ガンダムビルドダイバーズ~最上の星~   作:ケンヤ

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旧友

 去年の全国大会出場校である巨陣高校を破りベスト8となった星鳳高校。

 もはや誰も星鳳高校をただの弱小校とは呼べなくなった。

 次の準決勝へ進出を賭けたバトルが始まるも相手は微塵の油断も無く、相手は全力で星鳳高校を倒しにかかっている。

 準々決勝の相手のガンプラはダブルオーガンダムセブンソード、ティエルヴァ、トールギスⅢ。

 どれも独自の改造はされいていないが、ここまで勝ち上がって来ただけあってきちんと作り込んでおり、ファイターもバトルに慣れた実力者だ。

 

「うぉぉぉぉ!」

 

 ティエルヴァのドッズライフルをかわしながら、バーニングデスティニーは突っ込み殴りかかる。

 それをシールドで受け止められるが、すぐに蹴りでティエルヴァをシールドごと蹴り飛ばす。

 体勢を整えたティエルヴァは背部のTビットを射出する。

 Tビットの攻撃をビームシールドで防ぎながらバルカンでTビットを撃墜する。

 その間にティエルヴァはビームサーベルを抜いて、接近して来ていた。

 ティエルヴァはビームサーベルを振り下し、それをビームシールドで受け止める。

 

「神君。避けなさい」

 

 高速飛行形態のアリオスガンダム・レイヴンがGNキャノンとGNスナイパーライフルⅡを撃って援護する。

 ティエルヴァはビームを回避するが、バーニングデスティニーが追撃をかける。

 

「吹っ飛べ!」

 

 バーニングデスティニーの拳がティエルヴァのシールドを破壊し、アリオスガンダム・レイヴンが機首のGNビームクローでティエルヴァを胴体から真っ二つにして撃墜する。

 

「次行くわよ」

「はい!」

 

 バーニングデスティニーはアリオスガンダム・レイヴンの背中を掴み移動する。

 別のところではバルバトス・アステールがダブルオーガンダムとトールギスⅢを相手にしている。

 トールギスⅢが後方からメガキャノンで援護してダブルオーガンダムがGNバスターソードで切りかかる。

 

「ちっ……リヴィエールの奴。どんなじゃじゃ馬を残して行きやがったな」

 

 バルバトス・アステールは攻撃をかわしてテイルブレイドを射出する。

 ダブルオーガンダムはテイルブレイドをGNバスターソードで払う。

 

「だが使いこなして見せるさ」

 

 バルバトス・アステールはバーストメイスを振るうが、ダブルオーガンダムは一瞬だけトランザムを使った加速で回避する。

 今まではバーストメイスの一撃を防ごうとするファイターが多かったが、前回の巨陣高校でのバトルをせいか、バーストメイスの攻撃を相手は必死にかわす。

 だが、バーストメイスの攻撃に気を取られていたダブルオーガンダムはテイルブレイドには気づかずに背後から奇襲を受けてバランスを崩す。

 その隙にバルバトス・アステールはバーストメイスを振るう。

 トールギスⅢもメガキャノンで援護しようにも大我は射線上にダブルオーガンダムを挟む事でそれをさせなかった。

 体勢を崩したダブルオーガンダムは最後の抵抗でGNバスターソードでガードしようとするが、バーストメイスの前に意味はない。

 抵抗虚しくダブルオーガンダムは粉砕されると、そのままバルバトス・アステールはトールギスⅢへと突っ込んで行く。

 トールギスⅢはメガキャノンを最大出力で撃とうとするが、横からティエルヴァを片付けて来たアリオスガンダム・レイヴンがGNスナイパーライフルでメガキャノンを撃ち抜いて破壊する。

 メガキャノンが破壊されたトールギスⅢは迫るバルバトス・アステールをシールドのヒートロッドで迎え撃つがヒートロッドはテイルブレイドで弾かれる。

 速度を落とす事無く突っ込んで来たバルバトス・アステールはバーストメイスを振るうが、トールギスⅢはスラスターを最大で使って避ける。

 

「逃がすかよ!」

 

 だが、その先にはアリオスガンダム・レイヴンに乗せられて勢いを付けたバーニングデスティニーが加速したまま飛び蹴りが待っていた。

 辛うじてシールドで防ぐが、バルバトス・アステールがバーニングデスティニーに当たる事も気にしないでテイルブレイドを差し向けていた。

 

「うぉ! あぶね!」

 

 バーニングデスティニーはギリギリのところでテイルブレイドをかわして、トールギスⅢの胴体にテイルブレイドが突き刺さる。

 駄目押しでバーニングデスティニーは至近距離からバルカンを撃ち込んでトールギスⅢに止めを刺す。

 トールギスⅢを撃墜した事で星鳳高校は危なげなく準々決勝を突破して準決勝へと駒を進めた。

 

「さっきの危なかったぞ! 俺に当たったらどうすんだよ!」

「知るか。俺の攻撃コースにいたお前が悪い」

 

 バトルに勝利して観客席の史郎たちと合流する中、龍牙は大我に最後の攻撃に文句をつけていた。

 最期のテイルブレイドの攻撃はかわせたから良かったものの、龍牙の反応が少しでも遅れた龍牙ごとトールギスⅢを攻撃していた。

 文句を言う龍牙に大我は悪びれた様子を見せない。

 大我からすれば自分の攻撃コースに入り込んでいた龍牙悪い。

 龍牙は文句を言うが静流は敢えて言わないが、入部した時の龍牙ならあの攻撃に反応出来ずにトールギスⅢごとやられていただろう。

 本人は気づいてはいないが、龍牙もここまでのバトルで確実に実力を付けている。

 その証拠にテイルブレイドをかわせた事以外でも今日のバトルでは一歩も引かず寧ろ押していたくらいだ。

 

「向こうでも勝負が付いたようだな」

 

 龍牙の文句をスルーしながら大我は足を止める。

 会場では準々決勝の4試合が同時に行われている。

 皇女子高校は速攻で勝負を決めている。

 皇女子高校の対戦相手を決めるバトルはまだ続いているが、大我たちの相手を決めるバトルが終了したようだ。

 

「秀麗高校。ここまで残る事もそうだったけど、まさか準決勝まで勝ち進むなんてね。ウチが言えた事ではないけど以外ね」

「どんな学校?」

「進学校よ。余りこっち方面の事には星鳳と同じで力を入れていなかった筈よ」

 

 準決勝の相手は秀麗高校。

 静流の言うように都内屈指に進学校だ。

 ガンプラバトルは一般に浸透して来たもののスポーツや競技とは違いただの遊びとして見られている部分も多い。

 秀麗高校のような進学校は当然のようにガンプラバトルに力等入れてはいなかった。

 大会に参加するだけでなくベスト8にまで勝ち進んでいる事も意外だが、準決勝にまで勝ち進む事が出来たと言う事は元々ランキング7位の静流のいる星鳳高校よりも番狂わせと言っても過言ではない。

 

「秀麗……」

 

 先ほどまでは怒涛の勢いで大我に文句を言っていた龍牙は次の対戦相手を聞いた途端、黙り込む。

 バトルに勝利した秀麗高校がGBNからログアウトする。

 

「……冬弥」

 

 バトルを終えた秀麗高校のダイバーを見た龍牙がポツリとこぼす。

 どうやら、秀麗高校の中に見知った顔が居たようだ。

 

「冬弥!」

 

 龍牙が秀麗の生徒に声をかけるが、相手は軽く一瞥しただけで立ち止まる事も返事を返す事も無かった。

 

「知り合い?」

「はい。中学時代の仲間なんですけど……」

 

 日永冬弥……龍牙とは同じ中学でガンプラバトルをしていた友人だった。

 高校は離れて龍牙自身星鳳でのガンプラバトルに夢中で連絡を取る事は無かったが、まさか秀麗でガンプラバトルをしているとは思っても見なかった。

 久しぶりの再会だったが、向こうは完全に無視して来た。

 流石に龍牙もこの場で追いかけて問い詰めようとは思わない。

 準決勝進出を決めてこの日は解散となる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 準決勝に進出したものの冬弥との事もあり、龍牙は一人で悶々としながら家に帰って来た。

 すると、家の前には先ほど自分を完全に無視した冬弥が待っていた。

 会場とは違い冬弥は軽く手を上げている。

 

「少し話さないか」

 

 冬弥はそう言い龍牙も色々と聞きたい事もあって応じる事にした。

 二人はそのまま良く中学時代に通った河原に移動して座る。

 

「今日は悪かったな。流石に次の対戦相手と知り合いだってバレるのはちょっとな……」

「だよな。俺も悪かった」

 

 冬弥が龍牙を無視したのは対戦相手である星鳳高校に知り合いがいると言う事を知られたくは無かったと言う事だ。

 龍牙に情報を流す気はないが、知り合いがいると知られたらあらぬ疑いをかけられるかも知れないと言うのは龍牙にも何となくわかった。

 

「ガンプラバトル続けてたんだな」

 

 龍牙は気になっていた事を切りだす。

 龍牙はてっきり冬弥はガンプラバトルを続けてはいないと思っていた。

 冬弥は大きな病院の跡取りで、いずれは病院を継ぐ事は決まっていた。

 その為、ガンプラバトルに使う時間も将来の為の勉強に使う為にガンプラ関連の部活の一切ない進学校の秀麗高校に進学した。

 龍牙が連絡を取らなかった理由はただガンプラバトルに夢中になっていただけではない。

 龍牙は憧れの星鳳高校でガンプラバトルをしているのに、将来の為にガンプラバトルを止めた冬弥に連絡をする事に後ろめたさがあった。

 

「ああ。俺も高校ではやらない気だったんだけどな。先輩達に誘われて今年からガンプラ部を作ったんだよ」

 

 事前に史郎が集めた資料にも秀麗高校は去年まではガンプラバトルの公式戦には一度も出ていないとされていた。

 今年に部が作られたと言うなら当然の事だ。

 

「そっか。またガンプラバトルがやれるんだな」

「まぁな。つっても学校側は将来の役に立たない遊びの部活を認める気はないようでさ……部長が何度か交渉して部を存続させる条件として全国大会に出場する事だってさ。笑えるだろ。ウチは何とか部員を集めてギリギリな上にガンプラをまともに作った事もない初心者だっているってのに!」

「そっちも大変だな」

 

 龍牙はガンプラ部に入った時の事を思い出す。

 星鳳高校も龍牙の入学当初は部員も部長の史郎と副部長の静流の2人だけで後3人入らなければ廃部となる状況だった。

 そこに龍牙と明日香が入るも、生徒会からバトルに勝たねば大会はガンプラ部ではなく校内の他の生徒から集める事になり、大我が入りバトルに勝ってガンプラ部が正式に部として認められて大会に出る事も出来るようになった。

 それからも皇女子高校との練習試合での惨敗や特訓を経てここまでたどり着いた。

 入学から2か月程度の出来事だが、龍牙には長い道のりのように思えた。

 だが、そこまで思っていると龍牙は冬弥の言葉に引っかかった。

 秀麗高校がガンプラやガンプラバトルを行う部活に否定的なのは都内屈指の進学校と言う事からも分かる。

 問題はそこではない。

 冬弥たち秀麗高校ガンプラ部は全国大会に出場しなければ存続出来ない。

 全国大会への出場枠は東京地区は2つだ。

 秀麗高校は準決勝にまで残っている為、後1回勝てば全国大会に出る事は出来る。

 学校側も全国大会に出る程の部であれば部活として認めても良いと言うのは何となく分かる。

 しかし、最大の問題は秀麗高校の次の対戦相手が龍牙達星鳳高校だと言う事だ。

 

「……それって」

 

 自分達が勝てば冬弥たちはガンプラバトルを続ける事は出来ない。

 他の部員の事は分からないが、少なくとも冬弥はそうだろう。

 

「じゃあな。次のバトルも俺が勝つ!」

 

 冬弥はそう宣言すると立ち上がって去って行く。

 

「俺達が勝つとアイツは……」

 

 龍牙は冬弥が去った後もぼんやりと川を眺めていた。

 

 

 

 

 

 冬弥との再会の翌日、龍牙は昼休みになると大我を屋上に連れ出した。

 事が事だけに史郎や静流には相談し辛い為、大我に相談する事にした。

 大我も初めは渋っていたが、龍牙の普段とは違うただならぬ感じを察したのか最後は軽く文句を言いながらも付いて来た。

 

「で……つまらない用件ならぶっ潰すぞ」

「そんな用件だったら良かったんだけどな」

 

 龍牙は屋上からグラウンドを眺めながら昨日の冬弥との出来事を大我に話す。

 

「……と言う事があったんだよ」

「で?」

 

 話しを聞いた大我は心底どうでも良さそうに返す。

 

「だから。俺はどうすれば良いんだよって話しだよ。俺達が勝てば冬弥達のガンプラ部が廃部になって……」

「だからそれが俺達に何の関係がある。負ければ廃部。だったら勝てばいいだけの話しだ。だが俺は負けないからそいつらの部は廃部になる。それだけの事だろ」

 

 大我にとっては秀麗高校ガンプラ部がどうなると全く関係はない。

 そこに龍牙の中学時代の友人がいて廃部になればもうガンプラバトルがやれなくなってもだ。

 

「それは分かってんだよ。でも……冬弥は中学の時は俺よりもずっと強くてさ。そんなアイツがガンプラバトルを続けられないのは勿体ないし。折角、またガンプラバトルがやれるようになったのに力になってやりたいじゃん」

「知るか。だったらどうする? 秀麗高校を買い取るか? それとも秀麗高校の校長とかの弱みでも握って脅すか?」

「んなの出来る訳が無いだろ……俺だって分かってんだよ。俺には冬弥の力になんてなれ無いって事くらい」

 

 龍牙も大我が言っている事が正しいと言う事は分かっている。

 出来る事は次のバトルでわざと負ける事くらいだ。

 少なくとも大我にその気が無い以上はわざと負ける事は出来ないだろうし、ファイターとしてその選択はしたくはない。

 それが分かっているが、かつて一緒にガンプラバトルをした友人を見捨てる事も出来ないからこそ、大我に相談した。

 

「それにガンプラバトルなんてガンプラがあればいつだって出来るんだ。部がなくなれば出来ないなんてのは甘えだ。結局、やれないと言う現実に抗う事もしないで諦めたただの負け犬って事だろ」

 

 大我は一切の同情をする事なくバッサリと切り捨てる。

 だからこそ、龍牙は大我に相談したのかも知れない。

 大我なら自分の迷いをバッサリ切り捨ててくれるかも知れないと。

 実際に切り捨ててはくれたが、それでもモヤモヤして割り切る事は出来ないでいる。

 

「……馬鹿にでも分かるように言ってやる。お前は今の仲間を捨てて昔の仲間を取るか、昔の仲間を捨てて今の仲間を取るか……答えは二つに一つだ。両方を取るなんて選択が出来るような力はお前にはない」

 

 冬弥の為に次のバトルでわざと負けるのであれば、ここまで戦って来た史郎や静流を裏切る事になり、ガンプラ部にはいられないだろう。

 星鳳高校が全国に出る為に次のバトルに勝てば冬弥はガンプラバトルが続けられなくなり、最悪恨まれる事になるだろう。

 龍牙はそのどちらかを選ばなくてはいけない。

 その両方を取ると言う選択肢を選ぶ事は出来ない。

 

「俺は……」

 

 大我が校舎に戻り龍牙は一人屋上に残された。

 

「盗み聞きか?」

 

 校舎に入るとそこには静流が立っていた。

 今来た感じではない為、恐らくは屋上に出る事無くここに居たのだろう。

 

「清水さんに呼ばれたのよ」

 

 静流はたまたまここに来た訳ではなく、龍牙が大我を連れていくところを見た明日香がただならぬ雰囲気を感じてもしかして昨日のバトルの事で喧嘩にでもなるかも知れないと静流に助けを求めた。

 それで静流は様子を見にここまで来たのだろう。

 

「そうか」

「それは良いとしてどう思う?」

「どうというのは負けてやるか否かと言う事ならあり得ない。それとも……」

「後者の方。神君の友達の意図よ。藤城君は揺さぶりに来たと思う?」

 

 静流が龍牙の話しを聞いて思った事がある。

 龍牙の友人である冬弥が何故、龍牙にそんな事を話したのかと言う事だ。

 仲の良い友人なら単なる近況報告として話したのかも知れない。

 だが、もう一つの可能性がある。

 友人であれば龍牙が情に流される事を見越してわざと自分達の置かれている状況を話す事で龍牙を動揺させてあわよくばわざと負けてくれる事を願っていたと言う可能性だ。

 

「さぁな。だが、このタイミングで話したと言う事は少なからずその意志があるって事だろ」

 

 冬弥の意図を確かめる術はないが、龍牙に話したと言う事は本人の意図に関わらず、同情を誘うと言う意図は少なからずあるのだろう。

 そこまで明確な意志が無くともこの状況を何とかする為に助けて欲しいくらいの思いはあったはずだ。

 

「まさかとは思うけど……」

「俺がそんな事をするタマに見えるか? 相手の事情なんて知った事か。俺は俺の前に立ちはだかる敵をぶっ潰すだけだ」

 

 大我がいつも通りで静流も安心する。

 静流も秀麗高校のガンプラ部が廃部となればもうガンプラバトルが続けられない環境にある事は同情する。

 静流や龍牙には今年が駄目でも来年がある。

 だが、星鳳高校も来年には史郎が卒業していなくなる為、今のメンバーで全国を目指せるのか今年しかない。

 向こうにも譲れない事情があるのと同じで、静流にも譲れない理由がある。

 もしも、龍牙がかつての友人との情に流されても大我が勝つ気でいれば勝算は十分にある。

 龍牙がどう決断するのかは分からない。

 それでも静流も大我も全力で敵を倒すだけだった。

 

 

 

 

 

 ベスト4が出そろい準決勝の日がやって来る。

 龍牙はどうするのが正しいのかは分かっているが、自分がどうすべきなのかと言う答えは出せてはいない。

 それでもバトルは待ってくれない。

 

「神君」

「……はい」

 

 龍牙は迷いながらもガンプラをセットしてGBNにダイブして地区予選の準決勝が開始される。

 バトルフィールドは見晴らしのいい高原フィールドでのバトルだ。

 秀麗高校のガンプラは隊長機がウィンダムの改造機であるウィンダム改。

 本体は大幅に弄っては意外がバックパックをオオトリストライカーを装備している。

 龍牙とは中学時代の同級生である冬弥のガンプラはグレイズリッターを改造したグレイズリッター改だ。

 グレイズリッターをベースに腰とバックパックに陸戦用と宇宙専用のバックパックを同時に装備し、太股の部分に補助スタスターと足の裏にホバーユニットを機動力を上げて、手持ちの火器としてロングバレルのライフルと耐熱シールドを装備している。

 腰には接近専用のナイトソードの刃を厚くして威力を上げたナイトソード改を装備している。

 秀麗高校の最後の1機はジンクスⅢを改造したジンクスⅢ改だ。

 左肩にGNフィールドの発生装置を兼ねたGNシールド、右肩には長距離砲撃用のGNキャノンを装備し、手持ちの火器はGNバスターソードを改造してライフルの機能を追加したGNバスターソード改。

 バックパックにはアヘッドのスラスターを追加して機動力も上げて、ガンプラの各部には大型の粒子タンクを増設する事で戦闘継続能力も向上、頭部にはセンサーマスクを付けられている。。

 秀麗高校のガンプラは皆、どの距離でも安定して戦える万能機でそろえている。

 

「来るわよ」

 

 バトルが開始され、ウィンダム改はビームランチャーで、ジンクスⅢ改はGNキャノンで先制の砲撃を行う。

 星鳳高校の3機も速やかに散開する。

 それを見た秀麗高校は大我にはウィンダム改が、静流にはジンクスⅢ改が、そして龍牙にはグレイズリッター改が向かう。

 

「ちっ……」

 

 バルバトス・アステールは200ミリ砲で空中のウィンダム改を狙う。

 ウィンダム改は攻撃をかわしながらレールガンで応戦する。

 バルバトス・アステールは飛行能力はない為、ウィンダム改は常に空中で距離を保ちながら実弾であるレールガンでバルバトス・アステールを狙う。

 

「近づく気はないって事か」

 

 別の場所ではアリオスガンダム・レイヴンがジンクスⅢと交戦している。

 ジンクスⅢ改はGNフィールドを展開しながらGNキャノンを放つ。

 アリオスガンダム・レイヴンはかわしながらGNスナイパーライフルⅡで反撃するが、GNフィールドに阻まれる。

 

「GNフィールドの防御力は厄介ね」

 

 アリオスガンダム・レイヴンはGNキャノンを放つが、ジンクスⅢ改は回避してGNバスターソードをライフルモードに切り替えてビームを放つ。

 機動力ではアリオスガンダム・レイヴンが勝っているが攻撃はGNフィールドに阻まれて決定打を与える事は出来ず、向こうのGNキャノンは粒子タンクを増設した事で長時間の掃射が可能となっている。

 ビームを掃射した状態で砲身を動かし事でアリオスガンダム・レイヴンはビームをかわし続けなければならない。

 静流は横目で大我の方を確認する。

 大我も距離をとられて苦戦しているようだ。

 向こうはこちらのガンプラの特性を把握したうえで弱点を的確について来ている。

 

「冬弥……」

 

 大我と静流が苦戦させられている頃、先制攻撃をかわした龍牙も冬弥のグレイズリッター改と交戦していた。

 グレイズリッター改はロングライフルでバーニングデスティニーを近づけさせないようにしている。

 

「龍牙……お前には悪いが俺も負ける訳には行かないんだよ……」

 

 冬弥は一人そう言う。

 静流と大我の推測通り、冬弥は龍牙を揺さぶる目的でガンプラ部の事情を離した。

 冬弥にとってはガンプラ部はそこまでしてでも守りたい居場所だった。

 

「俺は……」

 

 バーニングデスティニーは銃弾をビームシールドで防ぐ。

 龍牙は迷いを絶ち切れずに接近戦に持ち込もうとはしない。

 

「どうすりゃいいんだよ」

 

 迷いは動きを鈍らせ被弾してバーニングデスティニーは倒れる。

 その間にグレイズリッター改はロングライフルを捨てるとナイトブレード改を抜いて接近戦を仕掛ける。

 グレイズリッター改の斬撃をバーニングデスティニーはビームシールドを使いながら身を守るも、完全には守り切れずに損傷して行く。

 

「どうすれば……」

「お前は……」

 

 冬弥を思い迷う龍牙。

 冬弥も動きが明らかに鈍っているのは自分のせいだと言う事は分かっている。

 自分で龍牙を迷わせた冬弥だが、自分の行いが自分すらも苦しめている。

 

「これが俺が続けたかったガンプラバトルなのか……」

「こんな形で冬弥とバトルをしたかったのか……」

 

 龍牙と冬弥の二人は中学でガンプラバトルをやっている事から意気投合した。

 二人は何度もバトルをやって来た。

 勝敗は8割近く冬弥が勝っていた。

 龍牙は負ける事も多かったが、龍牙も冬弥も楽しかった。

 中3になりそれぞれが進路を決める頃、星鳳高校に進学する気だった龍牙と家の病院を継ぐ為に秀麗高校に進学し、ガンプラバトルは続けられない冬弥。

 それでもいずれはまたガンプラバトルをしたいと二人はそれぞれの進路を進んだ。

 そうして再びガンプラバトルを全国大会出場を賭けた大一番でやれることになった。

 本来ならば心の底から熱くなれた筈のバトルだが、二人の心は重い。

 

「……違う。俺が龍牙とやりたかったバトルは…こんな戦いじゃ……」

「俺は……」

 

 自身の苦しさを振り払うかのようにグレイズリッター改はナイトブレード改を振り下す。

 

「負けたくない!」

 

 その一撃をバーニングデスティニーは受け止める。

 

「俺はお前にもアイツにも……負けない! 俺は!」

 

 ナイトブレード改を受け止めたバーニングデスティニーは立ち上がると拳を握り締めてグレイズリッター改の頭部を殴り飛ばす。

 グレイズリッター改はよろめきながら後ろに下がる。

 

「悪い……冬弥。俺は星鳳高校の皆で全国に行きたい。お前に勝ちたい!」

 

 もはや龍牙に迷いはない。

 冬弥の事情を知りながらも、それでも龍牙は今の仲間と共に全国を目指す事を選んだ。

 その結果で秀麗高校ガンプラ部が廃部となろうとも今は目の前の冬弥に勝ちたいと言う欲求が勝った。

 

「龍牙……俺も済まなかった。お前を揺さぶるような事を言って。俺も負けない! 先輩達と作ったガンプラ部を守る為に! お前に勝つ為に!」

 

 龍牙の一撃は冬弥の気の迷いをぶっ飛ばして目を覚まさせた。

 全国大会を目前に相手は一筋縄ではいかない星鳳高校。

 どんな手段を使っても勝ちたいと言う思いが冬弥の道を間違えさせた。

 

「来い! 冬弥!」

「ああ!」

 

 グレイズリッター改はナイトソードを構えて、バーニングデスティニーが拳を握る。

 二人の間にわだかまりはもうない。

 今はただ目の前の相手に勝つ事だけしか二人には見えていないのだった。

 

 

 

 

 

 その頃、苦戦する大我と静流もただ相手に良いようにさせている訳ではなかった。

 静流がジンクスⅢ改を相手にしながらGNスナイパーライフルⅡでウィンダム改の方にも援護射撃を行っている。

 向こうも静流と大我の戦闘スタイルを研究して来てはいるが、元々の地力や経験においては二人には及ばない。

 時間が経てば流れが変わって来る事は当然のことだった。

 

「トランザム!」

 

 アリオスガンダム・レイヴンがトランザムを起動して一気に加速するとジンクスⅢ改を振り払う。

 ジンクスⅢ改もトランザムで追いかけるが、元々の機動力に差があり過ぎて追いつけない。

 それでも追い付こうと必死になっていたが、アリオスガンダム・レイヴンは急制動をかけてる。

 それに対応しきれなかったジンクスⅢ改は止まり切れず、アリオスガンダム・レイヴンは反転すると高速飛行形態に変形すると、先端のビームクローでGNフィールドを張るも、GNフィールドごとジンクスⅢは両断されて破壊される。

 ジンクスⅢ改が撃墜され、アリオスガンダム・レイヴンの援護射撃で意識がアリオスガンダム・レイヴンに向いていたところをウィンダム改はバルバトス・アステールのテイルブレイドで地面に叩き付けられる。

 ギリギリのところでシールドで身を守れたが、すでにバルバトス・アステールの領域にウィンダム改は入り込んでいる。

 突撃して来るウィンダム改はミサイルを使って牽制しようとするが、バルバトス・アステールはミサイルには一切気にした様子はなく減速もしない。

 ウィンダム改のミサイルはジンクスⅢ改を撃墜して来たアリオスガンダム・レイヴンがGNスナイパーライフルⅡで撃ち落す。

 

「アリオスか!」

 

 ウィンダム改はバルバトス・アステールのバーストメイスを空中に逃れて迫るアリオスガンダム・レイヴンを迎え撃つ為にオオトリストライカーの対艦刀を抜く。

 対艦刀の一撃をアリオスガンダム・レイヴンはギリギリのところでかわして、ウィンダム改の横を通り抜ける際にビームサーベルでウィンダム改のオオトリストライカーに一撃入れる。

 オオトリストライカーを損傷させられ誘爆する前にウィンダム改はオオトリストライカーをパージする。

 それによって飛行出来なくなったウィンダム改は再び地面へと落下して行く。

 

「くっそぉぉぉぉ!」

 

 地上に落ちたウィンダム改は待ち構えるバルバトス・アステールに対艦刀を振るうが、バルバトス・アステールは片手で受け止めてウィンダム改を足の裏のエッジを展開して蹴り飛ばす。

 対艦刀を手放してバルバトス・アステールの蹴りをシールドを掲げて身を守るが、シールドは破壊される。

 後ろに下がりながたも腰の装甲に内蔵されているスティレットを投擲するが、バルバトス・アステールのテイルブレイドに弾かれる。

 ウィンダム改はビームサーベルを抜くが、テイルブレイドに右膝の関節を貫かれて尻餅をついて倒れる。

 

「……悪魔め!」

 

 ウィンダム改のダイバーには巨大なバーストメイスを肩にかついて止めを刺すべく接近して来るバルバトス・アステールは自分達がガンプラバトルをやる為に守りたかったガンプラ部を破壊する悪魔に見えるだろう。

 

「せめてお前だけでも!」

 

 ウィンダム改はスラスターを使いバルバトス・アステールに突っ込む。

 バルバトス・アステールはバーストメイスを突き出す。

 バーストメイスの先端がウィンダム改に到達する前にウィンダム改は左腕を胴体との間に入れてバーストメイスの先端部で左腕が潰されたが、ビームサーベルを突き出す。

 ウィンダム改のビームサーベルは腕を伸ばしてもバーストメイスよりも短くバルバトス・アステールに届く事はない。

 それでもウィンダム改は足を止めない。

 必死にせめてもバルバトス・アステールに一矢報いようとしている。

 しかし、そんな最後の抵抗すら大我はさせる気はない。

 バーストメイスの先端の杭が打ち出されて、ウィンダム改の胴体を貫く。

 更に追い打ちをかけてウィンダム改を貫く杭を爆破してウィンダム改は跡形もなく吹き飛んだ。

 その爆炎の中からは無傷のバルバトス・アステールが佇んでいる。

 

「後はグレイズリッターだけか」

 

 ウィンダム改とジンクスⅢ改を撃墜した事で残りは冬弥のグレイズリッター改のみだ。

 グレイズリッター改は現在、龍牙のバーニングデスティニーと交戦中だ。

 大我はガンプラをそちらの向けて向かわせようとするが、バルバトス・アステールの前にアリオスガンダム・レイヴンが降りて来る。

 

「どの道、私達の勝利は固いわ。ここは無理に交戦せずとも神君に任せてもいいんじゃないの?」

 

 すでに秀麗高校のガンプラは残り1機だ。

 対する星鳳高校は全機健在だ。

 どんなに冬弥の実力が凄いとしてもこの差を覆す事は不可能だろう。

 だからこそ、静流は龍牙に一騎打ちをさせてあげたいと思っている。

 

「……好きにしろ」

 

 大我も持っていたバーストメイスを下す。

 大我は龍牙の事を信用して任せた訳ではない。

 静流の言うようにすでにバトルの勝敗は決している。

 次の対戦相手は皇女子になる事は確実だ。 

 次に備えてここは無駄な力を使わないと言うのも一つの手だ。

 大我はそうして、このバトルの矛を収めるのだった。

 

 

 

 

 

 互いに迷いの吹っ切れた龍牙と冬弥。

 もはやお互いの間に何の壁も無く互いにがむしゃらに戦っている。

 グレイズリッター改がナイトブレード改を振るい、バーニングデスティニーは斬撃をいなしながら拳を振るう。

 

「冬弥! 俺はお前の知るお前じゃない! お前に勝ってそれを証明してやる!」

「来い! 龍牙! お前を倒して全国に俺達が!」

 

 バーニングデスティニーの拳をシールドで受け止めて、グレイズリッター改はショルダータックルでバーニングデスティニーを吹っ飛ばす。 

 スラスターで体勢を整えながらバーニングデスティニーがバルカンで牽制すし、シールドでそれを防ぐ。

 その間に光の翼を展開したバーニングデスティニーは膝蹴りでシールドに突っ込む。

 グレイズリッター改はシールドで受けるが、受け切れないと判断してシールドを手放す。

 着地したバーニングデスティニーは更に踏み込み拳を突き出す。

 ナイトソード改で拳を流したグレイズリッター改も前に出て2機の頭部は激しくぶつかり合うと、よろめきながら2機のガンプラは下がる。

 

「相変わらず強いな。冬弥」

「龍牙こそ、以前とは比べものにならない程強くなってるじゃないか」

 

 バーニングデスティニーはここまでの戦闘のダメージで膝をつくも何とか立ち上がる。

 冬弥のグレイズリッター改も何度も攻撃を受けて満身創痍となっている。

 

「お互いそろそろ限界だ。次の一撃に全てを込める!」

 

 バーニングデスティニーは力強く拳を握る。

 対するグレイズリッター改も両手でしっかりとナイトソード改を握り構える。

 龍牙も冬弥も余力は残されてはいない。

 これが正真正銘最後の一撃となる。

 ほぼ同時に互いに地を蹴って突撃する。

 バーニングデスティニーはそこから光の翼を展開して更に加速する。

 

「おぉぉぉぉぉぉぉ!」

 

 バーニングデスティニーの渾身の拳が突き出す。

 グレイズリッター改も全ての力を込めてナイトソード改を振り下す。

 互いに全てを乗せた一撃。

 だが、グレイズリッター改のナイトソード改はバーニングデスティニーの左腕の守りで受け止められていた。

 そして、バーニングデスティニーの拳はグレイズリッター改の胴体に深く突き刺さっている。

 

「……お前の勝ちだよ。龍牙」

 

 胴体をぶち抜かれたグレイズリッター改が崩れ落ちるように倒れる。

 秀麗高校の最後の1機が戦闘不能となった事でバトルの終了のアナウンスが入るが、龍牙の耳には入っていない。

 龍牙にとってはこのバトルの勝敗よりも冬弥との個人とのバトルの勝利の方が先に頭に入って来た。

 

「俺は勝ったのか……よっしゃぁぁぁぁぁぁ!」

 

 龍牙の咆哮と共にバーニングデスティニーは空高々に拳を突き上げる。

 それにより星鳳高校は地区予選決勝戦に進出すると共に全国大会への出場権も獲得した。

 

 

 

 

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