ネギドラ!~龍玉輝く異世界へ~   作:カゲシン

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第6話 和解なるか 目覚めた二人

「以上が、俺とこいつがさっきまで話してた内容だ。理解できたか?」

 

「……なあカモ君、この人ホンマに信じてええの?」

 

「うーん……とりあえず今は、ピッコロの旦那に頼るしかないってのが現状なんスよ」

 

 あの激戦後、目の前で刹那と楓が倒された事態に木乃香は大混乱

 

 特に刹那がボロボロの状態で倒れていたのは余程堪えたか、涙目になって駆け寄りすぐさま治癒魔法を施す

 

 ネギとの仮契約で手に入れたアーティファクト、東風(コチ)檜扇(ヒオウギ)

 

 この世界でも問題なく使うことが出来、制限時間ギリギリで刹那の傷は全快

 

 そこへすかさずピッコロが近寄り、事情を知らぬ木乃香へ説明に入った

 

 当然木乃香は大いに警戒する、理由は言うまでもないだろう

 

 仕方ないなとピッコロはカモに目配せ(半ば睨みつけての脅迫)し、両者間の仲立ちを依頼(強制)

 

 カモは何とか木乃香を落ち着かせ、少し腰を引かしながらも木乃香はピッコロとカモの話を聞き始めた

 

 そして今はちょうど、『元の世界に帰るアテがある』まで話し終えたところ

 

 しかしながらまだ木乃香は完全に信用しきれず、二人が目を覚まさぬ現在唯一信頼できるカモへ不安そうな声を漏らした

 

「それに……せっちゃん達を挑発して戦って、あんな目に遭わせた理由まだ聞いてへん」

 

「あ、それは俺っちもまだでさぁ!なあピッコロの旦那!あれは一体……」

 

「待て。……一人お目覚めだ」

 

 木乃香の傍らに寝かされていた刹那の瞼が、上がり始めた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……まず一つ詫びておこう、俺はネギについてはまるで知らん。お前らを焚きつけるにはちょうどいいと思って言ったデタラメだ、すまなかった」

 

「…………」

 

 目覚めた刹那がまず最初にとった行動は、『木乃香の前に立つ』だった

 

 愛刀夕凪はピッコロにやられた際手放してしまっており、徒手空拳の構えをとりピッコロを睨みつける

 

 が、カモが慌てて制止、今度こそ刹那にちゃんと話をすることに成功

 

 この時になってようやく、ピッコロは彼女らに先程の戦闘の理由について話した

 

「……貴方が私達の敵ではなくここは異世界、そして元の世界へ帰るためのアテがある。ここまでは分かりました。ですが私や楓を挑発してまで、戦闘に持ち込んだのはどういうことですか?」

 

「実は近々、武道大会が開催されることになっている」

 

「……武道大会?」

 

「ああ、本来なら良い修行相手がいるんだが都合が悪くてな……折角なんでお前達二人を試させてもらった、ああやった方が戦闘時の本来の実力を過不足なく測れると思ってな」

 

「試した?」

 

「そこのオコジョから許可は取ったぞ」

 

「ピッコロの旦那!?」

 

 途端に今度は、カモの方へ鋭い目つきを飛ばす刹那

 

 まるで覚えがないカモは、全身を使って横へぶんぶんと振り否定の意

 

 正確に言えば、彼はただカモに『刹那と楓をいたぶる(試す)』ことを一方的に伝えただけ

 

 そのことにカモが返事する間もなく戦闘になったため、このような齟齬が発生していた

 

「合格ということにしといてやる、実力はまだまだだが修行相手としては使えるだろう。まあ俺といるのがそんなに嫌なら好きにしろ、ここから出て行ってお仲間探しなりなんなりしてるんだな」

 

「…………」

 

 刹那は答えに悩み、黙り込む

 

 彼女個人の意見としては一択、いきなり挑発して戦闘に持ち込むような奴と一緒になんて御免だ

 

 だがここでピッコロと分かれたとして、そこから先はどうなる

 

 元の世界へ返ることももちろんだが、文化も慣習も科学技術も何もかも、一切合財不明なこの世界において知識0でどうやって生きていく

 

 刹那がここを出て行くとなれば木乃香も一緒だ、言うまでもなくこれは彼女にとって当然のこと

 

 しかしそうすれば上記のような不都合を、自身だけでなく木乃香にまで与えてしまうことになる

 

 だがピッコロと行動を共にするのも最善策だとは決断しきれずにいる、それこそ木乃香に何かあってからでは遅いのだ

 

 不安そうな顔でいる木乃香を一瞥した後、再び刹那は頭を悩みに悩ませる

 

(どうすればいいんだ……私自身はどうでもいい、木乃香お嬢様にとって一番の選択、選択を……)

 

「では拙者は、お世話にならせてもらうでござるかな」

 

「……え?」

 

 そんな中で静寂を破ったのは、ついさっきまで気を失っていた一人の少女

 

 長瀬楓は首を鳴らしながら立ち上がり、ピッコロの横にまで歩み寄った

 

「か、楓さん!起きてたん!?」

 

「少々前、武道大会のくだり辺りからでござったかな。拙者がいきなり話に入るとまたややこしくなりそうだったので、横になったまま静聴させてもらったでござる」

 

「そ、それより楓!さっき言ったのは……」

 

「無論言葉通り、二週間この御仁のもとで拙者は修行をいたす」

 

 刹那に対し、楓は即答

 

 ピッコロを除く三人が三人とも、この即答に信じられず

 

 彼女らから言葉が出る前に、楓は続ける

 

 曰く、『悪意を持って戦っているわけではないとピッコロと交戦の折に気づいた』

 

 拳と拳を直接交わし戦闘していた楓は、冷静さをいつもより欠いてたと言える刹那よりもピッコロの気の『質』を過敏に感知

 

 姿形こそ魔族のそれではあったが、感じられた気に邪悪のそれは皆無

 

 古い傷跡のごとく、触れてようやく判るほどほんの僅か程度あったが、ただそれだけだ

 

「それにピッコロ殿との修行なら、麻帆良でするよりも何倍の成果が得られることやら。生かす手は無いでござろう?」

 

「えっとつまり、ピッコロさんは絶対悪い人やないってことでええん?」

 

「でござろう、とは言ってもなかなか手厳しいところもお持ちのようでござるが」

 

 楓は腹部に手を当てる、まだ痛みがあった

 

 あの時ピッコロに気爆波でふっとばされた後一発喰らわされており、骨折や内臓損傷に至らないギリギリの力でだが刹那よりもダメージは大きい

 

 確認もかねて軽く押すと痛みが走り、僅かに眉をひそめる

 

 それを見た木乃香は、すかさずポケットの中から一本の杖を取り出した

 

「あ、楓さんやっぱり怪我傷むん?ウチ治したるで」

 

「おお、すまぬでござる」

 

 木乃香は呪文詠唱を行い、杖の先を楓の腹部へ向けて最後に一言

 

治癒(クーラ)

 

「んっ?」

 

 暖かな光が楓の患部を覆い、痛みを和らげる

 

 しかし木乃香の力不足か、または余程のダメージだったか

 

 完全治癒には至らず、唱え終わった後木乃香は申し訳なさそうに呟いた

 

「ありゃりゃ、全部は無理やったか……ほんまやったらウチのアーティファクト使うてあげたいんやけど、せっちゃんにさっきやってもうたんよ。堪忍な楓さん」

 

「いやいや、これなら問題なく動けるでござるし修行も充分可能。かたじけない、木乃香殿」

 

「……随分便利な技だな、お前らのいた世界の『魔法使い』というのはあれが全員使えるのか?」

 

 木乃香と楓の一連のやり取りを見たピッコロは、彼女らの会話からは外れているカモと刹那に目を向ける

 

 ピッコロの問いには、カモが答えた

 

「全員ってわけじゃないッスね、魔法使いにも得手不得手はあるッスから。木乃香嬢ちゃんは治癒魔法に才能が突出してるんでさあ」

 

(ふむ、得手不得手……そういえば昔デンデにも似たようなことを言われたな)

 

「……それで刹那の姉さん、結局どうするんスか?」

 

 カモの答えに一言も返さず、ピッコロは何やら考え込み始める

 

 別段続けてピッコロへ話すこともないカモ、次は刹那に向け口を開いた

 

「…………強く、なれるんですね?」

 

「刹那の姉さん?」

 

 刹那が言葉を発した相手は、カモではなくピッコロ

 

「楓が言うように、もし私があなたと二週間修行を共にすれば、私は強くなれるんですね?」

 

「……どうだかな、貴様自身に強くなろうとする意志がなければ無意味だ」

 

「あります!」

 

 突然に声を荒げた刹那

 

 カモと木乃香は驚きで硬直、楓はそれほどでなくピッコロも同様

 

 強く握られた両拳を小刻みに震わせて、刹那は再び沈黙の中に戻る

 

 さっきのピッコロとの戦いの内容を思い出す、結果は誰が見ても完敗

 

 しかも楓と二人がかりでこの結果だ、惜しかった云々の反論の余地もない

 

 もしピッコロが完全に『悪』で、自分達を襲ってきていたとしたら

 

 自分と楓は瞬殺だったろう、そして残った木乃香は……

 

(私は……まだまだ無力だっ!)

 

 木乃香を守るため、もっと強くならなければならない

 

 この世界に来て今までより一層強くなったその思いが、先程の一言に集約され放たれていた

 

 対するピッコロの行動は、刹那へではなく

 

「……おい、お前らはどうする」

 

 カモと木乃香へ、ここを去るか共にいるかの意思確認

 

「ウチは、せっちゃんについていくえ」

 

「……お、お世話になるッス旦那」

 

 この両者の言葉を聞き、ピッコロは楓と刹那を交互に見た後に身体を反転

 

 ゆっくり歩を進めながら、呟くように声を発した

 

「寝床になりそうなほら穴が近くにある、屋根のある場所で寝たいなら四人ともさっさとついてこい」

 

 『四』人、ピッコロは確かにそう言った

 

 真っ先に後を追ったのは楓

 

 続いて木乃香と刹那が、ほぼ同時に進み出す

 

(麻帆良でするよりも何倍もの成果、か。そうだ、私は……ここで強くなってみせる、絶対にだ)

 

 刹那の歩みは、強い決意に満ちたそれであった

 




 以上で今回の分の投稿は終了です。ストックの関係上、ここから先は投稿速度の減少は避けて通れませんが、ご了承くださいませ。
 また次回からメインキャラ変わります、ではではお楽しみに。
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