東方漆風録   作:零霧

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どうも、零霧です。
遅くなってすみません。テストがあったもので……。


第40話 悪意なき悪行

 

 

「死ぬかと思った」

「逆によく生きてたわね」

「影斗はゴキブリ並の生命力を持ってるからな」

「持ってねーよ!?」

 蘇生して早々魔理沙にとんでもないことを言われた。傷の治りは何故か早いけどさ。

「影斗が凍ってるの、面白かったわ~」

「幽々子様。そういうこと言っちゃダメですよ」

 幽々子今面白いって言ったな? って。

「あれ?妖夢に幽々子に……穣子さん。いつの間に?」

 いつから居たんだ?

「皆さんが涼んでる時からいましたよ?」

「え?」

 全く気が付かなかった。ごめんなさい。

「穣子さんは?」

「私はあんたが凍ってから来たわ」

「それはそれは。わざわざご苦労様です」

「さっきからそれ、腹立つんだけど。なんで敬語なのよ」

「ごめんなさい。敬語の方がいいかなー、なんて」

「ふん、グズね」

「どふぅ!?」

 不意打ちを食らった!いきなり罵倒されるなんて!?

「馴れ馴れしいのも腹立つけど余所余所しいのも腹が立つのよ、覚えておきなさい」

「じゃあどう接すればいいんですか」

「普通に接すればいいじゃない。というか今までと一緒でいいでしょ」

「分かりました」

 以後気を付けます。

「あー……少し遅かったかな?」

 後ろから男の声が聞こえた。振り向いてみると、そこには霖之助がいた。

「おぉ霖之助。よく来たな」

「こんにちは。魔理沙に呼ばれてね」

「私が呼んどいたんだぜ!」

 親指で自分を指差し得意気な顔で魔理沙が言った。

「霖之助ももちろん泳ぐよな!」

「もちろんそのつもりで来たよ」

「やったぜ!」

 随分嬉しそうだな、魔理沙。そんなに嬉しいのか。

「そろそろ着替えない?話は後でしましょ」

 霊夢がそう提案した。

「なんだ霊夢、さっきとは違って随分と乗り気だな」

「折角来たんだから泳ぐわよ」

「じゃあ行こうぜ!暑くて仕方ないぜ」

 そう言って魔理沙は更衣室へと歩き出した。皆も魔理沙に続く。

「じゃあ、また後でな」

 男性用更衣室と女性用更衣室に別れる道の前で魔理沙がそう言った。

「ほいほい、また後で」

「言っとくけど、覗くなよ」

「誰が覗くか!!」

 する訳無いだろ恐ろしい!!

「どうだかね」

「霊夢まで何を言ってるの!?」

「影斗って影薄いから覗かれても気付けないかもねぇ」

「はいはい」

「なんで私だけ反応が薄いのよ!?」

 だって神奈子に何か言われるのは日常茶飯事だし。もう慣れたし。

「それじゃ、また後で」

「うん、それじゃ」

 女子勢は女性用更衣室へと消えた。

「あいつらもうやだ……」

「影斗君も大変だね……」

「分かってくれるか霖之助……」

「とても分かるよ……」

 霖之助は優しいなぁ……その優しさを少し俺に分けてください。優しくなりたいです。

「ところで影斗君。いつ覗きに行くんだい?」

「霖之助お前もかぁぁぁぁぁ!!」

 さっきまでの優しさはどこへやら。霖之助にもいじられた!

「行かないよ……さっさと行くよ」

 早く着替えて遊びたい。

「影斗君、そっちは女性用だけど」

「……え?あれ、あはは、危ない危ない」

 危ねー。マジで覗きに行くところだった。

「ありがとな、教えてくれて」

「いやいや、どういたしまして」

 そして()()()更衣室のドアを開ける。

「さーて、着替え……る……か……」

 そこには、あられもない格好をした……女子勢がいた。

「…………は?」

 皆、俺を見たまま動かない。俺も動かない。いや、動けない。待て、落ち着くんだ、今何が起こってるのか、改めて確認してみよう。

 俺は男性用更衣室に入った。そう、確かに入ったんだ。で、その中には何故か女子勢がいて、皆ほぼ裸で……裸……で……?

 ()()()更衣室の扉がガチャ、と音を立てて閉まったとき、時は動き出した。

「あ、えと……これは……決して……ののの覗き、とかいう不埒な行為ではなく……てですね、その……ちょっとした……事故といいますかぁ……偶然に偶然が重なって……起きた……不幸な出来事なんすよ……「影斗……覚悟は、いいわよ、ね?」うぎゃあぁぁホントすみませんでしたぁぁぁぁぁっ!!」

 

 

「すみばべんほんぴょにはんぜい゛じてま……うっ、うっ……なんべびょしましゅから……えぐっ……ゆる゛じで……ください……」

「誰か翻訳してくれない?」

「『すみませんホントに反省してますなんでもしますから許してください』じゃないか?」

「まさか本当に覗いてくるなんて……影斗さんってそういう人だったんですね」

「ちがっ……よ゛うぶ……ごがいだ……っ!」(訳:ちがっ……妖夢……誤解だ……っ!)

「早苗もだけど影斗も大胆なことするね~」

「だがら゛ちがう゛んだよ゛……っていうきゃさなえ゛がなんて?」(訳:だから違うんだよ……っていうか早苗がなんて?)

「諏訪子様何言ってるんですか!?あれは事故なんです!!」

「そう゛だよ……じごなんだよ……」(訳:そうだよ……事故なんだよ……)

「影斗も男だからねぇ」

「がなこ……お゛ねぐぁいですかるぁ……そにょなっどくしたような目をするのをやめでくだぢゃい……」(訳:神奈子……お願いですから……その納得したような腹立つ目をやめてくださいな♪)

「だ、大丈夫ですよ影斗さん!皆さん恥ずかしがってるだけですから!」

「がずかしい゛からっでがんせづをはずいてうごけなぐしたあ゛とだまぐをうっでくる゛ようなひどはい゛ないとお゛もうんDA☆」(訳:恥ずかしいからって関節を外して動けなくした後弾幕を撃ってくるような残酷非道な人はいないと思うんDA☆)

「急に調子乗り始めたわね、痛みが足りないのかしら?」

 霊夢が影斗のふくらはぎを踏む。

「れ゛いむ様ずとっぷすよっぷふぎとうから゛!ふくらあぎぷぎおう゛から!!」(訳:霊夢様ストップストップ吹き飛ぶから!ふくらはぎ吹き飛ぶから!!)

「あ、あの霊夢さん?影斗さんも反省しているみたいですし、そろそろ許してあげたらどうですか?」

「……まぁ、これくらいにしておいてあげるわ」

「うぇっ……うっ……あ、ありがとう゛……さな……え……」

「今救われたーって顔をしたね。すごい安らかな顔して寝てるよ。どう思う、神奈子?」

「早苗が女神にでも見えたんじゃないかい?あ、女『神』は私か~!!」

「「「…………」」」

「……すんません」

 そんな出来事を、少し離れた場所で見ている者がいた。

「……ごめんよ、影斗君」

 本当に申し訳なさそうな声で、彼――森近霖之助は呟いた。

 

 

――――――――――

 

 

「ミズウミコワイミズウミコワイミズウミコワイミズウミコワイ」

 今私は眠っている影斗さんを見ている。影斗さんは長椅子で眠っており、私は普通の椅子に座っている。ちなみに影斗さんの傷は綺麗さっぱりなくなっている。傷だらけだったというのに……。どんな回復力ですか。

 影斗さんはあれからずっとうなされている。

 影斗さんはなぜこんなことをしたのでしょう?影斗さんにそんな行動力があるとは思えなかったのですが……。

「うわぁぁ!!」

「ひゃぁっ!?」

 影斗さんが大声をあげて飛び起きた。驚いて変な声が出てしまった。

「お、おはようございます、影斗さん」

「あれ?早苗、おはよう……っ!」

 影斗さんは気まずそうに目を逸らした。さっきのことを気にしているのでしょうか、それとも……。

「ところで、大きな声出してどうしたんですか?変な夢でも見たんですか?」

「皆にボコボコにされるっていう恐ろしい夢を見た」

「……それ、正夢ですよ」

「え、俺ボコボコにされるの!?」

「いえ、もうされたんです」

「え?」

 どうやら影斗さんは覚えていないらしい。じゃあ今目を逸らしている理由は……。

「どこか痛むところとかないですか?」

「いや全く。至って健康体だよ」

「そうですか、ならよかったです!皆さんもう遊んでますよ。影斗さんも遊びませんか?」

「もちろん遊ぶよ。じゃあ着替えてくる」

 そういえばまだ影斗さんは着替えてないんだった。あんなことをしたから……。

「それじゃまた後で」

「へいへい、また後で」

 そう言って影斗さんは更衣室へ歩いていった。

 やっぱり話すのに違和感はない。だが、やっぱり目を逸らされる。心の中では、『面倒な奴だな』とか思われてるんでしょうか。

「嫌われてるんですかね、私……」

 

 

――――――――――

 

 

 なんで俺あそこで寝てたんだろ。熱中症かな?いやいや、まさかそんなことは……。

「とりあえず、早く着替えて遊びに行くか」

 さっき時計を見たところ昼過ぎてたし。一時くらいだったか?俺が来たのが十時くらいだった気がするから……何時間寝てたんだ、俺。

「うわっ、なんだあれ」

 女性用更衣室へと続く道や壁に、いくつもの焦げ跡があった。何あれ怖い。

「っと、あんまりそっちばっかり見てると変な誤解をされるかもしれないな」

 今誰もいないけどね。それに仮に誰かいたとしても覗く訳無い。そんな馬鹿な真似をすると消し炭になることくらい分かってるし。

 

 

「よし、行くか」

 黒い短パンのような水着を着て、いざ外へ。ちなみにこの水着はサーフ型、と呼ばれるものらしい。もちろん霖之助に貰った水着の中から選んだものだ。

 どうでもいいけど、水着なんて着るのいつぶりだ?小学生以来か。海なんて行ってなかったからな……。小学校の授業と、あと……そうだ、一回だけ遊びに行ったことが……。

「よーし、遊ぶぞー」

 無理矢理気分を切り替える。楽しい時に変なことを考えるのはよくないと思う。

 折角の海!ではなく湖!遊び倒してやる!

 

 




作者は海には二、三回くらいしか行ったことがないです。
で、海に行ったのはいいんですけど妹とか貝殻集めしかせずに肝心の海に入らないんですよねー。
そんなどうでもいい思い出話です。
それでは、また次回。
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