くっころ金髪ポニーテールおじさん   作:とぼぼ

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就活中の現実逃避なので100%エタる(確信)


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 身体中に痛みを感じて目を覚ます。昨日、ゲームしながら寝落ちしたから間違いなくそれが原因である。これから始まる大学生活がコミュ障には怠すぎて現実逃避したからな。

 こたつ&PCの黄金ニートセットの中から、ゆっくりと、這い出て、身体を伸ばす。うむ、鳴ってはいけない音が身体中から鳴り響く。

 窓からは郵便配達のバイクの音が聞こえる。恐らくまだ夜明け前であろう。炬燵で寝るとすぐに目が覚める。

 

 目覚めたら小学生の頃に戻っていて、そんでもって第二の人生俺TUEE展開になったらいいのになとか考える。

 そんな事を考えながらも喉の乾きを覚える。寝不足で胃が食事を受け付けなくても、喉は乾くのである。

 さて、取り敢えず白湯でも入れて水分補給をしよう。

 

 そう思った俺は、独り暮らしを始めたばかりでまだ新品の炬燵から立ち上がろうとするが、ふと違和感を覚える。

 視界の端に、ちらちらと写る長い金髪。そして立ち上がる為に炬燵につけた手はどこか小さい。寝起きで頭が回っていないのか、疑問に思いながら立ち上がるといつもより目線が低い。

 何かがおかしい。まるで夢から覚めて居ないような気分に成りながら見下ろすと、寝巻はぶかぶかで丈も合っておらず、脚はすらっとしながらもどこか強さを感じさせる健康的な白い脚に成っていた。いつもの桜大根のような太い脚ではない。

 そして、眼鏡をかけていないのに、視界がはっきりしていることにも気が付く。慌てて、洗面所に向かう。

 途中、まだ荷ほどきしていない段ボールを蹴り飛ばしたが、そんなものはどうでもよい。いや、実際はどうでもよくない。くそっ! 爪先が痛いじゃないか!しかしこの痛みが今この状態が現実であることを囁いてくる。

 そして、鏡を見ながら、俺は茫然とする。

 何故なら、そこには金髪ミディアムヘアwithアホ毛の超絶美少女の姿が映し出されていたからだ。

 そう俺は、男子大学生から女子大学生になっていたのだ!…なってる場合か!慌てて産まれてからの相棒を確かめる。

ふにっ

 

……残ってた。ついでに相方の双子も。

 いやぁ美人ってのは変な顔をしてても、やっぱり美人なんだなぁと、現実逃避してみる。男でも美人って描写使えるんですね。うん、あれ?こう言うのって女の子になってるパティーンじゃないの?違うの?

 

 もう一度良く鏡を見る。

 

クッキリとした大きな目、長いまつ毛、ほんのり茜色が射し込んだ唇に、透き通るようなスベスベの肌、サラサラとした金髪は染めたものと異なり、まるで地毛のような違和感のない金髪であった。

明らかに10代だよね。これ。若返った?JKになっちゃう?いや生えてるからDKのままか。生えてる言うな。

そして鏡の中の自分と見つめ合うこと数秒。俺はあることに気が付く。

―――これセイバーじゃね。

三次元の癖に似てる人が二次元の人でした。

 

「なんだこれはたまげたなぁ…ファッ!?」

 

思わずくっそ汚い語録が漏れると声までセイバーになってるじゃないかたまげたなぁ…。

 

「ごほん、えー。問おう、貴方が私のマスターか。」

 

 完璧にセイバーの声ですね間違いない…。じゃあ俺、声優になってギャラ貰ってくるから。

 

 

◇◆◇◆

 

 

「ぷはー☆今日もたぶんいい天気。」

 

 取り敢えず俺は紅茶を飲んでいた。元は喉の乾きで起きたし、多少はね?それで何故紅茶かというとセイバー➡イギリス➡紅茶のガバ三段論法である。

 しかしセイバーになって味覚が変化したのか、この1パック108円の紅茶は全然美味しくない。

 ふと冷静になってみると、セイバーの顔になって普通の生活が送れるのだろうか。取り敢えず大学の生徒手帳の写真はまだ撮ってないからセーフ。それ以外の身分証も確か顔写真とか無かったし、多分大丈夫だろう。

 ニート魂の俺はまだアルバイトなんて始めてないから顔見知りもいないし、地方から出てきたので同じ大学に知り合いもいない。

「あっ…やべぇよやべぇよ…」

これからを考えていく中で、一つだけ問題が出てきた。実はこの俺、田中祐介はゲーム実況者なのである。といっても毎回再生数が2000ちょいの貧弱実況者なのだが、只管肉声で語録を垂れ流しながらガバプレイを恥ずかしげもなく電子の海にドバーッ!と放出するスタイルが受けて、最近徐々にだが再生数が伸びていたのである。

 

「どうすっかなー俺もなー。」

 

 こんな良い声でくっそ汚い語録を垂れ流すのも気が引ける。第一ファンが待っているのは田中祐介の男らしい声であって、断じて聖剣振ってそうな女騎士の声では無いのである(断言)。

……まぁ待て、まずは落ち着いて、落ち着くんだ。よし、すごく落ち着いた。まずは目先の事を考えてみようではないか。

 改めて自分の姿を見て考える。うん、この格好では、まず外出ができないな。

 今まで着ていた服は、ぶかぶかの状態である。すぐにずりずりと落ちてきてしまい、美少女(男)とはいっても、これでは痴女(男)だ。反射的にサイズが会わなくなったYシャツだけ着て自撮りをしてみる。凄く…素晴しいです。てか男なのに腰の括れとかあるんですがそれは…。

 

 俺は取り敢えず炬燵に戻り、密林で適当に服をポチる。別にTSしたわけではないので、ブラとか買わなくて良いのが楽で良い。

 ここまで素材が良いと今まではあまり服には気を使わなかったが、どんな服を着るかとか考えていて楽しくなる。ついでにセイバーのコスプレ衣装を見つけたので買っておく。…けっこう高い。

 一通り注文を終えたところで、一息つく。これで衣服が届く明日には外出できるように成るはずだ。

とりあえずの用事を済ませた俺に疑問が湧いてくる。 何故俺は見た目がセイバーに成ってしまったのだろうか。全く理由が浮かばない。自慢ではないが、俺はFateシリーズはzeroとFGOぐらいしか知らないにわかFateファンである。当然この外見の持ち主であるアルトリア・ペンドラゴンのこともzeroやFGOの性能で不憫な子のイメージぐらいしか持っていない。

 

「つまり私が何かに変身するとしても、セイバーになる要素が解らないな…」

 

独り言を呟きながら考える俺。独り言で変わってしまった声を聴くのが楽しい。

 

「やれやれ、私はそのような趣味は持ってないのだがな」

 

自 分 を 蔑 み る 。

 知っているキャラクターの声が自分の喉から発声されるのは、なんとも言えない不思議な気分に成る。セイバーにそこまで思い入れが無かったとしてもだ。

 

「ナイトはジョブを選ばない。騎士王が男子大学生になっても何も問題は無い、はっきりわかんだね。」

 

 ガバガバ分析で現状を把握したつもりに成った俺は、取り敢えずセイバーと化した自分での生活を楽しむことに決めた。

 

 

 

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