更新遅くなって申し訳ありません。テストがあったもので……。
まあ、その前に書いとけよ、って話なんですが……。
それでは本編をどうぞ。
「あんたたち、準備はいい?」
「いつでも準備OKだぜ!」
魔理沙が、勢いよく返事をする。
「――さて、始めましょうか」
パン、と霊夢が手を合わせる。
「お祭りの始まりよ!!」
「「「イェーイ!!」」」
全員が杯を持ち上げ、乾杯する。でも入っているのは酒じゃない。らしい。当然俺の杯の中に酒は入っていない。何が入っているかって? オレンジジュースだ。悪いか。
しばらく一人で食事を味わっていると、神奈子がこっちへやってくるのが見えた。
「や、影斗。一杯どうだい?」
「酒は飲まないよ。つか酒臭い。ってなんで酒臭いの!?」
酒は飲まないって話じゃなかったのか!?
「まぁまぁ聞いてくれよ。これノンアルコールビールっていうものでさ、アルコール分を極端に少なくした――って影斗は知ってるんじゃないのかい?」
「まぁ、一応は知ってるけど」
飲んだことはない。逆にあったら怖いけど。
「さすが外育ちだねぇ。って、こんな不思議な酒の話はどうでもいいんだよ。私が話しに来たのはさ」
神奈子が真剣な顔になって俺に聞いてきた。
「ぶっちゃけ、影斗は早苗のことどう思ってるんだい?」
「……へ?」
早苗のこと?どう思うって?
「どうって?」
「単純な話だよ。好きか嫌いか」
神奈子がなんでそんなことを聞くのか分からないけど、まあ答えればいいんでしょ?
「まあそりゃ……好きなんじゃないかな?」
「へぇ……異性として、かい?」
「ぶっ!?」
口に含んでいたオレンジジュースを無理矢理喉に流し込む。そのせいで何度かむせた。
「え?そこんところどうなの?」
神奈子は先程とは違いニヤニヤしながら俺を見ている。
「違うわ!そういうのじゃなくて――」
無意識にそこで言葉が詰まった。
家族として?友達として?どっちだ?
いつだったか、早苗、神奈子、諏訪子の三人は、俺のことを家族だと言ってくれた。だけど、俺は厳密には家族じゃない。いきなり乱入してきた部外者だ。
じゃあ友達?まあそれくらいが妥当だろうか。 あ、そうだ。
「友達以上恋人未満です!!」
友達以上恋人未満。これくらいがベストな位置じゃないか!?
「なるほどねぇ。分かったよ、ありがとね」
神奈子は俺の言葉に何の反応もせず、スタスタと紫たちの元へ歩いていった。
さっきの答えは、正解だったのかな?
「あの、影斗さん。少し失礼していいですか?」
誰かと思い声のした方を見ると、早苗だった。
「あ、どぞどぞ」
適当に空いてる位置を指差す。といっても、今は一人でちびちびやってたから周りに誰もいないけど。
「じゃあ、失礼しますね」
早苗が俺の左に座る。
「…………」
さっきの神奈子の話のせいで、なんとなく話しづらい。
「どうしたんですか?ぼーっとして」
「あ、いや。少し考え事を……あのさ」
「なんですか?」
「俺、今日何してたっけ?」
自分でも変な質問だとは思うが、今日何をしていたのか全然思い出せない。寝てて気付けば打ち上げですよ。何があったんだよ。
「あぁ……影斗さん、今日寝てばっかりで全然遊べてないですもんね……」
「そうなんだよ……」
「影斗さんはですね、今日覗――あ、いや、確かスイカ割りして……」
あ、そういえばスイカ割りしたような気がする。
「その時に、まあ……色々あって、寝ました」
なんだ色々って。 何があったんだよ。
「少しだけ、影斗さんが寝ていた時の話をしましょうか? そんな大したことはしてないですけど」
「あ、それ気になる。少し聞かせてください」
「いいですよー。影斗さんが寝てからですね――」
――――――――――
「えっと……じゃあ次、誰がスイカ割る?大体やり方分かったでしょ?」
若干戸惑いながらも霊夢さんが進行しようとする。
「よし霊夢!私がやるぜ!!」
魔理沙さんが勢いよく立ち上がってそう言った。
「じゃあ魔理沙ね。魔理沙の次に誰が行くか決めときましょ」
えと、このまま進むんですかこれ。
一応、今さっき霖之助さんに影斗さんを運んでもらったのですが……大丈夫でしょうか。
「――次が早苗ね」
「え、はい!なんですか?」
霊夢さんに名前を呼ばれた気がしたので、霊夢さんの方を向く。
「スイカ割りの順番の話よ。聞いてなかったの? あんた、妖夢の次ね」
「あ、分かりました!」
その後も、霊夢さんは着々と順番を決めていった。
「集中……集中して……」
妖夢さんがブツブツと唱えている。
皆さんは妖夢さんに左だとか右だとか上だとか、様々なヒントを言っている。
「これを割れれば、私はまた一歩強くなれるかもしれない……」
妖夢さんは、なんでも修行に見立てる癖があるようで、どうやらこのスイカ割りもそうしているようだ。
妖夢さんはしばらく歩いていたが、急に動きを止めた。どうしたのかと下を見てみると、そこにはスイカがあった。
「……せいっ!」
気合と共に、木刀を勢いよく振る。スイカは、なすがままに割れ――
はせず、ヘタを切り落とした。
「あ……割れませんでした……」
目隠し用のタオルを外し、未だ健在のスイカを見た妖夢さんはガクッと肩を落とした。
私からしたら、ヘタだけ切り落とせるのがすごいんですが。というかなんで木刀なのに斬れるんですか。
――あ、影斗さんのために教えてあげます。妖夢さんの水着は、白のモノキニでした。
――聞いてねーよ。
私の番になった。目隠しをしたので、何も見えない。
「早苗~、こけないようにね~」
諏訪子様からのありがたい忠告が飛んできた。 私はそこまでどんくさくありません!
ちなみに、さっきのスイカの位置を覚えていても、順番が変わると当然スイカの場所は変わるので、その作戦は通用しない。
皆さんからのヒントによく耳を傾ける。こういうのは一番少ないところにスイカがあるものです!
一番少ないのは……
「下ですね!」
勢いよく木刀を振り下ろす。
手応えは……なかった。聞こえたのは、バキッと木刀が地面に当たる音だった。
「あーあ、外れちゃいました……」
タオルを外すと、皆さんが私を驚いたような顔で見ていた。 なんでしょう?私の顔に何かついてるのでしょうか。
「なんですか、皆さ「ちょ、早苗動いちゃダメ!!」え?」
神奈子様が私にそう言った。なぜ動いちゃダメなんでしょう?
「早苗……下、見てみな」
「下ですか?」
言われた通りに下を向く。
そこには、まるで私を中心としたような地割れが起きていた。
「え……え!?なんですかこれ!?」
「早苗、あなたがやったのよ……」
紫さんがスキマから首だけ出してそう言った。体は霊夢さんの隣にある。
これを私が?
「私はこんなこと出来ませんよ」
「あなたが木刀を地面に叩きつけた途端にこうなったのよ?あなたしかいないでしょ?」
そんなまさか……。
「まあいいわ。これくらいなら私がちゃちゃっと直してあげるわ」
「直せるんですか?」
「もちろんよ。少し待ってね」
紫さんが地割れの一部分に手をかざす。すると、なんと割れた地面がくっついた。
「わぁ……すごいですね」
「これくらい、妖怪の賢者の私にとっては、造作もないことよ」
ふふっ、と扇子で口を隠し上品に笑う紫さん。 こういう動作が似合うのが心底羨ましい。
「さてと、じゃあ続けましょうか。次は……アリスさん、だったかしら?」
「え、あ、はい……」
オドオドとアリスさんが立ち上がる。
いつも思うんですが、どうしていつもあんなにオドオドしているんでしょうか。普通にスタイルもいいし、今の青いAラインも似合ってるし、可愛いと思うんですが……。
「……よいしょ」
アリスさんは、四、五歩歩き、静かな掛け声とともに木刀を振り下ろした。
だがそこにスイカはなく、地面を優しく叩く結果となった。 地割れは起きませんでした。
「ふふっ、次は私の番ね」
「あ、よろしくお願いします……」
アリスさんが幽々子さんに目隠し用タオルと木刀を手渡した。
そして、アリスさんは私の方へ寄ってきて、
「あの……早苗、隣いいかしら?」
「もちろんいいですよ!」
「……あ、ありがと」
そう言ってアリスさんは私の右側に座った。
「スイカ割り、意外と難しいですね~。 私、もっとすんなり割れるものだと思ってました」
「早苗は地面をすんなり割ったけどね……」
誰がうまいこと言えと。
「あれは私じゃないですよ」
「え……そうなの?」
「はい、そうです」
私は海しか割れません。
ここで私は、今場が静かになっているのに気付いた。 さっきまで賑やかだったのにどうしたんでしょう。
そう思い、幽々子さんの方を見る。
幽々子さんの周りだけ、空気が違う。なんというか……ピリピリしているというか……。多分、皆さんその空気に呑まれてしまったのでしょう。現に、私も今までとは違い喋ることができない。
今だけは、幽々子さんのピンクのビキニ姿を見ても、恐れることしか出来ないでしょう。
誰もが固唾を呑んで様子を見ている中、幽々子さんは動いた。
位置が分かっているのか、目にも止まらぬ速さでスイカに向かって走り出した。
そして、剣術でも習っているのかと言いたくなるほどの美しいフォームで――私は剣術が何なのかぶっちゃけ何も分かってないが――木刀を下から上に向かって切り上げた。
木刀はスイカに吸い込まれるように真ん中に命中し、スイカは打ち上げられ、空中で何個かに割れて、ボトボト、と次々に地面に落ちた。
「さて、食べましょうか」
タオルで汗を拭き、満面の笑顔で幽々子さんには、先程のピリピリした空気は微塵も感じられなかった。
「これ、割った人が食べてもいいのよね?」
じゅるり、と何か変な音が聞こえたかと思うと、スイカは幽々子さんの口へと吸い込まれていった。 ゴクリ、とスイカを飲み込む音が聞こえた。 ここまで、約二秒。 なんだか、外の世界であった『空のカーピィ』を思い出しました。懐かしいな、昔よくやってました。
「ふぅ……美味しかった」
「「「……お前ぇぇぇぇぇ!!」」」
今まで呆然としていた皆さんが、現状を理解し大声を出す。 そういう私も、全く動けませんでしたが。
「幽々子……あんた、何一人で食ってくれてんのよ!?」
「スイカ私の分くらい残しておいてほしかったぜ!?」
霊夢さんと魔理沙さんが幽々子さんに対して――魔理沙さんのは少し違うかもしれないが――怒る。だが、幽々子さんは「スイカ食べていいんじゃないの?」と首を傾げるだけだった。
――それにしても、地割れを起こしたのは一体誰なんでしょうね?
――あ、ホントに自覚ないんだ。
今回は回想編~スイカ割り~回でした。
と言っても、回想そんな書かないと思うんですけど……。
それでは、また次回。