そして、次の日
鳶一「来て」
士道「へ、鳶一?」
突然。俺は鳶一に手をつかまれた、
士道「あ、ちょ、ちょっと」
ガタンと椅子を倒し、鳶一に引っ張られて教室を出ていく。後方では殿町がポカンと口を開け、女子の集団が何やらギャーギャー叫んでいた、何かよからぬ噂が立つだろうが気にしない
4月11日、火曜日、士道がおよそ現実とは思えない不思議な体験をした日の翌日である、結局俺はあのあと別室に移動させられ、知らない人間に事態の詳細な説明を深夜まで延々聞かされたあと、何やら佐様々な書類にサインをさせられて、家に帰りすぐに寝た、そして今はホームルームが終わった直後だ、鳶一は無言のまま階段を上り、しっかり施錠された屋上への扉の前までやってきて、ようやくその手を離した
士道「え、ええと・・どうした、鳶一?」
鳶一「昨日は、何故邪魔をしたの?」
士道「・・・」
鳶一「何故?」
士道「・・・はあ、何故かって、俺にも被害が来ていたからだ」
鳶一「そう、なら、あの時ことは忘れるべき、私達の事も精霊の事も」
士道「俺にこんなこと言っても大丈夫なのか?」
鳶一「問題ない」
士道「そうなのか?」
鳶一「あなたが口外しなければ」
士道「・・・もし、話したら?」
鳶一「困る」
士道「そ、そうだな・・わかったよ、誰にも言わないよ」
こくりと、鳶一が首肯する、その会話を最後に、鳶一は俺から視線を外し。階段を下りて行った
士道「・・・はああ」
俺は鳶一の背が見えなくなってから、ため息をついた
「きゃあああああああああーーーッ!!」
士道「な、なんだ?」
下から女子の悲鳴が聞こえた、降りて確認すると白衣を着た女性が倒れていた
士道「何があったんだ?」
「し、新任の先生らしいんだけど・・・急に倒れて・・っ!」
士道「とにかく保険の先生をーーー」
俺がいいかけると倒れていた白衣の女性ががしっ、と俺の足をつかんだ
士道「う、うわぁっ!」
「心配はいらない。ただ転んでしまっただけだ」
士道「ん?あなたは?」
「・・・ん、ああ、君はーー」
女ーーラタトスクの解析官・村雨令音が、のろのろと身を起こす
士道「何をしているんですか、こんなところで?」
令音「簡単なことだよ、教員としてしばらく世話になることにしたんだ、ちなみに教科は物理、2年4組の副担任も兼任する」
士道「そうなんですね」
俺は令音さんに手を差し伸べた
令音「ん、悪いね」
士道「それはいいですけど。歩きながら話しましょう」
令音「昨日琴里が言っていた訓練の準備が整った、きみをさがしていたんだ、このまま理科準備部屋に行こう」
士道「いったい訓練というのはどういうことをするんですか?」
令音「琴里に聞いた話ではシン、君は女の子と交際したことがないようだね」
士道「まあ、きずかれでもしたら面倒ですからね」
俺は特に人間に苦手意識をもっているわけでもないが人と付き合うというのは経験がない、俺が喰種だとわかったら何をされるかわからないからな
令音「なるほど、だが精霊を君が口説くんだよ」
士道「はい、それは重々承知してます」
令音「そうか・・・ん、あれは」
士道「な!」
視線の先には担任のタマちゃん教諭が歩いていたのだが、その後をちっこい影があるいていたのだ
「あ!」
俺達の視線にきずいたのいたのだろう、ちっこい影・・琴里が表情を明るくした
琴里「おにーちゃぁぁぁぁぁん!」
琴里が俺の腹に突撃してきた
士道「痛い」
琴里「もー、なんかもっと反応してよ」
士道「琴里、なんでお前が高校に居るんだよ」
珠恵「s、五河君、妹さんが来ているから、今から校内放送で呼ぼうとしていたんですよ」
士道「そうですか」
琴里「先生ありがとーー!」
珠恵「はい、どういたしまして」
手をブンブン振る琴里に、先生がにこやかに返す
珠恵「やー、もう、可愛い妹さんですね」
士道「は、はあ」
俺は苦笑しながら曖昧な返事をした
士道「で、琴里」
琴里「んー、なーに?」
士道「おまえ、・・昨日のあれ、ラタトスクとかあ、精霊とかーーー」
琴里「その話はあとにしよーよ」
士道「そうか」
琴里「早くいこうよ」
士道「な、なんだこれは」
理科準備室なんて、生徒がそうそう出入りする場所ではないが¥し、実際。俺も中に何が置かれているかなんて知らない、それでもはっきりと認識した、ここは理科準備室ではない、何しろ今俺の視界にはいくつものコンピューターにディスプレイ、その他いろいろなものが置かれていた
令音「ここの備品さ?」
士道「何故に疑問形、そしてここにいた先生はどうしたんですか?」
令音「・・・ああ、彼か、うむ」
士道「・・・・・」
令音「・・・・・」
士道「・・・・・・」
令音「・・・・・・」
数秒が過ぎた
令音「・・まあ、そこで立っていても仕方ない、入りたまえ」
士道「いやいや、うむ、も次はどうしたんですか?」
俺はこういったが令音さんはあまり気にしていないようだった、琴里が俺も脇から部屋に入っていく、そして、慣れた手つきで白いリボンを外すとポケットから黒いリボンを取り出し髪に結び付けた
琴里「ーーーふぅ」
琴里の印象が変わった、どこかけだるけに令音さんの隣の椅子にすわった、そして、琴里は持っていた鞄から小さなバインダーのようなものを取り出した、中には綺麗に、様々な種類のチュッパチャップスが並べられていた、まさかの飴専用ホルダーである、琴里はその中から1つを取り出し口にくわえた、そしていまだに部屋の扉の前にいた俺に目を向けると、見下すような視線を向けてきた
琴里「いつまで突っ立てるのよ、士道、もしかしてかかし志望?」
士道「そりゃな、ここがこんなことになっているのに正常にいられる人間の方が少ないんじゃないか?」
琴里「私は全然だったわよ」
士道「誰もがお前と一緒だと思うなよ」
琴里「くっ」
令音「さあ。喧嘩はそこまでにしてシンにはこれをしてもらう」
琴里「さ、じゃあ早速調きょ・・・訓練をしましょうか」
士道「お前、今調教っていいかけただろ」
琴里「気のせいよ・・令音」
令音「ああ、シン、君の真意がどうであれ、我々の作戦に乗る以上は、最低限クリアしておかなければならないことがある」
士道「は、はあ、何ですか?」
令音「単純な話さ、女性への対応に慣れておいてもらはなければならないんだ」
士道「女性への対応ですか」
令音「ああ」
なんだか眠ってしまいそうだが・・・大丈夫だろうか
令音「・・対象の警戒を解くため、ひいては好意を持たせるためには、まず会話が不可欠だ、大体の行動や台詞は指示が出せるが・・・やはり本人が緊張していては話にならない」
士道「さすがに女性との会話位はできますよ」
琴里「本当かしら」
と、琴里がいきなり俺の頭を押し、令音さんの胸に押し付けてきた
士道「・・・・」
令音「・・ん?」
士道「・・・・」バキッ
琴里「へ?」
俺は琴里の手を退かして赫子を出した
士道「こーとーりちゃん」
琴里「そ、その、さっきのは士道の心拍の乱しを確認したのよ、だ、だから今のはノーカンで。お願い」
士道「・・・・はあ、まあいい」
令音「まあ、早いとこ始めようじゃないか」
士道「そうですね」
令音さんはディスプレイの電源を入れた
士道「は?」
俺の前のディスプレイには可愛らしくラタトスクのロゴが出た、続いて、ポップな曲とともに、カラフルな髪の少女たちが順番に表示され、タイトルと思わしき【恋してマイ・リトル・シド―】のロゴが出る
士道「これは?」
令音「・・うむ、恋愛シュミレーションというやつだな」
士道「ギャルゲーかよ」
琴里「あら、何を想像してたのかしら、妄想力は1級品ね」
士道「何も想像していないけどな、お前こそ何を思っていたのかな?」
琴里「そ、それは」
士道「どうなんだ、琴里ちゃん」
琴里「くっ」
士道「まあ、いいや、こんなので訓練になるんですか?」
令音「まあ、そういわないでくれ、これはあくまで訓練の第1段階さ、それに市販品ではなく、ラタトスク総監修によるものだ、現実におこりうるシチュエーションをリアルに再現してある、心構えくらいにはなるものだ、ちなみに15禁だ」
士道「最後のは言う必要ありましたか?」
令音「まあ、一応だ」
士道「そうですか」
令音「ん、では始めてくれ」
士道「はいはい、と」
俺は半分適当にコントローラーを手に取った、妹と先生に見られながらギャルゲーとか罰ゲーム以外の何物でもないんじゃないかな、そしてが画面が一瞬暗転し
『おはよう、お兄ちゃん、今日もいい朝だね』
そんな台詞とともに、綺麗なCGが表示された、主人公の妹キャラだろうか、小柄な少女が描かれていた、というか寝ている主人公を踏んでいた、パンツ丸見えだった
士道「ん?この光景」
令音「ん、どうしたんだい?」
士道「いえ、何でもありませんよ」
この光景に見覚えがあることは言わないでおこう、琴里の名誉が崩壊する可能性があるからな、どんどんテキストを進めていくと何やら画面の真ん中に文字が現れる
士道「ん?選択肢か」
琴里「そうよ、この中から主人公の行動を選ぶのよ、それによって好感度が上下するから注意するのよ」
士道「ふーん」
俺は画面に目を向けた
(おはよう、愛してるよリリコ)愛をこめて妹を抱きしめる
(起きたよ、というかおっきしゃったよ)妹をベットに引きずり込む
(かかったな、あほが)踏んでいる妹の足をつかみ、アキレス腱固めをかける
士道「まともな選択肢がないな」
琴里「とりあえず何か選んだらどう?」
士道「いや、あえてここは選択しない」
琴里「な!?」
(んーー・・あと10分)
(だめ!ちゃんと起きるの!」
至極普通の会話が、画面に表示された
士道「やっぱり、あんな変な選択肢選ぶ必要はないな」
琴里「くっ」
そこから俺はほぼ間違わずにゲームをクリアした
士道「まあ、余裕だったな」
琴里「じゃあ次よ、今度は生身の人間に試してもらうわよ」
士道「生身の人間?」
琴里「そうよ、次は現実(リアル)よ」