ガンダムビルドダイバーズ~最上の星~   作:ケンヤ

15 / 66
孤高のファイター

 大我にガンプラ作りを教わり、自身のガンプラ、クラーフレジェンドガンダムを完成させた明日香は次の日に龍牙を驚かせようと思っていたが、次の日のHRの時間にそれは起きた。

 

「秀麗高校から転校して来た日永冬弥です。よろしくお願いします」

 

 HRの時間に担任の教師から龍牙達のクラスに転校生が来ると知らされて、その転校生が星鳳高校と地区予選準決勝で当たり、龍牙の中学時代からの友人である冬弥であった。

 龍牙もそんな事は全く知らず、驚いて声も出ない。

 そして、1限目の授業が終わると龍牙はすぐに冬弥を屋上まで連れ出す。

 

「冬弥! 転校ってどういう事だよ!」

「驚いた?」

 

 冬弥はまるで悪戯が成功したかのようだ。

 

「あの後、部は廃部になってね。龍牙に言われたようにガンプラバトルを続けるにはどうするかって考えたらこうなった」

「いやいや! 理由になってないって、つか親は良く許可したな」

「父さんとは大喧嘩したよ。それでも先輩達も秀麗でガンプラバトルが続けられないのであればって背中を押してくれてね。転校するなら龍牙のいる星鳳が良いかなって。編入試験もそこまで難しくはないしね」

 

 余りにも思い切った事をした冬弥に龍牙は返す言葉もない。

 確かに龍牙はガンプラバトルはいつでもできると言った。

 だが、ガンプラバトルを続けるためだけに学校を転校する程思い切った行動をとったのは想像外の事だ。

 しかし、冬弥には後悔の色は無い。

 むしろ思い切った行動でガンプラバトルを続けられる事の方が良かったのだろう。

 

「まぁ、父さんも良い大学に入れば文句はないよ。出来ないと勘当かも知れないけど」

 

 冬弥は簡単に言うが、星鳳高校は進学校ではない為、医学部や一流の大学に入る事は難しい。

 

「過ぎた事を言っても仕方がないだろ? それよりも今はまた龍牙とガンプラバトルが出来る事の方が嬉しいんだよ」

「冬弥……」

 

 今更、冬弥が秀麗高校を転校した事はどうにもならない。

 だが、またこうして一緒にガンプラバトルが出来る事を冬弥は喜びたい。

 それは龍牙も同じだった。

 

「……馬鹿なの」

 

 授業後、龍牙は明日香と共に冬弥をガンプラ部まで案内した。

 その道中で明日香が自分のガンプラを作ってガンプラバトルを始めた事を伝えたが、冬弥が転校して来た事に比べるとインパクトは薄い。

 部室に居た静流にこれまでの経緯を教えると静流はそう一蹴した。

 

「まぁルール上は問題はないでしょうけど」

 

 冬弥がガンプラ部に入部して全国大会に出る事はルール上は問題はないが、静流からすればガンプラバトルを続ける為に進学校から何の取り柄もない星鳳高校に転校して来るのは馬鹿としか良いようは無い。

 

「それに清水さんもバトルするなら後1人ね」

 

 冬弥と明日香の加入でガンプラ部は9人となる。

 全国大会でのバトルに必要な人数はあと一人だ。

 

「先輩は誰か心当たりはないですかね?」

「そうね……」

 

 静流は少し考え込む。

 すると何やら思い当たる人物がいるようだ。

 

「一人いるわ。実力もランキングは6位と私よりも一つ上だし」

「そんな人がウチの学校に居たんですね」

「6位……リンドウさんですか?」

 

 星鳳高校で有名なファイターと言えば静流ことレイヴンだが、もう一人ランキング上位のダイバーが居た。

 それが冬弥の言うランキング6位のリンドウだ。

 

「ええ。私と同じ2年の八笠竜胆。ダイバー名はリンドウね。まぁ多少気難しいけど、実力もあるし戦闘スタイルも神君に近いから色々と勉強になると思うわ」

「大丈夫ですよ。藤城に比べたら」

 

 大我と面識のない冬弥以外は誰にでも喧嘩腰で噛みつく大我と比べれば多少気難しいくらいは何でもないと納得してしまう。

 

「この時間なら彼はGBNにログインしているでしょうからいつも彼が練習場にしている辺りをメールで送って置くわ」

「ありがとうございます。今から俺達で行って見ます」

 

 龍牙達はすぐに近くのゲームセンターに向かってGBNにログインする。

 それぞれがログインすると、格納庫で待ち合わせをする。

 

「これが明日香のガンプラか」

「クラーフレジェンド。凄いでしょう」

「これ初めて作ったガンプラかい? 龍牙のデスティニーよりも完成度が高いんじゃない?」

 

 格納庫で明日香は大我と共に作ったクラーフレジェンドをお披露目している。

 龍牙も冬弥も初めて作ったガンプラにしては出来が良いと素直に関心している。

 

「うっせ! それよりもこの百式が冬弥の新しいガンプラか?」

 

 格納庫には龍牙のバーニングデスティニーと明日香のクラーフレジェンドの他に冬弥の新しいガンプラの百式の改造機が並べられている。

 

「そう。その名も百騎士」

 

 百式の改造機、百騎士は全身に装甲を増加し、肩にはビームマントの発生装置が組み込まれている。

 頭部には改修されてよりガンダムタイプに近くなり、腕部にはグレネードランチャーが追加されている。

 手持ちの火器はベース機と同じビームライフルで背中のウイングバインダーには以前に冬弥が使っていたグレイズリッター改のナイトブレイド改とクレイバズーカが装備されている。

 腰にはベース機と同じようにビームサーベルが装備され、ベース機と比べると機動力は落ちるものの全体的にバランスの良いガンプラとなっている。

 明日香と冬弥のガンプラのお披露目も終わり、3人は自分のガンプラで静流からメールで受け取った竜胆が普段の練習場にしているフィールドに向かう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 飛行能力を持たない百騎士とクラーフレジェンドに合わせて移動を始め、目的地の森林エリアに到着する。

 周囲にはガンプラの残骸と木々がなぎ押された後があり、この辺りで激しい戦闘があった事が伺える。

 

「ねぇあのガンプラじゃない? そのリンドウさんの」

「ドラゴンガンダム。間違いない。あれがリンドウさんのガンプラだ」

 

 モニターにはドラゴンガンダムの改造機が映されており、冬弥も見覚えのあるガンプラだ。

 それこそがリンドウのガンプラ、ドラゴンガンダムオロチだ。

 ドラゴンガンダムをベースに背部に4基に両肩に1基つづ、サイドアーマーに1基の計8基のビーム砲の内蔵されたドラゴンヘッドを持ち、手持ちの武器として青竜偃月刀を持つ近接戦闘型のガンプラだ。

 

「あの! リンドウさんですよね?」

「何だお前達? お前達がこの辺りで戦闘をしていたダイバーか?」

 

 龍牙はドラゴンガンダムオロチに通信を繋ぐ。

 向こうは少し警戒している。

 龍牙はここに来た用件をリンドウに話す。

 

「成程。ウチの学校が全国大会まで進んでいるとは聞いたが、お前達がそうだったか」

「はい。それでリンドウさんに一緒に全国に出て欲しいんです!」

「断る」

 

 リンドウは龍牙の願いをあっさりと拒否する。

 だが、龍牙もそう簡単に引き下がりはしない。

 

「何故ですか? 先輩はランキングも上位なのに」

「群れて戦うのが嫌いなだけだ。俺は俺の強さのみを極める。それだけだ」

 

 ファイターにも色々ある。

 龍牙のように特定の大会やミッションをクリアする為にバトルするファイター。

 冬弥のように特に目標がある訳ではないが、バトルがしたいからバトルするファイター。

 大我のようにただ強さを求めるタイプのファイター。

 リンドウは大我と同じタイプで、チーム戦である全国大会には出場する気はなく、ただおのれの実力を高めるタイプのファイターのようだ。

 

「なら……俺とバトルして下さい。俺が勝ったら一緒に全国に出て下さい」

 

 予め静流から気難しいと聞いていたため、断られる事は分かっていた。

 だからこそ、龍牙はバトルを挑む。

 勝てるかどうかは分からない。

 それでも言葉で説得するよりかはこの手のファイターには可能性はある。

 

「……良いだろう。お前達全員を相手にしてやる」

 

 龍牙はあくまでも対等なバトルを挑もうとするが、リンドウは龍牙だけでなく冬弥や明日香も相手にする気のようだ。

 

「分かりました。冬弥も明日香も良いか?」

「構わないよ」

「私も」

 

 3対1は気が引けるが、向こうから言い出した事で一人で戦うよりかは勝つ可能性は高い。

 冬弥と明日香も戦う事になり、ドラゴンガンダムオロチは偃月刀を構える。

 

「まずは僕から!」

 

 百騎士がビームライフルで先制攻撃をするが、ドラゴンガンダムオロチは偃月刀で弾く。

 その間にバーニングデスティニーが突っ込む。

 

「龍牙!」

 

 ドラゴンガンダムオロチの8基のドラゴンヘッドが展開されて、バーニングデスティニーを襲う。

 明日香の声で龍牙は飛び退いたため、ダメージは無い。

 

「これがランキング6位の実力……」

「一筋縄ではいかないようだね。挟み込むよ」

 

 百騎士とクラーフレジェンドがドラゴンガンダムオロチを左右から挟み込みビームライフルを放つ。

 ドラゴンガンダムオロチは後方に下がると左右の2機にドラゴンヘッドのビームを撃ち込む。

 クラーフレジェンドはドラグーンシールドで、百騎士はビームマントでビームを防ぐが、そのまま弾き飛ばされる。

 

「ビームでもこれだけ威力!」

「うぉぉぉぉ!」

 

 左右の2機と相手にしている間にバーニングデスティニーが突っ込み殴りかかるが、ドラゴンガンダムオロチは偃月刀を柄で受け止める。

 

「思い切りがいいが、その程度のガンプラと腕ではな」

 

 ドラゴンガンダムオロチがバーニングデスティニーを蹴り飛ばし、体勢を立て直した百騎士がナイトブレード改で切りかかる。

 

「冬弥!」

「遅いな」

 

 その一閃を易々とかわしてドラゴンヘッドが百騎士を襲う。

 ビームマントで身を守ろうとするが、防ぎ切れずに百騎士の両肩にドラゴンヘッドが喰らい付く。

 百騎士に止めを刺そうとするが、クラーフレジェンドがミサイルを一斉掃射し、ドラゴンガンダムオロチは百騎士を蹴り飛ばして回避する。

 

「冬弥! 大丈夫か?」

「何とかね……でもビームマントは使えそうにもない」

 

 百騎士の両肩のビームマント発生装置は破損して使えそうには無い。

 ドラゴンガンダムオロチは飛び上がりクラーフレジェンドの方に向かう。

 クラーフレジェンドは肩の対艦バルカンで応戦するが、ドラゴンガンダムオロチは持っている偃月刀を回転させて攻撃を防ぐとクラーフレジェンドの懐に入り込むと偃月刀を振るう。

 それによりクラーフレジェンドの両足が切断されて仰向けに倒れる。

 

「きゃぁ!」

「明日香!」

 

 百騎士がクレイバズーカで援護してバーニングデスティニーが光の翼を展開して突っ込む。

 バーニングデスティニーの攻撃をドラゴンガンダムオロチは偃月刀を使って防いでいく。

 

「その程度か。お前の実力とやらは」

「まだ!」

 

 バーニングデスティニーの蹴りを腕で弾きドラゴンガンダムオロチは偃月刀を突き出す。

 突きを体勢を低くして頭部ギリギリでかわすと更に踏み込み拳を振り上げる。

 バーニングデスティニーの拳はドラゴンガンダムオロチの胴体に入るが、浅くダメージを与えれる程ではなく、逆にドラゴンガンダムオロチに蹴り飛ばされる。

 

「……強い」

「口ほどにも無いな。それで良く俺に勝つ気でいた物だな」

「……勝てる気なんてないですよ。それでも! 俺は先輩に勝つ気でいます! 相手が誰であれば負ける気でバトルはしません!」

 

 蹴り飛ばされて倒れるバーニングデスティニーは立ち上がる。

 すでに3人がかりでも実力差は明白だ。

 それでも龍牙は諦めずに立ち上がる。

 

「成程……その覚悟に免じて次の一撃で勝負を付けてやろう」

 

 ドラゴンガンダムオロチは偃月刀を構える。

 龍牙も次がリンドウが勝負を付けに来ると覚悟を決めて迎え撃つ。

 だが、2機のガンプラの間に何かが飛んでくる。

 

「何だ?」

 

 それはダナジンで、飛ばされて来たダナジンは地面に叩き付けながらも腕部のビームバルカンを前方に向けるが、ワイヤーの付いたブレードが頭部に突き刺さった。

 オープンワールドでは多々ある事だが、バトル中に別のバトルを行っていたガンプラと遭遇する事がある。

 今回もそうなのだろう。

 

「あのガンプラは……」

「バルバトス。藤城!」

 

 ダナジンとバトルしていたのは大我のバルバトス・アステールのようで大我と戦っているガンプラは他にもいた。

 ダナジンを破壊したテイルブレイドを回収しながら、バルバトス・アステールはバーストメイスでボルトガンダムを叩き潰す。

 ボルトガンダムを倒すとすぐに近くのグスタフカールをパイルバンカーで貫く。

 グスタフカールが最後の1機だったのか、バルバトス・アステールの周囲には倒したガンプラの残骸が転がっている。

 その光景はここに来るまでにもあり、それらは全て大我の仕業なのだろう。

 

「知り合いか? あのバルバトスのダイバーは?」

「はい。俺達のチームメイトです」

「お前ら……何でそいつといる? まぁ良い」

 

 バルバトス・アステールはバーストメイスを肩に担ぐ。

 

「諒ちゃんも人が悪い。6位の奴がいるなら先にそっちを教えてくれれば良いのに」

 

 バルバトス・アステールは一気に距離を詰めるとドラゴンガンダムオロチにバーストメイスを振り下す。

 それを後方に大きく飛び退いてかわす。

 

「藤城!」

「邪魔するならぶっ潰す」

 

 大我はすでに戦う気満々のようでここで無理に止めようとすると本気で自分達を倒しそうな勢いだ。

 

「アンタがランキング6位のリンドウだろ?」

「そう言うお前は最近、この辺りで出没するガンプラ狩りのバルバトスだな」

 

 リンドウも逃げる気はないようで偃月刀を構える。

 大我がここ最近GBNで名のあるファイター達を倒している事はガンプラ狩りのバルバトスとして噂されている。

 

「藤城の奴……そんな事してたのか」

「アレが星鳳のエースか……先輩達が言っていたように普通じゃないようだ」

 

 バルバトス・アステールとドラゴンガンダムオロチはにらみ合う。

 先に動いたのはバルバトス・アステールだった。

 一気に突っ込み、ドラゴンガンダムオロチはドラゴンヘッドのビームで迎撃する。

 ビームを最低限の動きとシールドスラスターで防ぎながら突っ込みバーストメイスを振るう。

 だが、ドラゴンガンダムオロチは飛び上がって回避すると降下しながら偃月刀で反撃する。

 バルバトス・アステールはバーストメイスの柄で偃月刀の攻撃を受け流しながら、膝のドリルニーで反撃するがかわされる。

 ドラゴンガンダムオロチはバルバトス・アステールの背後に回ると偃月刀を振るおうとするが、テイルブレイドが襲い掛かり、ドラゴンヘッドを一つ盾に使って破壊されるが、攻撃を防ぐ。

 その隙にバルバトス・アステールは足の裏のエッジを展開してドラゴンガンダムオロチに蹴り飛ばそうとする。

 それを偃月刀の柄で身を守り、勢いに逆らわずに大きく後退する。

 

「やるな」

「お前もな。少しはマシなバトルになりそうだ」

 

 2機のガンプラは距離を置きバトルは一度仕切り直しとなる。

 2機の攻防を龍牙達はただ見ているしかない。

 

「俺の全力でお前を仕留める!」

 

 ドラゴンガンダムオロチは偃月刀を構えると金色に光り輝く。

 

「ハイパーモードか」

 

 トランザムシステム同様に一時的にガンプラの性能を向上させるハイパーモードとなったドラゴンガンダムオロチにバルバトス・アステールはバーストメイスを振り上げて迎え撃つ構えを見せる。

 

「行くぞ!」

 

 ドラゴンガンダムオロチが勢いよく大地を蹴る。

 ハイパーモードとなったドラゴンガンダムオロチに速さは今までの非ではない。

 勢いをつけて偃月刀を突き出して、渾身の一撃を繰り出そうとするドラゴンガンダムオロチだが、突き出そうとした瞬間に横からバルバトス・アステールのテイルブレイドがドラゴンガンダムオロチの膝に直撃する。

 

「なっ!」

 

 膝にテイルブレイドの直撃を受けて膝の関節が破壊されたドラゴンガンダムオロチは体勢を崩すが突撃の勢いはそのままで倒れ込むところをバルバトス・アステールは完璧なタイミングでバーストメイスを振り下す。

 まともに防御も取れないドラゴンガンダムオロチはバーストメイスの一撃に叩き潰された。

 

「静流の一個上ならこんな物か」

 

 大我はバトルを終えて満足したのか、早々にログアウトする。

 残された龍牙達は何とも言えない空気の中ログアウトする事になった。

 翌日の放課後、部室で昨日の出来事を静流に報告する。

 リンドウとバトルになった事はある程度は予想していた事で、近接戦闘に長けたリンドウから龍牙が得られる物はあるとバトルになる事を期待していたが、まさか大我が乱入して来る事までは予想外だったようでため息をつく。

 

「藤城君は本当にどこにでも現れるわね」

「先輩の勧誘に失敗しましたし次はどうするか考えないといけないですしね」

 

 入部を賭けたバトルは大我の乱入で有耶無耶になっている。

 場合によってはリンドウの入部は諦めて他を探す必要もある。

 それでも龍牙はリンドウと戦って見て全国で勝ち抜くにはリンドウの力も必要だと感じていた。

 あのまま戦っていても勝てた保障は無く、勝負に勝って入部して貰うと言うのは難しいだろう。

 考えていると部室のドアが開かれる。

 誰かと思ったら史郎や他の部員ではなく、知らない男子生徒だった。

 見た限りでは上級生だろう。

 

「八笠君。ウチの部に何か用?」

 

 静流がそう言うと男子生徒の視線が静流に向く。

 龍牙にもこの男子生徒がリンドウこと八笠竜胆だと言う事に気が付き思わず立ち上がる。

 

「昨日はいきなり済みませんでした!」

 

 龍牙は入部をかけて挑んだ事を謝罪する。

 だが、竜胆は余り気にした様子はない。

 

「お前は……デスティニーのダイバーか?」

「はい。神龍牙です」

「そうか」

 

 竜胆はそう言うと鞄かた一枚の紙を出す。

 それは入部届で、そこには竜胆の名が書かれている。

 

「どういう事?」

「リトルタイガーもここの部員なのだろう? 約束は約束だ」

「でも……」

「俺はお前ら全員を相手にすると言ったんだ。途中参加でもここの部員であるリトルタイガーに負けた以上約束は守らないとな」

 

 竜胆はバトルが始まる前に確かに龍牙や冬弥、明日香の3人ではなく全員と言っている。

 だが、その場にいなかった大我も含まれる訳はない。

 

「それに全国大会ともなれば地区予選を勝ち上がった猛者とも戦える。それだけでも入部する価値はある。活きの良い一年もいるようだしな」

 

 竜胆はそう言って龍牙を見る。

 何だかんだと理由を付けてはいるが、結局のところは実力差を見せつけられても尚、勝とうとする龍牙の事を気にったと言う事だろう。

 それを直接言う気はないのか、それっぽい理由を付けたのだろう。

 

「本当に良いんですか?」

「言ったろ。約束は約束だ。だが、俺が入る以上は半端な戦いは許さない。全国まで俺がしごいてやる」

「はい!」

 

 竜胆が入った事でガンプラ部は全国大会で戦う為に必要な10人が揃った事になる。

 後はそれぞれの実力の向上とチーム戦の練度を上げるだけだ。

 メンバーが揃い星鳳高校ガンプラ部は全国大会に向けて本格的に動き始めるのだった。

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。