し離れた平地まで飛んで移動する

 

 と、ここでこの場に不在の彼女のことについて触れねばなるまい

 

「……ところで、いいんちょさんは?」

 

「とっくに二人より先に家出て裏の森で自主練しとるで。多分あと一時間もすれば下りてくるんちゃうか?」

 

 開始当初ネギとコタローと共に舞空術習得に励んでいたあやかは、一週間が過ぎた現在ネギ達とは基本違ったメニューをこなしていた

 

 舞空術習得後は悟飯との組手の割合が増えたのだが、悟飯の実力はネギら二人がかりでも片手で余りあるほどの差がある

 

 当然基本パワーで劣るあやかには一層ついていけるはずもなく、かといって彼女の基礎力を上げるために時間を割いていてはネギ達の修行に響く

 

 それを自覚したあやかは、あくまで悟飯やネギに見てもらうのは最小限に留めて個人での修行を中心に行うようになった

 

 舞空術はそれなりに出来るようになったため、今やっているのはおそらく気功波の発現辺りだろうか

 

「そっか……本当は始めに少し見てあげたかったんだけど、あやかさんには悪いことしちゃったかな」

 

「悟飯、それはもうええからとっとと始めるで」

 

「あ、うんそうだね。まずは二対一の組手からかな」

 

 いつも修行で使っている平地に到着し、三人は降りる

 

 そして悟飯の先程の言葉を受け、ネギとコタローは悟飯の正面へと陣取った

 

 コタローは気を、ネギは魔力をそれぞれ全身に纏わせ準備完了

 

「いつでもいいよ二人とも!」

 

「よっし、行くでネギ!」

 

「うん!」

 

 この言葉と同時に、ネギとコタローは瞬動で悟飯に突っ込む

 

 瞬く間に距離を詰めた二人は、握った拳を悟飯へ

 

 だがその攻撃を悟飯が喰らうことはない

 

 即座に身をかがめ、拳二つは頭上を通過

 

 すかさず今度は蹴りが二発飛んでくるが、それは両腕を縦にし完璧に防ぐ

 

 激しい攻防戦が始まった

 

 悟飯の教えを受け、当初より実力を上げた二人の攻撃は猛烈な勢いで悟飯に迫る

 

 拳や蹴りが空を切る音、あるいは悟飯が防御に使った手や腕との衝突音がほぼ絶え間なく周囲に響いた

 

 しかしその中で悟飯への有効打、即ち顔やボディへの命中は一発たりとも無い

 

 全て避けるか防がれる

 

 修行を始めた当初も、一週間が過ぎた現在もそれは変わらない

 

(けど今日こそは……当てたるで!ネギ!)

 

(うん!)

 

 だが今日、ここで状況は一変した

 

(これで……どうや!)

 

「!」

 

 右拳二つをかわし終えたところで、悟飯の目に第三の右拳が入る

 

 明らかにネギ達はまだ突き出したままであり、二人のものではない

 

 いや、正確にはコタローのものとも言えるのか

 

「食ら……ぐっ、やっぱこれも避けるか!」

 

 気を使った分身で、楓も使っていた影分身

 

 彼女と比べれば数も気の練度もうんと劣るが、小太郎も使用可能である

 

 実は対悟飯で披露するのはこれが初めてで、一応は悟飯の虚を突くことが出来たがすぐに対応される

 

 少量気を高めてスピードを上げて回避、後退して現状を把握した

 

(残像拳……じゃない、確かにあれは実体!コタロー君こんな技……もっ!?)

 

(けど、まだまだ増えるで!)

 

 悟飯が下がったことで攻撃に一拍置くことになったコタローは、悟飯へ突撃しながらさらに影分身を展開

 

 その数四体、元いたのと本体を合わせて六人のコタローが悟飯へと襲い掛かる

 

 前後左右を取り囲み、先程以上の攻撃の雨

 

「……だあああっ!」

 

「っ!ようやくそっちから手ぇ出してきたな、待っとったで!」

 

 それを受け、ついに悟飯は自らの拳を今日初めて振るった

 

 影分身と本体とで異なる気の流れを敏感に察知し、分身体を二体ほど正確に打ち抜く

 

 攻撃を受けた二体は煙のようなものをあげて消滅、攻め手が減ってしまったわけだがコタローに不安気な表情など一切ない

 

 自身は悟飯への攻撃を続けながら、更に影分身を展開

 

 攻撃に対処しながら、悟飯は次々と影分身へ攻撃するがその頭数が減ることはない

 

 気功波を使えばまとめて倒すことも不可能ではないが、それでは組手にならないと思ったか使用せず

 

 悟飯は一旦、舞空術で空中へ移動するという選択肢を取った

 

「逃がすかい!」

 

 コタローがその後を追い、影分身と共に一斉に空へと飛び上がる

 

 まず最初の一体が拳を振り上げ攻撃態勢、残りの者も後ろからそれに続く

 

 しかしそれは、コタローの失策だった

 

 悟飯はしてやったりの笑みを見せ、最初に殴りかかってきたコタローのパンチをかわす

 

 そして次の影分身へも攻撃、この間が地上と比べ圧倒的に速い

 

「しまっ……」

 

「一対複数と、一対一を複数やるのとじゃ全然違うからね」

 

 さっきまでは影分身撃破直後に「他の影分身又は本物の攻撃をかわす」という動作が入っていたが、ほぼ同方向から順に攻めていったさっきの状況ではその必要はない

 

 瞬く間に影分身は全滅、残る本体のコタローのすぐ目の前に悟飯が迫る

 

「まだ……やあああああああっ!」

 

 これで勝負あり、否、コタローは次なる攻撃を仕掛けた

 

 今度は両手から気弾攻撃、自らの拳と遜色ない速さで悟飯へ向けて飛ばす

 

 コタローに一撃与え組手に一区切りつけようとした悟飯だが、これはいけないとまず顔面に来た一発目を高速で身を逸らして回避

 

 その間に右手に気を込め、更に飛んでくる気弾を弾き始めた

 

「だだだだだだだだああっ!」

 

 コタローは距離をとりつつ次々と気弾攻撃

 

 この間に他の攻撃が出来れば良かったのだが、今のコタローの実力ではこの状態で影分身を出すには気の消耗が激しすぎる

 

 それも悟飯はこうして気弾を弾きながら把握

 

 そのため現状では、まず自身がこの弾幕を突破しようとしない限り状況に進展はない

 

 あるいは、コタローが気を使い果たすか

 

(コタローくんにとって得することはないはず、なのに……)

 

 よってコタローの意図が読めずにいた

 

 そう、コタローが気弾を放ち続ける以外に攻撃が出来ない今、悟飯を他に攻撃出来るものはいな……

 

「だああああああっ!」

 

(しまっ、ネギく……!?)

 

 いや、もう一人、ネギがいた

 

 思い返せば空中戦以降後、もっと遡ればコタローが地上で影分身を展開した頃からネギが攻撃してくるのを見ていない

 

 失念していた悟飯の左脇から、ネギが咆哮と共に突っ込み右腕を振り上げる

 

 しかし万一に備え、悟飯が気弾を弾くのに使っていたのは右手のみ

 

 左手は空いており、ネギの攻撃を防ぐにはこれ一本で充分

 

 現に悟飯は即座にネギの手を止めたが、問題はその先

 

 ネギの右手の先は、グーでなくパー

 

 受け止められた後に即座に切り替えし、悟飯の腕を掴む

 

魔法の射手(サギタ・マギカ)戒めの風矢(アエール・カプトゥーラエ)!!」

 

 その先から、捕縛効果を持つネギ得意の風魔法の矢が飛び出した

 

 これも悟飯は初見、完全に面食らい反応が遅れる

 

 風矢は悟飯の全身、更には防御に使っていた左右の腕まで巻き込んで拘束

 

「ぐっ……」

 

 至近距離での発動のため効力は最大であり、悟飯が振りほどくまでにコタローの気弾は見事着弾

 

 振りほどいた直後には、好機と見たコタローが気弾の連射をやめて殴りかかっていた

 

「っだああああ!」

 

白き雷(フルグラティオー・アルビカンス)!」

 

 更には、ネギが高速で詠唱を済ませ攻撃呪文を放つ

 

(これでどうや!)

 

(当たれええええぇっ!)

 

 一週間策に策を重ね、一発でも何とか有効打を決めようと練りに練った今回の攻撃

 

 コタローの気弾が命中こそしたが、有効打には到底足りえない

 

 二人の攻撃に悟飯は

 

「……はああああっ!」

 

 この一週間の中で一番に高めた気をもって、迎え撃った

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「痛たたた……効いたでぇ悟飯」

 

「でも凄かったよ二人共、ここまで強くなるなんて」

 

 組手は終わり、悟飯達三人はあやかが自主練から戻ってくるのを待っていた

 

 結果は、やはりというべきかネギ達の完敗

 

 ネギの稲妻は悟飯を捉えこそしたが、全身から放った気が完全に防御

 

 避けもせず片腕すら使わず、コタローの攻撃を完全体勢で受けきった結果は言わずもがな

 

 次の瞬間には、大怪我をせぬよう調節された悟飯の攻撃が二人を地上へと叩き落とした

 

「まあかれこれ一週間やしな、なんも成果なしのままズルズルいくんはあかんて」

 

「そうかもう一週間、大会まで折り返しなんだよね」

 

「……あ」

 

 思えばここへ来てから大分経つ、そのことを振り返るネギとコタロー

 

 一方で悟飯は、二人が放った『一週間』という言葉で突如あることを思い出した

 

「『あ』?」

 

「どないしたんや?悟飯」

 

 本来大会前ということであれば、ネギやコタロー以外にも彼にとってうってつけの修行相手がいたはずだ

 

 他でもない悟飯の師匠、しかし彼は合同での修行に断りを入れていた

 

 最後の戦いからも修行を続けていた師に対し、自身は勉強に打ち込み始めたことで戦闘の勘が鈍っていることが明らかだったためだ

 

 一週間待ってください、それまでには勘を取り戻してみせます

 

 ネギ達と会う前日、悟飯はそう言った

 

 そして既に、その一週間は過ぎていた

 




三が日までにもう一本目指して頑張ります、この話からの続き物ですので勢いそのままに書いていこうと思います。

読んでる方の大半はもう年を越してるとは思いますが、それではみなさん良いお年を。2014年もよろしくお願いいたします。
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