士道「十香、大丈夫か?」
十香「う、うむ」
士道「ならいいが」
十香「そ、そんなことより、早くシドーは逃げたほうが良い、私と一緒にいては同胞に討たれるぞ」
士道「うーん、俺はあいつらと同胞とは言いにくいかな」
十香「ぬ、どういうことだ?」
士道「とりあえず、この音をどうにかしたいな」
十香「それならまかせろ!」
十香がそういうと俺達の周りから銃声音が聞こえなくなった
十香「さあ、これで話ができるぞ」
鳶一「-----」
ワイヤリングスーツに身を包んだ鳶一折紙は、その両手に巨大なガトリング砲を握っていた、標準ををセットして引き金を引き、ありったけの弾を学舎にぶちまける、随意領域(テリトリー)を展開させているため、重量も反動もほとんど感じないが、本来ならば戦艦に搭載されている類の大口径ガトリングである、実際、四方から砲撃を受けた校舎は、見る見るうちに穴だらけになってその体積を減らしていた、とはいえーー顕現装置搭載の対精霊装備ではない、ただ単純に、校舎を破壊して精霊をいぶりだすためのものだ
僚子『ーーーどう?精霊は出てきた?』
鳶一「まだ確認できない」
ヘッドセットから聞こえた声は鳶一が所属している班の班長の日下部僚子だ
鳶一は自らも銃を撃ちながら、目を見開いて崩れ行く校舎をじっと見つめていた、通常ならみとることことすらできない距離だったが、随意領域を展開させた今の鳶一には、校舎脇の掲示板に張られた紙の文字を読むことだって可能だった、とーー鳶一は小さく目を細めた、2年4組、鳶一達の教室、その外壁が、鳶一達ASTの攻撃によって完全に崩れ落ちーーーーターゲットである精霊の姿が見えたのである、だがーーー
僚子『・・ん?あれはーーー』
僚子が訝しげな声を上げた、それはそうだろう。教室の中には、精霊の他に、もう一人少年と思しき人間が確認できたのである、---逃げ遅れた生徒だろうか
僚子「な、何あれ。精霊に襲われてるーーー?」
僚子が眉をひそめながら声を発する、だけれど鳶一はそれに反応することなく、教室の方をじっと見つめていた。精霊と一緒にいる少年の姿に見覚えがある気がしたのである
鳶一「----!」
鳶一は目を見開いた、だってそこに居たのはーーー鳶一のクラスメート、五河士道その人だったのである
僚子「--折紙?」
隣から、僚子が怪訝そうに話しかけてくる、だが鳶一は答えず、ただ頭の中に指令を巡らせた、全身に纏った顕現装置(リアライザ)への、最速機動の指令を
僚子「ちょっと、折紙!?」
『--危険です、独断行動は避けて下さい』
さすがに異変にきずいたのだろう、僚子と本部からの通信が、ほぼ同時に響く、しかし鳶一は止まらなかった、すぐさま両手に携えていたガトリングを捨て、腰に携えていた近接戦闘用の対精霊レイザー・ブレイド(ノーペイン)を引き抜いて、校舎へと向かっていた
音は聞こえないが銃弾の雨の中女の子を会話なんて生れてはじめての体験だった、十香の力が働いているのか銃弾は、俺達を避けるように、校舎を貫通していく
十香「シドー、さっき言っていたことはどういうことなのだ?」
士道「ああ、十香は覚えてるか、俺達が最初に会った時のことを」
十香「うむ、おぼえている」
士道「その時、俺から何か出ていたのはきずいたか?」
十香「・・・ああ、あの赤い触手のことか?」
士道「ああ、それだ」
十香「でも、それがどうしたのだ?」
士道「あれは赫子って言うんだ」
十香「・・・赫子」
士道「で、俺の正体だけど・・・俺は喰種なんだ」
十香「ぐーる?」
士道「ああ、簡単に言うと、人間を喰らう怪物と言っても過言ではないな」
十香「シドーは人を喰らうのか?」
士道「まあ、殺人者とかだけは喰う」
十香「そうか」
士道「驚かないのか?」
十香「シドーは私を助けてくれた、そんな相手を疑うのは嫌だからな」
士道「そうか、なあ、今度はこっちから質問してもいいか?」
十香「うむ、私に答えられるものならすべて答えるぞ」
士道「じゃあ、まずは、十香は一体どういう存在なんだ?」
十香「--知らんのだ」
士道「知らないのか」
十香「どのくらい前だったか、私は急にそこに芽生えた。それだけだ、記憶は歪で曖昧。自分がどういう存在なのかわからぬのだ」
士道「そうか」
琴里『チャンスよ、士道、精霊の好感度が70を超えたわ、一歩踏み込むらな今よ』
士道「踏み込む?」
琴里『そうね、とりあえずデートでも誘ったら?』
士道「そうだな」
十香「ぬ?どうしたのだシドー」
士道「嫌なんでもいないよ、そうだ、十香」
十香「なんだ?」
士道「今度俺とデートしないか?」
十香「デェトとは何なのだ?」
士道「簡単に言ったらだなーーー」
琴里『士道!ASTが動いたわ!』
士道「こんな時に」
と、いつの間にか解放感にあふれていた教室の外から鳶一が現れる
士道「ん、鳶一?」
鳶一は手にした無骨な機械から光の刃現出させ、十香に攻撃を仕掛ける、十香は手を使いその攻撃を防いだ、溶接現場もかくやと言うほどの火花が、あたり一面に飛び散る
鳶一「くーーー」
十香「ーー無粋!」
十香は一喝するように叫ぶと、光の刃を受け止めていた手を、鳶一ごと振り払った
鳶一「・・・・っ」
微かに歯を食いしばりながら、鳶一が後方へと飛ばされるーーーが、即座に姿勢を整えると、銃痕だらけの床に綺麗に着地してみせた
十香「ちーーーまた、貴様らか、私とシドーの話を止めたのは」
光の刃を受け止めていた手を軽く振りながら、唾棄するように十香が言う、鳶一は俺を一瞥すると、安堵したかのように小さく息を吐いた、しかしすぐに見慣れない武器を構えなおし十香に冷たい視線を放つ
十香「・・・」
その様子を見た十香は、ちらりと俺を一瞥してから、自分の足元の床に踵を突き立てた
十香「--<塵殺公>(サンダルフォン)!」
瞬間、教室の床が隆起し、そこから玉座が現れる
士道「や、やば」
琴里『士道、離脱よ!いったん《フラクシナス》で拾うわ、できるだけ2人から離れなさい!』
士道「あ、ああ」
その瞬間、十香が玉座の背もたれから剣を抜き、鳶一に向かって振るう、俺はギリギリで赫子を発動させ教室の外に出た
琴里『回収するわ』
不思議な浮遊感を感じながら、俺は《フラクシナス》に回収された
次回はデート回です、もしかしたら次回で十香編が終わるかも