ネギドラ!~龍玉輝く異世界へ~   作:カゲシン

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 ネギ達のと刹那達のは3話構成でしたが、今回分は2話構成になっております。


第7話 武道家古菲 老師と相対し、殴る

「ちょっとだけじゃ……ちょっとだけ……」

 

 何か聞こえてくる、知らない男の声

 

 それに、声とは別に妙な音も聞こえてきた

 

 よくよく耳を澄ましてみると、それは呼吸音

 

 だがそれはやけに速く、まるで舌を出した犬のよう

 

 しかもその吐息が肌に触れ、身体に悪寒が走る

 

「ん……」

 

 先程まで気を失い、今もまだ虚ろな状態の少女古菲

 

 しかし走ってきた悪寒に促されるように、ゆっくりと目を開けてみた

 

 いたのは犬ではなく、サングラスをした一人の老人

 

「「あ」」

 

 古と目が合い、両者動きが止まる

 

 老人は、指を一本伸ばしていた

 

 右の人差し指、その先は古の胸

 

「……グッドモーニング」

 

 仰向けの自分の胸を触ろうとするサングラスの男は

 

「うわわわわあ!」

 

「ぶげえ!」

 

 反射的に手が出てしまった古により、容赦なく殴り飛ばされた

 

 右パンチが顔に直撃し、ドシンと壁に激突し音を立てて倒れる

 

「あービックリしたアル。って、此処はどこアルか?」

 

 自分の状況を確認する古

 

 いた場所はベッドの上、どうやら家の中

 

 隣にはクラスメイトの四葉五月、こちらはまだ眠っていた

 

「武天老師様!どうしました!?」

 

 すると、古達がいる部屋に一人の青年が入室

 

 さっきの叫び声と倒れる音に気付いたのだろう、殴ってからほんの数秒だ

 

 頭はツルツルで額に六つの点、着ているのは山吹色の道着

 

「老師?」

 

 老師というフレーズに反応し、古は自分が殴った男を再び見やる

 

「アイヤー!おじいちゃんだたアルか!?」

 

 前述の通り、その男は老人

 

 殴ったことを少し後悔しはじめた古、近付いて様子を伺おうとしたが静止

 

 武天老師と呼ばれた老人は、鼻を押さえながら自分から起き上がってきた

 

「いたたた、ちーっと寝てる隙にツンツンしようとしただけじゃったのに……」

 

「それは武天老師様が悪いですよ、第一いつもはピチピチギャルがーとか言ってらっしゃるのに」

 

「いや、どんなもんに育つのか将来性のチェックを……ゴホン、いかん本人の前じゃった」

 

「……」

 

 横目で老人をジトーっと見る青年は、次に古の方を向く

 

「えっと、大丈夫?ホントに何もされてない?」

 

「平気アルが……一体誰アル?」

 

「あ、ごめんごめん。俺の名前はクリリン、君は?」

 

「古菲アル、隣で寝てるのはサツキ」

 

 その後クリリンは、現在に至るまでの経緯を古に話した

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 時間にすれば数分ほどで済んだだろうか、要約すると以下のようになる

 

 数時間前にこの建物、カメハウス内でくつろいでいたクリリン達

 

 が、突如外から眩い光が発生

 

 慌てて外に出てみれば、砂浜で気を失って倒れていた古と五月

 

 外傷はどこにもなかったが、そのままにしておくわけにもいかず

 

 家の中へ運び込み、こうして古が目を覚まし今に至るとのことだった

 

「いやー、なんかすまなかたアルなー」

 

「いいよいいよ、だから教えてくれないか?」

 

「んう?」

 

「君達はどこから来たんだ?最初は漂流したのかと思ったんだけど、それにしては服が全然濡れていなかった。それにあの光は一体……」

 

「……信じてもらえるかはわからんアルが……」

 

 古もクリリンと同じく話す、今に至るまでの経緯

 

 ただし途中から記憶が無いため、あくまで覚えている限りの話

 

 必然的に、光に飲み込まれる直前までの話が主

 

 また、話の流れで魔法使いや未来人のことも話さざるをえなかった

 

 以前ネギに他言厳禁と言われていたが、この状況下では仕方ないと自己判断で話すことにする

 

 不安半分に語ったが、なんとクリリンも武天老師もこれを全て信じてくれた

 

「両方実際に知り合いがいるから」、と笑いながらその理由を語る

 

 だがその直後、衝撃的な事実を古は知ることとなる

 

「でも日本なんて国、この地球にはないぜ?」

 

「え!?」

 

 地球なのに日本がない

 

 そんなキテレツな事態に頭がついていけなくなる

 

「じゃあ中国は!?私の祖国、人口世界一アル!」

 

「いや、それも聞いたことは……ねえ?武天老師様」

 

「うむ、聞き慣れん名じゃの」

 

「? ? ?」

 

 考えれば考えるほどこんがらがり、ついには頭痛までする始末

 

 それを見かねた武天老師が助け舟、今までの話から仮説を立ててそれを口にする

 

「うむ……つまり古ちゃん達は日本とかいう国が存在するこことは違う地球、言うなれば平行世界か別次元かなんかの地球から来た、ということかもじゃな」

 

「おお、別世界!そゆことアルか!えっと……」

 

「ワシの名は亀仙人、武天老師とも呼ばれておる。まあ気軽に亀仙人の方で呼んでくれれば結構じゃよ」

 

 ここにきてようやく、武天老師もとい亀仙人が古に自己紹介

 

「亀じい、じゃあ私達帰れないアルか?」

 

 うーん、とうなる亀仙人

 

 そこへ、そんなことないさとクリリンが会話に入ってきた

 

「ドラゴンボールを使えばいいのさ」

 

 これに、なるほどと亀仙人は膝を打つ

 

 当然古は『?』な状態なわけで、詳しくクリリンは説明する

 

 ドラゴンボールがどういうものかということ

 

 それを使えば古達が元の世界に帰れること

 

 そして、あと三週間で石から元に戻ること

 

「行くあてが無いんじゃったら、ここに三週間おるかの?」

 

「ええ!?」

 

 亀仙人の提案に顔がこわばる古、自然に先ほどの出来事が脳裏をよぎった

 

「ほら武天老師様、さっきこの子に変なことするから」

 

「いや、だから未遂じゃ未遂!ほれ、この跡!それより先にこの通り一発貰ったんじゃって!」

 

(うーん……どうするアルか?)

 

 古はこめかみに指を当てた

 

 だが、見ず知らずの古達を三週間も置いてくれる所などまず無い

 

 それに、今から探すとなれば五月にも迷惑がかかってしまうだろう

 

「なあなあ、どうじゃ?辺りは一面綺麗な海、今ならウミガメに乗っての海中遊泳と女の子にもオススメの亀仙流エクササイズビデオがついてくるぞ?」

 

「武天老師様、何もそこまでしなくたって……最悪ブルマさん辺りに連絡して向こうで預かってもらえばいいでしょうに」

 

「うるさい!男二人と亀一匹だけの華がない生活を何年も送っとるわしの身にもなってみい!」

 

「そんなめちゃくちゃな……」

 

(……ん?武天『老師』に『亀仙流』?)

 

 古が悩んでいると、必死に説得しようとする亀仙人とそれに呆れるクリリンの言葉が数度交わされた

 

 その中から耳に入ってきた幾つかの言葉が、古に興味を抱かせる

 

「亀じい、今言った亀仙流いうのはもしや拳法の流派か何かアルか?」

 

「お、そうじゃぞ。なんじゃなんじゃ、やっぱり古ちゃんも亀仙流エクササイズビデオが欲しくなってきたか?」

 

「いや、ビデオは別にいいアル……しかも老師いうことは、亀じいはその亀仙流の……」

 

「うむ、いかにも。……オホン」

 

 亀仙人はサングラス越しにだが、咳払いをしつつ視線をクリリンへ

 

 言わんとしてることを把握し、クリリンは亀仙人の言葉に続けた

 

「あー……これでも武天老師様は、武術の神様と呼ばれた凄いお方なんだ」

 

「武術の神様!」

 

「いやークリリン、そこまで言わんでも。照れるのう」

 

(自分から言わせたのに……)

 

 クリリンの説明に目を輝かせた古は、ベッドから跳ね起きて亀仙人の正面に着地

 

 思えば、自分のあの一撃を無防備で受けながらわりかし平気そうだったのも合点がいく

 

 古は行動に迷いはなかった

 

 一瞬で自身の得意とする中国拳法、その内の一つ八極拳の構えをとる

 

「な、なんじゃ?」

 

「亀じい、もとい老師!ここは是非、私と一つ手合わせ願うアル!」

 

 そして声高らかに、亀仙人へと対戦を申し込んだ

 

 突然の要求に戸惑う亀仙人だが、古は言葉をつづける

 

「私も武道家、強い者と戦いたいのは本能アル。武術の神様、つまり武神と聞けばワクワクしない方がおかしいアルよ!」

 

 ウキウキした様子が声色から非常にわかりやすく感じ取れる

 

 古は拳を握り締め、気を込めた

 

 いつも以上に溢れた気が拳から吹き出し、古の気分はさらに高揚する

 

「さあ!今の私は絶好調アルネ!」

 

「ま、待て。わしはもうこんなジジイじゃ、それに弟子のクリリンのほうがとっくにわしより強くなっとる。ほれクリリン、折角じゃし相手をしてやらんか」

 

「武天老師様!?」

 

 神様を超えたアルか!と驚く古、途端に興味はクリリンへ移った

 

「ならクリリン、私と勝負するアル!」

 

 今度はクリリンの方を向き、構えを取り直す

 

「え、えー……」

 

「別にいいじゃろ、師匠命令じゃ。それにわしも古ちゃんがどれくらい強いか、見てみたいしのう」

 

「武天老師様まで……」

 

(さっきみたいなパンチ、もっかい喰らったらシャレにならん)

 

「さあ!」

 

「……はぁ~、しょうがないな」

 

 どうやら相手をしない方向で古を説得させるのは無理そうだ、そうクリリンは判断した

 

 そこまで言うなら一回だけ、とクリリンは渋々了承する

 

 三人は階段を下りて家の外に出た

 

「うわー、ここ島だたアルか!」

 

 先程亀仙人が言ったように、正真正銘辺り一面海という光景

 

 これに驚く古だが、それ以上に優先すべき事項があることは忘れるわけもなし

 

 早速始めるアルと意気揚々にクリリンと向き合った 

 

 五メートルほど距離をあけ、古は既に準備万端

 

 亀仙人はというと、家の中からビーチで使うような椅子を持ち出して家の入口の傍に設置

 

 そこに座ると、隣にウミガメを呼んで二人の様子を眺める

 

 しかしなかなか始まらない

 

「クーリーリーン!ちゃんと構えるアルよ!」

 

 原因は、やはりどこかやる気の無いクリリンの態度

 

 棒立ちのまま始めようとした彼に古は怒り、思わず声を荒げる

 

「あ、ごめんごめん」

 

 一応言われたままに構えを取るクリリン

 

 しかしどこか抜けている印象、このやる気の無さには少なからず理由があった

 

(あの古って娘、確かにそこらの武道家よりは格段に強いみたいだけど……)

 

 気の大きさを見る限り、自分よりはどう見積もっても確実に下である

 

 本気を出せばアッサリと勝ててしまうだろう

 

 クリリンはそう踏んだのだ

 

(それに女の子相手だしなぁ、どうも勝手がわかんないぜ)

 

「来ないならこっちから行くアルよー」

 

「おーう」

 

 まあ強さを見るってことなら、とクリリンは自身の気をさほど解放せず戦闘態勢

 

 感じられる古の気より、ほんの一回り大きくしただけ

 

 これで充分あしらえるだろう、そうあたりをつけた

 

 そしてこのあと、クリリンは知ることになる

 

「……ハイヤッ!」

 

「!?」

 

 中国武術研究会部長、古菲がどのような武道家であるかということを

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