前回の全国出場校である巨陣高校とのバトルを明日に控え、星鳳高校では最後のミーティングが行われている。
ミーティングの事は大我にも伝えてはあるが、展示会での一件以降、大我は学校が終わるといつも以上に早く帰っている。
GBNにログインしているのかとも思われたが、ここ数日大我がGBNで暴れたと言う話しは聞かない。
「失礼するよ」
ミーティングが始まろうとした時、展示会で大我と戦った川澄岳が部室に入って来る。
「川澄君? 何か用なの」
「藤城君のガンプラに興味があってね。ガンプラ部に入れば彼のガンプラをまじかで見る事も出来ると思うんだよ」
岳はそう言って入部届を見せる。
展示会で大我と戦った時に岳は大我のバルバトス・アステールに興味を持ったが、あの時は見せて貰う事を拒否された。
だから、ガンプラ部に入れば部員同士自分のガンプラを見せ合う事も普通で大我のバルバトス・アステールを直接見れると考えたらしい。
「入部は大歓迎だけど、今日は藤城君は来ていないよ」
「それどころか部室に顔を出す事も余りないわよ」
「まぁ……それでもあのガンプラを見れる機会があるのなら構わないさ」
大我は基本的に部室に顔を出す事は余りない。
岳もそれを分かった上で入部をする事には変わりはない。
「改めて2年の川澄岳。僕はバトルは余りしないビルダーだけどよろしく」
思いがけず新しい部員が入り、元々の予定でもあったミーティングが始まる。
「次に当たる巨陣高校は大型のガンプラによるパワーを主体としたチームだね」
史郎は皆に資料を渡す。
巨陣高校の戦闘は相手をパワーで押すタイプだ。
ルール上は大型MAになるギリギリのサイズのガンプラを使って、大きいが故に高いパワーを発揮する事が巨陣高校のガンプラの共通点だ。
「川澄君はビルダーとしての観点からどう思う」
史郎は過去の巨陣高校のバトルの様子を岳に見せる。
岳はビルダーであり、ファイターとは違う視点からバトルを見れる。
それだけでも岳が入部した意義はある。
「そうですね。僕から言わせてみればまるで品が無い。力づくで野蛮でよくもまあこんなガンプラで人前に出れるのか不思議な位ですよ」
岳は巨陣高校のガンプラをそう分析する。
実際、巨陣高校はパワーで圧倒出来る格下相手では圧倒的なパワーで勝っているが、皇女子高校や泉水高校のように力任せでは通用しない相手には惨敗している。
「となると私と藤城君とは相性は良いわね」
相手が力任せに来るのであれば機動力が高い静流のアリオスガンダム・レイヴンと相手以上のパワーを持つ大我のバルバトス・アステールなら優位に戦う事が出来るだろう。
「でも油断は禁物だよ。このデータはあくまでも去年の物だから」
幾ら相性が良いと言っても史郎の集めたデータは去年の物だ。
参考にはなるが、それを全てだと思い込んでしまえば痛い目を見る。
「分かっているわ。ここを乗り切れば一気に全国が見えて来るわ。こんなところで負ける訳には行かないわ」
一通り過去の巨陣高校のバトルを見て今日のミーティングを終わりとなる。
翌日の巨陣高校とにバトルが星鳳高校の一つの山場になると思われていたが、それよりも先に緊急事態が起きていた。
会場に大我がいつまでたっても来ないのだ。
大我には会場の開場時間と自分達のバトルの開始時間は伝えてある。
それでも他の学校のバトルが始まっても姿を見せない。
まだ、時間はあるが場合によっては大我抜きで巨陣高校と戦わねばならないと誰もが頭の中で考え始めていた。
「悪い。遅くなった」
最悪の状況は回避できたようだったが、これからがバトルの始まりだ。
「遅せぇよ! 何やってたんだよ」
「バルバトスを完全な状態にしてたんだよ。その作業が思った以上に時間がかかった」
大我は岳とバトルした時にバルバトス・アステールが本来の性能を出せていない事に気が付いた。
その性能を出す為にバルバトス・アステールを全面的に補修していた。
それが大我の想像以上に時間をとられてバトル当日のギリギリにまでかかってしまったようだ。
「神君。言いたい事は後にして頂戴。藤城君。ギリギリになってまで直して来たんですからきっちりと仕事をしなさいよね」
「分かっている」
「よろしい。それじゃ部長。私達は言って来ます」
「皆、頑張って」
史郎たちに送り出されて大我たちは急いで端末に向かう。
見送った史郎達は観客席へと移動した。
「勝ちますよね……」
「僕達が出来る事は信じる事だけだよ」
「彼のガンプラが完全な状態となれば下品なガンプラなんて一撃ですよ」
観客席に付き各々が星鳳高校のバトルが始まるを待つ。
「やーまだ始まってないみたいだねぇ」
観客席の史郎たちの一団の横の席に一人の観客が座る。
見たところ自分達と同じくらいの年代だが、腰まで伸びたブロンドの髪が日本人ではないとすぐに分かる。
ジャージに所々塗料が跳ねた後が残っている白衣に頭にはなぜかガスマスクを付けている女だ。
ブロンドの髪はボサボサで気怠そうに目の下には不健康そうな隈と、身なりをきちんとしていれば美人なのだろうが、非常に残念な見た目をしている。
(この人……どこかで)
観客席でも一際目立つ残念な美人を岳はどこかで見た覚えがあるが、それを思い出す前に星鳳高校のバトルが始まった為、意識をモニターに戻す。
バトルは荒野で空中にアリオスガンダム・レイヴンとバーニングデスティニー、地上には飛行能力を持たないバルバトス・アステールが出ている。
「藤城君のガンプラの動き少しおかしくないですか?」
「そうだね。まだどこかに不具合があるのかな?」
明日香でも分かる程にバルバトス・アステールの挙動がおかしい。
ギリギリまで調整していたとなるとまだ不具合が完全に直っていないのか、修理の際に別の不具合が起きたのかは分からい。
心配そうにモニターを見る史郎たちの横で残念な美人はニヤついていた。
「そうだよねぇ……いつも通りの操縦じゃその子はもう言う事を聞かないよ。アンタはさは私らのエースなんだから乗りこなして見せてよね。大我」
その言葉は史郎たちに届く事は無かった。
「大丈夫なの? 藤城君」
「ああ。問題ない」
バトルが始まってすぐに大我は直した筈のバルバトス・アステールの操縦に苦戦させられていた。
(リヴィの奴……機体の出力を上げたな。聞いてないぞ)
大我は何とかバルバトス・アステールを操りながら毒づく。
今回のバルバトス・アステールの修理に時、大我はアメリカからチーム専属のビルダーであるリヴィエール・ムントをアメリカから呼び寄せた。
大我の計算ではある程度の余裕があった筈の修理作業がここまでギリギリだったのはリヴィエールがただの修理ではなく見た目こそ変化はないが、性能を以前よりも底上げする為に細かいところまで手を加えてていたせいのようだ。
そして、その事は大我は聞かされていなかった為、出撃後に普段通りの操縦でバルバトス・アステールを扱い切れなかった。
「先輩! 藤城!」
センサーに敵のガンプラの反応が出た。
だが、反応は1機だけしかない。
ルール上1機での出撃は認められているが、3対1で数が不利になる為、基本的に単機での出撃するケースはほとんどない。
しかし、例外的に1機しかガンプラを出せない場合がある。
それはある規定値以上の大きさのガンプラは大型MA扱いとなり、地区予選においては1機しか出せないルールとなっている。
敵影は1機で向こうが舐めて来て1機しか出してこない訳ではないとすれば答えは一つしかない。
「アレは……ガンダムグシオン!」
「サイズは段違いだがな」
巨陣高校のガンプラはガンダムグシオンの改造機ガンダムグシオン・タイタンだ。
見た目はガンダムグシオンそのままだが、サイズは従来のグシオンを10倍近くにした物で完全に大型MA扱いになるガンプラだ。
グシオン・タイタンは歩くたびに地響きを起こしている。
「やってくれるわね」
「冗談だろ……」
「でかい的だな」
想定外の大物にそれぞれがそれぞれの反応をする。
「私が仕掛けるわ」
アリオスガンダム・レイヴンがGNスナイパーライフルⅡを放つ。
グシオン・タイタンは巨体が故にまともに回避行動を取る事無くビームは頭部に直撃するがビームは弾かれて傷一つつかない。
「硬い!」
「あれは装甲の厚さだけじゃないな。対ビームコーティングもしてる」
大我の予測通りグシオン・タイタスの表面装甲にはバルバトス・アステール同様に対ビームコーティング塗装がされている為、ビームに対する防御力は元々の装甲の厚さと合わせて鉄壁だ。
「ならよ!」
龍牙のバーニングデスティニーが飛び出す。
グシオン・タイタンはグシオンハンマーを持っている右手は使わず左手でバーニングデスティニーを自分に群がる小さい虫を払うかのように振り払おうとする。
「くそ! デカいだけだってパワーはダンチかよ!」
グシオン・タイタンの左手が当たる事は無かったが、腕を振るう風圧だけでバーニングデスティニーは体勢を崩す。
アリオスガンダム・レイヴンがGNキャノンと共にGNスナイパーライフルⅡを一斉掃射するが、グシオン・タイタンの装甲は貫けない。
グシオン・タイタンの頭部がアリオスガンダム・レイヴンの方に向けられる。
そして、頭部のバルカンを放つ。
「バルカンでも当たれば洒落にならないわ!」
アリオスガンダム・レイヴンは高速飛行形態に変形して必死にかわす。
幾らバルカンとは言っても、グシオン・タイタンの大きさでは一発の銃弾の大きさな並みのガンプラのバズーカの砲弾よりも大きい為、一撃が致命傷になり兼ねない威力で連射して来る。
攻撃をかわしながらGNミサイルを一斉掃射するが、直撃を受けて内部にGN粒子を入れられても大きすぎる為、意味を成さない。
地上からは大我が操縦に慣れて来て200ミリ砲をグシオン・タイタンに撃ち込むが、対ビームコーティングに実弾は意味がないが、装甲の頑丈さだけでダメージを受けた様子はない。
「ちっ……」
「その程度の豆鉄砲等、このグシオンには聞かぬわ」
グシオン・タイタンは胴体をバルバトス・アステールの方に向けると胸部のバスターアンカーを撃ち込む。
「藤城君!」
「藤城!」
その巨体が故に元々強力な武器だったバスターアンカーの威力は凄まじく、荒野に巨大なクレーターが出来上がる。
威力は凄まじかったが、バルバトス・アステールは直撃は回避できたが、余波を踏ん張る為、バーストメイスの柄を地面に突き立てて踏ん張っていた。
「はっははは! そのような非力なガンプラ等叩き潰してくれる!」
グシオン・タイタンはグシオンハンマーを振り上げると、バルバトス・アステール目掛けて振り下した。
アリオスガンダム・レイヴンはGNスナイパーライフルⅡでグシオン・タイタンの腕を狙い、バーニングデスティニーが近くまで取りついて殴り蹴るが、グシオン・タイタンにはびくともしない。
静流と龍牙の奮闘も空しくグシオンハンマーはバルバトス・アステールの頭上から振り下された。
「そんな……」
「幾らあのバルバトスとはいえ……」
観客席では史郎たちは振り下されたグシオンハンマーがバルバトス・アステールを潰すところを見て絶句していた。
事前にパワーを主体としたバトルだと言う事は分かっていたが、まさか超巨大なガンプラで来るとは思っても見なかった。
史郎も自分の調査不足と読みの甘さを悔やんでも悔やみきれない。
「私のバルバトスがあんなデカいだけのでくの坊に力負けする訳が無いじゃない」
星鳳高校ガンプラ部において不動のエースの地位を得ていた大我がやられた光景に絶望する中、隣の席からの言葉が自然と耳に入る。
「……私の?」
「そうか! 貴女は!」
声の方向に視線が向き、岳は残念な美人の正体を思い出す。
「リヴィエール・ムントさん!」
「まさかそれって……」
明日香は首を傾げているが、史郎もその名には聞き覚えがあった。
「どういう人ですか?」
「知らないのかい? リヴィエール・ムントと言えば神の手を持つとすら言われている伝説のビルダーだよ。彼女の作りだす作品は芸術的で制作技術は神の域にすら到達していると言われている!」
岳は興奮した様子で説明する。
岳の言う通りリヴィエールはビルダーとして世界でもトップクラスの技術を持っている事で有名だ。
10年程前からその才覚を発揮し、今では彼女の作ったガンプラが数百万円で取引される事も珍しくはない。
「私は神の域に到達なんてしてないわよ。私自身が神だから」
リヴィエールはそう言い切るが、それよりもリヴィエールは先ほど気になる事を言っていた。
「リヴィエールさん。さっき私のバルバトスと言っていましたが、アレは……まさか」
「そっアレは私が何年も前に作った奴」
リヴィエールはバルバトス・アステールを私のバルバトスと言った。
バルバトス・アステールは大我が一人で制作した物ではない。
数年前にリヴィエールがバルバトスをベースに大我専用のガンプラとして制作した物だ。
それ故に大我もバルバトス・アステールの補修作業はある程度しか出来ず、無理をさせ過ぎたせいで大我の補修だけでは完全とは言えず、機体性能が低下させてしまった。
「だから、あんな木偶の坊に負ける訳はない」
バルバトス・アステールの力は誰よりもリヴィエールは知っている。
藤城大我の実力をリヴィエールは知っている。
その二つが合わさった時の力をリヴィエールは知っている。
だからこそリヴィエールは断言できる。
この程度で大我とバルバトス・アステールが負ける訳が無いと言う事を。
その言葉を証明するかのようにグシオンハンマーが動き出す。
「馬鹿な!」
「馬鹿はお前だよ……この程度で俺とバルバトスがやられると思っていたのか?」
グシオンハンマーと地面の間にバルバトス・アステールはバーストメイスを使ってグシオンハンマーを受け止めていた。
グシオンハンマーを押し戻しながら、バルバトス・アステールは空いている左手を握るとグシオンハンマーを殴りつける。
殴りつけられたグシオンハンマーは空高くまで戻される。
「ならばもう一度!」
「もう一度なんてないんだよ」
グシオン・タイタンは再び勢いをつけてグシオンハンマーを振り落す。
バルバトス・アステールはバーストメイスを地面に突き立てる。
そして、先端の杭をダインスレイヴとして打ち出してグシオンハンマーのハンマー部分を粉々に吹き飛んだ。
「何だと!」
バルバトス・アステールはバーストメイスを引き抜くと地面を思い切り踏み込んでスラスターを全開で使ってグシオン・タイタンを飛び越える勢いで飛び上がる。
空中で回転しながら勢いを付けたバーストメイスをグシオン・タイタンの頭部に振り下す。
頭部は潰れて、そのままグシオン・タイタンはうつ伏せに倒れていく。
だが、大我の攻撃は終わらない。
テイルブレイドをグシオン・タイタンに引っ掛けると倒れる勢いとスラスターでグシオン・タイタンを追い抜いて先に地上に降りるとグシオン・タイタンの下に潜り込んで再び飛び上がる。
そのままグシオン・タイタンの腹部にバーストメイスを振るう。
その一撃はグシオン・タイタンに腹部に大きな損傷を与えて、グシオン・タイタンは弧を描きながらその巨体を宙に浮かせる。
「マジかよ」
「あの巨体も滅茶苦茶だけど、ウチのエースも小さいながら無茶苦茶だった事を忘れていたわ」
その光景を静流と龍牙は見ているだけだった。
吹っ飛ばされたグシオン・タイタンは背中から地面に落ちる。
その衝撃で背中のスラスターが潰れて腰の関節を始めとして自身の重量でいたるところが不具合が出てすでにまともに動けない。
グシオン・タイタンを吹っ飛ばしたバルバトス・アステールは着地するとグシオン・タイタンの方に歩いて行く。
「何か……相手に同情して来たんですけど。俺」
「ご愁傷様ね」
巨体が故の頑丈さが仇となってここまでバルバトス・アステールにボコボコにされても尚、グシオン・タイタンは戦闘不能にはなっていない。
まだ戦闘不能になっていない以上、大我は攻撃の手を止めない。
ゆっくりと近づくバルバトス・アステールを前にグシオン・タイタンは反撃の手は無く、後はただバルバトス・アステールに一方的に蹂躙されるしかない。
バルバトス・アステールがバーストメイスを担ぎ、一気に飛び掛かろうとしたその時、バトルの終了のアナウンスが入った。
バトルの決着は大きく分けて3つある。
一つはチームの全滅。
二つ目は制限時間が無くなった時。
三つ目はチームが降参した時だ。
もはや蹂躙されるしかなかった相手が降参した為、バトルが終了したのだ。
「まぁそうよね」
「ちっ……せっかく性能を底上げしたバルバトスの性能を試すのにちょうどいい潰し甲斐のある奴だったんだけどな」
相手が降参した事で星鳳高校は4回戦を突破した。
「本当に勝った!」
「流石は貴女のガンプラですね」
岳がそう言うとすでにそこにはリヴィエールの姿は無かった。
せっかく神の手を持つビルダーに会えてもう少し話しがしたかったが、去年の全国大会出場校に勝った喜びを部員と共に分かち合う事を岳は優先してリヴィエールの事を探す事はしなかった。
バトルの勝利を確信して会場を去ったリヴィエールは慣れない土地で迷いながらも何とか空港まで辿り付いた。
「黙って帰るのかよ」
そこにはバトルを終えて姿を消して連絡の取れないリヴィエールを追って来た大我がすでに先回りしていた。
「私の用事も済んだからね」
「それよりも聞いてなかったぞ」
「言ってないもん」
リヴィエールはバルバトス・アステールの性能を底上げしていた事を黙っていた事を悪びれもしないでそう言う。
「大我なら初見でも扱えると信じていたしね」
「心にもない事を……」
大我もリヴィエールとは付き合いは長い為、そんな事を思っていない事は分かっている。
リヴィエールの作るガンプラはチームで使っている物を除いては実際にGBNで操縦するにはファイターの事を一切考えていないで作る為、GBNでは使い物にならない事が多い。
そんあリヴィエールが大我が扱えると信じている訳がない。
「でも大我は使いこなせた。それで良いじゃん」
「全く……お前は。少しは行き成りやらされるこっちの身にもなって見ろ」
「それは大我にだけは言われたくないな」
大我の文句にリヴィエールはすぐに反論する。
大我もそんな事を言う為にここまで来た訳ではない。
「……けどまぁ……修理だけで良かったのに性能まで底上げしてくれて助かった。それにわざわざ日本まで来てくれてありがとうな」
普段の大我を知る龍牙達が聞けばあの大我が礼を言う事など信じられなかっただろう。
「アンタが敵を潰すように私はチームのガンプラを万全にすぐのが仕事なの。だから気にする事は無いわよ」
リヴィエールも大我から面と向かってお礼を言われて少し照れている。
「そんな私はアメリカに帰るわ」
「ああ。ルークたちにはよろしく言っといてくれ」
「了解」
リヴィエールは後ろ向きに手を振りながらゲートを潜って行く。
大我にリヴィエールが見えなくなるまで待ってから空港を後にする。
この日、4回戦を突破した事で星鳳高校はベスト8となり後2回勝てば決勝戦に進出するのと同時に全国大会への出場権を得る事が出来る。
去年の全国大会出場校を破った事で、今まで殆どの学校からノーマークだった星鳳高校は皇女子に並び全国大会出場校の候補として注目されて、これから当たる学校もまたここまで勝ち上がって来た学校で、山を一つ乗り越えたが、星鳳高校の進み道は決して平坦ではない。