戦え! けものフレンズvsトランスフォーマー【第1部完】 作:大きさの概念
ニンジャ……それは、ミステリアスな生態とユニークな習性で有名な、夜行性のヒトのグループ!
ニンジャ……千年の太古の昔より日本に生息する固有種!
ヒトが絶えて久しいジャパリパークにおいて、ニンジャの伝統と技術は失われてしまったかに思えた!
いや、ニンジャは絶滅していなかった! ニンジャの技術と精神を受け継ぐ者たちが、パークには生き残っていたのである!
【Episode 7: Ask, and It Shall Be Given You(求めよ、さらば与えられん)】
「きゃーーっ!!」
さばんなちほーの青空、そこにフレンズの悲鳴がこだまする!
これは何者の襲撃なのか!?
逃げ惑うフレンズは、ハイエナの仲間のアードウルフだ!
それを追うジャパリパークの異形の捕食者、セルリアン!
セルリアンとは、超鉱物サンドスターの変種「サンドスター・ロウ」によって生まれる、謎の生命体である!
フレンズを襲い捕食し、体内のサンドスターを奪って元の動物に戻してしまう! フレンズの記憶や思考能力を失われてしまうことは、フレンズとしての死を意味するっ!
「助けてえーーっ!!」
まるでヘビやミミズのような細長い鞭毛ボディを蛇行させ、アードウルフを追跡する大型セルリアン「セルネイク」! およそ生物離れしたその無機質な監視カメラの如き単眼が、怯えるアードウルフを付け狙うっ!
動物のアードウルフは、体重10kgほど、柴犬程度の大きさであり、外敵に対する抵抗手段をほとんど持たないけもの! 強靭なアゴを持つハイエナの仲間でありながら、シロアリを主食とするアードウルフの咬合力は、非常に弱いのだ! よって、フレンズのアードウルフは、このような大型セルリアンと渡り合う戦闘能力を持っていなかった!
多くの動物が行うように「ジグザク走り」で引き離そうとするが! セルネイクの優れた追尾能力! サバンナの若干草の生えている悪路をものともしない移動能力で、あっというまに距離を縮められてしまった!
「だっ、誰か助けてぇーっ!!」
岩場の行き止まりに追いつめられたアードウルフ! 絶体絶命! と思われたその時!
差し伸べられる救いの手! いや前足!
突如現れたイヌ科フレンズのパンチが、セルリアンの頭部に
「キレイに頭に入ったのに……全然効いていないですよぉ!」
「大丈夫ですか!? あなた!? あのセルリアンは私たちに任せて、早く隠れてください!」
「はっ、はい! ありがとうございますっ!」
古いアリ塚に緊急避難するアードウルフ!
ハトのフレンズからセルリアンの報告を受け討伐に駆け付けたのは、パークの「セルリアンハンター」部隊だ!
持久戦のプロフェッショナル・イヌ科、集団戦のエキスパート! 抜群のかりごっこ成功率は数字が違う! 超A級の
樹上生活で鍛えた霊長類の腕力! 自慢の棒術は伊達じゃない! セルリアンは皆、西方浄土へ送ってやる! フレンズ界の斉天大聖! キンシコウ!
「みんなぁーっ!! 行くぞっ!!」
超ド級のパワーと溢れんばかりの知力、ジャパリパークは二物を与えたもうたり! サンドスターはフレンズの上にフレンズを造ったのかーっ!? サイキョーすぎるだろ!? ヒグマァーッ!!
さあ~っ! 戦いだあーっ!
ヒグマ率いるハンターチームvsセルネイクの、超・エキサイティングな戦闘のゴングが今、サバンナ草原リングに高らかに響く!
リーチの長いキンシコウと、素早さと持久力に優れるリカオンが相手を攪乱させ、ヒグマが止めの一撃を与える戦術! 幾多のセルリアンを痛めつけ、血祭りに上げてきた、シンプルにして各々の特性を生かした、ハンターの必勝連繋!
だが今回のセルリアンは並々ならぬ強敵! 恐怖のセルネイクの俊敏な動きと超パワフルな毒牙! 神経毒と血液毒、毒のカクテル! ひと噛みされれば、いかに強靭な生命力を誇るフレンズとも瞬時に全身麻痺に陥ってしまうのだ!
戦闘は膠着状態に陥り、疲労と焦燥の色を隠し切れないハンターチーム!
「くっ……こいつ! 中々やるな!」
このままでは、犠牲者が出るのも時間の問題であった!
だがそこへ!
『トランスフォームッ! サイバトロン・カウボーイのお出ましだ! 大人しくしな、ガラガラヘビめ!』
工作員マイスターの手首から飛び出すフック付きワイヤーの投げ縄! これでセルネイクの首根っこを締め上げようというわけだ!
『いいぞ、マイスター! ヤツの毒牙さえ封じれば勝機はある!』
コンボイのコンテナからは、かばんやサーバルなど、さばんなちほーのフレンズの救援隊の登場だ!
だがしかし! セルネイクには奥の手、いや奥の牙を隠していたのである!
(シャァァァーッ!!)
「あの首の毒腺は……皆さん、危ない! 離れて!」
『ホアアーッ!』
首の毒腺から猛毒の溶解液を吹き付けるセルネイク! 弱点の首を抑えられた際の防御用の隠し技なのだ!
「“ヤマカガシ”というヘビは、毒の牙のほかに、首の皮膚に毒を持っていると聞いたことがあります!」
『くそっ! そりゃあ暴れ馬よりよっぽどタチが悪いぜ!』
日本の固有種ヘビ、本州以南に生息するヤマカガシは、唾液腺が変化した毒腺「デュベルノア腺」によるハブの10倍・マムシの3倍の威力の毒牙に加え、食餌とするヒキガエルの毒「ブフォトキシン」を生物濃縮により溜め込み、頸部毒腺から飛散させる裏技を持っている!
「ど、どうしよう、かばんちゃん! あんな大きなヘビ見たことないよ~!」
「……あのセルリアンにヘビの性質があるとしたら……体温を下げれば動きが鈍くなるかも!」
『よーし! それなら俺の冷凍ビームをお見舞いしてやるぞ!』
『俺も協力するぜ! アイアンハイド!』
サイバトロン戦士、アイアンハイドの瞬間凍結液と、クリフの冷凍ガス弾のコンビネーションの威力! 変温動物の「輝き」を持つセルネイクを凍結させることで、サバンナの炎天下におけるその俊敏な動きを封じたのだ!
『野郎~っ、まだ大口開けてきやがる! 虫歯の治療をしてやろうぜ、アイアンハイド!』
『それなら奴さんの毒牙もろとも銀歯でフタをしてやる! 俺の溶けた鉛を食らえ!』
アイアンハイドの手首から発射されるメタルジェット流の液化超合金! 喉に重厚な液体金属を注がれ、サバンナの土を舐めさせられることを余儀なくされるセルネイク!
その頭部に、フレンズたちが集中攻撃の洗礼を浴びせる!
「やっちゃいましょ~!」
「えいえいっ!」
「うみゃみゃみゃ!」
トムソンガゼルとサバンナシマウマの、強靭な脚力による踏みつけ攻撃! サーバルの「烈風のサバンナネコパンチ」も炸裂だ!
『奴は私が止めを刺す! その皮を剥いでやる!』
「最強クマクマスタンプッ!」
コンボイのエナジーアックスとヒグマの熊手の連繋攻撃! パッカァーッン!と
戦いは終わった! サイバトロンとフレンズたちの友情の勝利だ!
『やったぞ!』
『セルネイクの奴、シッポの先だけ残して消えてしまいましたね。アルコール漬けにして、蛇酒にしてやろうと思ったのに! 残念!』
「コンボイさん、サイバトロンの皆さん、ありがとうございます!」
『いやぁ、君達ハンターがセルリアンを引き付けてくれたから、被害を最小限に食い止めることができたんだ』
「かばんさんやサーバルさんにも、大変お世話になりました」
「大活躍したのは、かばんちゃんだよっ!」
「いえいえ、ボクはたいしたことは……」
「み、みなさん、どうもありがとうございます……」
「アードウルフも無事で良かったね!」
さて……戦い終わって、今回の戦いの反省会を開くハンターたち!
「私たちだけでは危なかったな……」
「最近は、ああいう大きくて強いセルリアンが多いですから……」
「正直、今回みたいなキツいオーダーは遠慮したいですよ……」
「私ももっと力をつけなければ……そうと決まったら善は急げだ!」
「ええっ! どこへ行くんですか!? ヒグマさん!?」
「新たな力を身につけるため、しばらく“しゅぎょう”してくる! それじゃあとは任せたからな、キンシコウ!」
「あー行っちゃった……ヒグマさん、一度言い出したら聞かないですからね……」
「えぇ~……相変わらずガンコなんだからなぁ、リーダーは……」
どこへ行こうというのか!? ヒグマ!
そして、この時ヒグマを追いかける、謎のフレンズの影! その正体ははたして⁉
そしてここは廃墟の「ゆうえんち」! ジャパリパーク、キョウシュウの海の玄関「ヒノデ港」の近くに作られた小規模の娯楽施設だ! サビ付き朽ち果てたアトラクションの間を練り歩くヒグマだが、その背後から謎のフレンズの声!
「あ、あのぉ……」
「お! お前は確かさっきの……アードウルフだな! 私は強くなるための修行に行くんだが、お前もそうなのか?」
「は、はい……この子も一緒に……」
さばんなちほーから追いかけてきたアードウルフ! その腕には野生動物の「ツチオオカミ」が抱かかえられている!
遊園地の観覧車やジェットコースター!
「わー。へんな所ですね、ここ」
「上ばかり見ていても仕方ないさ。用があるのは……下だ!」
ふたりはマンホールから遊園地地下の下水道へ! そこは大蛇の舌苔を思わせる苔類が繁茂する、泥水と湿気の支配する世界!
栄養豊富な水が絶えず流れ込み、適温に保たれた環境は、まるでアメリカ南部の湖沼地帯だ!
「この地図によると、こっちの方向だな……」
(むぎゅ)
「あいたっ! 踏まないでくださいようっ!」
「きゃあっ! ごっ、ごめんなさい!」
アードウルフが朽ち木だと思って踏んでしまったのは、ミシシッピーワニのフレンズの尻尾だ!
「気を付けて歩いて下さいようー。ここはジャングルみたいで居心地が良くて、フレンズや動物が沢山いますから」
まわりにぞろぞろとワニのフレンズが集まってくるではないか!?
彼女たちはメガネカイマン、イリエワニ、インドガビアルだ!
「むむむ~、この私のメガネによると……あなたはイヌのフレンズ?」
斜めの角度に見つめ、骨格と瞬膜の変化したらしいメガネで、アードウルフを視界の端に捉えて、まじまじと見つめるメガネカイマン! それは、かつてワニであった頃に正面方向が死角であった名残りであろうか!?
「ええっと……私はアードウルフです。アードは“つち”で、“ウルフ”ってのがオオカミのことらしいんですが、でも私はオオカミじゃないらしいです……」
「ふーん、へんなの~……私はメガネカイマン! メガネだし、カイマンなのよ!」
「おおーお前、強そうだなあ~! なぁー、私と“プロレスごっこ”しないか?」
「悪いな。今は急いでいるんだ」
「そうなんかー……私は“みずべちほー”のリングによくいるから、ヒマがあったら来てくれよな!」
「迷いやすい下水道……目的地が見つからなくて、ヒグマさん、お
「おおっ、お前もしかして“にんじゃどうじょう”を知っているのか? インドガビアル?」
「ええ。トランスフォーマーの方が、フレンズを集めて何か変なことをしてますよ」
さあ、アードウルフとヒグマは下水道の奥へ! ふたりがたどり着いた場所とは!
なんと驚いたことに、そこには日本家屋のような建物があり、集まったフレンズたちが武道の訓練をしているではないか!? まるで
「たのもうー(ガラガラー」
『カカカカ! 入門希望者でござるな!』
「うわっ! 普通に出て来いよ……」
天井から降って現れたのは、デストロン忍者参謀「シックスショット」だ!
戦闘機や戦車など6つの形態にトランスフォームできる、すごい実力を持った宇宙の流れ者! メガトロン率いるデストロン本隊の所属ではなく、一匹狼のTFなのだ!
『じゃあ、早速この契約書を読んで判子を押してくれ。拇印でも良いぞ』
「文字が読めないし、ハンコーとかボインとかよく分からんけど、紙に指の跡を残せばいいんだな?」
『ウム、これが入門同意書。それは道場の使用許可書。こっちは武器の所持誓約書。そっちが怪我したときの念書だ。あっココにも拇印をな』
「ヒ、ヒグマさん……“ですとろん”は、わるい人たちだと博士から聞きましたよ……」
「アードウルフ、心配はありがたいが……たとえ危険なヤツだろうと……そのワザを食らって身につけて自分の力にする! 私はそのために来たんだ!」
『毒と分かっていても皿まで喰らう……その心意気や良し!』
「あいにく、私は“雑食”でね。意地汚くて悪いな」
『フフフ……なかなか野性味溢れる、骨のありそうなフレンズにて候……』
正座して道場を見学するヒグマとアードウルフ!
さあ、シックスショットの訓練の様子をご覧に入れよう!
タタミ・マットの上で対峙する、原猿と亀のフレンズ対決!
「アイアーイ! サイ攻撃でございます!」
「タートル・パワー全開ですぅ!」
アイアイの操るニンジャ武器の
『あれはジャパンのリューキューに伝わるニンジャのワザ也!』
「す、すごい武器さばきです……」
『訓練により自由に得物を作り出せる“けものプラズム”とは便利なものよ喃……』
アイアイのサイ突きの猛攻を、ブラジリアン柔術仕込みのグラウンドポジション「
「なるほどな……カメの弱点“甲羅返し”に、ヒトの技で反撃をするわけか……」
『けものの特性とヒトの武術との融合! それが拙者の目指す“フレンズ・ドー”でござる!』
一方、こちらのタタミでは! 6段変形のひとつ「ウルフモード」にTFするシックスショットと組み手を行う、オオカミのフレンズ!
「「ええーい! 分身まほう!」」
「わわわっ! ふたりに増えましたよ!」
金狼のフレンズの使う影分身の技だ!
「あのぉ……種明かししますと……実は私たち……」
「そっくりなのでしたぁー! どうですかぁー! すごいでしょ、わんわん!」
実はコレ、双子のようにそっくりなオオカミフレンズ「キンイロジャッカル」と「アフリカンゴールデンウルフ」の連繋プレイだったのだ! この2種は近年まで同種と考えられており、母方遺伝するミトコンドリアDNAの解析により別種認定されたのは、2015年のことである! 息の合った素早い入れ替わりにより、ひとりをふたりに、ふたりをひとりに見せかける幻術!
「こんなの本当の分身じゃない。卑怯だぞ」
『戦いに卑怯もお経もあるか! その考えの浅さが戦場では命取り! 忍にとってはずるい・汚いは誉め言葉よ! 相手を騙して勝つのがニンジャのワザだ!』
「勝つためには何でもするというわけだな……! よーし気に入った! 私も入門してニンジャのワザを身につけるぞ! シックスショット! あんたをシショーと呼ばせてくれ!」
「わ、私も強くなりたい……です……」
『来る者拒まず、去る者は追わずだ! はたして拙者の修行についてこれるかは、保証書の対象外だがな?』
「望むところ! 私は強くなる、パークサイキョーのフレンズになるんだ!」
アードウルフとヒグマのニンジャ特訓の始まりだ! それは、動物に由来するワザではなく、「ヒトの遺した武術」を後天的に身につけること!
まさにヒトの体でしか使えない「フレンズの技」を習得することに他ならないのだ!
そして、道場には見覚えのある顔が!
「あっ、ハンターさんでござる。ご無沙汰にてござる」
ニンジャフレンズ、パンサーカメレオンである!
「お前は“黒いセルリアン”と戦った時に会ったな」
「ふふふ、拙者も新たな技を見につけるでござるぞぉ……見るでござる、拙者のこの“とんふぁー”捌きを!」
『カメレオンは樹上生活に適応したけもの也……その木の枝を握る本能を生かして戦えるのが、このニンジャの武器、トンファーだ!』
「あぁ~拙者、今すごく……シノビっぽいでござるぅ……」
『
「がお~ぅ、でござる! たぁーっ!」
トンファーの4刀流! 両手だけではない! 木の枝を掴むことも可能な「第5の脚」である尻尾にも武器が! また、高速で射出可能なカメレオンの舌と同様の働きをする髪の毛でも、トンファーを扱っている!
『ヒョウだ! お前はヒョウになるのだ!』
「なめたらあきまへんでぇ~! いてこましたる~! 奥歯ガタガタ言わしたるでござるよ~!」
「こいつはすごいぜ!」
ヒグマも舌を巻くほど! パンサーカメレオンのトンファーの技!
そして! 下水道の奥に作られた、神社の鳥居のような謎の施設!
『集まれい! 皆の衆!
「おお! シックスショット・センセイの“ちくわ撒き”の修行でござるぞ!」
6つの変形形態のひとつ「レーザーガン」に変形し、銃口から「サンドスターちくわ」を連射するシックスショット!
混じって発射される鉄アレイを避け、ちくわを集める! 動体視力と反射神経、瞬発力を鍛える、日本の伝統的なニンジャ・トレーニングなのだ!
「(ドゴンッ!)いたぁいっ!」
飛んできた鉄アレイが後頭部に直撃するアードウルフ!
ニンジャ修行は続く!
だが、シックスショットの真の目的は一体何なのだろうか!?
さて、その頃、さばんなちほーの荒野に作られたサイバトロン臨時基地では!
コンボイ司令官が科学者パーセプターとともに、倒したセルリアンが残した体組織を分析していた!
サイバトロンきっての研究者・パーセプターは、顕微鏡に変形するトランスフォーマーである! その高倍率ロングスコープは、望遠鏡や長距離ビームバレルとしても使用可能だ! 顕微鏡モードにはキャタピラがついていて、いざ戦いとなれば、超遠距離でも狙撃可能な火力を持つ自走砲として大活躍!
『プレパラートにあるのは、あのヘビ型セルリアンの尻尾の先端部分の組織です。この器官の独特の形状を観察して下さい、司令官』
『どれどれ……』
顕微鏡モードになったパーセプターの接眼レンズを覗くコンボイ!
『ここに観察できるのは
『つまり早い話、どういうことなんだ? パーセプター?』
パーセプターの研究者特有の長話に、しびれを切らして尋ねるコンボイ!
『(ギゴガゴガゴ)結論から簡潔に言いますとね、あのセルネイクは、より大きなマザー・セルリアンから分離した体の一部に過ぎないわけですよ!』
『何!? つまりセルネイクの親となる、巨大セルリアンが存在するのか!?』
フレンズとサイバトロンが協力し、辛うじて一体を倒すことがやっとであったセルネイク……なんと、さらに強力なマザー・セルリアンの「本体」が存在するという、恐ろしい事実!
一方、基地の外では、フレンズたちが、ホイルジャックの新発明のお披露目会を開いていた!
『じゃじゃーん! これぞ、新しいサイバトロンの一員“テレトラン
見よ! パークの管理ロボット「ラッキービースト」の予備ボディパーツを使い、サイバトロンの高性能コンピューター・テレトラン1の能力を組み込み、通信・分析機能を強化した、ウルトラ情報管理ロボット、それがテレトラン
「うわあぁ~! かわいい! かわいいっ! ボス! 新しいボスだぁ!」
『ヨロシクネ、リカオン』
「しかも! 僕に話しかけてくれるっ!(鼻血」
リカオン大興奮!
『かばんに付き添っていたラッキービーストの新しいボディなのさ!』
『アリガトウネ、ホイルジャック。コレデ、久シブリニ、自由ニ動ケルヨ』
「前のボスはお昼の空の色だったけど、新しいボスは夕方の空の色と同じ! かっこいいね!」
『ほーんと! サイバトロン・エンブレムがよく似合ってるよ! おニューのボディなんて、オイラうらやましいよ~』
「体を無くしたラッキーさんに、ホイルジャックさんが新しい体を作ったんだよ!」
「つくったぁ~っ!? すっごーいっ!」
「そんなことができるなんて……トランスフォーマーさんって本当に凄いですね……」
『カバン、サーバル、コレカラモ、ドウカヨロシクネ。コノ新シイ体デ、フレンズノ為ダケデナク、サイバトロンノ為ニモ、頑張ルヨ』
「はい! 3人でまた一緒に冒険できますね!」
「ボス、最近フレンズにもすっごい喋るね!」
『TFガヤッテ来テカラハ、ズット、パークノ“非常事態”ダカラネ……オヤ、コンボイ司令官カラ、緊急周波数ノ連絡ダヨ。一体何事ダロウネ……』
「あ~ボスかわいいよぉ……」
ところが! この会話を密かに偵察している者がいた!
そう、デストロンの空中攻撃兵、コンドルである!
ここは、海底にあるデストロンのジャパリパーク臨時基地!
メガトロン、スタースクリーム、サウンドウェーブがサイバトロンの様子を観察中だ!
『サイバトロンめ……ラッキービーストとかいうロボットを改造洗脳して、新たな味方を作りおったか……』
『あんな原始的なロボット! 恐るるに足りません! オレたちTFに比べたらキャラメル……いや、ガムのオマケみたいなもんですぜ!』
『イヤ、LBドモハ、謎ガ多イ連中……侮レバ、痛イ目ニアウゾ……』
『ふふふ……では奴らに対抗して、我々も味方を作りにいくとしよう!』
メガトロンの言う、デストロンの新しい味方とは!?
『メガトロン様……コレガ例ノ、最近巷デ流布シテイル広告デス』
『スタースクリームよ……このチラシを見るのだ。どうやらあのシックスショットがパークに来ているらしいのだ……』
『おお! 日本かぶれの、変わった流れ者デストロンがいるってのは、前々から聞いたことがありましたが……』
『フフフ……こやつはフレンズどもを集めて、良からぬことを企んでいる様子……その計画、ワシらも一枚かませてもらうとしよう!デストロン軍団、出発だ!』
シックスショットに合流せんとするメガトロン一味! 海底基地から出発だ!
ところ変わって、件の下水道のシックスショット道場では!
書をしたためる「ウグイス」のフレンズ!
筆を巧みに操り、様々な漢字を書くウグイス! 道場の床の間に飾る掛け軸を目下制作中なのだ!
(色即是空)
(臨兵闘者皆陣烈在前)
「こういうのはいかがでしょうか? かっこよくて掛け軸にぴったりですよ?」
『むむむ……ニンジャ道場のインテリアとしては、どの言葉もパッとしないな……あれだ! “アニメーション”と書くのは如何か?』
「えぇ……へんなの……なんなんですかそれは……」
『さて、拙者は弟子どもに指導をしてしんぜよう! トランスフォーム!』
タンクモードに変形して、下水の側溝を走り去るシックスショット!
そして!
「きゃあああ!!」
『アードウルフーッ! 逃げてはならぬッ!』
なんと!
『車に立ち向かうのでござるーっ!』
「(ドンッ)う゛っ!!」
突撃アタックを受けるアードウルフ!
「……やっぱり私にはムリです……セルリアンと戦うだなんて……」
『弱音を吐くのでない! アードウルフ!』
「わ、私には……力も素早さも無いし……すごいフレンズの技もありません……」
『立て! 立つのだ!』
「私には……何もないから……逃げることしかできません……」
『……けもののアードウルフにとっては、逃げることが最良にして、唯一の手段であろう……』
「うぅ……」
『だが、お主はフレンズの身! 己の身を護る術を身につけようとは思わぬのか!』
「…………」
『まあ、時間をかけて、よく考えてみることだな……』
この特訓風景を影から見るものがいた! 道場のニンジャ・フレンズたちだ!
「アードウルフさん、すごく落ち込んでるですぅ……」
「わたくしたちで、どうにか助けてあげられないでしょうか?」
「でもなー、あたしたちじゃ励ましてあげるくらいしか……」
「ほっとけよ。他人が口出しできる問題じゃない」
「ヒグマどの……そうは言うでござるが、拙者たちでも、話し相手になってあげるとか……」
「“自分の身を守る手段”なんて、自分で見つけるしかないだろ」
「それはそうなんですけど……でも、シックスショット師匠には、きっと良い考えがあるはずです……!」
「はぁ……」
「……(ペロペロ」
ここは、下水道の奥の空き部屋! 他のフレンズと違って、自分の戦闘スタイルを見出せず、落ち込むアードウルフ! そこへ近づいてくる野生動物、ツチオオカミ! 自分の同種のフレンズの顔を、その長い舌でアリ塚を探るように、舐め始めたではないか!
「キミは優しいね……」
「……(ペロペロ」
アードウルフは、以前にさばんなちほーで大型セルリアンに危うく食べられそうになった経験がある! その時の恐怖のトラウマが、彼女の戦闘意欲を下げているのであった!
「ううん! こんな優しい子に甘えてちゃダメだよね! 私も頑張らなきゃ……! 自分の身は自分で守るのがパークの掟だもの……」
そこへ現れる、ひとりのフレンズ!
「きゃっ! ヒ、ヒグマさん!」
「そんなに驚かなくてもいいだろ……頼みごとがあって来た。お前にしか頼めないことだ……」
「は、はい……」
「私のヒミツを言うぞ……ここだけの話なんだが……実は私……
「え、えーっ! そうだったんですか!?」
「だ、誰にも言うなよ! ハンター仲間にもヒミツなんだからな!」
北海道、アイヌ民族の伝承に「ヒグマはヘビを嫌う」とある! 実際、ヒグマに遭遇してしまったら、縄やベルトなどヒモ状のものを振り回して追い返すという風習があったのだ!
「こーんな小っちゃいヘビでも、見ただけでビビってしまってな……も、もちろんハンターチームの前じゃあ、平気にしているけどな!」
「うふふ……すごく強いヒグマさんにも、そんな弱点があったんですね……なのに、あのヘビのセルリアンから私を助けてくれましたね……」
「ハンターなんだから、当然だ。それに、あれはサイバトロンや他のフレンズの助けがあっただろ。私は、もっと強くならないといけないんだ!」
「ハンターさんは、心も強いんですね」
「そこでだ! お前のそのパートナー、そいつの“長い舌”を借りたいんだ!」
「え……この子の舌を……ですか?」
「代わりに、私のセルリアンハンターの技術を教えてやるから」
さあ!
(ペロペロペロペロペロペロ)
「お゛ぉ゛わ゛ーーっ!!」
ツチオオカミの舌で体を舐め回されるヒグマ! これは、シロアリ食をするツチオオカミの長い舌を、ヘビの攻撃に見立てての訓練なのだ!
「頑張って下さい! ヒグマさん!」
(ペロペロペロペロペロペロ)
「ぬっ!! ぬ゛う゛ぅぇぁーーっ!! 負けるもんかぁーっ!! 私はサイキョ―だぁぁぁっ!」
ふたりが対ヘビ対策の特訓をしている頃、シックスショットは弟子のアードウルフのことを考えていた!
『うぬぬ……拙者は如何致すべきか……皆目見当つかぬ……』
考えてはいたのだが! 妙案は全く無かった!
『拙者にできることは……神仏の加護にすがるほかあるまい……』
先ほどちくわ撒き特訓を行った神社へと赴くシックスショット! しかも! 今度は花や線香やロウソク、酒樽を携えての参拝なのだ! 花はパークの自然から! 線香とロウソクは売店から! 酒はジャパリまん製造工場で調理用の「ジャパリ酒一升瓶」なるのを
祠のまわりの掃除をした後、レーザーガンで灯明に着火! 献花、献香! そして、脚を組んで座り、両手の掌で三角形を作る……この東洋の神秘的なポーズは座禅の作法なのだ! さらに、不思議な呪文を唱え始めるシックスショット!
『バー・ウィップ・グラーナ・ウィー・ピニボン……』
下水道の滝に打たれながら座禅をして、異国的な真言を唱え続ける!
これは、アードウルフが「身を護る力」を身につけられるよう、願掛けをしているのだ!
『コウモリ・アマモリ・オリタタンデ・ハテハテ・オリオリ・スリスガター……』
しばらく座禅の滝行を続けていると……魔訶不可思議な事が起こった! なんと! お宮の祠から、キツネのフレンズが現れたのである!
「ふう……現世に現れて、誰かとお話するのなんて、久しぶりですね……」
耳に尻尾……足袋に下駄、片方の太腿に結んだ紐……その容姿は和装の白いキツネのフレンズに他ならないが、えも言われぬ神々しさに満ち溢れているのだ!
『おお、ジャパリパークでは神仏の類もフレンズになるとは! 其の御姿……貴女は稲荷神の眷属にあらせられるか?』
「そうです。私は、かつて皆から“オイナリサマ”と呼ばれていた存在。もっとも、その名を知る者もパークから少なくなって久しいですが……」
信心深いトランスフォーマー、シックスショットは思わず正座をして合掌するのであった!
『……このジャパリパーク、やはり神仏への信仰心が消えて久しいのか……末法の世であるなあ……』
「でも、こうしてあなたに祈祷を捧げてもらったおかげで、フレンズの姿になってお話できるわけです。長い間話すのは無理ですが……」
『神仏も、かのような苦労をするとは、難儀な時代よのう……』
「シックスショットさん。願い事をしにいらしたあなたに言うのも申し訳ないのですが……たってのお願いがあるのです」
『ややや! これはけったいな! 神が拙者のようなTFに頼み事とな!』
「すみません……あなたしか、私と話せる方がいないので……」
申し訳なさそうに話を続けるオイナリサマ!
「……実は今、パークに恐ろしい危機が迫っております。それは、私のこの神社に関係のある話……長い間、この下水道に封印されていた“ヘビのセルリアン”が今、目覚めようとしているのです!」
『むぅ! オイナリサマ殿! 体が消えかかっているぞ!』
下半身から段々と、オイナリサマの肉体が消えかかり、虹色に輝く立方体にその姿を変えていく!?
「ああっ! もう時間が……この祠の、サンドスター・パワーに満ちた“かがみもち”をお渡しします! 上手く利用して、戦いを有利にして下さい! そして、あなたがたTFがパークにやって来た理由も……TFとフレンズは、全てもとを正せば同じ――……」
『オイナリサマ殿ォ!』
オイナリサマの姿はたちまちに消え、あとには静寂のみが残された……。耳を澄ましても、聞こえるのは下水道の水音のみ。
祠の扉を開けて中を探るシックスショット。
『“かがみもち”とはコレか……ジャパリまんの一種のようだが、長い時を経ても腐らぬのは神仏のなせる業か……それにしても、オイナリサマ殿の言っていた“ヘビのセルリアン”とは一体……!?』
一方その頃、書道を続けていたウグイスは!
(遊びは文化 宝)
「うん! これはなかなか……良い作品ができました……」
『邪魔するぜェ!』
だが、下水のレンガ壁を破壊して現れるデストロン軍団だァーーッ!
「わあっ! お行儀が悪いですね! フスマを開けて入ってきてくださいよ!」
『ピィピィうるせえぞっ! さえずるなっ! スズメフレンズめ!』
『乱暴はよさないか、スタースクリーム……ワシは破壊大帝メガトロンというものだ。それにしても……この場所では、下水道の豊富で安定した排水を利用して、大規模な水力発電を行っているようだな……いやあ、たいへん興味深い』
「そのじぇ……“じぇねれーたー”は、この辺をナーバリにしているシックスショットという方が作ったんですよ」
『ほう、ただのニンジャかぶれのオッサンだと思ってたが、中々やるじゃねえか!』
『……水力発電でエネルギーを補給し、さらにフレンズを集めてニンジャ軍団を育成しようとは、まったくユニークな作戦だ!』
『ニンジャか……あのポンコツの“ナイトバード”軍団を、フレンズで編成しようってワケですね……』
「今は皆さんお出かけ中ですが、ここでお待ちになりますか? お茶でも入れますよ?」
『おお、これはありがたい』
『のんきに一服してる場合ですかァ? 爺婆の趣味には付き合ってらんねえぜ!』
煎茶を淹れるウグイスであったが、そこへ!
テレトラン
『僕ノ、セルリアン・センサーノ反応ハ、コノ辺リダヨ』
『おお! お前はメガトロン! 今回の事件はお前の仕業だったのか!』
「“カフェ”を飲んでるよー、いいなぁ~」
「飲んでるのは“お茶”だよ、サーバルちゃん」
さあ! 戦いの火ぶたは切って落とされようとしている!
『メガトロン! 巨大セルリアンの眠る地下でフレンズを集めて、一体何を企んでいるんだ!?』
『何を言っているのだ!? コンボイ! 巨大セルリアンとは一体何のことだ!』
両軍の対峙! 緊張状態が続き、すわ戦いか、と思われたその時! 排水溝の奥の暗闇から迫りくる、おぞましい数の水音っ!
それはヘビ型セルリアン、セルネイクの襲撃! それも狭い下水道の穴から何匹も出てくるのだ!
『ホアァァ!』
『オオッ! 何なのだこいつは!』
これがオイナリサマの話していたヘビの怪物なのか!?
どうなる!? フレンズ!? トランスフォーマー!?
【トランスフォーマー解説:08】
ID:D-98 デストロン 忍者参謀 シックスショット / Sixshot
トランスフォーム:Shot-1 ロボット忍者 /Shot-2 ロボット狼 /Shot-3 高機動装甲車 /Shot-4 突撃戦車 /Shot-5 SFジェット機 /Shot-6 SFレーザーガン /Shot-7 ???????
主兵装:強襲用デュアルハンドガン
副兵装:SF手裏剣
体力:10 / 知力:9 / 速度:4 / 耐久力:9 / 地位:7 / 勇気:8 / 火力:9 / 技能:8 / キャラ変わり度:10 / 役職の意味不明感:10
座右の銘:「
造りがすごく平べったい、すごく変形遊びに特化した形になっていて、ディティールは粗めで「見立て変形」じみていまして、トランスフォーマーというイメージから少し、また外見上だと離れているような玩具です。6つの変形形態(+隠し形態や俺変形)で遊べるわけですから、プレイバリューは最高です。余剰パーツが無いのも良いですね。
アニメ「ザ☆ヘッドマスターズ」本編では、サイバトロンNo.2のウルトラマグナスなんかを叩きのめす、というか本当に死んじゃうぐらいの、分身技と精密射撃と暗殺術を持っています。HMってポンポン旧キャラが脱落しますね、マグナスはあの「ザ・ムービー」でバラバラになっても平気だったのに……。
海外版HMの「ザ・リバース」では、海外設定の「単独TF強襲隊 S.T.A.G. (Solo Transformer Assault Group)」として多段変形を披露して一騎当千の活躍しますが、1話のワンシーンにしか出てませんし、全然忍者っぽくもなかったりします。
HMの前半後半でキャラ違いすぎ……クロームドームの親友を血祭りにするくせに、ダニエルと仲良くなったり……っていうふうに言われています。これは玩具の出来が良くてよく売れたので、その煽りを受けてキャラが変わったというウワサ。あとNo.2のライバルっぽく登場したわりには、絡んでる回は少ないですね。まあマグナス本人が出番が少ないので……。
ちなみに、「トランスフォーマーV」のグレートショットは、彼と同族の「シックス一族」らしいです。時代劇風の喋り方も声も同じなので、同一人物という説もあります。この辺の話は、TFレジェンズの付属漫画に色々書いてありますよ。なお後年、「勇者警察ジェイデッカー」のシャドウ丸の玩具の元ネタになったりしてます。
デストロン、サイバトロンと渡り歩いた数奇な運命。TFから勇者シリーズへの架け橋。謎多き孤独なTFにして、男の友情に厚い男。姿形だけでなく、キャラや設定までもが変幻自在なTFが忍者参謀シックスショットなのです。
『君は説明書を読まずにトランスフォームできるかな?』
『拙者を友と思ってくれたのは……ダニエルが初めてだ……ありがとう……』
はいけい:こうかのさと にんじゅつむら(しが)
こえ:いけみずみちひろ おにいさん
ここは、ジャパリ暗渠の最深部! パーク全土の雨水が集まる、超巨大な地下放水路だ!
そこに鎮座ましましているのは、超大型の名状しがたい多頭蛇セルリアン! ヘビ型セルリアンの発生の根源! おぞましき触手の集合体! なんと冒涜的であろうか! 名付けてコレ、神格クラス・セルリアン「セルヒュドラー」である! サイバトロンとフレンズが協力して葬った眷属、あの「セルネイク」などは、しょせんは地上に放った一尖兵にすぎぬ存在だったのだ!
さあ! 永い眠りから復活したセルヒュドラーとの、負けられない戦い! セルヒュドラーが完全に覚醒し、地上で繁殖してしまえば、ジャパリパークのフレンズに未来は無いのだ! おまけに甲殻類型セルリアン「セルキャンサー」もこの戦いに駆け付けたぞ!
『メガトロン! こうなったら、一致団結して戦うしか生き残るすべは無いぞ!』
『全く忌々しいが……お前の言うとおりだ! 手を組んでやろうではないか、コンボイ!』
パーク未曽有の危機に対して、サイバトロン・デストロンの共闘である! 陣頭指揮を取るのは、コンボイとメガトロンの2大司令官!
「広い場所で戦ってはまずいです! セルヒュドラーの首を一体ずつ、トンネルの中に誘い込んでから、集中攻撃で叩きましょう!」
「オッケー! かばんちゃんっ! みんなっ、セルリアンの毒に注意だよっ!」
戦術家として活躍するヒトのフレンズ、かばん! 得意のジャンプで、セルリアンを引き付ける囮役を買って出るのはサーバルだ!
『イジェ~~クト! フレンジー・ランブルハ、俺ニ続ケ! コンドル・バズソー・ラットバットハ、各自散開シテ、首ヲ遊撃! ジャガー・スカウトロボハ、トンネル誘導ノ、囮ノフレンズノ、援護ヲシロ!』
カセットロン部隊も総動員の構えだ!
「シュリケンの術でございます!」
「マキビシの術でござるよ!」
「亀の脱皮! “はーふしぇる・ていくおふ”ですぅ!」
「「わんわんっ!」」
ニンジャ・フレンズの猛攻を見よ!!
「なんか騒がしいと思ったら……すごいことになってますぅ……」
「おいおい、これって結構ヤベーんじゃねーか!?」
「なんとも
「私たちも一緒に戦いますよ! 皆にメガネの加護のあらんことを!」
下水に暮らすワニフレンズも参戦だぁ!
『ワシの“融合カノン砲”を喰らえ! 下等生物めが! 今だ! コンボイ!』
『目障りなヘビめぇ! その多すぎる頭を切り落としてやる!』
一体の首を必殺の「エナジーアックス」で叩き切ったコンボイだが! なんと! あっという間に根もとから新たな頭部が再生してしまうのだ!
「傷口を火で焼けば、再生を防げるかも……ダメだ……火がつかない!」
『くそぉっ! オレのヒートビームも、これじゃマッチの火同然だぜ!』
かばんの松明や、デストロン航空兵・サンダークラッカーの火炎放射も、この下水道の高い湿度の中では使用不能に陥ってしまったのだ!
『ニャァーッ!!』
『ぐわぁ~!! 助けてくれぇ~!!』
『メ、メガトロン様ぁ~!! アンタがリーダーでしょうがぁ! さっさと何とかして下さいよぉ~っ!』
セルヒュドラーの毒牙を受け、戦線離脱を余儀なくされるジャガーとスカイワープ、スタースクリーム!
(ドゴーン!)
『オォウ……スカウトロボ……』
アナコンダのような強力な胴締めによって破壊され、爆発四散するスカウトロボ
『う゛わ゛ぁぁーーっっあぁあーーーーっっう゛え゛ぁあぁー―――z____っっっ!!』
『た、たまらん! なんちゅうやっちゃあっ!』
「こ、こんなのに勝てるんですかぁ……」
「地上へセルリアンを逃がすわけにはいきません! なんとかしてここで仕留めなければ!」
セルヒュドラーの強靭な治癒力、圧倒的なパワーに、フレンズ・TF軍は苦戦を強いられる! 次第に消耗する連合軍側に対し、滝の如く地上から注ぎ込む水流から生命力を得るセルヒュドラーは無敵!
連合軍の全滅は時間の問題か! と思われたその時!
『デストロン忍者参謀シックスショット! 義によって助太刀いたす!』
「キンシコウ! リカオン! 待たせたな!」
「リーダー!」
「ヒグマさん!」
トンネルから満を持して登場するジェット機と肉食獣のフレンズ!
シックスショットとヒグマの参戦だぁぁぁっ!! (アードウルフもいる)
ふたりの闘い! たあっぷりご覧いただこうッ!
『六射流忍術・六道変化の術!』
シックスショットの6つのモードの分身体が現れ、飛び回って何かをあちこちに運んでいく!? なんと、運んでいるのはあの酒樽だ!? 一体どういう事なのか!?
『カカカカ! サンドスター入りの酒だ!
セルヒュドラーの首がこの酒を浴びると、まるで酔っぱらったように動きが鈍くなったではないか! つまり、皮膚から酒中のサンドスター・エタノールが取り込まれることで、水分子の吸収を妨げ、サンドスター・ロー受容体の作用を阻害しているのだ! エネルギー不足による反射反応により皮膚吸収が活発化するが、ますますアルコールを取り込んでしまう悪循環の生理現象!
さあ、各々の首を眠らせることにより、連繋を分断することに成功だ!
そして! サウンドウェーブのスイッチをいじるシックスショット!
『ナ、何ヲスル!』
『我が弟子の晴れ舞台なのだ! いい曲を流して士気を高めるのでござる!』
(負けるものか! デストロン! 力の限り戦うぞ――……)
サウンドウェーブのスピーカーから大音量で流れる戦意高揚のBGM!
『これぞ日本的演出にて候! お前らアメリカかぶれのTFには分からんのでござる!』
さあ! ヒグマの大活躍!
「どぉりゃあっ!」
ヒグマの超パワーの突き上げ掌底が炸裂する! 拳を振り下ろす野生のヒグマの習性に反した、まさにフレンズの姿ならではの技! セルリアンの顎を突き上げてから後頭部を地面に叩きつける! 相手の自重により威力を増大させる「最強クマクマアッパー」だ! アスファルトより幾倍も固いコンクリート舗装の地面すらも武器なのだァッ!
「よーし、効いてるぞ! そして、蛇に勝つには蛇の力だ! 私の“ぬんちゃく”の技を食らえ!」
見よ! アードウルフとの特訓で編み出した必殺技! ヘビの蛇行の柔軟で自由自在な動きを取り入れた、ヒグマの新武器! 小ぶりの熊手のハンマーをふたつ、けものプラズムの鎖で結んだ「最強クマクマヌンチャク」だっ!
変幻自在! 手数の多いヌンチャク殺法でセルヒュドラーを追撃するヒグマ!
そして! ツチオオカミを胸に抱かかえるアードウルフだが!
(ど、どうしよう! ……わ、私も戦わないと、この子もセルリアンに食べられちゃう……! そんなことさせない! ……ヒグマさんは言っていた……「けものの時の力を使え」って……)
『アードウルフーッ!』
「シックスショット先生!」
『この“オイナリかがみもち”を食べるでござる! これは神の功徳のあるジャパリまん! お前の野生の力を高めてくれようぞ!』
「はいっ!」
さあ、オイナリサマのサンドスター・パワーを得たアードウルフ! 輝く瞳は「野生開放」の証! 自らの思い描く必殺技が今、セルヒュドラーに繰り出される!
「お゛え゛ぇ゛~~~!!」
『おお! これは毒霧、しかも超強力なものにてござる!』
たっぷり見てくれ! アードウルフの口から噴出される白い毒ガス! 実際の動物のアードウルフは臭腺を持っていて敵に対して強力な臭いを放つという! これを発展させたフレンズの技なのだ!
この毒ガスの元は、アードウルフのみが好んで食べるという「シュウカクシロアリ」! ひと晩で30万匹も食べることがあるという! この有毒シロアリの毒を体内で生物濃縮させた、必殺の生物兵器なのだ!
名付けて「毒々シロアリブレス」だ!
密閉空間でこの必殺技を受けては、セルヒュドラーはひとたまりもなかった! また、先ほどのシックスショットのアルコール散布が、毒の吸収を速めたのであろう!
(ギャオオオーーッ……)
断末魔を上げて次々と打ち倒れていくセルヒュドラーの首……全滅だ!
セルキャンサーは戦いの最中にTFに踏まれ、いつのまにか倒されていた。
闘いは終わった!
ジャパリパークのニンジャたち! フレンズ・ドーの勝利だ!
「アードウルフ! すっごーい!」
「シノビっぽいでござるぅ……!」
「すごい技だ……お前、やるじゃないかー」
「い、いえ、ヒグマさんのおかげです……そして先生のおかげ……あっ、シックスショット先生!」
第7の姿「ウイングウルフ」モードで飛び去るシックスショット!
『大儀なり、アードウルフ、ヒグマ、そして我が愛弟子フレンズたち……見事な技の数々、とくと拝見させてもらった! 皆これにて、シックス流ニンジャ道場の卒業生とする!』
「ど、どこへ行かれるのですか!? シックスショット先生!?」
『拙者もまだまだ修行中の身! この広いジャパリパーク……さらなる見知らぬ場所にて修行を積んで参る! 拙者も、フレンズ流の“けものの生き方”を学ばせてもらったぞ! さらばだ! 我が弟子であり師匠であるフレンズたちよ!』
「せ、先生ーっ!」
(フフフ……この戦いで自信がついたか、アードウルフよ! これからも精進せよ! ……自分自身の力で生きるというのはフレンズだけではない、我々TFもそうだ! この宇宙の全ての生き物の掟なのだ!)
『あっ、おい待たんか! シックショット! デストロン軍団! ヤツを追えーっ!』
『ありゃ? 逃げていくぞ? あのニンジャのデストロンは一体何だったんでしょうね~、司令官?』
『さあ? 私にもさっぱりだよ、バンブル』
こうして、シックスショットはキョウシュウを去っていった……。
だが、フレンズとTFの修行は終わることはない!
生き残るため、進化せよ! フレンズ道はけもの道と見つけたり!
皆! これからも、フレンズとトランスフォーマーのことを応援してくれ!!
さて、激しい戦いは終わって、訪れた束の間の休息……。あの気弱だったアードウルフは、戦う自信をつけてから、その後どうなったのであろうか?
見てくれ! アードウルフが「アリ塚ともだち」のオオアリクイ、タテガミオオカミ、アリツカゲラとアリトークをしている!
「クロを食べると、お腹壊しちゃいますもんね……」
「うむ! アリはやはりシロに限る!」
「今度、さばんなちほーのいい物件を紹介しますよ~」
「うん! アリ塚ですると、ひんやりして気持ちいいよ!」
「は?」
「え……?」
「え゛!」
「お゛え゛ぇ゛~~~!!」
「「「ぎゃぁーっ!! なんかでた~!!」」」
……こうして、しばらくの間、アードウルフは何かの拍子に、ショックでうっかり毒ブレスが出る体になってしまい、ますます人見知りが悪化して大層苦労したそうな……。
【次回、お楽しみに!】
【けものフレンズ情報:07】
今日のけもフレvsTF、面白かったかな?
さて、今回のけものフレンズ情報は、爬虫類について見てみよう!
水上奇襲兵 ガリアル / Gharial
分類:爬虫綱ワニ目ガビアル科インドガビアル属インドガビアル
レッドリスト:EX/EW/[CR(絶滅寸前)]/EN/VU/NT/LC
太古の昔、2億年以上前、中生代三畳紀に進化した爬虫類が「ワニ」だ! 鳥類と遺伝子的に最も近い爬虫類なのだ!
さて、ワニの仲間は、大きく分けてアリゲーター科とクロコダイル科の2つに分類される! 外見ではさほど区別できないが、クロコダイルのほうは、「鱗板」と呼ばれるウロコの1枚1枚に、温度を感知する「穿孔(ピット)」という穴状の器官があるのが特徴だ! これは、温度の安定している水中を生活の場とするアリゲーターに対して、温度変化の激しい陸上環境で主に活動するクロコダイルが、温度差に敏感に反応して能動的に狩りを行うために進化させた結果と言われている! 他にも、高度に進化した肺呼吸システムや、常時生え変わる歯など、水辺の肉食生活に適応した生態がワニの特徴である!
南北アメリカ・中国揚子江を中心に8種が分布するアリゲーターは、ずんぐりむっくりな口先をしていて、比較的大人しいと言われている! なお、カイマンというのは比較的小型のワニで、アリゲーターの一種だ!
そして、アフリカ・中南米・インド・東南アジア・オーストラリア北部などに14種が生息するクロコダイル科は、スマートな口先をしていて全体的に凶暴な性格をしているぞ!
さらに、ガビアルの仲間は「インドガビアル」一種のみ。インド・ネパールに棲む、口先が尖った変わり者のワニだ! オスの場合、細い鼻先にコブがついているという、変なワニがガビアルなのだ!(ガビアル科はクロコダイル科に含めるという説もあり)
日本ではペットのワニが逃げ出してしまって野生化する事件が少なくない! 「イリエワニ」は、過去に八丈島や西表島で目撃例がある! そして鹿児島県瀬戸内町、奄美群島の
なお、日本で最も簡単にワニが目撃できる場所のひとつは、静岡県東伊豆町「熱川バナナワニ園」だ! 世界各地17種類のワニに出会えるほか、日本でもココでしか見られないニシレッサーパンダやアマゾンマナティーといった珍しいけものにも会えるぞ!
水陸防衛兵 レッドストリーク / Redstreak
分類:爬虫綱カメ目ヌマガメ科アカミミガメ属アカミミガメ
レッドリスト:EX/EW/CR/EN/VU/NT/[LC(軽度懸念)]
カメの話をしよう! カメとは、2億年以上前、中生代・三畳紀にワニや恐竜から分かれて出現した、甲羅を持つ爬虫類のことだ!
あの甲羅は背骨や肋骨が発達してくっついたものなので、脱げたりはしないぞ! そして首の筋肉が発達しているため噛む力が強く、現生種のカメにはクチバシがあるのが特徴だ! また、ワニガメやカミツキガメ、スッポンなど、イメージに反して素早く攻撃的な種も多いぞ!
体の構造で大きく分けて「曲頸類」と「潜頸類」に分けることができる! 「曲頸類」は原始的なカメで、首を横に曲げて甲羅の中に入れる、完全には頭を隠せないカメだ! 今では南半球にのみ生息していて、希少種が多いぞ! 対して「潜頸類」とは、新しく進化した、首を真っ直ぐ後ろにS字型に畳んで引っ込めることができる、いわゆる「普通のカメ」だぞ!(オーストラリアでは曲頸類のほうが一般的なのだが!)
アカミミガメについては、日本では亜種の「ミシシッピアカミミガメ」が有名だ! 幼体は鮮やかなグリーンの、いわゆる「ミドリガメ」として、ペットショップで流通している! だが、成長するにつれて体色は黒っぽくなり、体長は最大30cm以上にもなって、気性も荒々しくなるため、しだいに飼うのは難しくなるぞ! 非常に生命力が強く、不幸にも捨てられたペットが野生化することは珍しくない! 在来種のクサガメやニホンイシガメ等を追い出してしまい、生態系に大きな影響を与える等の問題となっている!
『「PPP&デストロン予告っ!」』
(動物朋友 対 変形金剛)
「なにこれ?」
「さっき、ウグイスの奴が持って来たんだ。“けっさくのかけじく”なんだってさ」
「ぜんぜんわからん~」
「それはともかく! 今日は“フレンズ化”について予習するわよ!」
「火山から噴き出すサンドスターが“動物”や“動物だったもの”に当たると、フレンズになるんですよね」
「でも、“機械”がフレンズになったこともあるって、前にジャイアント先輩が言ってたぞ……」
「この前はTFがフレンズになったわけだけど、それについてもけっこう謎だぜ~?」
「う~ん、もしかしたら“いのちのある”ものなら、何でもフレンズになるのかもよ~?」
『けしからん! シックスショットのやつめ! ……ワシら本家デストロンに挨拶無しでどこかへ行ってしまうとは! 武士道かぶれのくせに、礼儀をわきまえぬ奴だ!』
『下水道ノ、発電ジェネレーターモ、セルヒュドラーノ出現デ、破壊サレテシマッタ……』
『あのですねェ~、あんないい加減なよそ者に頼ろうってのが、そもそもの間違いなんすよぉ! 頼る相手なら、未来のデストロンのニューリーダー、このスタースクリームを頼って欲しいもんですなぁ!』
『大口を叩くでない! この愚か者が! そういう事は、立派な戦果を挙げてから言うセリフだぞ! バカモノめが!』
『くそ~! メガトロンのやつめ! こうなったらオレ様も一丁、ドデカい作戦を成功させて、ほえ面をかかせてやるぞ! その為には……やはり、SWのように優秀な部下が必要だ! スカイワープやサンダークラッカーじゃ当てにできねぇぜ! ……そういや、あのサンドスター火山の中腹に、人間の兵器のジェット機の残骸が落ちていたな……くくく、オレ様の考えが正しければ、こいつは利用できるぜ! 見てろよ~! メガトロンめ~!』
次回、【第9話 スタースクリーム・フレンズ!】
なんと! デストロンの新メンバーは……フレンズ!?
あのスタースクリームに、残虐非道・冷酷無比の新たな部下が!?