東方漆風録   作:零霧

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どうも、零霧です。
更新遅くなって申し訳ありません。テストがあったもので……。
まあ、その前に書いとけよ、って話なんですが……。
それでは本編をどうぞ。


第44話 ~主人公がログアウトしました~

「あんたたち、準備はいい?」

「いつでも準備OKだぜ!」

 魔理沙が、勢いよく返事をする。

「――さて、始めましょうか」

 パン、と霊夢が手を合わせる。

「お祭りの始まりよ!!」

「「「イェーイ!!」」」

 全員が杯を持ち上げ、乾杯する。でも入っているのは酒じゃない。らしい。当然俺の杯の中に酒は入っていない。何が入っているかって? オレンジジュースだ。悪いか。

 しばらく一人で食事を味わっていると、神奈子がこっちへやってくるのが見えた。

「や、影斗。一杯どうだい?」

「酒は飲まないよ。つか酒臭い。ってなんで酒臭いの!?」

 酒は飲まないって話じゃなかったのか!?

「まぁまぁ聞いてくれよ。これノンアルコールビールっていうものでさ、アルコール分を極端に少なくした――って影斗は知ってるんじゃないのかい?」

「まぁ、一応は知ってるけど」

 飲んだことはない。逆にあったら怖いけど。

「さすが外育ちだねぇ。って、こんな不思議な酒の話はどうでもいいんだよ。私が話しに来たのはさ」

 神奈子が真剣な顔になって俺に聞いてきた。

「ぶっちゃけ、影斗は早苗のことどう思ってるんだい?」

「……へ?」

 早苗のこと?どう思うって?

「どうって?」

「単純な話だよ。好きか嫌いか」

 神奈子がなんでそんなことを聞くのか分からないけど、まあ答えればいいんでしょ?

「まあそりゃ……好きなんじゃないかな?」

「へぇ……異性として、かい?」

「ぶっ!?」

 口に含んでいたオレンジジュースを無理矢理喉に流し込む。そのせいで何度かむせた。

「え?そこんところどうなの?」

 神奈子は先程とは違いニヤニヤしながら俺を見ている。

「違うわ!そういうのじゃなくて――」

 無意識にそこで言葉が詰まった。

 家族として?友達として?どっちだ?

 いつだったか、早苗、神奈子、諏訪子の三人は、俺のことを家族だと言ってくれた。だけど、俺は厳密には家族じゃない。いきなり乱入してきた部外者だ。

 じゃあ友達?まあそれくらいが妥当だろうか。 あ、そうだ。

「友達以上恋人未満です!!」

 友達以上恋人未満。これくらいがベストな位置じゃないか!?

「なるほどねぇ。分かったよ、ありがとね」

 神奈子は俺の言葉に何の反応もせず、スタスタと紫たちの元へ歩いていった。

 さっきの答えは、正解だったのかな?

「あの、影斗さん。少し失礼していいですか?」

 誰かと思い声のした方を見ると、早苗だった。

「あ、どぞどぞ」

 適当に空いてる位置を指差す。といっても、今は一人でちびちびやってたから周りに誰もいないけど。

「じゃあ、失礼しますね」

 早苗が俺の左に座る。

「…………」

 さっきの神奈子の話のせいで、なんとなく話しづらい。

「どうしたんですか?ぼーっとして」

「あ、いや。少し考え事を……あのさ」

「なんですか?」

「俺、今日何してたっけ?」

 自分でも変な質問だとは思うが、今日何をしていたのか全然思い出せない。寝てて気付けば打ち上げですよ。何があったんだよ。

「あぁ……影斗さん、今日寝てばっかりで全然遊べてないですもんね……」

「そうなんだよ……」

「影斗さんはですね、今日覗――あ、いや、確かスイカ割りして……」

 あ、そういえばスイカ割りしたような気がする。

「その時に、まあ……色々あって、寝ました」

 なんだ色々って。 何があったんだよ。

「少しだけ、影斗さんが寝ていた時の話をしましょうか? そんな大したことはしてないですけど」

「あ、それ気になる。少し聞かせてください」

「いいですよー。影斗さんが寝てからですね――」

 

 

――――――――――

 

 

「えっと……じゃあ次、誰がスイカ割る?大体やり方分かったでしょ?」

 若干戸惑いながらも霊夢さんが進行しようとする。

「よし霊夢!私がやるぜ!!」

 魔理沙さんが勢いよく立ち上がってそう言った。

「じゃあ魔理沙ね。魔理沙の次に誰が行くか決めときましょ」

 えと、このまま進むんですかこれ。

 一応、今さっき霖之助さんに影斗さんを運んでもらったのですが……大丈夫でしょうか。

「――次が早苗ね」

「え、はい!なんですか?」

 霊夢さんに名前を呼ばれた気がしたので、霊夢さんの方を向く。

「スイカ割りの順番の話よ。聞いてなかったの? あんた、妖夢の次ね」

「あ、分かりました!」

 その後も、霊夢さんは着々と順番を決めていった。

 

「集中……集中して……」

 妖夢さんがブツブツと唱えている。

 皆さんは妖夢さんに左だとか右だとか上だとか、様々なヒントを言っている。

「これを割れれば、私はまた一歩強くなれるかもしれない……」

 妖夢さんは、なんでも修行に見立てる癖があるようで、どうやらこのスイカ割りもそうしているようだ。

 妖夢さんはしばらく歩いていたが、急に動きを止めた。どうしたのかと下を見てみると、そこにはスイカがあった。

「……せいっ!」

 気合と共に、木刀を勢いよく振る。スイカは、なすがままに割れ――

 はせず、ヘタを切り落とした。

「あ……割れませんでした……」

 目隠し用のタオルを外し、未だ健在のスイカを見た妖夢さんはガクッと肩を落とした。

 私からしたら、ヘタだけ切り落とせるのがすごいんですが。というかなんで木刀なのに斬れるんですか。

 

 ――あ、影斗さんのために教えてあげます。妖夢さんの水着は、白のモノキニでした。

 

 ――聞いてねーよ。

 

 私の番になった。目隠しをしたので、何も見えない。

「早苗~、こけないようにね~」

 諏訪子様からのありがたい忠告が飛んできた。 私はそこまでどんくさくありません!

 ちなみに、さっきのスイカの位置を覚えていても、順番が変わると当然スイカの場所は変わるので、その作戦は通用しない。

 皆さんからのヒントによく耳を傾ける。こういうのは一番少ないところにスイカがあるものです!

 一番少ないのは……

「下ですね!」

 勢いよく木刀を振り下ろす。

 手応えは……なかった。聞こえたのは、バキッと木刀が地面に当たる音だった。

「あーあ、外れちゃいました……」

 タオルを外すと、皆さんが私を驚いたような顔で見ていた。 なんでしょう?私の顔に何かついてるのでしょうか。

「なんですか、皆さ「ちょ、早苗動いちゃダメ!!」え?」

 神奈子様が私にそう言った。なぜ動いちゃダメなんでしょう?

「早苗……下、見てみな」

「下ですか?」

 言われた通りに下を向く。

 そこには、まるで私を中心としたような地割れが起きていた。

「え……え!?なんですかこれ!?」

「早苗、あなたがやったのよ……」

 紫さんがスキマから首だけ出してそう言った。体は霊夢さんの隣にある。

 これを私が?

「私はこんなこと出来ませんよ」

「あなたが木刀を地面に叩きつけた途端にこうなったのよ?あなたしかいないでしょ?」

 そんなまさか……。

「まあいいわ。これくらいなら私がちゃちゃっと直してあげるわ」

「直せるんですか?」

「もちろんよ。少し待ってね」

 紫さんが地割れの一部分に手をかざす。すると、なんと割れた地面がくっついた。

「わぁ……すごいですね」

「これくらい、妖怪の賢者の私にとっては、造作もないことよ」

 ふふっ、と扇子で口を隠し上品に笑う紫さん。 こういう動作が似合うのが心底羨ましい。

「さてと、じゃあ続けましょうか。次は……アリスさん、だったかしら?」

「え、あ、はい……」

 オドオドとアリスさんが立ち上がる。

 いつも思うんですが、どうしていつもあんなにオドオドしているんでしょうか。普通にスタイルもいいし、今の青いAラインも似合ってるし、可愛いと思うんですが……。

「……よいしょ」

 アリスさんは、四、五歩歩き、静かな掛け声とともに木刀を振り下ろした。

 だがそこにスイカはなく、地面を優しく叩く結果となった。 地割れは起きませんでした。

「ふふっ、次は私の番ね」

「あ、よろしくお願いします……」

 アリスさんが幽々子さんに目隠し用タオルと木刀を手渡した。

 そして、アリスさんは私の方へ寄ってきて、

「あの……早苗、隣いいかしら?」

「もちろんいいですよ!」

「……あ、ありがと」

 そう言ってアリスさんは私の右側に座った。

「スイカ割り、意外と難しいですね~。 私、もっとすんなり割れるものだと思ってました」

「早苗は地面をすんなり割ったけどね……」

 誰がうまいこと言えと。

「あれは私じゃないですよ」

「え……そうなの?」

「はい、そうです」

 私は海しか割れません。

 ここで私は、今場が静かになっているのに気付いた。 さっきまで賑やかだったのにどうしたんでしょう。

 そう思い、幽々子さんの方を見る。

 幽々子さんの周りだけ、空気が違う。なんというか……ピリピリしているというか……。多分、皆さんその空気に呑まれてしまったのでしょう。現に、私も今までとは違い喋ることができない。

 今だけは、幽々子さんのピンクのビキニ姿を見ても、恐れることしか出来ないでしょう。

 誰もが固唾を呑んで様子を見ている中、幽々子さんは動いた。

 位置が分かっているのか、目にも止まらぬ速さでスイカに向かって走り出した。

 そして、剣術でも習っているのかと言いたくなるほどの美しいフォームで――私は剣術が何なのかぶっちゃけ何も分かってないが――木刀を下から上に向かって切り上げた。

 木刀はスイカに吸い込まれるように真ん中に命中し、スイカは打ち上げられ、空中で何個かに割れて、ボトボト、と次々に地面に落ちた。

「さて、食べましょうか」

 タオルで汗を拭き、満面の笑顔で幽々子さんには、先程のピリピリした空気は微塵も感じられなかった。

「これ、割った人が食べてもいいのよね?」

 じゅるり、と何か変な音が聞こえたかと思うと、スイカは幽々子さんの口へと吸い込まれていった。 ゴクリ、とスイカを飲み込む音が聞こえた。 ここまで、約二秒。 なんだか、外の世界であった『空のカーピィ』を思い出しました。懐かしいな、昔よくやってました。

「ふぅ……美味しかった」

「「「……お前ぇぇぇぇぇ!!」」」

 今まで呆然としていた皆さんが、現状を理解し大声を出す。 そういう私も、全く動けませんでしたが。

「幽々子……あんた、何一人で食ってくれてんのよ!?」

「スイカ私の分くらい残しておいてほしかったぜ!?」

 霊夢さんと魔理沙さんが幽々子さんに対して――魔理沙さんのは少し違うかもしれないが――怒る。だが、幽々子さんは「スイカ食べていいんじゃないの?」と首を傾げるだけだった。

 

 ――それにしても、地割れを起こしたのは一体誰なんでしょうね?

 

 ――あ、ホントに自覚ないんだ。

 

 




今回は回想編~スイカ割り~回でした。
と言っても、回想そんな書かないと思うんですけど……。
それでは、また次回。
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