くっころ金髪ポニーテールおじさん 作:とぼぼ
「ふぁぁぁ…。やっぱ夢じゃ無かったのか…」
珍しくオフトゥンに入って早く寝たのでいつもより早く起きた俺は、寝起きに出した欠伸の可愛いらしさに現実を突きつけられていた。
「そもそも何で青セイバーなんだ?」
眠そうな顔で鑑の中から此方を見てくるアルトリアを見ながら洗面所で歯を磨く。
「男のままならプロトセイバーで良かったじゃないか…。プロトセイバーよく知らんけど。」
鑑の中のセイバーはイメージにあるキリッとした顔ではなく、中身が俺のせいかどこかアホそうな顔付きをしている。
「さて、この私の身体の把握でもしないとな。」
鏡の前で力こぶを作るポーズを作っても、さりとて筋肉は盛り上がらない。しかし俺はこの細腕がとんでもない力を出すことが既に予測できている。
「手始めにお手製リンゴジュースでも作ってみるか」
洗面所から台所に移動し、冷蔵庫の野菜室からリンゴを2コ取り出してまな板の上に乗せる。
「確かリンゴを握り砕くのには握力が60kg位必要なんだっけか?」
因みに変化前の俺の握力は13kgである。自慢ではないが中学生にも負ける。
大きめのコップの上にリンゴを構える。
ゆっくりと力を込めていくが、全く抵抗を感じない。
「なんですかこれは、たまげましたね…」
握り拳の中にあるリンゴは砕かれず、スポンジを搾ったかのように縮んでいた。
万力のごとき力はリンゴがその身を砕く暇も与えなかったのである。
「うん、美味しいです。」
出来立てのリンゴジュースを飲みながら搾り滓となってしまった林檎をかじると、不思議な食感だった。
「APが100%回復した気分ですね」
とにかく自分の身体がファンタジーな存在と化してしまったことがよくわかる。ためしに右手にぬんっと力を込めると風の魔力が集まってくる。
「ストライクエア^~」
右手から発射された風の塊が台所にあった調味料を薙ぎ倒していく。
「マアァァァァァ!!!」
☆★☆★
「なんですかこれは…」
なんとか台所を綺麗にして朝食を終えた俺はPCの前で固まっていた。
昨日上げたゲーム実況の再生数が14万3000回になっていたのである。
「日間ランキング1位になってるやんけ…」
コメントを見ると
「すごい…ショタです…」「完璧女の子ですね間違いない。」「おまどうま!」「毎秒投稿しろ」「part1~23要らない説」「草」「もう何回も見てる」「また営業か壊れるなぁ」etcetc。
空前の大ブームに成っていた。
これは俺も大物動画実況者入り間違いないですね。そう確信し自分の投稿した動画の一覧が見れるマイリスト画面に移動する。
「こいつらpart24しか見てないじゃないか(飽きれ)」
part1だけ3000ほど再生が増えているが、後のpartは数百ぐらい増えただけで全く延びていなかった。
「でも、こんなにコメント貰ったのは初めてだな…」
低めのセイバーボイスで得た偽りの実力で成し遂げた結果だが、すこし嬉しくなる。
「それにこのまま大物投稿者になれば、動画の収入で大学生活中にアルバイトをしなくてすみますね。」
見た目がセイバーになろうとも染み付いたニート魂は消えないのだ。
「さっそくpart25もとりますよ~撮る撮る。」
さっそく撮影のための機材をほいほいと繋げていく。
独り暮らしでくっそ汚い独り言をする癖が着いてしまっていたが、自分の声がハイパー強化されたのでもはや癒しになりそうである。
「はい、今日もやっていきましょう。ほものマサオメーカー実況part25。810人チャレンジで難易度は今回もイキスギィ!です。」
WiiUを起動させながらさっそく実況を始めるワシ(セイバーvoice低め)。自分の声なのに別の実況者さんの動画を聞いている気分だぁ…。
「まずは早速コメント返しです。」
俺は出来るだけコメントには返信をすることにしている。元は再生が貧弱なくそ雑魚投稿者なので少ないファン確保だったりもしたが、動画サイトの下らないコメントに返信するのが好きだったりするからだ。
「では一番多かったコメントから」
「ほものすけ兄貴女の子ってこれマジ?」
まぁこのコメントはわかる。俺自身も、自分の声が女の子の声にしか聞こえない。でもちゃんと股間のエクスカリバーは着いたままなので
「ハァー、あ ほ く さ 。俺は男に決まってンだよなぁ(飽きれ)。男らしい声にするボイチェンが壊れただけってそれ一番言われてるから。」
と言わざるを得ないだろう。え?ほものすけ女の子説をタグロックしてたって?知らんよ、そんなこと。
「続いて二番目に多かったコメントの返信です。」
「ヌッ!」
「イキスギィ!」
「次は三番目に…」