やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。Delusion story   作:神納 一哉

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タイトル通りのDelusion storyです。

八幡はハンドクラフターで、ハチさんの名前で『パンさんと猫とハチさん』というブログを公開しています。最近『孤独なパンさん』との相互リンクを貼ってもらって喜んでいます。

雪乃は『孤独なパンさん』『パンさんと猫とハチさん』のチェックを日課にしているくらいのパンさん好きです。それ関係のことには目敏く、平塚先生の後ろに居た八幡の襟をチェックして、パンさん好きの同士であると見抜いたため、毒舌は封印しました。
原作と違い自分が孤立しているのを認めていて、学校は平塚先生、自宅は陽乃に監視されていると思っています。

ちなみに、『孤独なパンさん』の開設者、雪さんの正体は雪ノ下母です。

超ご都合主義、原作改変、キャラ改変(崩壊)です。

そう言ったものが嫌いな方はブラウザバック推奨です。


もしも比企谷八幡がパンさんと猫が大好きな女子力高め男子だったら

「雪ノ下、入るぞ」

 

「平塚先生。入るときにはノックを、とお願いしていたはずですが」

 

「ノックしても君は返事をした試しがないじゃないか」

 

「返事をする間もなく、先生が入ってくるんですよ」

 

平塚先生の言葉に、彼女は不満げな視線を送る。

 

「それで、そのぬぼーっとした人は?」

 

ちろっと彼女の冷めた瞳が俺を捉えた。

 

「………平塚先生。彼は依頼者ですか?」

 

俺の方をじーっと見つめながら美少女―雪ノ下雪乃―は平塚先生にそう尋ねた。

 

そんなに見られると、勘違いして告白して振られるまでもある。

 

「いや、彼は比企谷、入部希望者だ」

 

「承りました。部活動の説明もこちらで行った方がよろしいですか?」

 

「あ、まあ。そうしてくれると助かる」

 

「では比企谷くん、あちらから椅子を持って来てその机の前に座ってくれる?」

 

「お、おう」

 

何やら困惑している平塚先生をよそに、同じく困惑したまま俺は雪ノ下の言葉に従い、教室の隅に積み上げられた椅子を一つ取り出して、指定された場所の近くに下ろしてそれに座った。

 

「あー、それでは説明は頼んだぞ雪ノ下」

 

「はい。お任せください」

 

首を捻りながら平塚先生が教室を後にする。俺は平塚先生を見送った後で雪ノ下に視線を送ると、彼女は机を挟んで反対側の椅子に腰を下ろし、机の上で両手を組んで、その上に顎を載せた態勢で俺を見ていた。

 

「さて、まずは部活の説明をしてしまいましょう。持つ者が持たざる者に慈悲の心をもってこれを与える。人はそれをボランティアと呼ぶの。その理念の下で活動を行うのが我が部の方針よ。ようこそ奉仕部へ。歓迎するわ。比企谷くん」

 

「気付いたら入部させられている!?」

 

「入部希望だったのでしょう?」

 

「いや、俺は課題の作文の件で呼び出されて、わけもわからないままここに連れてこられただけなんだが」

 

「そう。平塚先生はあなたの作文についてなんて言っていたの?」

 

「君はなぜ犯行声明を書き上げてるんだ?テロリストなのか?それともバカなのか?なんて言われたな」

 

「はあ。そういうこと。平塚先生はあなたの矯正を私に依頼しに来たのね。ああ、安心してちょうだい。私はあなたがテロリストやバカではないことはわかっているから。妥協案として、あなたはこのまま素直に奉仕部に入部しなさい」

 

こめかみを押さえて雪ノ下はそう言うと、にこりと小さく微笑んだ。

 

「ボランティア活動を行う部ってことでいいのか?」

 

「いいえ。自ら望んでボランティア活動は行わないわ。基本は依頼者が来るまでは読書をしたりして待機よ。依頼者が来たら、依頼内容を聞いてお手伝いできることなら手伝って、そうでないならお断りするわ」

 

「学校内のお悩み相談室みたいな?」

 

「ふふ。そうね。そんな感じね」

 

「依頼って多いのか?」

 

「そう多くはないわ」

 

「………俺が入る意味はあるか?」

 

そう尋ねると、雪ノ下は顔を上げて平塚先生が出て行った扉の方へ視線を向け、扉を見たまま口を開く。

 

「この奉仕部は、平塚先生が目を付けた問題児を隔離するためのサナトリウムみたいなものなのよ。他人を寄せ付けない孤高の氷の女王。それが私に付けられたレッテル。あなたは日頃から平塚先生に目を付けられているような孤独な人で、作文を理由にサナトリウムに放り込まれたと見るのが無難かしら?」

 

「まあ俺がぼっちなのは否定しない。他人に迷惑はかけていないつもりだが」

 

「平塚先生は一人で居ることを良しとせず、他人と関わりを持たせようとするの。諦めなさい」

 

「お前は諦めたのか?」

 

「諦めたというより、受け入れたといった方がいいかしら。平塚先生は私の家族とも仲がいいから、無視することも出来ないのよ」

 

「それはご愁傷様」

 

俺の言葉に雪ノ下は苦笑を漏らし、視線を俺に移して小さく一つ咳をする。

 

「比企谷くん。私と友達になってください。それから奉仕部に入部してください」

 

「………どうせ選択肢はないんだろ?なら、よろしくな雪ノ下」

 

「ええ。よろしく。比企谷くん」

 

「でも、なんで俺と友達になってくれるんだ?」

 

照れ隠しにそう尋ねると、雪ノ下は自分のブラウスの襟を摘んでにこりと微笑む。

 

「お互い孤独なパンさん仲間だもの。それ以上の理由は必要かしら?」

 

「………良く気付いたな。そういうことなら文句はない。むしろ気分が上がってきた」

 

俺もYシャツの襟を摘んで、ぎこちなく雪ノ下に微笑んだ。

 

俺のYシャツの襟には白い糸でパンさんの顔を刺繍してあり、雪ノ下のブラウスの襟にも同様にパンさんの顔が刺繍してあった。

 

シャツの襟に同じ色の糸でパンさんの顔を刺繍するのは、ハンドクラフターの雪さんが運営する、パンさんファンクラブのブログ『孤独なパンさん』の会員の証(任意)なのだ。

 

「………雪ノ下は、その、ハンクラはするのか?」

 

「私はこうやって襟に刺繍をする程度だけど、比企谷くんは?」

 

「俺は、こんなのとか、作ったりする」

 

鞄を持ち上げ、側面に付けたストラップを見せる。

 

「猫さん!え?これ、比企谷くんが作ったの?」

 

「ああ。うちの飼い猫でカマクラっていうんだけど、そいつの子猫時代の姿だな」

 

それから鞄を開け、中からストラップを取り出して雪ノ下に渡す。

 

「良かったら貰ってくれ。その、友達記念ってことで」

 

「パンさん!しかもこれは市販されていない初期のパンさん。どこかで見たような気もするのだけれど」

 

「おお。さすがだな。自分でも上手くできたと思っている」

 

「………はっ。比企谷くん。もしかしてあなた、ハンドクラフターのハチさん?」

 

「………何で知ってるんだよ」

 

「あら。孤独なパンさん掲示板では有名よ。ええと、ということは、比企谷くんがハチさんってことは、両手を広げたパンさん抱き枕とか、猫乗りパンさんの実物が比企谷くんの手元にあるのかしら?」

 

すげえキラキラした目で俺がブログに載せた作品を上げていく雪ノ下。何この子、めちゃくちゃ可愛い。

 

「………まあ、あるけど。作ったの俺だし」

 

「可及的速やかに比企谷くんのお家にお邪魔させてください!!」

 

「そこまで楽しみにされるとクラフター冥利に尽きるんだが。……まあ、もし時間があるなら俺んち行くか?」

 

「行きましょう!椅子はそのままでいいわ。どうせ明日も来るのだから。さあ、早く行きましょう」

 

「落ち着け。別に俺んちは逃げねえよ」

 

廊下に出て施錠すると、雪ノ下は一目散に職員室へ向けて歩き出した。

 

「俺、自転車だから校門で待ち合わせな」

 

「わかったわ」

 

雪ノ下と二人、並んで階段を下りながらそんな会話をしている。なにこれ。なぁにこれ。

 

「比企谷くん。また、後で」

 

「………おう」

 

小さく手を振ってから歩いて行く雪ノ下を見送り昇降口へと向かう。

 

Yシャツの襟に指を這わせる。雪ノ下のブラウスの襟にも同じような刺繍が施されていたのを思い出し、自然と口元が緩む。

 

これからの高校生活は少し楽しくなりそうな予感がした。

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