戦え! けものフレンズvsトランスフォーマー【第1部完】   作:大きさの概念

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第3話 ビーバー・ダム大洪水とジャパリ氷河期!!

 さて! 今日のけものフレンズvsトランスフォーマーは、静かに水を湛える「こはん」から話を始めよう!

 

 キョウシュウエリア最大の面積と深度を誇る湖……その豊かな水量は山々から流れ込む河川によって補われており、湖中の生き物だけでなく、湖畔の森や隣接する湿原の、多種多様な動物とフレンズに生活の場を提供していた。

 

 その起源は定かではなく、火山活動のカルデラによって生じたとも、隕石のクレーター跡に雨水が溜まったとも言われているが……なんと「ビーバーが作った」という説もある! ありうる話であろう! ちなみに、世界最大のビーバーダムは、カナダ・アルバータ州のウッドバッファロー国立公園のダムだ! 2010年に発見されたもので、直径850mという記録がある! このダムは70年代に建築が始まり、現在でもさらに増築中だという!

 

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【Episode 3: Diluvium (ジャパリパーク大洪水)】

 

 ジャパリパークの湖岸を望む真新しい立派なログハウス。そこにはふたりのフレンズが住んでいるのだが……ハウスを所在無く眺める謎のフレンズがひとり佇んでいた……。

「はぁ……私もあんなすごい“ろっじ”を作りたいな……」

 ビロードのごとく滑らかな毛皮のパーカー、げっ歯類の歯を模した髪飾り……彼女は「ヨーロッパビーバー」のフレンズである!

 

『その願い……このワシ、メガトロン大帝が叶えてやろうではないか!』

 静かな湖畔に最も似つかわしくない存在、デストロン軍団の登場だ!

「わぁ~! びっくりしましたよ!」

『あそこの丸太小屋には、プレーリードッグとビーバーが住んでおるな、アメリカ暮らしの長いワシらには馴染み深い生き物だ』

「はい……私、あそこに住んでいるビーバーさんとお友達になりたくて……」

『ほう? だが、宿なしのお前など相手にされないぞ。あの2匹は、家のひとつも作れないお前をバカにするだろうな……』

「うう……」

『ならば、お前も立派な建物を作り上げて、見返してやればよいではないか! そのためには、我らデストロンは協力を惜しまんのだ!」

「つ、つまり巣作りを手伝ってもらえるんですね! どうも有難うございます!」

『さあ、共にパーク最大のデストロン・ダムを作ろうではないか! “ビルドロン部隊”出動だ!』

 

 メガトロンに紹介を受けた彼らTFは、デストロンの建築重機連隊「ビルドロン師団」だ! ホイールローダー、ブルドーザー、パワーショベル、ダンプトラック、クレーン車、ミキサー車に変形する6人の工兵で構成された土木作業部隊である! 彼らの出自は謎に包まれており、地球で誕生したという情報もあれば、トランスフォーマーの母星「セイバートロン星」生まれというデータもある!

 

 こうして、メガトロン主導による巨大水上要塞の建造が開始された! ビーバーを見てくれ! なんと高度な建築設計能力であろう! 木材の加工に不慣れなビルドロンたちを、適切な指示でサポートするビーバー!

「す、すごいですぅ……掘ったり、運んだり、巣作りのためにあるようなカラダ、きのうびぃ……あーすごく、カッコイイですぅ……うっとりぃ……」

『オメエさんも、その小さいナリでよく頑張るもんだぜ!』

『木に関する知識もたいしたもんだ! オレたち、木造建築はシロウトだからよ~。よろしく頼むぜ!』

 

『……ところで、さっきから木を切り倒してるコイツは誰だい?』

「こんにちは~。私は通りすがりのヌートリアだけどさ~。面白そうだから手伝うよ~」

 こはんフレンズの新メンバー、“ヌートリア”は水辺に棲むネズミのフレンズだ!

 

『フレンジー、ランブル、イジェ~クト。建設作業、開始セヨ』

『よーし! オレ様のハンマーアームにまかせとけー!』

 

『ひゃあ! 我がデストロン水上基地が着々と出来上がっていくぜ! 木材なんていう原始的な材料を使っている点は気に食わないけどな!』

『文句ばかり言ってないで、お前も作業を手伝わんか! スタースクリーム!』

『くそっ、メガトロンの野郎め……偉そうにしやがって……』

 

 

 

 一方その頃、湖畔の例のログハウスには……ふたりのげっ歯類のフレンズの姿があった! この丸太小屋の製作者にして住人、アメリカビーバーとオグロプレーリードッグである!

「はぁ……また熱くなりたいッス……」

「どうしたでありますか、ビーバー殿? 最近、元気がないでありますよ。この住みかに、何か足りないモノでも?」

「あ、もちろん、オレっちたちの立てたこの立派なロッジに不満はないッスけど……オレっちたち、お家に“住んでる”だけじゃないですか……」

「と言いますと?」

「これじゃ、巣を“持っている”だけッス! オレっちは巣を“作りたい”ッスよ!」

「なるほど~、ココに足りないのは“刺激”というわけですな? また、ふたりで熱い巣作りをしたいと?」

「うぅ~、そうは言ってもコレ以上のお家、なかなか建てられるものでは……ん……?」

「おや? 湖の向こうのほうから、大きな音がするでありますが……」

 

 それはデストロンとヨーロッパビーバーの水上要塞建造の作業音だった!

「す、すごいッス! なんて巨大な巣! あんな大きなもの、見たことないッスよ!」

「我々のナワバリの目の前にあんなのを建てるなんて……これは“りょうどしんぱん”! 我々に対する“せんせんふこく”と判断するであります!」

「たまらないッス! 芸術! 爆発! もう我慢できないッス!」

「ああ~ビーバー殿~どこへ行くでありますかー!?」

 

Ψ Ψ Ψ Ψ Ψ Ψ Ψ Ψ Ψ Ψ Ψ Ψ

 

 そして! サイバトロンのジャパリパーク臨時基地では! 新しいサイバトロン戦士、クレーン車に変形する建築家グラップル、レッカー車に変形する補修員ホイストだ!

「一緒に作りましょう! オレっちたちと、サイバトロンさんで!」

「よろしくお願いしますであります!」

『なるほど、僕たちに協力してもらいたいというわけだね』

『湖のサイバトロン水上基地計画……いかがでしょう? コンボイ司令官?』

『確かに、デストロンの連中のやろうとしていることを放っておくわけにはいかない! 我々も対抗して巨大水上基地を建造し、デストロンの野望を打ち砕くのだ!』

 

 さあ! 戦いだ!

 ただし、今度の戦いでは、光学兵器も爆弾も使われることはない! サイバトロンとデストロンが、お互いにその建築技術の粋を集め、水上基地の建築に勤しむ! トランスフォーマーたちの技術戦争なのだ!

 

 見よ! パークの湖畔にそそり立つ両軍の基地! 動物のビーバーのつくるダムを基本構造とした水上要塞だ!

 つまり、川の流れをせき止める防波堤「ダム」を作り、さらにその内側に住みかとなる「ロッジ」と呼ばれるドーム状の建造物を作るというわけだ! この島のような木造ドームの数ヶ所の入口は水面下に作られており、コヨーテやイタチといった外敵を容易に侵入させない工夫である! まさに天然の要塞と言うべきほかない! そして、ロッジ上部には換気口も備えられており、室内の酸素濃度・湿度調節も万全というわけだ! 驚いたことに、入口付近には身体についた水滴を払い落とすための場所もある! ヒトの建物で言えば、濡れたコートを預けておくクローク・ルームといったところか!

 

 以上が「動物」のビーバーの巣であるが、フレンズ化したビーバーとトランスフォーマーの技術が融合したダムは、はるかに高度なものであった!

 木や石、泥を建材にするだけはなく、火山灰の堆積した凝灰岩を集めた、セメント建築の導入である!

『このスクラッパー様のデータベースによれば、こいつは古代ローマ製法によるコンクリートよ!』

「すごいねぇ~自由に形を変えられる“石”なんて~」

『うう……石灰の食いすぎでミキサータンクが腹一杯だぜ……グレン、整腸薬持ってねえか?』

「頑張って下さい! ミックスマスターさん! デストロンさんの力があれば……アメリカビーバーさんよりすごいものができます!」

「おやぁ、いやにはりきるねぇ~、ヨーロッパビーバーちゃん」

「だってこんなに凄い技術があれば、パークの誰も見たことがない建物がつくれるんですよっ!」

『その気持ち分かるぜぇ~。新しい技術は使いたくなるってのが人情、いや「フレンズ情」ってもんよ~』

 さらに! ダムには水力発電装置が設けられ、その豊富な水量を利用した無限のエネルギーが手に入る計画だった!

 

 

 

 一方! サイバトロン!

『フム……2000年前の古代の技術でも中々のモノが作れるものだね、ホイスト』

『ナポリの土ならぬ、ジャパリパークの火山灰だがね。向こうさんの技術と同じものさ』

『連中には、あの因縁のビルドロンがバックについているようだ。この勝負、負けられないぞ!』

「これは、ヨーロッパビーバーさんとの“フレンズのわざ”の対決ッス!」

「そうでありますとも! 巣作りテクニックをかけて正々堂々の決戦であります!」

『そうとも! 我らサイバトロン基地のほうが優れていることを、ビルドロン共に教えてやろう』

『「おー!」』

 

 打倒、デストロン枢軸軍の決意を新たにするサイバトロン連合軍!

 両軍の基地建設に対する熱い情熱! 戦いは白熱化する一方であった!

 

『サイバトロンの奴らも、対岸に基地建設をおっ始めやがったか……メガトロン様、一気に襲撃を仕掛けて、叩き潰しちまいましょう!』

『それはならぬ、スタースクリームよ』

『一体何故です? またいつもの臆病風に吹かれたんで?』

『愚か者が! 要塞が出来ぬうちから破壊してしまってどうする! 完成したものを奪い取れば一石二鳥ではないか! だからお前はいつまでたってもNo.2なのだ!』

『くっ……』

『ビルドロン達とサイバトロン、お互いが切磋琢磨、競争することでより完成度の高い基地ができるというわけだ! ワシらのビーバーも、向こうの同種族にライバル心を抱いているのを利用してな……そして最後には、ふたつの基地を我がものとし、デストロンのダブル水上要塞とするのだ!』

『で、でも、どうやって奪い取るのですか! 参謀として言わせて頂くと、要害の地に設けられたあの基地は、そうそう簡単に陥落しませんぜ!』

『フフフ……余に攻略のための策略が無いと思うか……ヨーロッパビーバー、例のモノを……おお、もう持ってきておるか……』

 

 ヨーロッパビーバーが持ってきた、この不思議な物体は一体!?

「ふふん、私、タカラモノ集めが趣味なんです……見て下さいコレ」

 それは一見、5本の爪の生えた手のように見えた!

『“ジャガー”ニ、パーク内ニ残サレタ資料ヲ調査サセタ。コレハ“青龍の爪”(クローズ・オブ・アズールドラゴン)。サンドスターヲ利用シタ気象制御装置ダ』

 

「そんなにすごいの~これ~?」

『コイツは言うなれば、天気を自由に操れる装置だ。この“クローオブドラゴン”を使えば日照りや嵐、雷も自由自在! サイバトロン共をあわてさせてやれるぞ!』

「けっ、相変わらず、やることが回りくどいようですがねぇ……」

 

(“クローオブドラゴン”か……野蛮なフレンズどもの棲むジャパリパークに、なんともおかしな機械があるもんだぜ……だが、あれを利用すれば、サイバトロンを倒せるだけじゃねえ! メガトロンをも打ち負かして、このオレ様がデストロンのニューリーダーになれるじゃねえか!)

 

 打倒メガトロンの野望を内なる心に秘める、野心家スタースクリーム! これから、どうなってしまうのだろうか!

 

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 両軍の基地基地建設も佳境に入ってきたその時! デストロン軍団の空爆アタックだァ!

「ああっ! メガトロンさんっ! 約束が違います! あれは、アメリカビーバーさんが一生懸命作ったダム! 壊すのだけはやめて下さい!」

「これはぁ~やりすぎだよぉ~」

『うるさいぞ、お前たち、余の邪魔立てするのか? ひっこんでおれ!』

 投げ飛ばされるヨーロッパビーバーとヌートリア!

 

 またたく間に地獄の戦場と化したサイバトロン・ビーバーダム! 湖畔の昼下がりの静けさは、ミサイルの怒号によって打ち消され、穏やかに水を湛えるのみであった湖面は、ビーム兵器の煌めきでまぶしいばかりであった!

 

『ああ! 俺たちの作ったダムをよくも! デストロンどもめ! お前らの鋼鉄のボディをバラバラに引き裂いて、鉄筋代わりにコンクリートに埋めてダムの底に沈めてやるぞ!』

 普段は温厚なサイバトロン建築家グラップルは、ダムを破壊され、真っ赤な怒りに燃えているのだった!

 

「ガリガリガリ……落とし穴作戦ッス!」

「バイバイであります、デストロンの子猫どの!」

 こはんコンビの活躍を見よ! 見事な連携で、諜報破壊兵ジャガーを川流しの刑で撃退だ!

 

 闘いは続く! デストロンのウェザー・コントロール・アタック!

『コンボイ! お前が最後に見るものは、ワシの“クローオブドラゴン”の威力! よくアイ・センサーに焼き付けておけ!』

 

“クローオブドラゴン”のサンドスターパワーによる気象制御! 巻き起こる一面の雨雲! それは大粒の雨をもたらし、サイバトロン・ダムを増水させた! 濁流に飲まれるサイバトロン戦士たち!

『うわぁーっ! なっ、流されてしまうーっ! ウ゛ア゛ェ゛ァ゛ァ゛ァ゛ーーーッ゛ッ゛!!』

『パーセプター! ほっ、ほああああああーっっ!!』

『コンボイ司令! このワイヤーに捕まってください!』

 

 サイバトロン・ロッジは水没必至かと思われたが、その時!

 

「プレーリーさん、大変ッス! ガリガリガリ……」

「ダム管理部隊~、緊急出動であります! ホリホリホリ……」

「こうなれば私も助太刀いたします!」

「伊達や酔狂でこんな前歯してないよ~!」

 

 見よ! ダムの隔壁を切削し、その一部を決壊させるアメリカビーバーたち! そして、建築合戦の不本意な決着を良しとしないヨーロッパビーバーとヌートリアがヘルプに加わったではないか!

 

「はじめまして、ヨーロッパビーバーさん……ほんと、いいウデしてるッスね……」

「アメリカビーバーさん……私は正々堂々、あなたより優れた巣を作って見せます!」

 

 ライバルフレンズの共同作業の結果! ダムの排水が増加し、池の水量をさげてロッジの水没を防いだのだ! これは動物のビーバーも本能的に行う「フレンズのわざ」なのだ!

 

『ビーバーとヌートリアの薄汚ねえ裏切りネズミどもめ! あいつらサイバトロン側につきやがったか!』

『ふん、中々やるではないか! スイミングが気に入らなければ、次はスケートを楽しめっ!』

 

 空一面の雨雲に一陣の冷たい風が吹きつけ、雨粒は(ひょう)(あられ)に姿を変え、湖面に降り注いだ! 凍結する水面! ロッジの水面下の出入口は使用不能は必定と思われた! だがしかし!

 

「氷ときましたか! ヨーロッパの北国育ちの私には、日常茶飯事ですよっ!」

「おお! この匠の技! 劇的ッス!」

 

 なんということでしょう! ダムの排水により、凍り付いた湖面と、その下の水面との間に、空気のある空間が生まれたではありませんか! 大自然の厳冬期を生き抜くダムの伝道師による、移動スペースの確保! 人はそれを職人の知恵と呼ぶ! 川の魔術師のフレンズの技が光ります!

 

 フレンズ工兵部隊の決死の作業により、サイバトロン側は戦闘態勢を立て直しつつあった!

 

『メガトロンめ~、あの装置で天気を操っているのか! これでも食らえっ!』

 コンボイによる正確な投石の一撃が、メガトロンの手から“クローオブドラゴン”を叩き落とした!

 

『あーっ! ワシの“クローオブドラゴン”をよくも! ……おお、スタースクリーム! 早くそいつをよこせ!』

『へっへっへ……イヤだと言ったらどうするね、メガトロン?』

『血迷ったか!? スタースクリーム!?』

『ククク……“5本爪の龍”は、500年前の中国、明王朝(ミング・ダイナスティ)では「皇帝の証」とされたそうですねぇ……メガトロン様ァ……』

『ああ……だがな、皇帝以外の者がその姿を描けば、“反逆者”として死罪になったとも伝え聞くがな……さあ、それをこっちへ渡せ、スタースクリーム』

『やなこった! こいつがありゃあ俺様がデストロンのニューリーダーだぜ! 神の怒りを食らいな、メガトロン! スタースクリーム・サンダーアタックだっ!』

 

 吹けよ風! 呼べよ嵐! それはまさに天空の神、ゼウスの大激怒であろうか! 雨雲から放たれた轟く雷撃が、メガトロンを直撃する!

『グワァァァーッ! スタースクリーム! 貴様ァ! よくも……!』

 

『さあ、メガトロンは倒した! お次の標的はサイバトロンとフレンズたちだ! この「ニュースリーダー様」が今日の天気を占ってやる! 本日のサイバトロンちほーの天気予報は「カミナリのちカミナリ」大警報だぜっ!』

 スタースクリームの、凄まじいライトニング・アタックが炸裂する!

 

『サイバトロン戦士! トランスフォームして各自散開! 遮蔽物に避難しろ!』

『フレンズ諸君、さあ、私たちの中に乗り込むんだ! 雨天決行のデートとしゃれこむぞ!』

 

 サイバトロン! フレンズ! 大ピンチ!

 だが、メガトロンを一撃のもとに下した稲妻の威力は、サイバトロン・カーには発揮されなかったのだ!

 

『くっ……なっ、何故だぁっ!』

くるまモード(オートボット)の吾輩らのタイヤが、絶縁体の役割を果たしたってわけだよ! 小学生の理科の時間になるがね、お分かり頂けたかなァ? 科学者のスタースクリーム君?』

『ちぃっ……“クローオブドラゴン”がもうエネルギー切れじゃねえかよぅ!……サンダービームの撃ちすぎか、ちっくしょう……ん……? メ、メガトロン! 死んだはずじゃあ!』

 

 メガトロンは倒されていなかったのだ! それどころか! 元気いっぱい、エネルギーチャージ満タンの様相であった! 

『急速充電してくれて礼を言うぞ、スタースクリーム……このバカ者めが!』

『お、お許し下さい! メガトロン様ぁ! お、お願いします! やめてぇ!』

『デストロン軍団! いったん退いて態勢を立て直すぞ! 総員退却!』

 

 

 

 航空参謀スタースクリームの企みは失敗に終わり、戦いは終わった……と思ったのもつかの間!

 ジャパリパーク簡易気象制御装置“クローオブドラゴン”の酷使、その急激な天候操作により、パークの気候に異変が!

 

 度重なる大雨が空気中の二酸化炭素を溶かし水中に閉じ込め、雷は水蒸気を電気分解し、大気の温室効果の働きが失われていった! また、増水した水が海に流れ出しその塩分濃度を下げ、浸透圧による暖流の流れが止まり、気温は急速に冷えていった! そして、さきほどの大雪が引き金となり、ジャパリパークは完新世の氷河期に突入したのだ……!

 

 さばんなちほーやじゃんぐるちほーの暖かい所に住むフレンズたちは、この気温低下に耐えられそうもなかった!

 

「お、お、おかしいわね……しゅ、推理力がはたらかないわ……わ、わらひの“アミメ模様の脳細胞”も凍り付いちゃひそう……」

「今日はやけに、しばれるわぁ~。手足がかじかんで、これじゃあ踊れないわ~」

 

 あ! キリンもゾウも氷になった!!

 

「わ~~………………あったか~い……毛皮があついよぉ~(脱衣」

(低体温症による無関心→症状進行による精神錯乱)

 

 天はフレンズを見放したか!?

 パーク大氷河期! 大量絶滅の危機!

 

 どうなってしまうのか!?

 

∀ ∀ ∀ ∀ ∀ ∀ ∀ ∀ ∀ ∀ ∀ ∀

 

【トランスフォーマー解説:03】

 

ID:22 デストロン 航空参謀 → 新破壊大帝(ニューリーダー)? スタースクリーム / Starscream

トランスフォーム:ボーイング・F-15イーグル(トリコロール)

主兵装:ツインナルビーム砲

副兵装:ナルスリングショット / 胸部クラスターボム

体力:7 / 知力:7 / 速度:9 / 耐久力:7 / 地位:9 / 勇気:8 / 火力:7 / 技能:5 / 野心:10 / 漫才力:10

座右の銘:「汝の敵の灰燼から征服は成される(Conquest is made of the ashes of one's enemies.)

 

 態度がデカくて、神経が太くて、気が短くて、ちょっと、ヘタレイケメンな感じする、無駄に恵まれた声をしているのが愚か者(スタスク)です。

 メガトロンも裏切らなあかんしぃ、ニューリーダーにもならなあかんしぃ、死んでもこう、裏切りしたりできるような(スパーク)なってるんで。

 

 マクドネル・ダグラス、F-15「イーグル(ワシ)」、80年代当時の最新式ジェット機、今でも現役ですやんか。

 

「ダイアクロン」シリーズのジェット機ロボ・超高速戦闘タイプが元の玩具です、ジェットロンは。コクピットが開くようになってますが、特に意味はなくて、ダイアクロン隊員が搭乗できた名残りなだけです。

 翼の「デストロン・エンブレム」はデカールですが、アニメどおりの貼り方をすると、ロボットモード時に「逆さデストロンマーク」になって、主への反逆の逆十字的な、ちょっと中二病な感じする、ルックスだけはカッコイイ航空参謀(笑)

 

 初期ジェットロンの作画ミスは、堂々とした分身が、アニメ本編じゅうに散らばって、ますやんか。その作画ミスが続く中に、翼のディティールを変更して線画を差別化したのが、後期ジェットロン(とんがりコーン頭)の連中です。さらに点々と作画ミスがあるので、リーダー含めて全員同型・同色、構成人数不明にしたのが、2010ジェットロン(スカージとスウィープス)というわけです。

 

 TF伝統芸能・作画ミスと深い関わりがあるのが、スタースクリーム様です(笑)

 

『オレ様がデストロンのニューリーダーだ!』

『この愚か者めが!』

『お、お許し下さい! メガトロン様!』

 

はいけい:あめりかくうぐん かでなきち(おきなわ)

こえ:故・すずおきひろたか おにいさん

 

 Ψ   Ψ   Ψ   Ψ 

 

【ジャパリ教養講座】

 

「山々はあなたを見て震え、怒涛のように流れ出でる水、淵は叫び声を上げ、その手を高くあげた」

「主よ、私の呼びかけを、あなたは聞きいれて下さらない。“どうしてこんなことに”と訴えたのに、なぜ助けて下さらないのか」

(「としょかん」収蔵、旧約聖書「ハバクク書」より)

 

 

 

【ジャパリコマーシャル】

 

 マイナス40度の世界ではバナナで釘が打てます! 新鮮な薔薇もこの通り! これは普通の高級オイル! ジャパリバスのオイルは、マイナス40度でもこんなに滑らか! 優れた分子構造を持つサンドスターのオイルは、ガソリンとオイル交換を節約するオイルなのです!

 

 

 

 さあ、CM明けだァ! エキサイティング! けものフレンズvsトランスフォーマー!

 

 デストロンの天候操作により、氷河期を迎えたジャパリパーク!

 フレンズと野生動物はあわれ全滅か!? と誰もが思ったその時、不思議なことが起こった!

 

 なんと! フレンズたちの体内のサンドスターが煌めいたと思うと、みるみる内に髪の毛が伸びていくではないか! さらに、フレンズたちの胸部に脂肪が蓄えられていく! 厚い毛皮と豊満な皮下脂肪により、フレンズたちは寒さへの耐性を得ていった!

 

 これは、厳しい環境に適応せんとするフレンズのパワーなのか!? 系統進化を個体成長に反復させるとは! なんと不思議な物質なのだろう、サンドスター! 逞しいフレンズと動物たちは、こうしてパークの冬を乗り切る身体を手に入れたのである!

 

 そして! ここは「しんりんちほー」の図書館! パークの長、アフリカオオコノハズクの「博士」のもとに、フレンズたちやサイバトロン戦士が集まっていた!

 

「それにしても、もっさもっさですね、助手。鳥てきには、冬毛なんてよくある話ですが」

「そちらこそ、ばいんばいんですよ、博士。PPPのアイツみたいな、わがままぼでぃーですね」

 

「ツチノコさんや、カメレオンさん、ヒグマさんは、寒さで眠り込んでしまったそうですが……」

「起こしても、みんなずっと起きないんだよ。うーん、心配だよー」

「おお、かばんにサーバル。お前らも、もっさもっさばいんばいんですね」

「寝てるヤツらは『冬眠』という習性があるフレンズです。連中は放っておいても大丈夫です」

 

 さて、この寄り合いの目的は一体! それは、この氷河期が終わる時、大洪水がパークじゅうを襲うであろうということだ!

 いかにフレンズやトランスフォーマーといえども、この洪水に飲まれればひとたまりもないのだ!

 それをどう乗り切るか! という会議であった!

 

「みんなして泳げばいいと、パフィンちゃんは思います!」

「泳げないフレンズがいるから困っているんですよ、このぽんこつ鳥。脳みそジャパリチップスはこれだから……」

「私のイカダでも、これはちょっと厳しいぞ~」

『この俺がフォースバリアを使えばいいのさ!』

『吾輩も有る程度フォースバリアが使えるが、島民全員は無理じゃないかねぇ……』

「どうすればいいか、全然わからん、コンボイ司令官」

『私にもさっぱりだよ、ジャガー』

 

「メガネの叡智を受けしこの私、メガネカイマンの意見! 息を止めてればなんとかなるのでは!」

「メガネのくせに、ぽんこつですね、こいつ……」

『ワニノ心臓ハ、血液ノ流レヲ切リ替エル事ガデキルンダ、「バイパス」ダヨ。潜水中ハ、心臓ト肺ノ肺循環ヲストップサセテ、酸素ヲ長持チサセテ、ヨリ長時間ノ潜水ヲ可能ニシテルインダッテ』

「いや、できない」

 

 会議は踊る……されど進まず……。

 

「わーい! パークじゅうが水びたしぃー! たーのしそー!」

「カワウソさん、わたくしたちイタチがいくら水辺が好きだからと言って、ちょっと今は不謹慎じゃございませんでして?」

「“ふきんしーん”ってなあにー! へんなのー! あははははっ!」

「(ぷち)……あァ~!?……てめェー……(ピキッ)!? “楽し(エンジョイ)”んでる(トキ)ねぇーべって言っ(ノベ)てんだゾ……(ギリッ)!? “あんま楽しく(エキサイティング)(!?)”してっとォ……その“(ケガワ)”を剥いじゃうヨ……(ギョパッ)!?」

「わわー、怖ーい! オコジョが怒ったぞー! おもしろーい!」

「……ハッ! わたくしとしたことが! なんてお下品な言葉遣いを……」

『ええい! それもこれも、みんなあのデストロンの連中が悪いんだ!』

『チマツリチマツリ!』『コマギレコマギレ!』『サッカーサッカー!』

『ロボット昆虫殺虫剤だってェ! あ、全然関係ないね……』

「どうも。私、マンモスです。キョウシュウが氷河期と聞きまして、海が凍ったので歩いてきました」

 

 

 

 妙案は出るべくもない……と思われたその時! いつも頼りになるのは、我らが人類の叡智である!

 

「皆さん、ボクにいい考えがあります」

『聞かせてくれ、かばん』

「ハイ、コンボイさん。みんなで『ふね』を作りましょう! あのビーバーさんのダムを使って!」

 

「流石かばんさん! 名案であります!」

「やりましょうッス! ヨーロッパビーバーさんも!」

「うう……私がデストロンさんに騙されたばっかりに、こんな事態に……このお詫びのためにも! 一世一代の“ふね”の大建築ですっ!」

「自分の尻ぬぐいは、自分でさせてもらうよ~。TFさんみたいな鉄の身体じゃないけれど、この“鋼鉄の歯”で!」

 

 そこへ突然! 颯爽と現れるデストロン軍団!

『メガトロン!』

『焦るでない、コンボイ。今回は戦いに来たのではない』

『話ハ“コンドル”ガ聞カセテモラッタ。今回ノ洪水、俺タチ、デストロンモ全滅ノ危機』

『オレたちも箱舟(アーク)の建設を手伝いに来たのさ。お前らサイバトロンまで救っちまうのは不本意だがな!』

『まったく、自分が蒔いた種だというのに……』

『我が身かわいさの都合のいい話だが……今は時間がない! 人手は多いほうがいいからな! 協力しよう! ビルドロン!』

『グラップル、ホイスト、嬉しいぜぇ、またお前らとチームが組める日が来るとはなぁ!』

 

 さあ! フレンズとサイバトロン、デストロンが手を取り合い、命を繋ぐ巨大な箱舟「ジャパリ丸」の建造が始まったァ!!

 

 第二次世界大戦末期、イギリス軍に「氷山空母」という秘密計画があった!

 氷塊を切り出して材料にして巨大戦艦を作ろうという大作戦! さらに、秘密大発明「パイクリート」! これは、木屑と水を凍らせれば、コンクリートより硬くなり、しかも水に浮くという夢の素材であった! 実際の実験で銃弾を弾いたほどの頑丈さである!

 

 ダメージを受けても、海水を取り入れて凍らせれば無限に修復可能! イギリス軍の夢の不沈空母! しかし、計画は頓挫してしまった……巨大な内部冷蔵装置を、当時の技術で作れなかったからである……。

 

 だが、フレンズの木材加工能力とトランスフォーマーの科学技術をもってすれば! そして、氷河期ジャパリパークの環境を逆手に取れば! 氷山空母も夢ではなかった!

 

『そりゃああああっ!』

総司令官コンボイのエナジーアックスが唸りをあげて、こはんの針葉樹が次々に切り倒されていく! 鉄骨州知事シュワ……鉄骨司令官コンボイはタフネス設計! その木こりの技を目撃せよ! 

『その皮を剥いでやる!』

『針葉樹の皮剥ギ、ダネ。皮付キノ原木ノママダト、加工シニクイカラネ。今デモ手作業デ行ワレルコトガアルヨ。ソレハ、日本庭園ノ造園ヤ神社仏閣ノ建材ナドニ使ワレル、杉皮ヤ檜皮(ヒワダ)ヲ取ルタメナンダッテ』

 

 さらに、ビルドロン7人目の巨大戦士の大活躍をご覧あれ!

 

『ビルドロン部隊! トランスフォーメーション! 6人合体デバスターだ!』

『フェーズ・ワン!』

『フェーズ・ツー!』

見よ! ビルドロン合体巨人兵「デバスター」のこのパワー! それは、ふたつのダムを合体させて箱舟を建てるのに必須であった!

 

 さあ、巨大氷山船「ジャパリ丸」が完成である! この箱舟が未来へ運ぶのは、大砲や戦闘機ではない、フレンズと野生動物、トランスフォーマーたちなのだ! 「巨大空母」はカナダのアルバータ州で実験されたというが……奇しくもそこはビーバーの一大生息地であったという!

 

 

 

 そして!

 

「ペンギンって言ってもね~。私、寒いのは苦手だよ~。だよね~グレープくん」

「雪はキレイですけど、さばんな育ちの私にはきついですね……」

 フンボルトペンギンとアードウルフだ! フレンズたちは、同種の動物たちを集めて箱舟に乗せていく! 動物たちも、不思議と抵抗する様子はなかった!

 

 そして1週間後! サンドスター火山が大爆発! 噴火により、大気に充満する二酸化炭素! 溶ける氷河! ジャパリパーク大洪水だァ! 40日40夜、方舟はパークを漂流し、水が引いた頃、ゆきやまちほーに漂着した……。

 

「大洪水も収まったみたいです。外の様子を見てくるですよ、ハシブトガラス、カワラバト」

「了解です。ついでにひとっ風呂、行水でもしてきましょう」

「ほぇ?」

『コンドル、バズソー、イジェークト。陸地偵察任務、遂行セヨ』

 

 そして……戻ってきた鳥たちが咥えてきたのは……オリーブの枝ならぬ、セルリアンの触手ではないか!

「ほぇぇー! でっかいタコみたいなセルリアンが近づいてきますー!」

 

 見よ! 溶けた氷の中から解放された、軟体動物型セルリアン! ジャパリパークに伝わる命名方法により、名付けてコレ! 「タコリアン」!

 その巨大な触手に襲われれば、フレンズもTFも丸呑みなのだ! 方舟を破壊していくタコリアン!

 

「い、イヤです……やめて……下さい……しょ、触手……」

 過去のトラウマを刺激され、顔面蒼白になるアードウルフ!

 

『どうしましょう! コンボイ司令!』

『もう一度アレを使うしかないぞ! メガトロン!』

『フン! しかたあるまい! “クローオブドラゴン”、最後に今一度、その力を解放せよ!』

 

 「青龍の爪」(クローズ・オブ・アズールドラゴン)! 最後のサンドスターの輝きだ! 大嵐がタコリアンを打ち上げていく!

 

『やったぜベイビー! セルトパスは吹き飛ばされましたぜ!』

『ダガ“クローオブドラゴン”ハ、パワーヲ使イ果タシテ、使イ物ニ、ナラナクナッタ』

『今回は手を組んでやったが、コンボイ! 今度会うときは貴様らサイバトロンの最後だぞ! さらばだ!』

 

 こうして、ジャパリパークの危機は去ったのだ……。

 

「うう、ごめんなさい! アメリカビーバーさん、プレ―リーさん、ふたりと友達になりたかったけど、私、ふたりみたいな立派な巣を作ったことが無かったから……」

「何を言ってるんスか、巣作りしたことないと友達になれないなんて、そんな理由はないッスよ!」

「そうともであります! それに我々、こんな立派なモノを作ったでありますよ!」

「いやぁ~波乱万丈だったけど、中々面白かったよぉ~」

 

「アメリカビーバー先輩! プレーリー先輩! ありがとうございます! おふたりの技術、これから学ばせて頂きます!」

「そんな、先輩だなんて……照れるッスよ……」

『ごたごたは全部“水に流す”ってワケだ!』

『フレンズたちゃ気持ちのいい連中だねぇ、コンボイ司令』

『なによりも、“誰とでも友達になろうとする心”が、フレンズの一番の長所に違いないさ。人間も見習うべきだね』

 

「……それじゃ可愛い後輩に“プレーリー式挨拶”であります!」

「えっ、何を……! んーっ! んむむむーっ!」

「ああっ……プレーリーさん、人前でそんな大胆な……後で、オレっちならいくらでも相手に……」

「んふふ……ふたりの“技術”……かぁ~……これから一体“何の技術”を学ぶことになるのやらねぇ~……」

 

『氷河期が終わったら、ずいぶんと“お熱い”ことですなぁ……どうやら我々はお邪魔のようですよ?』

『き、気持ちのいい連中……なんでしょうかぁ、これは? コンボイ司令?』

『ハハハ、フレンズは人間の“おしとやかさ”を見習うべきだな!』

 

 長いデストロン氷河期が終わり、雪解け水が穏やかに流れるジャパリパーク! ビーバーたちの友情に、春の訪れを感じるサイバトロンだった……決して変な意味ではなく!

 

【続きは次回! それではまた!】

 

の の の の の の の の の の の の

 

【けものフレンズ情報:02】

 

 みんな! 今日のお話! 面白かったかなァ!?

 さて! 今回はげっ歯類特集だ! おまけは氷河期ついでのマンモスだぞ!

 

潜水軽装工兵 カストール / Castor

分類:哺乳綱ネズミ目ビーバー科ビーバー属ビーバー

レッドリスト:EX/EW/CR/EN/VU/NT/[LC(軽度懸念)]

 アメリカ大陸の大草原「グレートプレーンズ」を作ったのはプレーリードッグである! 木の根を噛み切り、地面を掘り、地中に空気を入れて耕された肥沃な大地! アメリカへの移民たちはそこを農地や牧草地にした……プレーリーこそが、何万年も前からのアメリカの開拓者なのだ!

 それに対し、ヨーロッパの大平原はヨーロッパビーバーが作ったのだ! 川が流れるだけの場所にダムをつくり、やがてダムは土砂に埋まり、栄養豊かな大地は、何千万年ののちの大草原となった……。

 素早い泳ぎを可能にさせる、ウロコの生えた尻尾。厚い毛皮に、水を弾く分泌液のコーティング。奥歯で気道を塞げるので、水中で木を齧ったり、物を咥えて運搬できる……なんと見事な水中生活への適応であろうか!

 だが、その防水性の高い毛皮は乱獲の対象となり、また「ウロコがあるから魚だ」という理由で、キリスト教修道士に食料として狩猟され続けたという負の歴史がある……。実際、ヨーロッパビーバーは欧州の多くの地域で絶滅してしまったのだ。今回のお話のヨーロッパビーバーが、ダム作りへの執念と、自分の同族に対して競争心を抱いていたのは、動物の頃の暗い記憶が原因かもしれない……。

 なお、さりげなく「けものフレンズ」前期OPに登場していたことを、君は知っているか!?

 

水上偵察兵 アイアントゥース / Ironteeth

分類:哺乳綱ネズミ目ヌートリア科ヌートリア属ヌートリア

レッドリスト:EX/EW/CR/EN/VU/NT/[LC(軽度懸念)]

 巨大ネズミ! ヌートリア! カピバラと同じく南アメリカ出身だ! ワニやカバと同じく、目・耳・鼻が直線状に並んでいるのが、水場に適応した生物らしい外見だ! 潜水時、最低限の体積を水面に出しての水上偵察を可能にさせる! 

 カピバラとの違いは、その大きさだ。カピバラが体長1m以上に対して、ヌートリアは50cmほど。また、尻尾のないカピバラと違い、ヌートリアは、長いネズミのような尻尾があるのが特徴だ!

 そして、白い前歯のカピバラに対して、ヌートリアの門歯はオレンジ色。これは、前歯の前面のみが鉄分でコーティングされている為だ! 前歯の裏側のみが摩耗していくので、非常に鋭い歯になる! ちなみに、ビーバーも同じくオレンジ色の前歯をしていて、それを反映したのが、アメリカビーバーの服のあの「オレンジ色のライン」だそうだ!

 余談だが、吉崎おにいさんはカピバラと間違えてヌートリアを描いてしまったというこぼれ話があるぞ!

 

雪原戦闘教官 マンモコンボイ / Woolly Primal

分類:哺乳綱ゾウ目ゾウ科マンモス属ケナガマンモス

レッドリスト:[EX(絶滅)]/EW/CR/EN/VU/NT/LC

 かつて「ワンマンズアーミー」と呼ばれた伝説の傭兵! ではなくってぇ……。

 マンモスにもいろいろ種類があるのだが、一般的によく知られているマンモスは、「マンモスサイズ(超大型)」の種類ではなく、中型の寒冷種「ケナガマンモス」である。肩の高さが3mほどで、インドゾウぐらいの大きさだったようだ。ちなみに北海道でも化石が見つかっているぞ。

 一方、史上最大のマンモス「松花江マンモス」は、史上最大の陸上動物であった! 肩高5m・牙も含めて体長9m・体重20トン以上! ティラノサウルス3匹ぶんの体重だ! でかい!

 また、体高1mしかない超小型種「コビトマンモス」というのもいたぞ! マンモスは更新世(258万年前―1万年前)の生き物と言うイメージが強いが、こいつはロシア・東シベリア、北極海の「ウランゲリ島」で、紀元前1700年前頃まで生きていたそうだ! 最後のマンモスは、ピラミッドが建てられて1000年後まで生きていた! まったく驚きではないか!

 

 Ψ   Ψ   Ψ   Ψ 

 

『「PPP&デストロン予告っ!」』

 

「今週は私たち“ペンギン”について復習するわよ!」」

「いやぁ~。ペンギンって言っても、私は寒いの苦手だし~。今回は大変だったよ~」

「フルルは暖かいところのペンギンだもんな~」

「そういえば、本当に“南極大陸”に住んでるのって、私ぐらいなんだよな」

「後は、アデリーペンギンさんとか……最近会ってないけど、元気にしてるかしら……」

「それにしても、フレンズ皆の胸が大きくなったときは、どうなることかと思ったわよ!」

「もう元に戻ったけど、動きづらくて! 飛び技で困るんだよ、 飛びつき三角とか腕十字とか、フランケンシュタイナーの時に」

「脂肪が多いと大変なんですね……コウテイさんの大変さが、身に染みて分かりました……」

「フッ……あえて肉体の束縛を受け入れているんだ。イバラの道を行くのが帝王(エンペラー)の生き方なのさ……」

「うわぁ~……やっぱりマゾぉ~い…」

 

『フレンジーよぉ~、俺たち“カナヅチ”(ハンマーアーム)にゃあ今回はしんどかったなぁ~』

『まったくだぜ、ランブル! ジャガーの奴もすっかり水恐怖症になっちまった! もう洪水はこりごりだぜ!』

『さて、氷河の溶け残りでエネルゴン・シロップのカキ氷でも作るかな~? 食べるかい、コンドル?』

『……』

『おやぁ~? なにしているんだい サウンドウェーブ?』

『フレンズノ精神構造ノ研究ダ。俺ノ、マインドスキャン能力デ、フレンズニ“デストロン魂”ヲ植エ付ケテヤル作戦ダ!』

 

次回、【第4話 デストロンのフレンズ洗脳教室!!】

サーバルの頭脳をたくみに大改造!! 劇的ビフォーアフター!!

なんということでしょう!


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