ですがその分ストーリー構成に力を注ぎました。
では!どうぞ!
「随分と昔のことを思い出したな…」
思えば俺とキリトはかなり変わった出会いだったのかもしれない。深夜にフィールドで会うなんて、普通ないから。今の最前線は第10層、後はボスに勝つだけ。今までとの違いといえば刀を使用するという事だ。今まで野太刀とかの使用はあったが刀は無かった。ボスの名前は"カガチ・ザ・サムライロード、いかにも刀を使うボスらしい名前だ。更に今までと比べ追加されてる点がある。遠距離攻撃だ。どうやら、今回のボスは蛇の化身らしい。よって、蛇を飛ばしてくるという攻撃が加わっているらしい。経験したことのない攻撃の為、殆どの者はぶっつけ本番(俺も含めて)だ。ベータテスターの奴らも遠距離攻撃は初らしい。という事なので、慎重に議論を進め、ボス攻略に励むこととなる。実行日は明日の14時…指揮は、ディアベルの代わりとしてキバオウが第2層より続けている。そう言えばあいつが死んでもう3ヶ月も経つのか…今のところ、ボス攻略に於いて死者はディアベルのみだが何が起きるかわからない…気を引き締めないと…
「キヒロ君………久しぶりだね…」
女性の声。そして昔から聞き覚えのある声は1人しか居ない…
現実世界では、政略結婚する予定だった"元"許嫁の…
アスナだ。
何故彼女がここに居るかは分からない。と言うよりも俺達は第1層のボス攻略後に再開した訳だが、お互いに知らないふり、と言うより許嫁のことを隠すべきという結論にすぐ至った。その為、極力話はせずお互いを知らないふりとして過ごしていた。それをここまで続けている、というだけだ。
「久しぶりだな。アスナ、元気にしてるか?」
いくら知らないふりしてるとしても最低限のことは気にかけるようにしてる。それはお互いにだ。ただ、2年間ほど同じ家で住んでいただけに、ちょっとした仕草で今どういう感情なのかは大体分かりあっている。一般人からしたら異常なのかもしれない…まずこの年で同棲は普通しない。ある意味進んでいるのかもそれない。でも俺は研究で忙しかったし、明日奈も学業で忙しかったので、特に恋人らしいことはしていない。にも関わらず、お互いの事をほぼ知り尽くしているのだから、慣れは恐ろしい…勿論今もそれは健在で、お互いの感情を読み取ることが出来ている。にしてもなんの用事なんだ?
「特に用事がある訳では無いけれど。ここ最近話せていなかったし、久しぶりにゆっくりお話しようかと。」
誰もが納得する美人の明日奈にしたから覗き込まれる様に見られたら流石の俺でも動揺はする。アインクラッド内で一二を争う美女と言われているらしい。その為なのか、周りから視線を感じる…今は夜中の1時。殆どの人が寝てる時間なので視線を感じるはずがないんだが…ここだと些か過ごしにくい…
「?私の顔に何かついてる?」
「いや、付いてはいないが……場所、移動しないか?」
「え?私は別にいいけどどこに?」
「俺の部屋だ。他にあるか?」
「ううん、分かった。行きましょ。」
キヒロ君…継裕君は現実世界においては、親同士の決めたことに振り回されている子供同士、と最初は思っていた。彼と過ごす度に毎日不思議な日になる。年は私より下のはずなのに中学・高校・大学すらも飛び級して、研究室の室長だと知った時は正直かなり驚いた。そもそも日本に飛び級のシステムなんて聞いたことないし、一体どうやってその立ち位置にいるのか不思議でたまらなかった。でも、彼と過ごしていると実感せざるを得ない。本当に彼は実力でそこまで上がったのだと…しかも勉強だけでなく、洗濯に始まり、掃除・料理・裁縫まで、家事もこなし、趣味も多彩。ピアノ・バイオリン・ギターも出来る。尚且つスポーツも万能で、テニス・バスケ・剣道・截拳道も一流の腕前と言うあまりにも超人的な彼だが、決して自分に自惚れてはなく、常に優しく、常に前進していく姿を見ていて、
私はいつの間にか…
彼に惚れていたのだ。
確かに始まりは政略結婚かもしれない。だけど私はこれを本物にしたい。たとえ何年かかっても、もし無理でも…後悔だけはしないと決めた時、
彼との政略結婚の話が白紙になった。
お父さんが何を言っているのか理解出来なかった。
自暴自棄になった私は半ばヤケになってSAOとナーヴギアを買った。
そしてーーー
彼と再会した…実に一年ぶりの再会だった。更にそこから3ヶ月…もう、我慢する必要は無い…例え無理でもこの気持ちだけは伝えたい…
あの時言えなかったこの気持ちを…彼にぶつけたい…
「ここだ。まぁ、入れよ。」
「お邪魔しまーす。」
「なに畏まってるんだよ。前と同じでいいぜ?アスナ。」
彼は優しい。あの話が破綻になっても私とこうして真っ直ぐに接してくれる。だから、私は彼が好きなんだと改めて自覚した。
「キヒロ君……わたし、わたしね……」
感情を、止められない。涙が溢れ出て止まらない。彼は心配そうに私を見つめる。
多分私は結果が分かっているんだ。だから、今泣いているんだ。叶いはしない恋のために…泣いているんだ。
「わたしね………キヒロ君の事が、前からずっと…好きでした…」
言えた。もう、後悔はない。
「何を言い出すかと思いきや…気持ちは有難いけど………すまない、アスナ…」
薄々分かってはいた。彼女の雰囲気が普通ではなかったから…俺は元という理由だとしてアスナの気持ちに気づいていながら逃げていた。彼女に言わせる前に先に言っておくべきだったのだ。もう、一緒にはいられない、と。俺にはできたはずだ。また、俺は選択肢を間違えた…
「ううん、結果は分かってたから…そうだよね、キヒロ君のお父さんに断られちゃったんだからどう足掻いても無理だよね…」
想像通りの答えだったけど…やっぱり悲しいな…私には何が足りなかったのだろう…彼のお父さんの気に障るようなことをした覚えはない。実際可愛がられていたのに…
「父は、俺を誰とも結婚させる気は無いようだ。そう聞いている。」
「どういうこと?」
「分からない。それしか言われていない。それに俺の交際相手は父が決めることになってるから、俺は口出しできない。」
キヒロ君の家は代々続く貴族家だ。大して私は、本家は貴族家だが、分家の娘…普通に考えれば一緒に過ごせただけでも奇跡と言える。元々は本家の人とキヒロ君が、交際する予定だったのが、風邪で来れなくなったのを代役で務めてからの縁だった。思い返すと、恵まれていたなと思う。
ありがとう…
継裕君…
「そっか。色々あるとおもうけど、頑張ってね。一応私は君のお姉さんだからね。」
「……アスナは強いな。俺よりずっと…」
「何言ってるの。取り敢えず今日のボス攻略はよろしくね!」
約11時間後…ボス攻略が開始する。
父よ。本当にこの世界に
"No.4"
が紛れ込んでいるというのか?
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「必ず見つけ出せ。顔はこんな感じだ…」
俺より年上だと思う1人の青年がそこにはいた。灰色っぽい髪を真ん中と両サイドに分けている。そして隣には重村教授の娘さんがいた。
「名は…後沢鋭二…必ず彼を見つけ出し、こちら側に連れてこい。」
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とは聞いたが、かなり骨の折れる仕事だな…
ボス攻略自体は以外にも早く終わった。事前の情報通りの攻撃パターンで、比較的避けやすかった。唯一の相違点は刀が2本に増えるということだった。ここから先は俺とキリトとアスナで対処し切り、ボスを攻略した。
その時ドロップしたのは…
"霊刀・カグツチ"
入手者、
後の"覇王"
キヒロ。
この刀の入手が、彼の攻略人生を大きく変えることとなる。
書いているこっちが悲しくなってきました…
でも大丈夫!!必ず幸せにする!!
(*´∇`)ノ ではでは~