東方漆風録   作:零霧

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どうも、零霧です。
レベルの低い戦闘描写が含まれます。


第20話 とある楽団の大合奏

 

 

 俺は今、二人の戦闘を観戦している。二人とはもちろん、魔理沙とアリスのことだ。

 

「逃げてばっかじゃつまらないぜ!」

 魔理沙が再度弾幕を放つ。めちゃくちゃ速い。霊夢よりも速いんじゃないか?

 だが、アリスも負けてはいない。器用に五体の人形を操り、弾幕を防御する。時に自分も弾幕を撃って相殺させたり、時に人形を盾にしたり。

 まだこの闘いが始まってから少ししか経っていないのでなんとも言えないが、今のところは魔理沙が押してるんじゃないか、と思う。

「そうね。そろそろ防御するのにも飽きてきたわ」

 そう言って、アリスは二体の人形を飛ばす。その人形は巨大――そうでもないかもしれない――な槍らしき物を装備していた。

「甘いぜ!」

 その人形たちはあっけなく魔理沙の(ほうき)に叩き落とされてしまった。

「――甘いのはどっちかしら?」

「っ!?」

 魔理沙の元にさっきとは比べ物にならない量の人形が襲いかかる。その数、なんと……あ、無理。頭が痛い。

「くっ!」

 魔理沙は急いで、何かを取り出した。

 魔理沙が取り出した物は、紙。と言っても、ただの紙ではない。俗にいう、【スペルカード】だ。

「恋符:【マスタースパーク】!!」

 刹那、魔理沙が持っていた小さな八角形の物――ミニ八卦炉(はっけろう)――から閃光が放たれた。その閃光に被弾した人形たちが消滅していく。

 プスゥ、と煙を上げたミニ八卦炉から、放たれた閃光は消えた。アリスの人形は、一体も残っていなかった。

「どうする?まだやるか?」

 魔理沙が言う。

「はぁ……参ったわ、降参よ」

 やれやれといった様子で肩をすくめるアリス。あららら。結局アリスのスペルカードは見れなかったか。何か参考に出来そうなものないかなー、とか思っていたんだけど。

「全く……あんなの反則でしょ……あの量の人形を全部消滅させるなんて……」

「弾幕はパワーだからな!」

 キラーン、という効果音が似合いそうな感じで胸を張る魔理沙。パワーが強すぎるだろ、あれ。

「さて、私はそろそろご飯を作るわ。魔理沙たちも、早く行った方がいいんじゃないの?」

 ふと思い出したかのように、アリスが言った。

「そうだな。そろそろ行くぜ。じゃーな、アリス」

「ええ、またね」

 魔理沙が箒に乗って飛び始めた。それに続こうとすると、

「二人とも、またね」

アリスに声を掛けられた。おっとと。あやうく転ぶところだった。

「じゃあな、アリス」

「さようなら、アリスさん。また会いましょう」

「ええ、気を付けてね」

 足に霊力を込め、今度こそ飛ぶ。

「よし。それじゃ行こうぜ!」

 俺たちが来たのを確認すると、魔理沙が前へと飛び出す。どこに?とはあえて聞かないことにした。下を見てみたが、すでにアリスの姿は無かった。

 魔理沙の後を付いて行く。ずっと飛んでれば何かあるんじゃないかな?そう願わないとやってられなくなる。

 というか、アリスの家ってあんなところにあったんだな……。だから友達出来ないんj……おっと。なんでもない。

 

 

――――――――――

 

 

 しばらく進んでいると、前に人影が見えた。数は三つ。

「おーい!そこのお前らー!」

 魔理沙も気付いたらしく、その三人に呼びかける。

 だが、その三人はこちらを振り返らなかった。少し距離があるから、聞こえなかったのかもしれない。

「少し近付いてからもう一回呼んでみましょう」

「そうだな。じゃ、少しスピードを上げるぜ」

 早苗の提案に頷く魔理沙。言った通り、少しスピードを上げた。なので俺たちも、スピードを上げることにした。

 

「お前ら、ちょっといいか?」

 例の三人の近くまで来た魔理沙が声を掛ける。今度はちゃんと振り向いてくれた。

「お前ら、って私たちのことかな?」

 中央にいた少女が聞いてきた。髪は水色で、なんかふんわりしてそうな髪型。その頭の上にちょこんと帽子が乗っている。同じように瞳の色も青。服装は、全体的にピンクが多い。ちなみに帽子もピンクだ。

「そうだぜ」

 魔理沙が答える。

「そう。私たちに、何か用かな?」

 先ほどの少女が聞いてきた。

「ちょっと聞きたいことがあるんだが、いいか?」

 魔理沙がそう聞くと、その少女は他の二人の少女と相談し始めた。少しした後、こっちに戻ってきた。

「別に構わないよ。だけど……」

 なんだろう。また弾幕ごっこでも始まるのだろうか。

「その前に、私たちの演奏を聴いていってくれないかな?」

「「「演奏?」」」

 三人で同じことを聞き返してしまった。

 それを見た例の少女がハッとした顔になって、

「あ、ごめん。紹介が遅れてたね。私たち三人で【プリズムリバー楽団】っていうのを結成してるの。それで今からすぐそこの村で演奏会を開くんだよ。それでちょっともう一回リハーサルでもしておこうかな、と思って」

と言った。へえ。なんだか面白そうだ。俺音楽の知識なんて何も持ってないけど。

「別に構わないぜ。でもちゃんと聴き終わったらこっちの質問に答えてくれよ?」

「もちろん。じゃまずは自己紹介でも。はい、ルナ(ねえ)から」

 そう言って右の少女を指差す。金髪で、瞳の色も同じく金色。服装は主に黒を基調としたものを着ている。頭の上にも、黒の帽子が乗っかっている。

「この楽団のリーダーの、ルナサ・プリズムリバーです。主に弦楽器を担当しています」

 と淡々に少女――ルナサは言った。なんか怒ってるのかな……?俺たちが声を掛けたことに怒ってるんだったらごめんなさい。

「じゃ次はリリカね」

 そう言って例の少女は左の少女を指差す。銀髪、いや、茶髪?で、瞳の色は茶色……かな。服装は、主に赤を基調としたもの。まあ、他の二人と同じように帽子も被っている。色は赤。

「この姉妹の三女の、リリカ・プリズムリバーです。主にキーボードなどを担当していますが、実は何でも弾けます」

 何でも弾けるのか。それはすごいな。才能なのか何なのか。

「では、最後に私。次女のメルラン・プリズムリバーです。主に管楽器を担当しています」

 最後に、例の少女――メルランが自己紹介した。

「それでは、よろしくお願いします――」

 

 

 

 実際、三姉妹の演奏は素晴らしかった。何と言うか、こう、心に響いてくると言うか――うん。よく分からないんだけどすごかった。本当に凄いものって言葉で言い表せないじゃない。それと一緒。多分。

「――ふう。どうでしたか?」

 一息ついてから、ルナサが聞いてきた。

「俺音楽分かんないから偉そうなことは言えないけど、心に響いてくると言いますか何と言いますか……まあそんな感じです」

 思った通りのことをそのまま口に出した。ちょっと失礼だったかな?

「私もそんな感じだぜ!」

「素晴らしい演奏だったと思います。また聴きたいです」

 魔理沙と早苗もそれぞれ答えた。

「そうですか。ならよかったです」

 淡々と喋るルナサだったが、その表情には嬉しそうな微笑が浮かんでいた。

「最後まで聴いてくれてありがとね!それじゃ!」

 そしてプリズムリバー三姉妹は前を向いてどこかへ行こうとした。いや待って。

「ちょっと待ってくれ!まだ私たちが質問してないぜ」

「あっ!ごめんごめん。そういう約束だったね。なに?」

 魔理沙がそう言うと、メルランがそう言いながら戻ってきた。

 そういえば、魔理沙は何を聞きたいんだろ?そんな話はしてなかったと思うんだけど……。

()()は何だぜ?」

 そう言って、魔理沙は上を指差した。

「あれ?」

 何かと思い、反射的に顔を上げる。

 魔理沙が指差す先には、青空ではなく、ぽっかりと穴が開いたようなものがあった。その中には、何かピンク色の物が舞っているのが見えた。紫のスキマか、と思ったが、紫のスキマにはあんな綺麗なピンク色の物は無かった。あれは――桜?ということは――。

「あれは結界だよ」

 メルランがそう答える。結界?なんだそれ。

「それは言われなくても分かってるぜ。どこに繋がってるんだ?」

「あれは【白玉楼(はくぎょくろう)】に繋がってるよ。私たち何度かあそこに行ったことがあるから間違いないよ」

 ということは、やっぱりあれが目的地のようだ。

「そうか。ありがとだぜ」

「いやいや、こちらこそ」

「それでは、またどこかで」

「じゃあな。演奏会頑張れよ」

「はい。頑張ります!」

「皆さんお気をつけて」

「そっちもね」

 今度こそ、三姉妹は飛んで行った。

「じゃあ、私たちも行くぜ」

 魔理沙が促す。

「どこにですか?」

「もちろん、あそこに、だぜ」

 魔理沙が指差したのは、案の定、さっきの結界だった。




リリカが空気。リリカファンの皆さん、申し訳ございません。
というか影斗目線でやってるけど、よそから見たら多分影斗も空気なんだろうな。
それでは、また次回。
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