東方漆風録   作:零霧

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どうも、零霧です。
アイスを冬に食べるものじゃありませんね。えらいことになります。


第37話 平穏をぶち壊しに来た男たち

 

 

「うん、かき氷は今日も美味しいです」

 長い行列に並んだ甲斐があったというものです。

「あんた……何やってんのよ」

「ん?」

 横から声を掛けられた。そちらを見てみると、そこには霊夢がいた。

「あれ、霊夢。どうしてこんなところに?」

「あんただけ、何美味しいもの食べてるのよ……」

「は?……はっ!?」

 今、俺の両手にはかき氷がある。これは確かに怠けていると勘違いされるかもしれない。

「ちっ、違うんだ霊夢!これには、雲よりも高く、深海よりも深い訳が――!!」

「一人だけこそこそ食べてんじゃないわよー!!」

 

 

「で、それは誰のなのよ」

「誰の、とは」

 今、俺は霊夢の前で正座している。

「そのもうひとつの方よ。誰かにあげるんじゃないの?」

 俺は自分の両手を交互に見る。左手に一つ、右手に一つのかき氷がある。二つ買った理由は、ただ単に自分が二つ食べたかったからなんだけど……。

「えーと、これは、自分用です」

「一人で二つも食べるつもりだったってこと?」

「ええ、まあ……」

「全く……そんなことしたら体壊しちゃうでしょ。ほら、一つよこしなさい。食べてあげるから」

「そう来る!?」

 結局自分が食べたいだけじゃねーか!!俺の身を案じるフリして!なんだよなんですか『そんなことしたら体壊しちゃうでしょ』って!!一瞬でも霊夢のことを見直した俺がバカだったよ!しかもよくよく考えたらアイス三つ食った人に言われたくないわい!

「ほらほら」

「いや『ほらほら』じゃないから。指先をクイクイ曲げるな」

 霊夢が手のひらを上にして指先をクイクイ曲げた。

「体、壊すわよ?」

「俺の体結構丈夫だから。だいじょぶだいじょぶ」

「私は影斗のことを心配して言ってるのに……」

「だから結構丈夫だと……はぁ、はい、どうぞ」

 多分これ以上何言っても意味ないや。早く渡しておいた方が身のためかもしれない。そう思い、かき氷を一つ渡す。

「ありがと、影斗」

 霊夢が俺のかき氷(だった)を食べ始めた。あーあ……俺のかき氷……。

 ……ってあれ?

「なあ、霊夢」

「ふぅ、ごちそうさま。で、なに?」

「なんでこんなところにいるの?」

 そう言うと、霊夢は俺から目を逸らした。

「そ、それは……あれよ、あんたがちゃんと仕事してるかどうかを見に来たのよ」

「…………」

「何よその目は。別にかき氷が食べたくてあの行列に並ぼうとしたらかき氷二つ持ってる影斗がいて一つもらおうとか考えてた訳じゃないからね」

「そうかい」

 今暴露したよね。誤魔化したつもりなんだろうか?

「それじゃ。ちゃんと仕事しなさいよ。と言っても、あんたの仕事は無いようなものだけど」

「多少は役に立ってるよ」

「じゃあこの一週間何したか言ってみなさい」

「ぶらぶらしてかき氷食って寝た」

「最低ね」

「あとは早苗の……いや、忘れよう、うん」

「何か言った?」

「なんでもありません」

「それじゃ」

「じゃ」

 手を振って霊夢と別れた。多分屋台に帰ったんだと思うけど……。

 俺の仕事は、道案内とか危ないことしてたら注意とか、あとはなんか面倒事があったらなんとかする仕事なんだけど、見事に何もない。まあ面倒事なんか無くて結構なんだけど。道案内とか注意とかはそれなりにした。と思う。そう思いたい。

 そんな訳で、俺は警備という名のぶらぶら歩き回るだけという行為を一週間続けてきたのです。たまに焼き芋やかき氷食ったけど。半分客気分だったけど。

「またぐるりとぶらり旅だ」

 

 

――――――――――

 

 

「ありがとうございましたー!」

「チルノのかき氷おいしいね!また来ちゃった!」

 何度か見た子供たちがチルノちゃんにそう言う。

「ふっふーん。あたいはさいきょーだからね!かき氷もさいきょーなんだ!」

 チルノちゃんは、相変わらずよく分かんないや。

「なあ、かき氷四つ」

 横から、大きな男の人が二人出てきて、そう言った。あれ……この人たち、横入りじゃ……?

「あの……申し訳ないんですけど、注文は列に並んでからお願いします」

「はぁ?何言ってんだお前。こんな長い列並んでたら日が暮れちまうよ」

 黒髪の背の高い人がそう言った。

「いいだろ別に。並んだとしてもどうせ後から来るんだし」

 そして、茶髪の背の低い人がそう言った。

「で、ですが……」

「おいお前ら!!ちゃんと並べ!!みんな待ってるんだからお前らも並べ!!」

 私が言いあぐねていると、チルノちゃんが大声でそう言った。

「だからさ、どうせ後から来るんだぜ?それが少しばかり早くなるだけだろうがよ。分かったら、早くくれよ」

「絶対あげない!お前らなんかにあげるもんか!!」

 チルノちゃんが言ってることは間違ってない。だけど――

「おいおい、この店はお客様を選ぶのかよ?」

 ――この人たちは怖い人たちだ。怒らせちゃいけない。

「チルノちゃん、やめて!かき氷だそう!」

「絶対やだ!こんな卑怯者にあげるものなんてないよ!!」

「……おい、早く出せよ」

 茶髪の人の声が低くなった。これ以上機嫌を悪くさせるのはまずい。

「俺たちだって暇じゃねーんだよ。わざわざここに来てやってかき氷食ってやるっつってんだよ」

 茶髪の人がチルノちゃんを睨みつけながら言う。

「お前らにあげるものなんて何もないって言ってる!!」

 チルノちゃんも負けじと言い返す。

「てめぇ……いい度胸してるじゃねぇか……」

「一発殴られなきゃ分かんねぇかなぁ?」

「かかってきなよ!お前らなんか、ケチョンケチョンにしてやる!!」

 お互いが睨み合う。

 どうしよう……!誰か呼んでこなきゃ……!私じゃ止められない……。

 そういえば、さっき、影斗さんがかき氷を買いに来た!

 影斗さんなら、まだ近くにいるかもしれない!

「チルノちゃん、待ってて!!」

 すぐに、影斗さんを呼んでくるから!!

 

 




なんか変なの出てきた。

お気付きかもしれませんが、時間が進んでます。これは湖水浴場七日目、つまり最終日です。
それでは、また次回。
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