ネギドラ!~龍玉輝く異世界へ~   作:カゲシン

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第48話 終わりは近い!残る激闘あと僅か

 

 興奮冷めやらぬ、天下一大武道会

 

 次の戦いへ駒を進めるべく、200人超の戦士達がたった八つの椅子を賭け激闘を繰り広げていた

 

 現在五つが埋まり、残る椅子は三つ

 

 そして内二つが、近々決着を迎えようとしていた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「せえええええりゃあっ!」

 

「ぐわああっ!」

 

 下から跳ね上がるような蹴りを受け、大の大人が宙を舞う

 

 鋭い一撃を放った少女は、次の相手へと狙いを定める

 

「このガキ……え!?」

 

 既にこちらへと手を伸ばしていたが、彼女からしてみれば緩慢な動き

 

 体軸をずらして掴みをかわすと、瞬時に懐に潜り込み

 

「はああっ!」

 

「おげぇっ!」

 

 鳩尾に抉り込むような一撃を見舞った

 

 齢十少々の体躯から放たれたとは思えない、重さと鋭さを兼ね備える洗練された攻撃

 

 大人相手に格上の立ち回りを見せるこの少女、何を隠そう本家天下一武道会の優勝者

 

 正確に言うなら『少年の部』優勝だが、参加当時は「出る部を間違えている」とまで言われたほど

 

 ミスターサタンの一人娘ビーデルは、ステージF残り二人というところまで勝ち残っていた

 

(もう!何が『茶々丸は選手としての参加はなくなった』よ!パパの……それに茶々丸のバカ!)

 

 しかし当のビーデル本人は、残り二人という状況をまだ認識していなかった

 

 内にあるのは、自らの師茶々丸の選手としての大会での活躍が見れなくなったことへの怒り

 

 そしてそれを少しでも晴らすべく、目の前の大人達を全力をもってぶっ倒すという単純な思考

 

(次!次の相手はどいつ!?)

 

 怒りの矛先を失ってたったの数秒

 

 その数秒すら空くことも嫌い、辺りを見渡してバトルステージ上に残っている選手を探す

 

(いた!)

 

 ほどなくして、バトルステージ上に残る最後の一人を捉えた

 

 こちらを認知しているようだが、戦闘態勢にはまだ入っていないようだ

 

 先手必勝とばかりにビーデルは飛びかかった

 

「だあああああああっ!……!?」

 

 

 

 おかしな事が起こった

 

 

 

「は!?」

 

 視線は一度も切らないまま、向かった筈だ

 

 なのに、男の姿は見えない

 

 目の前から消えた瞬間すら、ほとんど認知できなかった

 

 いなくなったと分かったタイミングは、元いた場所を拳が通り抜けてようやくのこと

 

(どこ消えたのあいつ!さっさと終わらせ……)

 

 

 

 トン、と小さく後ろで音が鳴った

 

 

 

(!?)

 

 それも、よほど近くにいなければ聞こえないであろう小さなトン

 

 その、よほど近くなトンの出所は何処か

 

 受けたビーデルが一番良く知っていた

 

(あ、嘘……)

 

 そう、自身の首筋だ

 

 叩き込まれた音と衝撃

 

 二つを認識したのと、全身から力が抜けたのは同じタイミング

 

「……これで、全員か」

 

 三の目で見下ろす男の声は、既に耳に入っていなかった

 

『天津飯選手、予選通過!』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「やったー!天津飯さん勝ったー!」

 

 モニターを通し、知り合いの勝ち上がりを見届け歓喜する少女が一人

 

 少女の名は佐々木まき絵、両腕を突き上げ喜びを表す

 

「まあ、順当じゃのう」

 

「だよな。それに比べてヤムチャの奴、なーにやってんだか。はぁ」

 

 一方まき絵の傍で観戦する亀仙人とウーロンの両名は、喜んでいる様子はさほど無い

 

 天津飯なら勝って当然、予選の初めからそう思っていたのだろう

 

 加えてウーロンは、それに対比する形で先程のヤムチャの敗戦に呆れ顔を見せる

 

「いやいや、あの少年やりおるぞ。技もなかなかじゃしガッツも溢れとる。とはいえ……」

 

 亀仙人は既に決着の付いたステージBのモニターを見やる

 

 そこには未だ目を覚まさずのびたままのヤムチャが映されており、

 

「何度かあやつがしおった油断が、少なからず負けに繋がったのは確かじゃがのう」

 

 ウーロンに呆れられたヤムチャを擁護すると見せかけて、結局はウーロンと同じく嘆息を漏らすのだった

 

 さて、ここで一同は周囲の異変に気付くことになる

 

「……んう?何か急にざわつきだしたな」

 

 試合の真っ最中だけあり、予選開始から今に至るまで会場内は常に観客達の声で満たされていた

 

 そこへ、更に上乗せするような形で彼らの声が辺りに広がってきたのだ

 

「他二つはまだ決着はついとらん、すると……」

 

 ヤムチャとコタローの戦いに対して、にしてはタイミングが遅すぎる

 

 加えて亀仙人の言う通り、今も戦いが続くステージAとステージHにはまだ大きな動きは無い

 

 となれば原因は、今しがた決着を迎えたばかりのステージFか

 

「さっきそこら辺の人に聞いたんですが、なんか天津飯に負けたあの子、ミスターサタンの娘らしいですよ」

 

「ん?おおっ、クリリン!戻っておったのか!」

 

 その亀仙人の予想は、正解

 

 正解だということを、自らの弟子が図らずも伝えに来た

 

「はい、たった今。ちょっとした縁でトランクスも一緒に」

 

「お久しぶりです、武天老師様」

 

 クリリン、トランクス

 

 予選を早々と勝ち抜いた両名が、終了を待たずして帰還

 

 加えて、まだ目を覚まさぬ古菲もクリリンに負ぶさった状態でこの場に

 

「ふむ、予選では古ちゃんが世話になったのう」

 

 亀仙人は古→トランクスの順で視線を移し、トランクスの挨拶に応じた

 

「ミスターサタンっつーと、セルゲームで馬鹿やってたあいつか?」

 

「ああ。なんでもサタンが優勝したのとは別に、あの子は少年の部ってのでダントツの優勝してたんだと」

 

「ほーん……ようは普通のやつから見たら有力選手だったのが、たった一撃でやられたから驚いてんのか」

 

「みたいだな、今からこんなに驚いてたらこの後どうなっ……」

 

「アスナー!頑張れー!」 

 

 サタンの名を聞いたウーロンは、かつてテレビ中継で彼が見せた醜態を思い出す

 

 見せる表情は先程ヤムチャに対して向けられたものとさほど変わらず、クリリンの補足も含めて周囲の事情を把握したようだ

 

 そこからもう少々クリリンとの会話が続くかと思われたところで、割って入るようなまき絵の甲高い声で一旦言葉が止まる

 

 どうもまき絵は周囲の変化に気付いていないらしく、注意は今もモニターに向けられたまま

 

 クラスメイトかつバカレンジャー仲間、更にはこの世界に来てからずっと行動を共にしていた神楽坂明日菜が戦っているバトルステージに釘付けだった

 

「っと……そっか、まだ古達の仲間が戦ってんだったな」

 

「そうみたいですね。あ、けどクリリンさん……」

 

「ん?あ、……あいつがいんのかあそこは」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「おーっほっほっほっほ!さあさあ、どうしましたのアスナさん!」

 

「あーもういいんちょしつこい!まだ他にも相手いるでしょ!?」

 

 残る数はとうに十を切っていた

 

 開始当初の二十六人に対してはやや手狭かと思われたバトルステージも、今では持て余しそうな広さに感じられる

 

 そこを思う存分駆け巡る少女が二人

 

 先程からまき絵が応援していた、アスナこと神楽坂明日菜

 

 そしてもう一人、こちらもまた、まき絵とは浅からぬ縁を持つ人物

 

「あなたとの決着が、第一ですわ!」

 

「くっ、の!だーかーらー!」

 

 いいんちょこと、雪広あやか

 

 バトルステージの外側を弧を描くように駆けるアスナに対し、並走して横から攻撃を加え続けている

 

 時には蹴り、時には手刀、時には投げ技を仕掛けんと手を開いて伸ばすことも

 

 それらを、アスナはことごとくいなしていく

 

 麻帆良にいた際も両者が激突する機会は少なくなかったが、その頃と比べたら両者の立場は逆

 

 手が早いアスナが先に仕掛け、合気の心得を持つあやかが受けに回る

 

 本来ならばこういう展開がお約束だったが、現在あべこべになったのはお互いに正当な理由があった

 

 

 

 

 まずアスナ

 

「後にさせてってば!先に向こうを……」

 

 彼女はこの予選にて、あやかよりも優先すべき相手を開始直後に見定めていた

 

 まだその人物と拳は一度も交わしてない

 

 しかし数人倒した動きを見ただけで、彼を圧倒的強者と認定するには充分過ぎた

 

 加えて天津飯との修行の成果か気の感知も以前より敏感になっており、内に秘められた膨大な気の大きさを幾らか感じ取ってもいたようだった

 

(天津飯さん達とかと同じで、タイマンじゃ絶対勝てない!だから今のうちから仕掛けたいのに、いいんちょったら!)

 

 故に、予選突破を諦めていない彼女としては混戦に乗じて奇襲をかけたいと考えていたのだ

 

 そのためには、彼から目を離すわけにはいかない

 

 そして、手の内を見せるタイミングを向こうに与えてはいけない

 

 つまりは、今本腰を入れてあやかの相手をするわけにはいかない

 

(なんで分かってくんないのよー!)

 

(……分かってるからこそ、今貴方に挑まなくてはならないんですのよ?アスナさん)

 

 一方のあやか

 

 彼女はアスナの思惑をほぼ把握していた

 

 自身が大してアスナの眼中に入っていないことも、意識の先がほぼ彼にあることも

 

 こうしてマークし続けていなければ、どこかしらでタイミングを見計らって攻撃を仕掛けに行くであろう事も

 

(貴方はまだ力量差の把握がおぼろげで、奇襲か何かでのよもやの勝ち星を夢見ているかもしれませんが……わたくしは断言いたしますわ、悟飯さんには絶対に勝てません)

 

 そう、アスナとあやかがいたのはステージA

 

 ステージ中央で次々と敵を倒し、アスナに圧倒的強者と認定されていた人物は他でもない孫悟飯

 

 そのためあやかは、既に予選の勝ち上がりは眼中になく

 

(ですからアスナさん、貴方を行かせるわけにはいきませんのよ!)

 

 ここでの目的はただ一つ、アスナとの戦いのみに絞られていた

 

 

 

 

 かくして、勝ちを求める者が消極的に

 

 かつ、勝ちを放棄した者が積極的になるというあべこべ状態が形成されているわけだ

 

 しかし、終わりは着々と近付き始めていた

 

(ってヤバい!このままじゃ私達三人だけになっちゃう!)

 

 ステージ中央で戦う選手達が、悟飯に倒され一人また一人と減っていく

 

 辺りに戦う相手がいなくなれば、最後に残った自分達に悟飯が注意を向けるのは明白

 

 そうなると奇襲もくそもない、そのためアスナは切り捨てねばならなかった

 

(……あーもう!分かったわよいいんちょ!)

 

 悟飯への注視と、手の内の隠匿を

 

「ったああっ!」

 

「っ!ようやく、ですわね」

 

「あんたがさっきからしつこいからでしょ!しょうがないから乗ってあげるつってんの!」

 

 走りを止め、ブレーキをかけたのとは反対側の足で上段の蹴りを放つ

 

 あやかはそれを右腕でガード、ついに二人の正真正銘の勝負が始まった

 

「しょうがない、ですか。早くわたくしを倒さないと向こうが一人だけになってしまいますし、アスナさんも大変ですわね」

 

「えっ、なんでわかっ……」

 

「お猿さんの考えてる事なんて、お見通しですわよ!」

 

 アスナの両足が地を離れる

 

 あやかが右手でアスナの足首を掴み、脇に抱え込んで身を捻って投げた

 

「づっ!」

 

「はあああっ!」

 

 あやかの投げ技を久々に食らったアスナは、何とか受身こそとるが半身を床に叩きつけられる

 

 そこへ追撃の掌底が飛んで来た

 

 しかしそれに伴いあやかはアスナの足から手を離しており、アスナは即座に攻撃の手から逃れる

 

「なっ、消え……」

 

「誰がお猿さんよ!」

 

「っ!本当のことを言っただけでしょう?第一、そんなに焦ってしまうくらいなら、初めから受けて立ってくださればよろしかったんではなくて!?」

 

「あんたがこんなにしつこいとは思わなかったの!」

 

 高速移動で側面まで回り込み、肘打ちを一発

 

 回り込んだ先は右側で、あやかは右手を攻撃に動員していたため防御が間に合わず直撃を許す

 

 だが一方でアスナが打ち込んだのは左肘で、利き手でなかった故にダメージは浅く済んだ

 

 あやかはそこから向き直りアスナと取っ組み合いに持ち込んだ

 

「しつこくて結構!100%負ける戦いにアスナさんを向かわせて、修行の成果を試す機会を奪われるのは心外ですもの」

 

「100ぱっ……あんた今それを言う!?」

 

「ええ言いますわ、そしてお見せいたしますわ!」

 

 攻撃が絶え間なく交わされる間も、両者の言葉は途切れない

 

 そうやって攻防が幾らか続いたのち、再び双方に転機が訪れた

 

 あやかの攻撃をアスナが防ぎ、弾き飛ばして両者の距離が開いた瞬間だった

 

「少しでもネギ先生の力のなるべく、修行した……その成果を!」

 

 再び正面からぶつかり合うかと思いきや、あやかがアスナの目の前から消えた

 

 いや、アスナの視界の外に出たのはほんの一瞬

 

 すぐアスナは気であやかを探知し、視覚でも後を追う

 

「え!?いいんちょ、あんたも飛べるの!?」

 

「食らいなさいアスナさん!」

 

 あやかは、上空にいた

 

 彼女が舞空術を修めていたことをアスナは知らず、驚愕で思わず足が止まる

 

 その間に、あやかは右手を上に掲げ力を籠め、放つ

 

 この世界で習得したとっておきの、彼女にとってかけがえのない技を

 




 コタロー戦同様、決着まで続きは書けてるので近い内に投稿します
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