vs西行妖です。
桜――西行妖が弾幕を放ってきた。弾幕というより、桜の花自身を飛ばしてきている。
桜の花が何枚かで集まり、球体となり、どこか怪しいような桜色に光りながらこっちに向かってくる。
「はぁ……」
戦闘中ってことは分かってる。だけど、これだけは言わせてくれ。すごい綺麗でs――
「ボーっとしてるんじゃないぜ!」
「ふぁっ!?」
魔理沙に襟首を思い切り引っ張られた。変な声出ちゃったよ。
「全く……ヒーローでも見るかのようなキラキラした目をしてる場合じゃないぜ。自分の目の前にある弾幕に気付かないなんて……」
俺ってさっきそんな目をしてたの?俺みたいな人間でもそんな目が出来るの?弾幕目の前に来てたの?全然気付かなかったよ。
「ご、ごめん」
自分に非はあることは確かなので謝っておく。今桜に見とれてる場合じゃないよな。この異変が終わったら、飽きるほど見れるはずだ。
「あの桜、一枚一枚にかなりの力があるぜ。一発でも当たれば、ただじゃ済まないぜ!」
何それ怖い。その桜が何枚も集まって弾幕になってるんでしょ?つまり……やめよ。考えたら恐怖に染まるかもしれない。
「当たらないように頑張るよ」
「避けられるのか?」
「魔理沙にずっと引っ張ってもらうよりマシでしょ。なんとかなるよ。多分」
実際魔理沙に引っ張ってもらっていた方がいいだろう。でも魔理沙にずっと荷物を背負わせる訳にもいかないし。
「……気をつけろよ」
「そっちもね」
「ああ。来るぞ!」
避けるのには地味に自信がある。避けきれると保障は出来ない。
弾幕――正確には花――が西行妖から放たれる。
スピードがそれぞれ違う弾幕。ゆっくりな弾幕の後ろから速い弾幕が出てくる。避けづらいが、なんとか避けることが出来た。
それを避けたと安心している暇もなく、間髪入れず、回るように放たれた弾幕が襲い掛かってきた。
それをジグザグに避ける。もちろん終わりではなく、その後前までの弾幕の五倍くらいの大きさの弾幕が襲ってきた。
最初、全方位に一個ずつだと思っていたのだが、近付いてくると三つに分裂した。分裂したと言っても、最初と弾幕の大きさは変わっていない。
次は、最初と同じスピードが違う弾幕が放たれた。これの繰り返しか?
次の瞬間、俺の視界が光で染まった。
そしてどういう訳か、俺は吹っ飛ばされていた。
「が……!?」
どうなってんだ?今、何が起きた?
そんなことを考えていた俺の目の前には、三つの特大弾があって――
――俺の意識は、そこで途絶えた。
――――――――――
「な……影斗さん!?」
影斗さんは地面に落ちてからピクリとも動かない。体のあちこちから弾幕が当たった後の独特な煙が出ている。
「あいつ……言ってるそばから!!」
魔理沙さんが緊迫した表情で言う。
スピードが違う弾幕、回るように放たれた弾幕、特大弾の順に避けた後、またスピードが違う弾幕が出てきたので、これの繰り返し?とか思っていました。ですが、同時に赤と青の光線が出てきて――影斗さんはその射程上に居たらしく、被弾してしまった。
そして、落ちていく影斗さんに特大弾が当たり――今に至る、という訳です。
「生きてますよね……?」
一応弾幕だから死にはしないと思いますが……。でも、この弾幕、かなりの力が込められていますから……。
とりあえず、安全な場所に避難させなければ。あそこだと、流れ弾に当たってしまうかもしれません。
怒涛の勢いで放たれる弾幕を避け、たまに相殺しながら影斗さんの元へ向かう。
「う……」
苦しそうな顔をして呻いている影斗さん。どこか、安全な場所は……。
そばにあった桜の木――当然西行妖ではない――にもたれかからせる。ここならおそらく流れ弾も来ないでしょう。
影斗さんを連れてくるのは、やっぱり危険だったんですかね……。
――――――――――
くそっ!こんなことになるんなら、無理にでも引っ張っておけばよかったぜ!!
しばらくして、早苗が戻ってきた。
「影斗はどうだった!?」
「大丈夫です!少し怪我してましたけど……。安全な場所に置いてきました!」
「そうか……くっ!」
気が付けば、すでに目の前にまで弾幕が迫っていた。もう避ける余裕は無い!
「恋符【マスタースパーク】!!」
目の前にある弾幕を打ち消す。目の前だけではなく、その一直線上の全ての弾幕を打ち消した。
「これ……いつになれば終わるんだ……?」
――――――――――
見た感じ、残りの桜はあと半分ってところかしら。
「夢符【夢想封印】」
目の前に来た弾幕を打ち消す。
「避けるだけって、つまらないものね」
でも、避け続けて花が散るのを待つしか道は無いわけで。
「はぁ……面倒ねぇ」
――――――――――
「はぁ……はぁ……」
残りの桜は、約三割くらい。
「ようやく、ここまで……」
だからといって、油断は出来ない。西行妖の弾幕も、かなり激しくなっている。
弾幕のスピードも上がり、光線の数は二倍近くに増えた。
「あ……」
これまでに何回か被弾した。そのダメージが溜まっているのか、一瞬体が動かなかった。すでに弾幕は目の前にある。
「秘術【グレイソーマタージ】!」
周りに星型に集まった弾幕が何個か集まり、形を崩しながら進む。
私の弾幕と西行妖の弾幕が打ち消し合う。なんとか被弾せずに済みました。
次の弾幕に備えようと体勢を立て直す。弾幕が打ち出された瞬間、西行妖が光り始め――
――桜が、一気に散った。
桜が弾けたように舞い散る。弾幕としてではなく、普通の桜として。
その光景は、とても美しくて、幻想的でした。
「この景色、影斗さんにも、見せたかったですね……」
桜色に光っている西行妖の真ん中、そこに影があるのに気付いた。西行妖を覆うように光っている光の真ん中で、人影が浮いている。
しばらくその影を見ていました。が、一枚の桜が私の視界を一瞬埋めた。桜が視界から消えた後、そこには何も居ませんでした。すでにもう、西行妖も光ってはいませんでした。
「何だったんでしょう……」
~影斗がログアウトしました~
何でだろう、最初は、影斗ここでは最後まで闘わせる(避けさせる?)予定だったんだけどな……。何故か負けさせたくなる。
多分次回の更新も一週間後くらいになります。申し訳ございません。憎きテスト……!
それでは、また次回。