やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。Delusion story   作:神納 一哉

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時系列は文化祭の後、少ししてから。

半陰陽(Inter sexual)を題材にしてみたかった中で生まれてきた駄文です。

タイトルで入れ替わりものと思った人、ごめんなさい。

ご都合主義、原作改変、キャラ改変、TS(性別変更)です。

エロ・グロも少しあるのでR15です。

そう言ったものが嫌な方はブラウザバック推奨です。




彼が彼女で、彼女が彼で(八雪)

放課後の奉仕部の部室で、俺は部長である雪ノ下雪乃から冷ややかな視線を注がれていた。

 

彼女の手には布製の小さなケースが握られている。いわゆるサニタリーポーチと呼ばれるものだ。

 

「比企谷くん。どうしてあなたのポケットから、こんなものが出てくるのかしら?」

 

「ポケットティッシュと間違えて持ってきてしまったのだと思うのだが」

 

「ポケットティッシュを男性が普段からこのようなケースに入れて持っているとは思えないのだけれど」

 

「少なくとも俺は、普段からそういったティッシュケースに入れて持っているのだが」

 

嘘ではない。俺はいつもサニタリーポーチを持ち歩いているのだ。だがそれを雪ノ下の目の前で落として、さらにはその中に入っているものを雪ノ下に見られたのがまずかった。

 

雪ノ下の手の中にあるサニタリーポーチの中には一般的に入っているもの、つまりは生理用ナプキンが入っていた。

 

男である俺が持っているはずのないものである。

 

故に、俺はこうして雪ノ下に冷ややかな視線を向けられているのだった。

 

「母ちゃんか小町のサニタリーポーチをティッシュケースと間違えて持ってきちまったってのが、考えられる中では一番無難なんだが」

 

「確かに、そう考えるのが一番無難でしょうね」

 

「そうだろ?じゃあ、そういうことで」

 

「比企谷くん。あなた何故、サニタリーポーチなんて言葉を知っているのかしら?」

 

「母ちゃんと小町に聞いたからだけど?持っていくときはティッシュケースと似ているから間違えないようにって」

 

「つまり比企谷くんの家では、女性用のサニタリーポーチと、男性用のティッシュケースが近くに置かれていることがあるということかしら?」

 

「まあ、そうだな」

 

俺がそう答えると、雪ノ下はこめかみに手を当てながらため息とともに言葉を放つ。

 

「小町さんが言うには、比企谷くんがティッシュケースを持っていることはありえないということなのだけれど」

 

雪ノ下のその言葉に、俺は大きなため息を一つつくと、動揺を抑えるために深呼吸を数回繰り返す。

 

小町、俺がサニタリーポーチを持っていることを隠すためにそう言ってくれたのだろうけど、雪ノ下に対して意味がないことだったよ。現物を抑えられてしまっているからな。

 

「………雪ノ下。由比ヶ浜は来るのか?」

 

「由比ヶ浜さんは今日は来れないそうよ」

 

「そうか。じゃあ悪いが部室に鍵を掛けさせてもらってもいいか?」

 

「何をするつもりかしら?」

 

「説明をするため、他人が入ってこれない状況にするのが望ましいからだ」

 

「そう。わかったわ。念のため、私の携帯はすぐに警察が呼べるようにしておくわね」

 

「好きにしてくれ」

 

立ち上がって扉に鍵を掛けに歩いて行き、無事に鍵をかけ終わってから自分の席へと戻る。

 

「窓の外からこの教室の中が見られるってことは無いよな?」

 

「ええ。その点については安心してもいいわ」

 

「雪ノ下。俺はおまえを信頼している」

 

「………そう」

 

「今から見せることは、俺の家族と主治医しか知らないことだ。総武高校の教師陣も知らないことだ」

 

「………比企谷くん、あなた、いったい何を隠しているの?」

 

雪ノ下が驚いているのを尻目に、俺はゆっくりと上着を脱いで、Yシャツを脱いで、その下に来ていた黒色のTシャツを脱いだ。

 

「っっ!!」

 

雪ノ下はTシャツを脱いだ俺の上半身を見ると、慌てて視線を逸らして俺に背を向ける。

 

「………なんで視線を逸らしたのかわからねえけど、まあこういうことだからさ、サニタリーポーチの中身も俺が使うために持っていたってわけなんだが。さらしも解いて見せた方がいいか?それとも、その、下見るか?」

 

思わず顔が熱くなる。下見るか?なんて、どんな痴女だよ。

 

「いえ、いいわ。比企谷くん、あなた、女性だったのね。何故男性として暮らしているの?ああ、答える前に着替えてちょうだい」

 

「んだよ。まあさすがに半裸のままじゃ落ち着かないから、着替えさせてもらうわ」

 

「その、女性の着替えを見ることはあっても、男性の着替えを見ることはないから、恥ずかしいのよ」

 

「一応、俺も女なんだけど」

 

「対外的には男性でしょう?そうなると、どうしても、ね」

 

「………着替え終わったぞ。で、何故俺が男として暮らしているかだったな。まあ簡単に説明すると、生まれた時は股間に男の証が付いていたんだよ。まあ医者に言わせると、それは陰核が肥大化したもので、男の証に見えていただけだということらしいんだが。それで幼少期はそのまま男の子として育てられて、俺も自分は男だと思って育ってきた。でも中学に入ってから暫くして、日曜日の朝に目覚めたら布団が血まみれで、ものすごく腹が痛かった。死ぬかと思って母ちゃんの所に行くと、すぐに病院に連れていかれて、そこでそれが初潮だったことや、俺が女だってことを知らされた。でもな、今まで男として暮らしていたし、戸籍も男だから、とりあえずは男のままで暮らすことになったってわけだ」

 

「そう。半陰陽というわけではなく、完全に女性なのね?」

 

「なんか限りなく女に近い半々陰陽みたいな身体だってことは言ってたな。一次性徴の段階で完全に女にシフトしたらしい」

 

「じゃあ、比企谷さんって呼んだ方がいいかしら?」

 

「いや、女扱いは勘弁してくれ。こんな身体でも、思考は完全に男だから」

 

「よく見れば華奢だし、睫毛は長いし、髭も薄いし、かなり中性的なのよね。あなたって」

 

そんなにまじまじと見られると恥ずかしい。特に雪ノ下のような美人から見られるとなればなおさらである。

 

俺の思考は男なわけで、雪ノ下が女同士の感覚で俺に接することになるようなことになれば、間違いを起こしてしまえる自信がある。

 

「俺が女だからと言って、接し方を変えるようなことがあれば、俺は、おまえから距離をとらせてもらうぞ」

 

「あなた次第、かしらね」

 

雪ノ下はそう言うと、椅子から立ち上がり俺の側へと近づいてくる。そして俺の後ろに回り込み、背中側から抱き着いてきた。

 

「………ねえ比企谷くん。あなたにとって、私はどういった存在かしら?」

 

「いきなり抱き着いてきて何を言ってるんだ?」

 

「私に抱き着かれるのは嫌かしら?」

 

「別に、嫌じゃないけど、その、ドキドキするから離れてくれると助かるんだが」

 

「女同士なのに、ドキドキするの?」

 

「思考は男だって言っただろ。おまえみたいな美少女に抱き付かれれば、男としてはドキドキしないなんてことはありえん」

 

「私も、今すごくドキドキしているの。これは、私があなたのことを好きだからだと思う」

 

「雪ノ下。でも、俺は………」

 

「私、雪ノ下雪乃は、比企谷八幡さんが好きです」

 

俺の耳元で囁くようにそう言うと、雪ノ下は俺の肩口に顎を載せてきた。

 

「男としてのあなたは、女としての私のことを好きなのではないかと、自惚れているのだけれど」

 

「………雪ノ下」

 

「もしそうだとしたら、とても嬉しいのだけれど」

 

「確かに、俺はおまえのことが好きだ」

 

「………本当?」

 

「ああ。比企谷八幡は雪ノ下雪乃のことが好きだ」

 

俺の告白を聞いた雪ノ下は、ただ無言で俺に抱き着いてきた。二人の間にある椅子の背もたれがものすごく邪魔に感じられた。

 

「雪ノ下、一度離してくれないか?それから、お互いに向かい合って、抱き合おう」

 

「それはすごく魅力的な申し出ね」

 

くすりと笑い、雪ノ下は俺の戒めを解いて立ち上がる。俺も椅子から立ち上がって、雪ノ下と向き合ってからその華奢な体を抱きしめた。

 

「比企谷くん。あなた、専業主夫が夢だったわね。それは今も変わらないかしら?」

 

「ああ」

 

「その、名前が変わっても大丈夫かしら?」

 

「………まあ、専業主夫をさせてくれるなら構わないが」

 

「えっと、そういうことではなくて、その、なんて言えばいいのかしら。その、ね。私も比企谷くんの言い方を借りるとすれば、女の思考を持った男なのだけれど」

 

「………つまりは俺の男版ってことか?こんなに柔らかくていい匂いがして綺麗なおまえが男だっていうのは信じられないんだけど」

 

お互いの身体を離して向かい合った状態になると、雪ノ下は顔を真っ赤にしながら腰のホックを外して、スカートを床に落とした。

 

更に雪ノ下は純白のレースの下着に両手をかけ、そのままそれを下へと引き降ろす。そこに現れたのは、毛の生えていない親指ほどの大きさの男性器で、それは小学校の頃に、プールの着替えの時に見たクラスメイトのものを彷彿とさせるものだった。

 

「………私も、限りなく男に近い半々陰陽の身体だって言われたわ。比企谷くんとは少し違って、二次性徴で男にシフトしたということらしいの」

 

「その、服を着てもらってもいいか?」

 

「ええ。お見苦しいものを見せたわね」

 

「いや、その、おまえのだからかもしれないけど、ドキドキがヤバかったから」

 

「そ、そう………」

 

身支度を整えた雪ノ下を由比ヶ浜の椅子に座らせ、俺は自分の椅子に座って膝を突き合わせるような形で向かい合った。

 

「雪ノ下。正直に答えて欲しいんだが、俺が男の思考を持った女だから好きになってくれたのか?」

 

「いいえ。正直に言うと文化祭の頃にはもう、あなたのことが好きだったわ。この想いは胸に秘めておくつもりだったのだけれど、先ほど実際の性別でもあなたとのお付き合いに問題が無いということを知ってしまったから、伝えずにはいられなかったの」

 

「あああっ!可愛いなこんちくしょう!!ぶっちゃけると、俺も見舞いに行ったときには既におまえのことが好きになっていたよ!由比ヶ浜とイチャつくおまえを見て、俺もおまえとイチャつきたいと思ってたよ!」

 

嫉妬谷(しっとがや)くん、安心しなさい。由比ヶ浜さんには友人として親しくしているだけよ」

 

「あれを押し付けられて感じないのかよ?」

 

「だって私、女としてノーマルですもの。友人の女性で興奮することはないわ。それよりも比企谷くん。そろそろはっきりさせておこうと思うのだけれど、覚悟はいいかしら?」

 

「怖えよ。何の覚悟だよ!?」

 

椅子ごと後ろに下がり、雪ノ下から距離をとる。そんな俺を面白そうに見ながら、雪ノ下は口元を綻ばせた。

 

「私の恋人になる覚悟はできたかしら?比企谷八幡くん」

 

「おまえこそ、俺の恋人になる覚悟はできているのかよ?雪ノ下雪乃さん」

 

「あら。私はもう、結婚後の生活プランまで考えているのだけれど。言ったでしょう?名前が変わっても大丈夫かって」

 

「具体的にはどういうことなんだ?名前を変えるっていうのは」

 

「そうね。まず雪ノ下姓を名乗ってもらうことになるわ。それから子供が出来たときは、対外的には雪乃を名乗ってもらうことになるわね。それはお互いの戸籍を考えればわかると思うのだけれど、男である八幡が身籠ったとなると色々と問題が起きるから、それらを防ぐためにも仕方のないことだわ。まあ、もしそうなったとしても、もろもろの調整は雪ノ下家で行うから大丈夫よ。孫のためなら父さんも母さんも全力で事に当たるはずだから」

 

「………具体的すぎる」

 

これから先の人生をレールに乗せられたような気分にさせられたが、不思議と嫌悪感は無かった。

 

「その、さすがに子供とかは想像もつかないけれど、とりあえずよろしく頼む」

 

「それはどういう意味かしら?」

 

「いや、その、わかるだろう?」

 

「あなたの口からはっきりとした言葉で聞きたいのだけれど」

 

そんな風に上目遣いでお願いされると、はっきりと口にするしか選択肢が無くなるじゃないか。まあ仕方ないけど。

 

「雪ノ下雪乃さん。俺と結婚を前提に付き合ってください」

 

「はい。よろしくお願いします」

 

こうして、俺と雪ノ下の交際が始まった。

 

最初の内は学年一の美少女と学年一の嫌われ者の格差カップルと揶揄されて、風当たりもきつかったのだが、学年が変わる頃にはそのような悪評はすっかりと払拭されて、俺たちは奉仕部夫妻と呼ばれるようになっていた。

 

まあクリスマスにはお互いに大人になったし(俺が上になり、痛みに堪えながらも男のように腰を振りながら喪失した。精神的には俺が男なのだから仕方ないよね。いつかは雪ノ下に攻められてみたい―女としての悦びを感じてみたい―と思っているのは秘密だ)、校内でキスしてるところを目撃されたり、弁当を食べさせ合っているところを目撃されたり、手を繋いで一緒に下校している姿を目撃されたりしていたのだから、そう呼ばれるようになるのも必然だったのだろう。

 

ちなみに由比ヶ浜と平塚先生には、他言無用ということで俺たちの身体のことを説明してあり、二人とも今ではよき理解者となってくれている。

 

由比ヶ浜は俺に好意を持っていたので、説明の際には放課後の奉仕部の部室で、さらしも解いた姿で上半身裸になり、混乱している由比ヶ浜の右手を俺の股間に持って行って女であることを確認してもらい、諦めてもらった。

 

その後、雪ノ下と付き合っていると言ったら、『なら女同士三人で付き合おうよ』などとほざいたので、雪ノ下が男であることを説明して、俺も雪ノ下も説明が面倒だったので、外見と性別が逆の者同士で付き合っているという説明で誤魔化したが、由比ヶ浜は納得したらしく、友人として俺たちを応援してくれることとなった。

 

平塚先生には口頭で説明したが、雪ノ下の事情は知っていたらしく、俺の事情を知って一瞬驚きはしたものの、最後には祝福してくれた。ついでに俺の腹を殴ったことについて謝罪されたので、一回だけ生理中に殴られたときは長引いてヤバかったとだけ言ったら、その場で土下座されたのには参った。まあそれも今となっては良い思い出だ。

 

「うっす」

 

「こんにちは。比企谷くん」

 

奉仕部の部室で、いつものように交わされる挨拶。それがとても心地良くて、気が付くと俺は柄にもないことを口にしていた。

 

「なんかいいな。こういうの」

 

「比企谷くんがそんなことを言うなんて、珍しいこともあるものね」

 

「まあ、たまにはな。これからもよろしくな。雪乃」

 

「………ええ。こちらこそよろしくね。八幡」

 

お互いに顔を見合わせてくすりと微笑む。

 

春の日差しが俺たちを祝福しているかのように暖かく降り注いでいた。

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