士道「あー・・・」
寝起きの気分は最悪だった、そりゃそうだ俺の頭や腹の上で妹が情熱的にサンバを踊っていたのだ、一部の特殊な人間以外は不快に思うだろう
士道「琴里、俺の可愛い妹よ」
琴里「おお!?」
そこでようやく士道が起きていることにきずいたのか琴里がこちらに顔を向ける
琴里「なんだ?私の可愛いおにーちゃん」
士道「いや、起こしてくれるのはありがたいが降りてくれ」
琴里「おおー」
琴里は素直に降りてくれた
士道「先に下に行っといてくれ」
琴里「二度寝にたらダメだよ」
士道「さすがにしないよ」
琴里を部屋から出して俺は高校の制服に着替えた
士道「じゃあ、飯作るからちょっと待っててな」
琴里「うん!」
テレビ『ーー今日未明、天宮市近郊のーー』
士道「ん?」
いつもはBGM程度にしか思っていないニュースから聞きなれた町の名前が聞こえて画面に顔を向けた
士道「ここから結構近いな、何かあったのか?」
画面には滅茶苦茶になっている町の光景が映し出されていた
士道「なんだ空間震か」
空間の地震と称される広域振動現象。発生原因不明、発生時期不明、被害規模不確定の爆発
、振動、焼失、その他もろもろの現象の総称だ
士道「でも一時は全然起こらなかったのにまた増え始めたんだろうな?」
琴里「なんでだろうねー」
士道「なんかこの辺空間震多いよな」
琴里「んー、そうだねー、ちょっと予定より早いかな」
士道「予定より早いってどういうことだ?」
琴里「な、なんでもないよ、あーん」
士道「おい、飯の前にお菓子食うなよ」
琴里「えー」
士道「まあ、飯もちゃんと食うならいいけどな」
琴里「おおー、愛してるぞおにーちゃん」
士道「はいはい」
士道「そういえば、今日は中学校も始業式だったよな、昼飯どうする?」
琴里「うーん、デラックスキッズプレート!」
士道「当店ではご用意できかねます」
琴里「ええー」
士道「まあいいか」
琴里「おおー、ほんとか?」」
士道は喰種だが人間の食べ物を食べれる、だが牛肉などはあまり好きではない
士道「おう、じゃあ、学校が終わったらいつものファミレスで集合だ」
琴里「絶対だぞ、絶対約束だぞ、地震が起きても火事が起きても空間震が起きてもファミレスがテロリストに占拠されても絶対だぞ!」
士道「いや、占拠されてたら飯食えねえだろうが」
琴里「絶対だぞー」
士道「はいはい、わかったよ」
士道が学校に着いたのは8時15分を回ってからだ、廊下に張り出されたクラス表に適当に目を通し、これから1年間お世話になる教室に押しを踏み入れた
士道「2年ーーー4組か」
士道が住むこの町は30年前に一度更地になった、理由は空間震だ、そして今のこの町はテスト都市とされている、この来禅高校もその一部だ。なので決して入試倍率は低くなく家から近いから選んだ士道は少々苦戦した
士道「んーー」
何気なく教室を見回す、まだホームルームまでは時間があるのだが、もう結構な人数が来ていた、その中に士道が知っている物は少ない、そして士道が喰種と知っているものは誰一人いない
???「--ー五河士道」
士道「ん?」
後方から不意に静かで抑揚のない声が聞こえた、聞き覚えない声である、振り向いてみるとそこには1人の少女が立っていた、髪は肩にかかるくらいで人形のような顔だった、その顔には表情というものがないようだった、士道もあまり表情を顔に出さないがこの少女にはかなわないだろう
士道「えっと、誰かな?」
???「覚えてないの?」
士道「ああ、すまないがな」
???「そう」
その少女はとくに落胆した様子もなく席について机から分厚い教科書のようなものを取り出し読み始めた
士道「なんなんんだ?」
士道は記憶をたどってみたがわからない、何やら士道の事を知っているようだったが、どこかであったことがあるのだろうか
???「とうっ」」
士道「なんだよ、殿町」ガシッ
殿町「おう、元気そうだなセクシャルビースト五河」
士道「なんだよセクシャルビーストって」
こいつは俺の友人?の殿町宏人だなにかと俺に絡んでくるまあ、いいやつだと思う
殿町「とぼけたって無駄だぞ、この陰獣め、いつの間に鳶一と仲良くなってるんだよ、ええ?」
士道「鳶一?・・誰それ」
殿町「とぼけるな、さっきまで仲良くしゃべってたじゃねえか」
そういい殿町が顎で指す。そこには先ほどの少女が座っていた、少女は士道の視線にきずいたのだろうかこちらに顔を向けてくる
士道「へー、あの子が鳶一っていうのか」
鳶一「・・・」
鳶一は何も言わずに手元の書物に目を移した
殿町「ほらな、あの調子だ、うちの女子の中でも最高難易度、永久凍土とか米ソ冷戦とかマヒャデドスとまで呼ばれてんだぞ、いったいどういい寄ったんだよ」
士道「お前、いったい何の話をしているんだ?」
殿町「お前、本当に知らないのかよ」
士道「知らないな、前にクラスにあんな子いたっけ?」
士道がそういうと殿町は信じられないといった具合に両手を広げた、いちいちリアクションが大げさだろ
殿町「鳶一だよ、鳶一折紙、うちの高校が誇る超天才、聞いたことないのか?」
士道「知らん初めて聞いたけど、凄いのか?」
殿町「すごいなんてもんじゃねえよ、成績は常に学年主席、この前の模試に至っちゃ全国トップとかいう頭のおかしい数字だ、クラス順位は1個下がることを覚悟しな」
士道「なんでそんな奴が公立校にいるんだよ」
殿町「さあねえ、親の都合とかじゃねえの?」
大仰に肩をすくめて殿町が続ける
殿町「それだけじゃあねえ、体躯の成績は女子トップだ、ついでに美人ときた、去年の、恋人にしたい女子ランキング・ベスト13、でも第3位だぜ?見てなかったのか?」
士道「やってたことすらしらない、てかベスト13?何でそんな中途半端な数字なんだ?」
殿町「主催者の女子が13位だったからだ」
士道「・・・ああ」
女子の考えは理解できない
殿町「ちなみに、恋人にしたい男子男子ランキング、はベスト358位まで発表されたぞ」
士道「多いな、殿町は何位だったんだ?」
殿町「358位だ」
士道「主催者お前かよ」
殿町「選ばれた理由は『愛が重そう』『毛深そう』『足が臭そう』だったよ」
士道「下位はワーストだな」
殿町「ちなみにお前は第13位だ」
士道「へー」
殿町「なんだよ興味なさそうだな」
士道「いや、事実どうでもいいしな」
殿町「まあとにかく、校内1の有名人といっても過言ではないわけだ、五河君の無知っぷりにさすがの殿町さんもビックリだわ」
士道「なんのキャラだよ」
その時1年の時から聞きなれた予冷の音が聞こえた
士道「そういえば俺の席は・・」
窓から2列目の席だったのでそこに座ると
士道「・・・あ」
士道の席は学年主席の鳶一折紙の隣だった
鳶一はまるで定規で測ったかのような美しい姿勢をとった
士道(凄いな、よくあんな姿勢がとれるな)
士道は内心驚いていた、彼も姿勢は良いほうだが鳶一のようにはいかない
そう思った時に教室のドアが開いた、そして小柄な人物が入ってくる
「タマちゃんだ」
「ああ、タマちゃんだ」
「マジで、やったー!」
おおむね、好意的なものだったようだ
珠恵「はい、皆さんおはようございます、これから1年間、皆さんの担任を務めさせていただきます、岡峰珠恵です」
と礼をするとサイズが合っていないのか眼鏡が微かにずれた
士道「・・・?」
色めき立つ生徒たちの中、士道は頭にはてなを浮かべた。士道の左となりに座った鳶一が、じーっ、と士道の方に視線を送ってきていた
士道「・・・」
一瞬目が合った、士道はまあいいかと思い視線を外した
士道「鳶一折紙か」
士道は一人誰にも聞こえない声でそうつぶやいた
士道が折紙と呼ぶようになるまでは鳶一の表示です
次回は十香が出てきます