ネギドラ!~龍玉輝く異世界へ~   作:カゲシン

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第67話 決死の大作戦 放て新気功砲

「見ぃやネギ!ヤムチャさんや!」

「ほんとだ、それにアスナさんや天津飯さん……古老師まで!?」

「急ぎましょう、ネギ先生」

 

 時間は少し前に遡る、場所は地上

 コタローとネギと刹那、客席で一緒にいた三人が揃って一斉に駆け下りていた

 そして、その先で既に集結していた仲間達を発見する

 

「おお!ネギ坊主!」

「刹那さん!」

「コタロー、お前達も来たのか……」

「……これで、概ね全員か」

 

 古、アスナ、ヤムチャ、天津飯

 四人もネギ達三人の接近に気付き、視線を向ける

 

「やっぱりヤムチャさん達も、俺らと同じやんな」

「ああ、あんなの見せられちゃ、いてもたっても……って、天津飯、これで全員ってことはないだろ!?」

 

 自分達の目的が同じであることをコタローと示し合わせるヤムチャ

 続いて天津飯の先程の言葉を掘り返し、違うだろと突っ込む

 

「あ、ほんとだピッコロさん!」

 

 ヤムチャが皆まで言うより前に気付いたネギが声をあげる

 悟飯とトランクスが地下にいる以上、ピッコロが現時点で一番の戦力なのは疑いようがない

 しかしこの場に、彼の姿はなかった

 

「そう、ピッコロさ!悟飯の危機だってのに、あいつ一体何処に……」

「ピッコロ、会場の外へ飛んでいくの見た」

「ちゃ、餃子!お前まで来てたのか!」

 

 そこへもう一人、新たに姿を現す

 それは、ピッコロではなく餃子

 餃子は最後に見たピッコロの行動を話すと、飛んで行った方向を指差した

 

「あっち、神殿の方向」

「デンデの所か?なんでこんな時に」

「準決勝でトランクスから受けた傷、あれを治しに行ったんだろうな」

 

 あのピッコロのことだ、無駄な行動を取っているわけではないだろう

 そう考えた天津飯は、ごく自然に彼の目的を導き出せた

 

「え、傷を治す?それなら俺やコタローの時みたいに、木乃香の魔法を使えば……」

「デンデさんの方が、確実に完治出来ると考えたんでしょう。元々ピッコロさんはお嬢様の魔力の消耗を懸念されてましたし、地上から連れて帰った怪我人のために魔力を温存させたかったのかもしれません」

 

 それほど、トランクスとの戦いで受けた傷は深く

 また、万全でなくては倒せない敵で

 そして、決して少ない傷では終われない戦い、ということか

 

「せやったらどないするんや?ピッコロさんが戻って来るまで待つつもりなんか?」

「いや、確かにピッコロは戦力としては欠かせんが、事態は急を要する」

 

 じきに戻っては来るだろうが、今の天津飯達には時間がなかった

 トランクスも敵の親玉らしき男に倒され、地下で戦えるのは悟飯一人

 敵が集結し一斉に襲い掛かってしまえば、いかに悟飯といえど勝ちの目は薄い

 

「先に俺とヤムチャの二人だけで、悟飯の援護に向かおうと思う」

「ピッコロ抜き、しょうがないか……」

「お前達はここに残るんだ、今回の戦いは危険すぎる」

「だな。ピッコロと……あとクリリンか、戻ってきたら二人にこのことを伝えてくれ」

 

 そのため天津飯は、ピッコロを待たずして地下への突入を決意していた

 名指しで同行を決められたヤムチャは不安を露にするが、もとより覚悟あってここまで来た身

 すぐに表情を引き締め、天津飯共々コタロー達に指示を出す

 

「特にピッコロは戦いの要になる、少しでも早く情報を共有させときたいしな」

「でしたら、私が今からピッコロさんの所へ向かって知らせましょう。貴方がたを除けば、私が一番早く飛んで移動出来ます」

「分かった、頼むぜ」

 

 刹那が自ら名乗り出て、翼をその場で広げた

 神殿の位置は知っており、木乃香の治癒魔法のお陰でピッコロ戦のダメージはもう無い

 気を全開にし、刹那はバトルアイランド2から飛び立った

 

(『お前達は残れ』ですか……)

 

 刹那の表情が険しくなったのは、他の皆は見えず

 

 

「よし、なら行くぞヤムチャ」

「ああ、天し……」

 

 刹那が神殿の方へ飛んで行ったのを見届けると、天津飯はヤムチャと示し合わせて地下へ続くトンネルを見やる

 そこは死戦場への入り口、歴戦を経た戦士二人が突入しようとする

 

 しかしそれを、この男が遮り食らいついた

 

「ちょい待てや、つまり俺らは着いてくんなってことか?」

 

 コタローだ

 二人の方へ一歩踏み出すと、長身の二人を下から睨み上げた

 

「そうだ。さっきも言ったが、今回の戦いは危険すぎる。はっきり言って……」

「っざけんな!!」

 

 天津飯はそれに動じることなく、淡々とコタローの問いに答える

 本当はヤムチャと合流し次第すぐに向かっても良かったが、そうすると全員が後を追ってくる可能性があった

 そのため天津飯は、ある程度の戦闘力を有する面々が全員揃うのを待っていたのだ

 

 始めから予想のついていた答え、皆まで言われずとももう分かりコタローは激高した

 

「楓姉ちゃんが、殺されかけとんのやぞ!?それに悟飯も、このままじゃ殺されてまう!」

 

 天津飯がコタロー達を置いていこうとした理由

 悔しかったが、コタロー自らがそれを口にする

 

「それを……俺らが弱いからて、黙ってここで見てろ言うんか!?」

「……死ぬかもしれんのだぞ」

「分かっとるわ、だから言うとるんやろ。ダチだけそんな所居て俺は安全な場所、気が済まへんでそんなん!」

「僕からも、お願いします!」

 

 コタローに続いてネギも、一歩前に進み出た

 教え子の茶々丸と楓が、親友の悟飯が、親交を深めたトランクスと拳を交えたクリリンが

 皆が危険に陥り、ネギもまたコタローと同じく我慢ならなかった

 だからこそ客席を飛び出し、ここまで来たのだ

 

「確かに僕やコタロー君の力は、お二人に比べればまだまだです。けど僕達でも、何か出来ることがある筈です!お願いします!」

「わ、私も!」

「私もアル!」

「俺ら全員同じ気持ちや!なんなら二人が反対して置いてっても、俺らだけで勝手に行ったるで!」

「…………」

 

 そこへ更に、アスナと古も加わる

 四人は、退かず

 

 時間はあまりない

 僅かな逡巡を経て、天津飯は決断した

 

「…………分かった、百歩譲ってお前達二人の同行は許そう」

「「!」」

「過程はどうあれ、二人はヤムチャやクリリンと戦えていた。最低限の実力はあると認めよう……だがアスナと古、お前達はやはり行かせられん」

「「!」」

 

 その決断の内容は、ネギとコタローの二人に限り連れて行くという譲歩

 普段から修行相手としてその実力をよく知るアスナ、そして彼女に近い戦力と思しき古はやはり連れていけないという考え

 

「ちょっと天津飯さん!それってどういう……」

 

 コタローに代わり今度は古とアスナが声を大きくして迫ろうとするが、それをヤムチャが間に入って宥めた

 

「まあ待てって二人とも」

「けど、私だて楓達を助けに行きたいアル!」

「その気持ちは勿論解るさ、けどそれ以外にも楓や悟飯の助けになることはあるだろ?」

「え?」

 

 ヤムチャは古と正面から向かい合い、両手を肩に乗せる

 

「さっきも言ったじゃないか、ピッコロにこのことを伝えてくれって。これだって立派な役目だ」

「むむ、それは……」

「それにクリリンは逃げおおせたとはいえ、敵の攻撃を食らってまいってるかもしれん。地上へ戻ってきた時にお前が迎えて介抱してやれば、これもクリリンにとって助けになる」

「……わかた、アル」

 

「ヤムチャの言った通りだ。アスナも、異論は無いな?」

「……はい、けど天津飯さん」

「なぁに、そう易々と殺されるつもりはないさ」

「天さん、二人が行くなら僕だって!」

 

 古はヤムチャに、そしてアスナは天津飯に言って聞かせられ、この場に留まるのをどうにか納得する

 そしてネギとコタローの同行を受けて餃子も名乗りを上げ、これで地下へ行く面子が決まった

 

 

 

 

 

「ラス・テル マ・スキル マギステル……これで、少しは敵の感知を躱せる筈です」

「認識阻害、ねえ。これも、ハルナやのどかが言ってた魔法ってやつか」

「はい、ただ……」

 

 そして出発に先立ち、ネギが自分を含めて五人に魔法をかけた

 アスナや木乃香が準決勝を空中で観戦した際にも用いた、認識阻害魔法

 悟飯の助太刀に行くとすれば、やはり向かう最中で敵に悟られることは避けたい

 そのためこれでこっそりと接近を……と考えたのだが、術者ネギの表情には不安が残っていた

 

「ここから舞空術で飛んで向かうとなると、この魔法だけでどこまで隠しきれるか……」

 

 敵はあの実力からして、気を遠くから感じ取る能力にも秀でている可能性が高い

 となると今から気を開放して全速力で地下まで移動した場合、認識阻害を突破して感付いてしまうのではないか、それがどうしても気になっていた

 

「けど、気を抑えてトロトロ向かってる余裕は無いぜ?」

「せやな。見つかったらそれまで、正面からガツンとぶつかればええ話や!」

 

 しかしヤムチャの言う通り、余裕は無い

 コタローも、元より奇襲紛いの真似をする気は無いとみえる

 

「バレても、行くしかない」

「ああ。だが誰かを担いで移動すれば、向かってくる人数くらいの誤魔化しくらいはどうにか……」

(しょうが、ないか……)

 

 少しでも力になりたい、その気持ちの一端として使った魔法だったがやむなしか

 思ってた以上は役立ちそうになく、項垂れるネギ

 

”おい、聞こえてるか?” 

「!?」

 

 そこへ、少女の声が飛び込んできた

 

 

 

 

 

”千雨さん、ですか!?”

「ああ、そうだよ」

 

 仮契約(パクティオー)カードを片手に、長谷川千雨がネギへと念話を送る

 この行動自体は準決勝前にも見られたが、あの時と大きな違いがあった

 

「さっきから様子は見てたんだが、なんか使ったか?姿がやけに見にくくなってんだが……」

”はい、敵に気付かれにくくするために認識阻害の魔法を……”

 

 1つは、千雨の方から一方的にネギを視認していること

 現在千雨の居る場所は、会場上部に設けられたVIPゲスト専用席

 ガラス越しにネギ達が集まっている様子を見下ろしていた

 

「成程な、まあその認識なんたら魔法はもういいや。で、今からあのトンネル通って地下に行くつもりなんだよな?」

”そうです、悟飯君や楓さんを助けに……”

「あのトンネル、どこへどうやって通じてんのか知ってんのか?」

”え!?”

「やっぱり。そんなことだろうと思って……」

〔ちうたまー、準備出来ましたー〕

「……手、回しといたぞ」

 

 そしてもう1つは自身のアーティファクト、力の王笏(スケプトルム・ウィルトゥアーレ)を展開していること

 ギョーザン・マネー氏を含めたゲストの面々は別の場所へ避難しており、今いるのは千雨一人

 ステッキを片手に傍らには電子精霊が一体、という状態だった

 

(流石にあいつのあんな姿見せられて、何もせずにいられるかっての)

 

 

 

 

 

”そう、そこのマシンだ。二台あるだろ?それ使え”

「これに乗れば、悟飯君達の所へ?」

”ああ、設定はもう済んでる”

 

 悟飯達が乗り込んだマシン、それと全く同じものが目の前に二台

 元々は敵の討伐にミスターサタンを向かわせようと、運営側が急いで準備したもの

 しかしサタンが体調不良を訴え出発しておらず、それを見かねた千雨が密かに電子精霊を派遣

 既に自らの管理下に納め、指示一つで地下の何処へでも飛ばせるようになっていた

 

「確かにこれなら、気を抑えたまま悟飯の所へ移動出来るな」

「それにこれ、結構速い」

 

 念話のため千雨の声は他の仲間達の耳には入らず、一通りの事情はネギの口を介して説明されている

 それを聞きヤムチャはこれは名案だと唸り、餃子は決勝開始直後に見た急発進を思い出していた

 

”乗り込んでハッチ閉めたの確認したら、すぐ発進させてやるよ”

「お願いします、千雨さん」

 

 マシンの周辺にはスタッフが数人控えているが、認識阻害魔法によってネギ達には気付けていない

 これなら揉めることなくさっさと乗り込み、出発出来る

 

「けどこれ一人乗りみたいなんやが、どないする?俺ら五人やで」

「やむを得んが、乗れない者は外からマシンにしがみつくしかないな」

 

 コタローが提示した搭乗人数の問題は、天津飯の案で一応は解決

 ネギとコタローが乗り込み、天津飯達三人が外からしがみつくことに決定

 

”じゃあ、頼むぜネギ先生”

「はい!」

 

 かくして、地下への増援部隊は出撃していた

 

 

 

 

 そして地下への移動中に天津飯が思いついたのが、自身と餃子が先にマシンから離れ別働隊となっての奇襲攻撃

 天津飯の命を懸けた作戦、無論四人は当初素直に首を縦に振らず

 しかし天津飯は退かず、これが一番の方法だという主張をついには通しきった

 

 かくして、ネギの認識阻害魔法の効果により攻撃直前まで気配を隠すことに成功

 それに加え表立って敵に姿を晒すヤムチャ達の協力も少なからず借り、結果はご存知の通りである

 

 

 

 

 

「はっ!!!はっ!!!」

 

 時は戻り、場所も地下のバトルゾーンへと移る

 上空で天津飯は、絶え間なく新気功砲を放ち続けていた

 

「ぐっ!このぉっ!」

「小癪、な……」

「ぬおおおおっ!」

「くぅっっ……」

 

 今回押さえ込まなければならぬ相手は、一年前のセル一人と違い銀河戦士四人

 負担は段違い、しかし彼はやり遂げねばならない

 

(俺達がこいつら全員を食い止めようと思ったら正面からは無理だ、こうするしかない!)

 

「悟飯、見ての通りだ!あいつら四人は天津飯と俺達が引き受ける!」

「トランクスさんと楓さんも、任せてください!」

 

 トランクスを抱えながら、ヤムチャが悟飯へと叫ぶ

 同じく楓も、ネギが抱え上げている

 敵のすぐ近くに二人が倒れていた時は気功砲の余波を食らわないかと焦ったヤムチャだったが、敵がわざわざ蹴り飛ばして離してくれたのは幸運というほかなかった

 

「せやからお前は、敵の親玉ぶっ倒してこい!」

「親玉……そうか、あいつは天津飯さんの攻撃を!」

 

「な、舐めた真似しやがって……」

 

 そして、悟飯は今自分が戦うべき相手を捉える

 手下四人に先んじて攻撃の気配を感じ取り、なおかつ四人から離れた場所にいたことで攻撃を免れたボージャック

 四人を飲み込み今も押さえ込む新気功砲、その使い手天津飯を見上げ眉をひそめていた

 

 餃子の陽動の時に見せたような感心はなく、それを通り越して苛立ちが露骨に表に現れていた

 

 その結果彼を撃ち落とさんと右手に集められていく気の光

 悟飯はそれを、すんでのところで阻む

 

「魔閃光ーーー!!」

「っ!」

 

 ボージャックはそれを、真横からまともに浴びた

 ゴクアへ攻撃するトランクスを止めたあの時に近い光景で、ボージャックは直前まで気付かず

 右手に集めた気は飛散、視線も天津飯から悟飯の方へと移る

 

 直後、両者の拳が交錯した

 

(天津飯さんの足止めもずっともつわけじゃない……一気に決めてやる!)

 

 




 また書き溜めたのち、来月を目安に順次投稿します。
 それまでは感想の返信やら嘘予告の投稿などを出来たら、と思います。感想お待ちしています。
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