東方漆風録   作:零霧

29 / 57
どうも、零霧です。
この頃、会話文が多い気がします。


湖水浴場篇
第29話 夏といえば?


 長い冬が終わり、短い春も過ぎ、セミがうるさく鳴き喚く暑い暑い夏となった。

「おはよう」

「ああ、おはよう背中マン。背中は大丈夫かい?」

「ええ、おかげさまで」

 俺はあれから『背中マン』と呼ばれるようになった。なぜかというと、前の異変の時、敵――西行妖――の弾幕に当たって気絶したのだが、目が覚めたら背中が死ぬほど痛かったからだ。

 いつも思うんだが、いつまでこの背中ネタ引っ張るつもりなんだろう。

「ちょっと神奈子。影斗は頑張ったんだからそういう言い方はないでしょ」

 諏訪子が俺を弁護してくれた。ありがとうございます。どっちが祟り神なのか分かったもんじゃないね。

「でもまあ……その、やっぱり笑っちゃうよね~」

「てめぇぇぇぇぇ!!」

 裏切った!!ちょっと上げて一気に落とした!!一番酷いやつだよそれ!!

 

「ご飯出来ましたよー、あ、影斗さ……背中マン。おはようございます」

 早苗が飯を持ってきた。相変わらず美味そうだ。

「おはよう」

「ちょっと反応してあげたっていいんじゃない?」

 神奈子にそう言われたが、いやだ。

「この頃背中マンって言っても反応しなくなったよねー。つまんないの」

「言われ始めて早何ヶ月だよ」

 じゃあ諏訪子のことは『ケロババア』って呼んでやろうか。……やめよう。殺されるじゃ済まない気がする。

「今は七月ですから……三ヶ月ですね」

 三ヶ月か。言ってもまだ三ヶ月か。いや、こういう場合、もう三ヶ月になるのか?というか早苗。真面目に答えなくていいから。

「とりあえず飯にしよう。腹が減ったよ」

 神奈子が腹を抑えながら言う。腹が痛いポーズに見えなくもない。

「そうしましょう」

「「「いただきまーす」」」

 

「あの、影斗さん」

「なに?」

「夏といえば、何ですか?」

 なんでいきなりそんなことを聞くのか、という質問はしなくていいだろう。早苗がいきなり何かを聞いてくるのはよくあることだし。

 夏……そりゃ夏といえば……

「アイス?」

「美味しいですよね。他には?」

「うちわ?」

「涼しいですよね。他には?」

「風鈴?」

「風情がありますね。他には?」

「うーん……」

 アイデアがなくなってきた。

「もっと夏らしいのがあるじゃないですか。規模が大きいやつです」

「あ……花火!!」

「やりたいですね!でも、もっと大きいやつです」

「スイカ割り?」

「あ、近いです!じゃあ、それをするのはどこですか?」

「家」

「なんでですかぁ!?」

 違ったっけ?……あ。

「海?」

「やっと言って欲しい単語が出てきました……。そうです。海です!」

 よっしゃ。やっと当たった。

「……で、海がどうしたの?」

「もう暑くなってきたじゃないですか。そこで、ちょっと私にいい考えがあるんです」

 

 

――――――――――

 

 

「あ……暑い……私、このまま溶けて死ぬのかしら……?」

 もう何度目かも分からないそのセリフを口にしていると、

「よお霊夢。こんなところに寝転がって何やってんだ?」

という声がした。

 声がした方を見てみると、そこには影斗がいた。

「暑いのよ。暑くて死にそうなのよ……」

「確かに、死ぬほど暑いよな……」

 そう言って隣に座る影斗。その影斗の手には、何かの袋が握られていた。

「ねぇ、影斗。それ……何?」

「これ?」

 影斗が袋の方を見る。「そうそれ」という意味を込めて頷く。

「アイスだけど」

「ちょうだい!!」

「うくぁ!?心配しなくてもお前の分もあるから安心してくれ!!」

 気付けば影斗に掴みかかっていた。いけないいけない。ご馳走の名前を聞いて少し取り乱してしまった。

 

「うーん美味しい♪やっぱり持つべきものは友達よね~」

「その友達の分も取ったのはどこの誰なんだろうな……」

 影斗が何か言っているが気にしない。今私はこのご馳走を食べるのに忙しいのだから。

「ふぅ。ごちそうさま。ねぇ、もうないの?」

「あったらとっくに食ってますよ……あぁ……暑い……」

 そんなやり取りをしていると、魔理沙が来た。

「よぉ霊夢!今日も暑いな!と、影斗もいたのか。おはようだぜ!」

 相変わらず元気な奴だ。ちょっとは暑さに堪えないのかしら?

「あんたはいっつも元気ねぇ。はぁ……暑い……」

「そうやって『暑い……暑い……』ばっかり言ってるから暑く感じるんだぜ?その暑さを吹き飛ばすように元気に動けば、いつかこの暑さが心地よく感じるはずだぜ!」

「で、今あんたはこの暑さが心地いいの?」

「めちゃくちゃ暑いぜ!」

 まあそんなことだろうとは思ったわ。

 箒を持ってないほうの手でピースサインをする魔理沙。ピースなんかしてどうすんのよ。

「ほい魔理沙。アイス」

「お、サンキューだぜ!」

「な……!!」

 影斗が袋からアイスを取り出す。もうないんじゃなかったの?

「影斗、もう無いって……」

「俺たちが食う分はもうない、ってことだよ」

 何よそれ。魔理沙ばっかりずるい。私も食べたい。

「なんだ霊夢。欲しいのか?」

 どうやらアイスをじーっと眺めていたらしい。その視線に気付いた魔理沙が聞いてきた。

「もちろんよ」

「お前さっき二個食ったよな」

「そんなのはどうでもいいのよ」

 アイスは何個食べようが美味しいのよ。それが影斗には分からないのかしら?

「じゃあ、少しだけあげるぜ」

 そう言ってアイスを渡してきた。

「おい魔理沙、やめとけ。全部食われるぞ」

「安心しなさい。当然そのつもりよ」

「え?」

 いただきます。止めに入られないように出来るだけ早く食べる。

「ふぅ。美味しかった」

 ――完食。ごちそうさまでした。その時間、わずか二秒。

「わぁぁぁぁ!!私のアイスが!!おい霊夢!!どうしてくれるんだよ!?」

 既に空になったアイスの容器を持って魔理沙が叫ぶ。

「またいつか返すわよ」

「絶対嘘だぜ!!」

 嘘じゃないわよ。失礼ね。お賽銭がたんまり入ったら返すわよ。

「まぁその、なんだ。お取り込み中のところ悪いんだが……魔理沙も来たし、ちょうどいい。ちょっと話があるんだけどさ」

 影斗が何か話し始めた。

「なに?お金でもくれるの?」

「どうしてそうなる。……あ、いや、お金はあげる。もちろん、手伝ってくれたらだけど」

「是非ともやるわ」

「まだ内容を言ってないんだけど!?」

 お金が貰えるんなら、その話、乗るしかないじゃない!

「まあいいや。実は――」




アイス美味しいですよね。今は食べませんけど。
夏の必需品だと思います。
それでは、また次回。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。