グール・ア・ライブ   作:亀太

9 / 9
設定を色々変更しました


~デート~

 

士道「そりゃ、普通に考えたら休校だよな」

 

 

俺は後頭部を掻きながら、高校前から延びる坂道を下っていた、俺が精霊に十香と言う名をつけた次の日、普通に登校したはいいがぴたりと閉じられた校門と、瓦礫の山と化した校舎を見て、自分の阿呆さに息を吐いた、まさに校舎が破壊される現場にいたわけだし、普通に考えれば休校になることくらい推測できたのだろうが・・・そのあまりの非現実的な光景に、無意識下が自分の日常と切り離して認識していたのかもしれない。それに、昨日の夜はずっと十香との会話ビデオを見ながら反省会をさせられていたため、寝不足なのだ

 

 

士道「はあ・・ちょっと買い物にでも行くか」

 

 

ため息をひとつこぼし、家への帰路とは違う方向に足を向ける、しばらく歩くと俺は足を止めることとなった

 

 

士道「通行止めか」

 

 

だがそんなものがなくとも、その道を通行できないことは容易に知れた、何しろアスファルトの地面は滅茶苦茶に掘り返され、ブロック塀は崩れ、雑居ビルまで崩落していた、まるで戦争でもあったかのような有様だったのだから

 

 

士道「ああ。ここはーーー」

 

 

この場所には覚えがあった、初めて十香に会った空間震現場の一角である、まだ復興部隊が処理をしていないのだろう、10日前の惨状をそのままに残していた

 

 

士道「・・・・」

 

 

脳内に少女の姿を思い浮かべながら、細く、息を吐く、---十香、昨日まで名を持たなかった、精霊と、災厄と呼ばれる少女、昨日、前よりずっと長い間会話してみてーー士道の予感は確信に変わっていた、あの少女は確かに。普通ではありえない力を持っている。国の機関が危険視するのもうなずける、今俺の目の前に広がる惨状がその証拠だ、確かに、こんな現象を野放しにしてはいけないだろう

 

 

???「・・・ドー」

 

 

だけれどそれと同時に、彼女がその力をいたずらに振るう、思慮も慈悲もない怪物だとは、到底思えなかった

 

 

???「・・シドー?」

 

 

士道「ん?」

 

 

凛と風を裂くような、美しい声

 

 

士道「十香」

 

 

十香「うむ、昨日ぶりだな」

 

 

士道「どうしたんだ?こんなところで」

 

 

十香「おまえが誘ったのだろう、シドー、デェトとやらに」

 

 

士道「ああー」

 

 

十香「ところでデェトとは何なのだ?」

 

 

士道「ああ、デートはな男と女が一緒に遊んだりすることだ」

 

 

十香「そうなのか、ではデェトをしようではないか」

 

 

士道「ちょっとまった」

 

 

十香「ぬ、どうしたのだ?」

 

 

士道「その恰好で行くつもりか?」

 

 

十香「この霊装ではいけないのか?」

 

 

士道「その恰好は目立つしASTにもかぎつけられる」

 

 

十香「では、どうすればいいのだ?」

 

 

士道「そうだな、」

 

 

俺の目の端に目知らぬ女子生徒が見えたおそらく、俺と同じでなんらかの理由で休校情報を聞き逃したのであろう

 

 

士道「あんな服だったら大丈夫だ」

 

 

十香「そうか」

 

 

言うと十香は、右手のひとさし指と中指をピンとたてた、そして指先に黒い光玉を出現させ、女子生徒の方に向ける

 

 

士道「って、何をするつもりだ!?」

 

 

十香「気絶させてから服をはぎ取ろうとーーー」

 

 

士道「いやいや、それはダメだろ」

 

 

十香「む、そうなのか?」

 

 

士道「十香もASTにあんなことされたらいやだろ、自分がされていやなことは人にしたらダメだぞ」

 

 

十香「そ、そうか、それはすまない」

 

 

士道「いや、わかってくれればいいよ」

 

 

十香「なら、自前でどうにかしよう」

 

 

すると十香が纏っていたドレスが、端から空気に溶け消えていき、それと入れ替わるように光の粒子のような物が十香の体にまとわりつく、数秒のあと、そこには、来禅の制服を十香は纏っていた

 

 

十香「これでいいのか?」

 

 

士道「ああ、それなら完璧だ」

 

 

十香「うむ!それよりどこにいくのだ?」

 

 

士道「ああー、そうだな、とりあえず俺の行くところに先に行ってもいいかな?」

 

 

十香「ぬ?シドーはどこかにいくのか?」

 

 

士道「十香が行きたい所があるならそこでもいいけど」

 

 

十香「いや、私はまだこの世界に慣れていない、だからシドーの行きたい所で構わないぞ」

 

 

士道「そうか、じゃあ、行こうか」

 

 

十香「うむ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

十香「ぬ?何かいい匂いが」

 

 

士道「ん?ああ、ここの匂いだな」

 

 

十香「シドー、ここは何と言うのだ?」

 

 

士道「入ってみるか?」

 

 

十香「シドーが行きたいなら良いぞ」

 

 

士道「あ、ああ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

琴里「あ、令音ー、それいならいならちょーだい」

 

 

令音「・・ん、ああ、構わないよ」

 

 

琴里がフォークを伸ばして、令音の前に置いてあった皿のラズベリーを突き刺した、そのままそろそろと口に運び、甘酸っぱい味を堪能する

 

 

琴里「んー、おーいし、なんで令音これダメなの?」

 

 

令音「酸っぱいじゃないか」

 

 

と言って、令音は砂糖をたっぷり入れたアップルティーを一口すすった、今は琴里の学校が昨日の空間震の影響を受け臨時休校になったのだ、なので令音を誘いおやつタイムを取っていた

 

 

琴里「毎回思うけど、令音って砂糖を入れる量が多いよねー」

 

 

令音「そうかい?私はこのくらいがちょうどいいのだが」

 

 

琴里「そういえば、おにーちゃんも結構甘党だったなー」

 

 

令音「そうだ、ちょうどいいから聞いておこう」

 

 

琴里「なーに?」

 

 

令音「・・初歩的なことで悪いのだがね、琴里、何故彼が精霊との交渉役に選ばれたんだい?」

 

 

琴里「んー」

 

 

令音の言葉に、琴里は眉をひそめた

 

 

琴里「誰にも言わない?」

 

 

令音「・・約束しよう」

 

 

琴里「実は、私とおにーちゃんって、血がつながってないのよ」

 

 

令音「ほう」

 

 

琴里「何歳のころだったかな、それこそ私がよく覚えてないくらいの時に、おにーちゃん、本当のお母さんに捨てなれてうちに引き取られたんだ、私が物心つく前だったからあんまり覚えてないんだけどさ、引き取られた当初は相当参ってたみたいなんだ、それこそ、自殺しちゃうんじゃないかってくらいに」

 

 

令音「・・・・」

 

 

何故だろうか、令音がピクリと眉を動かした

 

 

琴里「どうしたの?」

 

 

令音「いや、なんでもない、続けてくれ」

 

 

琴里「ま、仕方ないっちゃ仕方ないんだろうけどねー、年齢一桁の子供からしてみれば、母親っていうのは絶対的存在だし、おにーちゃんにとっては自分の存在全てが否定されるような一大事だったと思うーーーーまあ、一年くらいたったころだったかな、突然治まったらしいよ」

 

 

令音「そうなのか」

 

 

琴里「それからなのか、おにーちゃんは人の状態に敏感になったの」

 

 

令音「人の状態?」

 

 

琴里「人が落ち込んでいたらそれをすぐに察知するんだよ」

 

 

令音「そうか、だが私が聞きたいのはそういった心理的状況ではないのだよ」

 

 

琴里「て、言うと?」

 

 

令音「・・とぼけてもらっては困る、君が知らないはずがないーー彼は一体何者だね?」

 

 

琴里「ま、令音におにーちゃんを預けた時点でこうなるのは大体予想できたけどね」

 

 

令音「シンを一般人とは言いにくいが的確な理由もなくこの作戦にいれるのはおかしいからね」

 

 

琴里「まあ、そのうちどうせ皆に伝わると思うけどね」

 

 

カランカランと店のドアが開いて「いらっしゃいませ」という店員の声が聞こえてきた、そして手元に残っていたブルーベリージュースを一気に吸い取る、とーーーー

 

 

琴里「ぶぶぅぅぅぅぅぅぅぅぅ!?」

 

 

今、店内に入ってきたと思いしきカップルが令音の後ろの席に腰掛けるのを見て、口の中に収めていたジュースを勢いよく吹き出した、琴里の目の前にいた令音はもろ被害を喰らっていた

 

 

琴里「ご、ごめん令音・・」

 

 

令音「いや、大丈夫だよ」

 

 

令音はポケットからハンカチを取り出しふきながら琴里に問う

 

 

令音「・・何かあったのかね、琴里」

 

 

琴里「ちょっと、非科学的かつ非現実的なものをみた気がして」

 

 

令音「なんだね?」

 

 

令音の問に答えるように、琴里は無言で、令音の後ろを指した

 

 

令音「・・・?」

 

 

令音は首を回し、ぴたりと止まった

 

 

令音「なまらびっくり」

 

 

何故か北海道弁だったが令音なりに驚いているのだろう、それはそうだろう、琴里の兄の士道が女の子を連れ座っていたのだ、しかもそれだけではない、その女の子は琴里たちが災厄と、精霊と呼ぶ、あの少女であったのだ

 

 

琴里「えええ、なにこれぇ」

 

 

令音「私達にきずかれずにここに下界することができるのかね」

 

 

琴里「そうとしか思えないよ、それじゃなかったら、おにーちゃんが女の子を連れ回っているってことになるから」

 

 

令音「だがそうなると、シン一人で精霊に対応できるのだろうか?」

 

 

うなっていると、令音の後ろから2人の声が聞こえた

 

 

十香「なるほど、この本から食べたいものを選べばいいのだな?」

 

 

士道「ああ、そうだよ」

 

 

十香「きなこパンはないのか?」

 

 

士道「さすがにここにはないよ、ていうか、さっきのパン屋で食いまくっただろ」

 

 

十香「あれは美味しかったぞ」

 

 

士道「それは良かったな」

 

 

十香「ここでも新たな味を開拓しようではないか」

 

 

士道「でも、金があんまりないから合計3000円までな」

 

 

十香「ぬ?なんだそれは」

 

 

士道「さすがにこんだけ食べれば金がなくなるよ」

 

 

十香「そうなのか?」

 

 

士道「ああ」

 

 

十香「わかった、ではその上限までで何とかしよう」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そのあと俺達は飯を食い、街を歩きまわった、ところどころフラクシナスのクルーの皆さんがいてデートの手伝い(邪魔にしか思わない)をしてきた、そして時刻は18時

 

 

僚子「ふぅ」

 

 

日下部僚子は目を細めらがら唇を舐めた

 

 

僚子「存在一致率97、5%、さすがに偶然とかでは説明できないレベルだね」

 

 

鳶一「・・・・」

 

 

僚子の目の前には大きな狙撃銃を構え高台を狙っている少女がいた

 

 

鳶一「狙撃許可は?」

 

 

僚子「まだ出てないわ、待機していろってさ、まだお偉い方が協議中よ」

 

 

鳶一「そう」

 

 

特に落胆した様子もなく、鳶一折紙氏がうなずく

 

 

数時間前鳶一が発見した少女に精霊の判定が出てからすぐにCR-ユニットの機動許可がおりた

 

 

鳶一「これは好機」

 

 

この状況は確かにチャンスだ、精霊はその身に霊装を纏っておらず、こちらの攻撃が届く可能性がある

 

 

僚子「・・・頭ん中日和ってるお偉いがたが、この状況で攻撃許可出すかしらねえ」

 

 

鳶一「出してもらわなければ困る」

 

 

僚子が言うと、鳶一はノーウェイトで答える

 

 

僚子「・・ま、現場としちゃそうなんだけどさ、攻撃許可を出したけど、一撃で仕留めきれなくて精霊が暴れだしました、ってのと、精霊が勝手に暴れたけど、現界していたなんて知りませんでしたー、ってのだと、責任問題になった時にずいぶん意味合いが違ってくるのよ」

 

 

鳶一「そんな理由で決められては困る」

 

 

僚子「そうは言っても、十把一絡げの人命より自分の地位が大事なお方が多いからね」

 

 

そこで僚子の耳にノイズ混じりの声が聞こえてきた

 

 

僚子「はいはい、こちらポイントA、結局どうなっーーーえ?」

 

 

僚子は鼓膜に伝わった情報に、目を丸くした

 

 

僚子「---了解」

 

 

そうとだけいって、通信を終了する

 

 

僚子「・・驚いた、狙撃許可が下りたわ」

 

 

以外だったまさか許可がでるなんて

 

 

僚子「折紙、あんたが撃ちさい、今いる面子の中では、あんたが一番適任よ、確実に一撃で仕留めなさい」

 

 

鳶一「了解」

 

 

鳶一は顔色一つ変えず声を発した

 

 




次回、十香編が終了します
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
※参考:評価数の上限
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。