くっころ金髪ポニーテールおじさん 作:とぼぼ
―――はい、よーいスタート。名前は時間短縮のためほものすけにします……
「これは……ショタじゃな。」
アルトリアと化してから3時間。出来るだけ声を低くしながら撮ってみたゲーム実況の感想である。
「確かにアニメで少年の声を女性声優がやるのは良く聞くことだが、こんな感じなのだな……ヌッ……ふぅ。」
聞き惚れするショタボイスに思わずノンケちゃうかもな俺状態になりかける。低めの声も中々人気が出そうな声である。
「しかしこれでは私のアカウントほものすけで投稿していたチャンネルに混ぜることはできないな……。」
さて、どうやって動画の続きを投稿しようか。肉体の変化とか、今後の体調とかもっと他に考えるべきことがあるのにスルーして考える。ニート魂を持つ者は将来性を持たない、刹那を楽しむのだ。
「そもそも私はどんな声が出せるのだろうか。あー↑あー↓あぁ^~マ゜ッ!!」
前の身体と違って出せる音域が広すぎて、いまいち声全体の把握ができない。もはやアルトリアと化した我が肉体は可能性の獣であった。
「えっくすかりば~♪」
声の具合を確めながらふざけて唄った歌声に世界が軋む。
不可視の衝撃が四方八方に広がり思わず膝を着く。
しばらくして身体の中から吹き荒れる衝撃が収まると、右手にはいつの間にか耀く黄金、最強の幻想、最も有名な聖剣エクスカリバーが握られていた。
「えぇ……(困惑)」
さて、どうしようか。
◇◆◇◆
取り敢えずエクスカリバー君は玄関の傘立てに置いてきた。ゲーム実況に最強の聖剣は役に立たない。
「しかし宝具まで出せるとは……。もしかしてバトル展開になったりするのだろうか」
思わず不安になりTwitterで調べるが、TSモノのエロ画像しか出てこなかった。しょうがないので今度は、男から女ではなく女から男に変身してないか調べると濃厚なBLモノしか出てこなかった。
「今日も日本は平和ですね……」
多分いきなりバトル展開になることは無さそうだと分かり安堵する。熱いバトル展開は傍観者だから楽しいのであって、断じて当事者には成りたくない。
安心して心がリラックスしたのか、俺の頭にゲーム実況を続けるための妙案が浮かんだ。
「ほものすけ女の子説……」
女の子説とはとある人物の正体を探る上で、時折湧いてくる説でありどれもぶっ飛んだ論を展開している。
しかし、くっそ汚い語録を好んで使う者達の多くはその説を支持しなくとも、一度は聞いたことがあるという有名な説なのだ。
つまり、俺のゲーム実況の更新を待っているファン達もそのガバガバな説を知っているとしても構わないだろう。
俺は先程撮った動画を投稿した後、ほものすけ女の子説のタグをロックしてつけた。
「後は女の子説が受け入れられるのを願うのみか……」
不安に成った俺は一言、言い訳を書いておくことにした。
「ボイチェンが壊れたので初投稿ですっ…と。」
後は野となれ山となれだ。もう知らん!コメントを見るのが恐ろしくなった俺は布団に入って目を閉じた。