ネギドラ!~龍玉輝く異世界へ~   作:カゲシン

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 最近ネギま!でこのサイトで検索かけたら同じくドラゴンボールとクロスさせた作品を見つけました。にじファン時代もそういった作品を見ながら楽しく書いてたものです。ではどうぞ


第27話 古菲奮起 始まった超修行

 南の海、オーシャンブルーの色を持つそれのど真ん中にそびえ立つピンクの一軒家

 

 名はカメハウス、今ここには計四名の男女と一匹のカメが住んでいた

 

「ん?五月何作ってんだ?」

 

「スポーツドリンクらしいですよ」

 

 クリリンはテーブルの上に並べられた数本のボトルを見つける

 

 その横では四葉五月がもう一本のボトルに飲み物を注いでおり、ウミガメによればスポーツドリンクを製作中とのこと

 

 クリリンと古菲、二人が出場する天下一大武道会の開催は近い

 

 それに伴い激しさを増す両者を見かねて、五月は朝食の片づけを済ませた後さっそく取り掛かっていた

 

 よければ一本どうぞと勧められ、その言葉に甘えクリリンは一本手に取り口をつける

 

「……ん、美味い!」

 

「そうじゃろそうじゃろ、一汗かいた後に飲むこの一杯は最高じゃわい」

 

「武天老師様……女の子が同じ部屋の中にいるんですから、そういったものはご自重なさっては」

 

 一口飲んで真っ先に出た感想に亀仙人も賛同、彼の右手にもまた同じボトルが握られていた

 

 額や背からは汗も流れ顔も赤い、ただしクリリン達のような理由ではなく、だ

 

 ウミガメが呆れ半分に進言した後、見やった方向には一台のテレビ

 

 そこに映っていたのは、やや露出が多めのトレーニングウェアを身に纏いエクササイズを行う美人女性達の姿

 

 集団の先頭に立つトレーナーらしき女性がワンツーワンツーと声を張れば、亀仙人もにやけ顔でそれに応え他の女性達と同様にワンツーワンツーと手足を動かしていた

 

 ちなみにTV番組ではなく、わざわざ亀仙人が通販で購入しデッキで再生しているシリーズ物のDVDである

 

「な、何を言うか!わしはいたって健全にエクササイズで健康管理をじゃな……」

 

“さあ、今度は背中を大きく反らして!はいワンツー、ワンツー”

 

「おおおおっ!こりゃすごい!」

 

「……はぁ」

 

 亀仙人はすぐ反論したが、途端にまたテレビの中に目を奪われる

 

 上体を反らしたことで真上を向いたトレーナーの双丘の動きを、興奮した様子で観察した

 

 こりゃだめだとウミガメはため息を一つ吐き、すごすごとカメハウスの外へと玄関から出る

 

 その様子を目で追ったクリリンは、更にその先にある物を見てあることを思いつく

 

「あ、そうだそのスポーツドリンク俺が直接持っていくよ、多分あいつまだ暫く入ってるだろうし」

 

 ではお願いしますと五月は最後の一本に蓋をし、数本ある内の二本をクリリンに渡す

 

 残りはぬるくならないようにと冷蔵庫へ入れ始め、クリリンはありがとなと五月に礼を述べてカメハウスを出る

 

 出たすぐ先にあったのは、身の丈の数倍はある直径を持つ球状の建造物だった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 つい先日クリリンが知り合いに頼み、作って送ってもらったものである

 

 中身は広い部屋が一室、それのみで他には無い

 

 内部の詳細を語るとすれば、まず最初に目に入るのが機械を組み込み床から天井まで届く柱が中央に一本

 

 現在稼働中であるかを示すように、小さな駆動音を内部から鳴らしている

 

 そして床は正方形の赤いタイルの様なものが一面に貼られ、壁には外の様子を確認出来るよう円形の窓が周囲に万遍なく設置

 

「ふっ……ふうっ、んぐぐぐ……」

 

 その中に古菲は一人籠り、黙々と修行の日々に明け暮れていた

 

 現在やっているのは逆立ち指立て伏せ、頭は地にそして足は天を向く

 

 彼女の腕力をもってすれば本来朝飯前でこなせるこの行為も、今は顔を苦渋に歪めつつ実行中

 

 曲げたまま数秒間固定していた肘を伸ばし、伸びきったところで限界が来たか体勢を解く

 

 身体をくの字にし右足左足の順で床に着地すると、大きく身を揺らし片膝をついたところでようやく安定する

 

「うはぁ、掻いたアル掻いたアル。えと、どこ置いたアルかね……」

 

 いかにさっきまでの修行が熾烈で、そしてそれを集中して行っていたかは外見を見れば明らかだった

 

 洪水と形容出来そうな量の汗を掻いてる上に服も汗で濡れ逆立ちで乱れ、根元で留めていたヘアゴムも大きくズレている

 

 古は全身から吹き出た汗を拭おうと、服の乱れを直しながら足元に置いたタオルへと手を伸ばした

 

 掴んで手元まで運ぶ際によいしょの一声、まるで一荷物運ぶような台詞

 

 しかしこれは決して比喩にあらず、現に古にとってこのタオルは一荷物なのだから

 

「さて、次は八極拳の型辺りを一通りこなし……あ、クリリン!」

 

“おーい古、五月からスポーツドリンクの差し入れだってよ。ハッチ開けてくれ”

 

 すると室内上部からザザザと一瞬ノイズ音がし、次にクリリンの声

 

 窓から様子を見ると外に彼の姿、外部に取り付けられたマイクを通して中に声が届けられていた

 

 古は慌てて行動に移す、まず中央の柱へやや身を重そうにしながら移動

 

 数字がデジタル表示された液晶の横にあるボタンを一つ押すと、柱から発生していた駆動音が完全にやむ

 

 続いて出口まで足を運ぶ、先程までのとは打って変わって足取りは軽い

 

 そこに設置された二つのボタンのうち『開』と書かれた方を右手でポンと押し、ハッチを開けクリリンを迎え入れた

 

 今しがた言っていたスポーツドリンクは右手に飲みかけが一本、左手に満タンのものが二本

 

「うおっ、すごいことになってんな古……ほら、とりあえず水分取っとけ。俺もさっき飲んだけどかなり美味かったぞ」

 

「五月の作ったものなら当たり前アルよ!」

 

 中に足を踏み入れたクリリンは、身体から熱が抜けず湯気が上がる古の姿を見て真っ先にドリンクを手渡す

 

 すかさずキャップを開け、古はぐびぐびとドリンクで喉を勢いよく鳴らした

 

「……ップハー!生き返るアルねー!」

 

「しっかし、まさかここまでお前が気に入るとは思わなかったよ」

 

「大会までの修行全部をクリリンや老師に任すわけにはいかないアルからな、それにすっごい効果ヨこれは!」

 

「ははっ、ちなみに今は何倍でやってんだ?重力装置」

 

 重力室、カメハウスの正面に鎮座する球体の正体はこれだった

 

 クリリンが製作を依頼した知り合い、ブリーフ博士が初めにこれを作ったのは五年程前のこと

 

 ナメック星へ向かう悟空が移動中でも修行出来るようにと、宇宙船の一部分として組み込んだのである

 

 以後もベジータの修行用として、他の宇宙船や自宅内の一室に増設したりと何度か自身の腕を振るって製作している

 

 今回は『宇宙船のように航行機能は必要ない』かつ『重力設定の最大値はさほど高くなくていい』といった理由から時間はさほどかからず、配送用にホイポイカプセルにするのにやや手間が掛かった程度で済んでいた

 

「いやぁ、徐々に慣らしてるアルが十倍までの道のりは遠いかナという感じで……今は八倍で完璧に動けるよう努力中アル」

 

「おいおい、まだ使い始めて二日かそこらだろ。ちょっと飛ばし過ぎじゃないか?」

 

「大会まで残り六日!ビシバシこなさなくてはとても間に合わぬアル!」

 

(こういうところホント悟空にそっくりなんだよなぁこいつ……)

 

 ちなみに重力室が届く直前まで、古はクリリンから重り付きの道着を借りて修行をしていた

 

 十年近く前に天界での修行に使用していたもので、その重量はリストバンド諸々全て合わせて百キロ

 

 更にはその上から道着以前に付けていた甲羅を背負うまでやらかし、全重量は百八十キロ

 

 クリリンらの指導で気の扱い方を上達させた古は、それすらも数日でこなせるようになっていた

 

 百八十キロというと、古の体重を四十五キロと仮定すればちょうど四倍

 

 つまりこの重力室での修行に換算すれば、使用開始直前まで古は五倍に相当する内容をこなしていたことになる

 

 とはいっても実際は道着+甲羅と違い腕や頭も万遍なく重くなるのでやや差異はあるが、実際重力装置を五倍から始めても問題ないほどに彼女は成長していた

 

「あ、そうだ古。お前が教えてくれた型なんだけどさ、上手く出来てるかいまいちわかんなくてよ……ちょっと実戦方式で試したいんだ、一旦外に出て相手してもらえるか?」

 

「おっ、こちらとしても望むところアル!今度こそ私が決めてみせるアルよ!……おっと、クリリンちょと待つヨロシ」

 

 古はクリリンの提案を受け、了承し意気揚揚に腕を回し鼻を鳴らす

 

 自分の力量に合わせ、クリリンが今まで全力で相手をしてはいないことを古は知っている

 

 残された時間でどこまで出来るかはわからないが、彼女の最終的な修行目標は『クリリンの全力を引き出し、それに少しでも肉薄する』ことである

 

 相変わらずのやる気っぷりにクリリンはハハと笑うと出口へ向かうが、それを彼女は呼び止めた

 

「ん?どうした?」

 

「どうせなら私の成果も見てもらいところアルゆえ、こういう勝負を提案するヨ!」

 

 クリリンの全力を垣間見たいと願う古には、一つ考えがあった

 

 これまで幾度となく行ってきた組手を振り返れば、自身の実力と一番剥離した力を振るってきたのはおそらく最初の一戦だろう

 

 その要因は『初見』と『焦燥』

 

 加減する前提で戦うにも関わらず、初めて戦うため実力がどれほどか正確には分かっていない

 

 気の大きさとは別に中国武術という要素によって、思いのほかパワーの調整に手こずる

 

 これらに近いものがあれば、クリリンの全力に少しでも近いものと立ち会えるのではないか

 

 そして今この時、条件は揃っていた

 

 まず古は駆け足で重力室の入口に近付き、『閉』のボタンをひと押し

 

 続いて重力室中央のコンピューターまで行き、数度パネルを弄りボタンを押す

 

 液晶に映る数字は『6』、今の古が戦闘のため動ける最大の重力である

 

「うおっ!?」

 

 重力装置は作動し古には慣れ親しんだ重力、クリリンには初体験の重力がかかる

 

(動けないわけじゃないけど、これは中々……)

 

 高重力での修行、実をいうと悟空らの中で唯一クリリンのみが未体験であった

 

 セルゲームに向けて修行した面々は一年前に精神と時の部屋で、他の地球戦士達も更に昔に界王星で

 

 古さえも数日で慣らしたとはいえ、今この一瞬で適応しろというのは少々難がある

 

(六倍重力下での私の動きはまだ見せたことがない……そして一気に畳み掛けるアル!)

 

 慣れない重力六倍に、クリリンはまだ焦りを収められないでいる

 

 『初見』と『焦燥』、二つの条件を引っさげ古はクリリンに突撃した

 

 




 二話構成です、もう一話は多分来週の真ん中辺りでしょうか。ではでは
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