東方漆風録   作:零霧

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どうも、零霧です。
タイトルで大体察すると思いますが、奴が出ます。


第16話 あたいたちの湖!

 

「うーん……この辺って聞いたんだけどな……」

 俺は今桶を担いでいる。何故かというと、早苗がいきなり「流し素麺やりませんか!?」と言い出したからだ。

「全く……いつも唐突なんだよなあいつ……」

 何度目かも分からない愚痴をこぼしながら早苗の言っていた湖を探す。

 何故湖を探しているのか、気になる人もいるかもしれない。それは早苗が「どうせやるなら綺麗な水の方がいい」と言ったからだ。

「にしても本当にどこにあるん……あれか?」

 湖が見えた。まさか水溜まりでもないだろうし、あれで間違いないだろう。

「じゃ、とっとと汲んで帰りますか」

 そして湖の前に着地する。

 「おぉ……」

 湖は、とても澄んでいて、とても綺麗だった。これは来て正解だったかもね。

 それではさっそk「待てー!」おぅ……何だ?

「この湖はあたいたちの物だぞ!」

 水色の髪で頭に同じ水色のリボンを結んでいる少女がいた。体の周りに浮いている氷の羽(?)が特徴的だ。

「チルノちゃ~ん、危ないよ~」

 少し遅れてもう一人が飛んできた。緑髪で、左側を黄色いリボンで結んでいる少女。先に来た少女のように羽が生えている。何だいきなり。

「ここの水欲しいんだけど、貰ってもいい?」

「ダメ!!」

 うぼぁ。一蹴された。面倒だなぁ……。

「いいじゃん、いっぱいあるし」

「この湖はあたいたちのなの!」

「チ、チルノちゃん、そう言わずに少しくらい……」

 お、この子は話が分かる子みたいだ。

「ほれ、青い子。緑の子もそう言ってるしさ」

「ダメだよ大ちゃん!こいつは『あくやく』なんだから!」

 悪役?え、なにこれ寸劇でもやってんの?

「悪役って……」

 緑の子が何か言いかけたが、やめた。おそらく間違いを指摘しようと思ったけど諦めたのだろう。

 それにしても、埒が明かないなぁ……いっそのこと水汲んで逃げてやろうか。

「あのー……これ無いと俺困っちゃうんだよね。なんとかならない?」

「う~ん……じゃあさ!あたいと『だんまくごっこ』して勝ったらあげる!」

「えぇ~……?やだよめんどくさい」

「ふっふっふ……」

 なんか笑い出した。

「あたいがさいきょーだから怖いんだな!やっぱりあたいはさいきょーだー!」

 なんだかとんでもない勘違いをされてしまった。まあいいか。

「おう。お前は最強だよ。じゃあな」

「ふふふー、ばいばい!」

「え?チルノちゃん、帰るの?」

 俺の思惑通り、満足して帰ってくれた。ふふん、ちょろいもんだ。さて、これで心置きなく水が汲めr「こらー!!」なんでだよ!?

「ここはあたいたちのものだって言ったでしょ!」

 多分もう何言っても無駄だよね。しょうがない。

「んー、じゃあ『弾幕ごっこ』する?」

「え?いいの?あたいはさいきょーだよー?」

「ちょ、チルノちゃん!危ないってば……」

 緑の子がオロオロしている。

「あたいはチルノ!かかってこい!」

「月宮影斗。能力は……いいや。頑張りますんでよろしく」

 チルノが突撃してくる。そしてそのまま、

「いくよー!氷符:【アイシクルフォール】!!」

 吹雪が吹いてきた。冷たっ!

「はっはっはー!どうだー!」

 得意気にチルノは笑っている。仕返ししてやる!

「影符:【影昇牙】!」

 刃に溜めた霊力の斬撃が飛び出す。もちろん、霊力はそんなに込めていない。

「このくらい!【アイシクルフォール】!」

 先ほどの吹雪と黒い斬撃がぶつかる。斬撃を止めようとチルノは今止まっている。なので、

「こっちだよー」

 加速してチルノの後ろに回り込む。

「えっ!?」

 チルノが驚いたように後ろに振り向く。その時にはもう俺はチルノのすぐ近くにいた。

「よいしょ」

 鞘でチルノの頭を軽く叩く。

「あたっ!?」

「はい、終わり……でいいよね?」

「あ、あたいはまだ本気を出してない!」

「そんなこと言われてもなぁ……そろそろ腹が限界を迎えそうなんだよね……」

 昼飯の準備をしにここまで来たのでまだ何も食べてないのだ。腹が減ったから早く帰って素麺を食べたい。

「まあ、俺勝ったんだし、水は貰ってくよ?」

 むー、と頬を膨らませるチルノをよそに、今度こそ水を汲んで帰ろうとする。だが不意に、

「あの、その水、何に使うんですか?」

緑の子がそう聞いてきた。特に深い意味は無く、ただ純粋に何に使うのか気になっただけだろう。

「ん?これは、ご飯に使うの」

「ご飯に……ですか?」

 きょとん、と首をかしげる少女に、

「今日の昼ごはんがさ、流し素麺なんだよね。だからその水を……」

「そうめん!?」

 不意にチルノが大声を出した。

「そ、そうだけど……どうした、チルノ?」

「あたい知ってるよ!そうめんって謝ることでしょ!これが分かるなんて、やっぱりあたいったら天才ね!!」

「そう、それそ……え?」

 違うよね?適当に流そうと思ったけどこれ絶対違うよね?さすがに流せるレベルじゃないよね?流せるのはそうめんだけでお腹いっぱいだよ。

「チルノちゃん……それは『ごめん』じゃないかなぁ……」

 緑の子が言いにくそうに言った。あぁ……なるほど、『そうめん』と『ごめん』か。確かに『めん』は合ってるけども……。

「あれ?そうなの?あたい知らなかったー!!」

 あははは!と笑うチルノ。ひとしきり笑った後、

「あたいもそうめん食べたい!」

と言った。

「チ、チルノちゃん、それは悪いよ……」

 緑の子がチルノにそう言うが、

「別にいいんじゃないかな?」

と俺は言った。

「え?で、でも……」

「多分二人増えたくらいじゃそう変わらないと思うから、食べたいならいいよ」

 遠慮がちに言う緑の子の言葉を遮り言う。

「だって!行こうよ大ちゃん!」

 緑の子とは正反対なチルノは今にも飛び出しそうな勢いだ。緑の子もそれに負けたのか、

「それでは、よろしくお願いします」

と言い、ぺこり、と頭を下げた。そこまでされるようなことはしてないんだけど……。

「それじゃ行こうか」

「あ、私は大妖精(だいようせい)といいます。よろしくお願いします。皆からは『大ちゃん』って呼ばれてます」

「じゃあ、改めまして、月宮影斗です。よろしく。呼び名は……なんでもいいや。よろしく」

「あたいはチルノ!さいきょーって呼んでね!」

「分かった、チルノって呼ぶわ」

「む……いいけど、あたいはさいきょーだからね!」

 へいへい、と適当に流してから飛び立つ。だが、どうも水がちゃぷちゃぷ、と揺れてこぼれてしまう。……あ、そうだ。

「なぁチルノ」

「なーにー?」

「この水凍らせてくれない?」

「ふっふっふ……このあたいに任せなさい!」

 チルノが水を凍らせてくれたおかげで、こぼれることはなくなった。多分守矢神社(うち)に帰る頃に溶け始めるくらいかな?

 

 

――――――――――

 

 

「ただいまー」

「お帰りなさい……ってあれ?」

 早苗が例の妖精二人組に気付くと不思議そうな顔をした。

「こいつらも素麺食いたいんだってさ。いいかな?」

「別に構いませんよ。さ、こっちに来て食べましょうか」

 

 とっくに流す道具は準備できていた。なんでも早苗が奇跡で出したとか。それありか……?

「じゃあ流すよー」

 神奈子が麺を流し始めた。そこからは……案の定、大騒ぎとなった。

「あーおいしいねぇ」

「ねーねー、その頭のカエル凍らせてもいい?」

「ダメ」

「こっちにも寄越してくれたっていいんじゃないかな!?」

「神奈子様ばっかりずるいですよ!」

「ははは……まあ待っておきましょうよ」

 

 その後、ちゃんと順番を入れ替わってもらった。冷たくて美味しかった。

 

「それじゃ、気を付けて帰るんだよ?」

「はい、ありがとうございました」

「ばいばい!また来るよ!」

「おう、じゃあな」

「いつでも来てくださいねー!」

「出来れば次は帽子狙わないでね……」

「「ばいばーい!(さようならー)」」

 二人は帰って行った。うーん、あの二人賑やかだったなぁ……。いや、大ちゃんはそうでもなかったか。

「今日も楽しかったですね」

「ああ、そうだな」

「あの二人、どっちも良い子じゃないか。ああいうの見てると和むよねぇ」

「帽子……私の帽子……」

 諏訪子は帽子をチルノに凍らされたのだ。それで結構へこんでいる。それを見て皆で笑った。当然諏訪子に「笑うな!!」って怒られた。でもなんだかんだで諏訪子も楽しそうに見えた。

 

 さてと、今日も楽しんだ。あとは家でゆっくり過ごそう。




家に帰ったら、俺が部屋に置いていたチョコフレークが無くなってました。
↓本題はここから
妖精二人組と出会うお話でした。多分あと1,2話書いたら異変に入ります(←これね、要注意)。
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